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非ホジキンリンパ腫

執筆者:

Thomas E. Witzig

, MD, Mayo Medical School

最終査読/改訂年月 2018年 5月
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非ホジキンリンパ腫(NHL)は、多くの種類に分けられている一連のがんで、B細胞またはT細胞(リンパ球)から発生します。

  • 首、わきの下、脚の付け根にあるリンパ節が急に腫れることが多く、痛みは伴いません。

  • 腫れたリンパ節が臓器を圧迫して、痛みや息切れなどの症状が現れる場合もあります。

  • 診断にはリンパ節や骨髄の生検が必要になります。

  • 治療法としては、放射線療法、化学療法、モノクローナル抗体による免疫療法と、それらの併用療法などが考えられます。

  • ほとんどの場合、治癒が期待できますが、そうでなくても何年にもわたって生きることができます。

  • 再発した人には幹細胞移植によって治療を行います。

リンパ腫の概要ホジキンリンパ腫も参照のこと。)

この非ホジキンリンパ腫は、白血球の一種であるB細胞またはT細胞(リンパ球)が関与する実に50種類を超える異なる疾患を集めたものです。これらのリンパ腫は、それぞれが顕微鏡ではっきりと判別でき、細胞パターンも、症状や予後のパターンも異なっています。非ホジキンリンパ腫の大半(80~85%)がB細胞由来の腫瘍です。T細胞由来の腫瘍は15~20%未満です。

非ホジキンリンパ腫の方がホジキンリンパ腫より多くみられます。米国で6番目に多いがんであり、すべてのがんによる死亡の4%を引き起こしています。年齢が高くなるほど多くみられます。

米国では、毎年7万人以上が新たに非ホジキンリンパ腫と診断され、この新規症例数は特に高齢者と免疫系が正常に機能しない人を中心に増加しています。臓器移植を受けた人やC型肝炎またはヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染している人では、非ホジキンリンパ腫が発生するリスクが高くなります。

白血病も白血球から発生するがんです。白血病では、がん化した白血球のほとんどが血流中にみられます。リンパ腫では、がん化した白血球のほとんどがリンパ節の内部と脾臓や肝臓などの臓器内にみられます。しかし、リンパ腫で血流中にがん化した白血球がみられたり、白血病でリンパ節や臓器に白血病細胞がみられたりすることがあるため、白血病と非ホジキンリンパ腫には重複した特徴がときにみられます。

知っていますか?

  • 実際には、50種類を超える異なった病気のグループが非ホジキンリンパ腫です。

原因

ほとんどの非ホジキンリンパ腫の原因は明らかになっていませんが、一部のまれなタイプでは、ウイルスの関与を強く裏付ける証拠が得られています。日本の南部とカリブ海諸島にみられる非ホジキンリンパ腫で、急速に進行するまれなタイプは、ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1:ヒトTリンパ球向性ウイルス1型、成人T細胞白血病ウイルスとも呼ばれます)というヒト免疫不全ウイルス(HIV)に似たレトロウイルスによる感染が原因と考えられます。エプスタイン-バーウイルスは、バーキットリンパ腫という別のタイプの非ホジキンリンパ腫に関係しています。非ホジキンリンパ腫の原因ウイルスとして疑われているものに、HIV、B型肝炎ウイルスC型肝炎ウイルスヒトヘルペスウイルス8型などがあります。ヘリコバクター・ピロリなどの細菌もリンパ腫(特に胃のリンパ腫)のリスクを高めます。

そのほかに非ホジキンリンパ腫のリスクが高いのは、以下に該当する人です。

  • 特定の化学物質への曝露歴(特定の除草剤や殺虫剤)

  • ホジキンまたは非ホジキンリンパ腫患者の近親者

症状

最初にみられる症状では、首、わきの下、脚の付け根のリンパ節が急速に腫れることが多く、痛みは伴いません。胸部リンパ節が腫れると、気道が圧迫されて、せきや呼吸困難が起こり、胸部の血管が圧迫されて、顔面、首、腕が腫れます(上大静脈症候群)。腹部の深いところにあるリンパ節が腫れると、様々な臓器が圧迫されて、食欲不振、便秘、腹痛、脚の進行性浮腫(むくみ)などがみられることがあります。

血流や骨髄の中にリンパ腫ができると、赤血球、白血球、血小板の減少による症状がみられるようになります。赤血球が少なくなりすぎると貧血になり、疲労、息切れ、皮膚が青白くなるなどの症状が現れます。白血球が少なくなると感染を起こしやすくなります。血小板が少なくなると、あざができやすくなったり、出血しやすくなります。非ホジキンリンパ腫は、消化管や皮膚のほか、ときに神経系に浸潤する場合もあり、様々な症状を引き起こします。不明熱と呼ばれる明らかな病因が判明しない発熱が長く続くことがあります。この種の発熱は、一般に病気が進行していることを示しています。

小児で最初にみられる症状には、貧血や発疹のほかに、脱力感や異常感覚などの神経症状があり、これらはリンパ腫細胞が骨髄、血液、皮膚、腸、脳、脊髄に浸潤することから生じている可能性が高いと考えられます。腫れたリンパ節は、通常体の深い場所にあり、次のような症状を引き起こします。

  • 肺の周りに水がたまり、呼吸困難を引き起こす

  • 腸を圧迫し、食欲不振や嘔吐を引き起こす

  • リンパ管が詰まり、それによりリンパ浮腫と呼ばれる体液の貯留が引き起こされ、これは腕と脚で最も顕著となる

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非ホジキンリンパ腫の症状

症状

原因

呼吸困難

顔面の腫れ

胸部のリンパ節が腫れている。

食欲不振

腸の閉塞や腹部の体液による腹痛や腹部膨隆

腹部のリンパ節が腫れている。

リンパ腫細胞が肝臓からの胆汁の流れを妨げている。

尿量の減少

リンパ節が腎臓から膀胱への尿の流れを妨げている。

進行性の脚のむくみ

脚の付け根や腹部のリンパ管が詰まってリンパ浮腫を引き起こしている。

体重減少

下痢

鼓腸

腹部膨満やけいれん(栄養素が血液中に正常に吸収されない吸収不良を示す)

リンパ腫細胞が小腸の中や周囲で増殖している。

息切れ

胸の痛み

せき(胸水と呼ばれる肺の周りに水がたまった状態を示す)

胸部にあるリンパ管が詰まっている。

顔面や首の腫れ

胸部にある血管が詰まっている。

皮膚の一部が厚くなり色が黒ずんでかゆみを伴う

リンパ腫細胞が皮膚に浸潤している。

体重減少

発熱

寝汗

病変が体中に広がっている。

疲労

息切れ

青白い皮膚(貧血、つまり赤血球が過剰に少なくなった状態を示す)

次の1つ以上に該当:

  • 消化管出血

  • 脾腫または異常な抗体による赤血球破壊

  • リンパ腫細胞による骨髄浸潤や骨髄破壊

  • 治療(薬物療法や放射線療法)により骨髄が損傷を受け、骨髄で十分な赤血球が産生できない

重度の細菌感染症を起こしやすい

リンパ腫細胞が骨髄やリンパ節に浸潤し、抗体の産生が低下している。

診断と分類

  • リンパ節の生検

明らかな感染症がみられず、痛みを伴わないリンパ節の腫れが数週間にわたって続いている場合には、非ホジキンリンパ腫が疑われます。別の理由で行った胸部X線検査やCT検査で、胸部や腹部の深い位置にあるリンパ節の腫れが偶然見つかることもあります。

腫れたリンパ節の生検を行って、非ホジキンリンパ腫の診断を下し、同じようにリンパ節の腫れを引き起こすホジキンリンパ腫などの他の病気との鑑別を行います。

生検には様々な方法があり、その選択は腫大しているリンパ節の位置と検査に必要な組織の量によって異なります。ホジキンリンパ腫、感染症、炎症、他のがんなど、リンパ節腫大が起きる別の病気を非ホジキンリンパ腫と鑑別できるように、十分な量の組織を採取しなければなりません。十分な量の組織を確実に得るには、切除生検(小さな切開創からリンパ節の一部を採取する方法)が最も適しています。腫れたリンパ節が体表面に近いところにある場合は、(通常は超音波検査またはCT検査の画像を見ながら)皮膚を通して中空の針をリンパ節に刺す方法(コア針生検)により、十分な量の組織を採取できることがあります。腫れたリンパ節が胸部や腹部の深い位置にある場合は、手術が必要になることもあります。

50種類を超える異なった病気が、非ホジキンリンパ腫という1つの病名で呼ばれますが、大きく2つのグループに分類することがあります。

インドレントリンパ腫というグループの特徴は以下の通りです。

  • 生存期間が長い(何年も生きられる)

  • 多くの治療法に対して効果が速く現れる

  • 寛解期間は様々であるが、現在の標準治療では治癒は得られない

アグレッシブリンパ腫というグループの特徴は以下の通りです。

  • 治療しないと進行が速い

  • 標準化学療法による治癒率が高いが、治癒しない場合は生存期間が短い

非ホジキンリンパ腫は中年齢層から高年齢層に多くみられる病気ですが、小児や若年成人にもみられることがあります。小児や若年成人に発生するリンパ腫では、アグレッシブリンパ腫が多くみられます。

病期診断

  • 画像検査

  • 骨髄生検

  • 血液検査(肝機能検査と腎機能検査を含む)

非ホジキンリンパ腫の多くは、診断時点ですでに病変が広がっています。病変が1つの領域に限局される人は、わずか10~30%です。非ホジキンリンパ腫では、ホジキンリンパ腫と同様の手順で病期診断が行われます。さらに、一般的には骨髄生検も行われます。

ホジキンリンパ腫は、広がりの程度によって4つの病期(I期、II期、III期、IV期)に分類されます。病期の数字が大きいほど、リンパ腫の広がり程度が大きいことを示します。治療法の選択や予後の予測は、病期に基づいて行われます。非ホジキンリンパ腫の病期診断や評価のために、いくつかの検査が行われます。血算や肝機能と腎機能の検査などの基本的な血液検査が行われます。

PET(陽電子放出断層撮影)とCT(コンピュータ断層撮影)を組み合わせた検査(PET-CT検査)は、がん性病変の位置や大きさ、がん細胞の活動性を判定する最も感度の高い検査法です。PET-CT検査が利用できない場合は、胸部、腹部、骨盤部の造影CT検査を行います。神経系の症状がみられる場合は、脳または脊髄のMRI(磁気共鳴画像)検査など、他の検査が行われます。

骨髄生検がほぼ必ず行われ、特に血液検査で貧血や血小板数の低下が認められた場合に行われます。一部の種類の非ホジキンリンパ腫では、PET-CT検査によって確実に骨髄浸潤を検出できるため、骨髄生検は必ずしも必要ではありません。それら以外の非ホジキンリンパ腫では、PET-CT検査で確実に骨髄浸潤を検出することができず、骨髄生検が必要になります。

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非ホジキンリンパ腫の病期

病期

広がりの程度

I期

1つのリンパ節領域に限局される

II期

横隔膜の上方または下方のいずれかの側にある複数のリンパ節領域に浸潤がみられる(例えば、首に腫れたリンパ節がいくつかあり、わきの下にもいくつかある場合)

III期

脾臓に浸潤がみられるか、横隔膜の上方と下方の両側にある複数のリンパ節領域に浸潤がみられる(例えば、首に腫れたリンパ節がいくつかあり、脚の付け根にもいくつかある場合)

IV期

リンパ節のほかに、骨髄、肺、肝臓などにも浸潤がみられる

*腫瘍が消えた状態で5年間生存。

リンパ節領域とは、リンパ液を排出するリンパ節群がある場所のことです。

治療と予後(経過の見通し)

  • 化学療法、放射線療法、またはその両方

  • 免疫療法(がん細胞を攻撃する抗体でできた薬)、単独または化学療法を併用

  • ときに幹細胞移植

非ホジキンリンパ腫の治療法は、その種類によって非常に様々です。

インドレントリンパ腫では、最初にリンパ腫と診断された時点で、治療の必要がない場合があります。待機することで結果が悪くなることはなく、治療による副作用を避けられることが、研究によって示されています。インドレントリンパ腫で治療が必要な場合は、治療によって生存期間を延ばし、何年にもわたって症状を軽減します。アグレッシブリンパ腫の場合は、治癒が期待できるため、治療せずに待機することは通常ありません。治癒や長期生存の見込みは、非ホジキンリンパ腫のタイプや治療開始時の病期によって異なります。やや矛盾するようですが、インドレントリンパ腫は治療に速やかに反応して寛解(病勢が抑えられた状態)が得られ、長期生存が可能になることが多い半面、治癒することは通常はありません。これとは対照的に、アグレッシブ非ホジキンリンパ腫では、寛解に至るまでには非常に強い治療が必要になるのが普通ですが、十分に治癒する可能性があります。

I期の非ホジキンリンパ腫:限局しているもの

病変が極めて限局したインドレントリンパ腫(I期)の治療では、多くの場合、放射線療法でリンパ腫とその周囲の領域に限定して照射します。この方法では、照射領域に再発がみられることはほとんどありません。治療から10年経過しても、体の他の部分に非ホジキンリンパ腫が再発することがあるため、経過観察を長期にわたって行う必要があります。ごく初期のアグレッシブリンパ腫の治療では、多剤併用化学療法が必要で、放射線療法を併用することもあります。この治療により70~90%が治癒します。

II期からIV期の非ホジキンリンパ腫:進行したもの

インドレントリンパ腫は、ほぼすべてがII期からIV期の状態で見つかります。必ずしも最初から治療を行う必要はありませんが、最初の診断から、ときには数年にわたって経過観察を行い、リンパ腫が進行して治療が必要になっていないか調べます。より進行したインドレントリンパ腫では、早期に治療を開始することで生存期間が延びるという証拠は得られていません。リンパ腫が進行し始めた場合でも、様々な治療選択肢があります。

最初にどの治療法を選択すれば最もよいか明らかではないため、治療法の選択は、病気の広がり具合や症状によって変わります。治療法には、モノクローナル抗体(リツキシマブ)単独、化学療法単独、化学療法とリツキシマブの併用療法などがあります。このリツキシマブという抗体は静脈投与されます。モノクローナル抗体に他の物質を結合させることで、体の様々な場所にあるがん細胞に放射性粒子や毒性化学物質を直接運ぶこともできます。普通は治療により寛解になります。平均的な寛解持続期間は2年から5年で、5年を超えることもあります。リツキシマブを化学療法と併用した場合は、寛解期間がさらに長くなります。ときに維持療法(初回治療後に再発予防を目的として行う治療)が追加されることがあります。維持療法では、一種の放射線療法とともに、化学療法と併用したリツキシマブ(放射免疫療法と呼ばれます)の役割が検討されています。

II期からIV期のアグレッシブ非ホジキンリンパ腫では、早急に化学療法薬を併用投与しますが、リツキシマブを加えることもよくあります。化学療法薬の中で有効と考えられる組合せが多くあり、使用されています。化学療法薬の組合せの多くは、含まれている薬のそれぞれの頭文字を並べた名前で呼ばれています。例えば、最も古くから使われており、現在でもよく使われている併用療法の1つは、CHOP療法(シクロホスファミド、[ヒドロキシ]ドキソルビシン、ビンクリスチン[オンコビン]、プレドニゾン[日本ではプレドニゾロン])として知られています。リツキシマブの追加によりCHOPの治療成績が向上したことが報告されており、現在では決まってこの併用療法に追加されています(R-CHOP療法)。進行したアグレッシブ非ホジキンリンパ腫のR-CHOP療法による治癒率は約60%です。新しい薬の組合せによる併用療法が現在も研究されています。化学療法の多くは、様々な種類の血球の数を減少させますが、血球の増殖と成長を促進する増殖因子と呼ばれる特殊なタンパク質も一緒に投与すると、治療に十分耐えられる場合があります。

知っていますか?

  • 化学療法薬の組合せの多くは、含まれている薬のそれぞれの頭文字を並べた名前で呼ばれています。

治療後の戦略

放射線療法を受けると、二次がんのリスクが高まり、治療後10年以上経ってから放射線を照射した領域内にある臓器にがんが発生することがあります。行った治療法にかかわらず、ホジキンリンパ腫に対する治療が成功して何年も経ってから、白血病が発生する場合もあります。

治療が終了した後は、定期的に医師の診察を受け、リンパ腫の再発がないか検査する必要があります(治療後のサーベイランス)。検査の種類は患者の危険因子と受けた治療の種類によって異なります。

再発

アグレッシブリンパ腫が再発した人のほとんどが、化学療法薬の大量投与と自身の幹細胞を用いた自家幹細胞移植を受けています。この治療法では、50%までの人に治癒が期待できます。場合によっては、兄弟姉妹や非血縁者のドナーからの幹細胞(同種移植)を使用することもできますが、この移植法では、合併症のリスクがさらに大きくなります。インドレントリンパ腫では、自家幹細胞移植で治癒する可能性は低いものの、自家幹細胞移植が最善の治療選択肢であると考えられています。

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