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アシドーシス

執筆者:

James L. Lewis, III

, MD, Brookwood Baptist Health and Saint Vincent’s Ascension Health, Birmingham

最終査読/改訂年月 2018年 5月
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アシドーシスには、酸の産生過剰による血液中の酸の蓄積または血液中からの重炭酸塩の過剰な喪失が原因で発生する代謝性アシドーシスと、肺機能や呼吸速度が低下し、血液中に二酸化炭素が蓄積して生じる呼吸性アシドーシスとがあります。

  • 血液の酸性度は、酸を含む物質や酸を産生する物質を摂取した場合や、肺から十分な二酸化炭素が排出されない場合に上昇します。

  • 代謝性アシドーシスの人では、吐き気、嘔吐、疲労がよく起こるほか、呼吸が通常より速く、深くなります。

  • 呼吸性アシドーシスの人では、頭痛や錯乱(さくらん)がよくみられ、呼吸は浅く、遅くなります。

  • 典型的な例では、血液検査でpHが正常範囲を下回ります。

  • 医師はアシドーシスの原因を治療します。

酸塩基平衡の概要も参照のこと。)

酸の増加が体の酸塩基調節系で対処しきれなくなると、血液は酸性になります。血液のpHが下がる(より酸性になる)と、呼吸を調節する脳の部分が刺激を受けて呼吸はより速く、深くなります(呼吸性代償)。呼吸がより速く、深くなると、二酸化炭素の排出量が増加します。

腎臓も、尿に多くの酸を排出することで、血液の酸性度を下げようとします。しかし、体が多量の酸を産生し続けると、この仕組みが両方ともうまく機能しなくなり、重度のアシドーシスが生じ、やがて心臓の異常や昏睡(こんすい)に至ります。

血液を含むあらゆる溶液の酸性度やアルカリ性度は、pH値で表します。

血液pH

酸性度とアルカリ性度は、0(強酸性)から14(強塩基性または強アルカリ性)までの範囲のpH値で表します。中間のpH7.0が中性です。

正常な血液はわずかに塩基性で、血液のpH値の正常範囲は7.35~7.45の間です。通常、体は血液のpH値を7.40辺りに維持しています。

原因

アシドーシスは主な原因に応じて以下の種類に分類されます。

  • 代謝性

  • 呼吸性

代謝性アシドーシス

代謝性アシドーシスは、メタノール(メチルアルコール)、不凍液(エチレングリコール)などの分解(代謝)されて酸になる物質や、多量のアスピリン(アセチルサリチル酸)などの酸そのものを摂取することによって、体内の酸の量が増加すると発生します。ほかにも多くの薬剤や毒物がアシドーシスを引き起こす可能性があります。

また、代謝性アシドーシスは代謝異常の結果として起こることもあります。ショック状態が進行したとき(乳酸アシドーシス)や、1型糖尿病がきちんとコントロールされていない場合(糖尿病性ケトアシドーシスになった場合)に、体は酸を過剰に産生します。

酸の産生量が正常であっても、腎臓が正常に機能せず(腎不全)、そのために十分な量の酸を尿に排出できないと、アシドーシスになることがあります。

代謝性アシドーシスはまた、体から放出される塩基の量が多すぎるときにも起こります。例えば、下痢や回腸瘻(かいちょうろう)造設術により、消化管を介して重炭酸塩が失われることがあります。

呼吸性アシドーシス

呼吸性アシドーシスは、肺から十分に二酸化炭素が放出されない場合(換気が不十分な場合)に起こります。この異常は、慢性閉塞性肺疾患、重度の肺炎心不全喘息(ぜんそく)など、肺に深刻な影響を与える病気で発生します。

また、脳の病気や、胸部の神経や筋肉の病気(ギラン-バレー症候群筋萎縮性側索硬化症)によって呼吸が困難になったときにも発生します。さらに、オピオイド(麻薬)やアルコール、強い眠気を誘発する薬(鎮静薬)などにより過鎮静の状態となり、呼吸が遅くなったときにも、呼吸性アシドーシスが発生します。呼吸が遅くなる結果、血液中の酸素レベルは低下することがあります。

睡眠時の呼吸障害(例えば、睡眠時無呼吸症候群)では、一時的な呼吸性アシドーシスを引き起こすほどの長さの呼吸停止が繰り返されることがあります。

症状

軽い代謝性アシドーシスの場合は症状がないこともありますが、普通は以下の症状がみられます。

  • 吐き気

  • 嘔吐

  • 疲労感

体がより多くの二酸化炭素を放出することで、アシドーシスの状態を是正しようとするため、呼吸が深くわずかに速くなります。アシドーシスの悪化に伴って、極度の脱力感と眠気を感じ始め、意識がもうろうとして吐き気が強くなります。重症例では、やがて心臓に問題が生じ、血圧が下がり、ショック、昏睡(こんすい)、死に至ります。

呼吸性アシドーシスで最初にみられる症状は以下のものです。

  • 頭痛

  • 眠気

血液中の酸素が不足するにつれて、眠気が昏迷や昏睡へと進行することがあります。呼吸が停止するか著しく阻害された場合には、昏迷や昏睡が急激に進みます。呼吸障害がそこまで激しくない場合には、数時間かけて昏迷や昏睡が進みます。

診断

  • 血液検査

アシドーシスの診断には、動脈の血液のpH値と二酸化炭素濃度の測定が必要で、普通は手首の橈骨(とうこつ)動脈から採血されます。動脈血が用いられるのは、一般に静脈血では体のpH値を正確に測定できないからです。

アシドーシスの原因を詳しく調べるために、医師は血液中の重炭酸塩の濃度も測定します。続いて、原因を特定するため、別の種類の血液検査が行われます。

治療

  • 原因の治療

  • 場合により重炭酸塩を含む溶液の静脈内投与

アシドーシスの治療は、ほぼ必ず原因疾患の是正に向けて行われます。まれに、単に重炭酸塩のようなアルカリ性の薬を投与するだけでアシドーシスを是正できることがあります。

代謝性アシドーシスの治療法は、主にその原因によって異なります。例えば、インスリンで糖尿病をコントロールする治療が必要な場合もあれば、中毒のために血液中から有害物質を取り除く治療が必要な場合もあります。

呼吸性アシドーシスの治療では、肺機能の改善を目指します。喘息や慢性閉塞性肺疾患などの肺疾患がある場合は、気道を広げる薬(サルブタモールなどの気管支拡張薬)が有効です。薬やその他の物質による鎮静状態に陥った患者は、ときに解毒剤で回復する可能性があります。重度の呼吸障害があるか肺機能が著しく損なわれている場合は、その理由にかかわらず、呼吸を補助する人工呼吸器が必要になります。

重度のアシドーシスでは、原因を治療するよう努めても効果がない場合、直接アシドーシスを治療することもあります。その場合、重炭酸塩が静脈に投与されます。ただし、重炭酸塩は一時的に症状を緩和するだけで、過剰なナトリウムや水分による負荷を体にかけるなどの害を及ぼすことがあります。

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