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脱水

執筆者:

James L. Lewis III

, MD, Brookwood Baptist Health and Saint Vincent’s Ascension Health, Birmingham

最終査読/改訂年月 2017年 9月
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本ページのリソース

脱水は体内の水分が不足している状態です。

  • 嘔吐、下痢、大量発汗、熱傷(やけど)、腎不全、利尿薬の使用により、脱水になる場合があります。

  • 脱水が進むとのどの渇きを感じ、発汗や排尿も少なくなります。

  • 脱水がひどくなると、錯乱やめまいを感じるようになります。

  • 水を飲むか、場合によっては水分を静脈内投与して、失われた水分と血液中に溶けているナトリウムやカリウムなどの無機塩(電解質)を補給する治療が行われます。

脱水は、摂取する水分よりも失う水分が多い場合に起こります。嘔吐、下痢、尿の排泄量を増加させる薬(利尿薬)の使用、多量の発汗(例えば、非常に暑い中で長時間激しい運動をしたとき)、水分摂取の減少は、脱水を招きます。

脱水は特に高齢者によくみられます。口渇中枢が、若い人のように正常に機能しないからです。そのため、高齢者は自分が脱水状態であることに気づかない場合があります。糖尿病 糖尿病 糖尿病は体が必要とするインスリンを十分に産生しないため、血糖(ブドウ糖)値が異常に高くなる病気です。 排尿が増加し、のどが渇き、減量しようとしていないのに体重が減少します。 神経を損傷し、知覚に問題が生じます。 血管を損傷し、心臓発作、脳卒中、慢性腎臓病、視力障害のリスクが高まります。... さらに読む 尿崩症(にょうほうしょう) 中枢性尿崩症 中枢性尿崩症(にょうほうしょう)は、バソプレシン(抗利尿ホルモン)の欠乏のために非常に薄い尿が過剰につくられる病気です(多尿症)。 中枢性尿崩症には、脳腫瘍、脳の損傷や脳の手術、結核、他のいくつかの病気など、複数の原因があります。 主な症状は、強いのどの渇きと多尿です。 診断は、尿検査、血液検査、水制限試験に基づいて下されます。 中枢性尿崩症の患者には、通常、バソプレシンやデスモプレシンという薬が投与されます。 さらに読む アジソン病 アジソン病 アジソン病は副腎機能の低下によって、副腎ホルモンが不足する病気です。 アジソン病の原因には、自己免疫反応、がん、感染症、その他の病気などがあります。 アジソン病の人は、脱力感や疲労感が生じ、座ったり横になったりした姿勢から立ち上がるとめまいを起こすほか、皮膚の黒ずみがみられる場合もあります。 ナトリウムとカリウムの血中濃度と、コルチゾール値および副腎皮質刺激ホルモンの値の測定によって診断されます。... さらに読む アジソン病 は、尿の排泄量を増加させ、脱水を引き起こします。

症状

脱水状態になると、まず脳の口渇中枢が刺激され、水分の摂取を強く促すのどの渇きが生じます。水分の摂取量が失われる量に追いつけないと、脱水状態がさらに激しくなります。発汗量が減り、尿の排出量も少なくなります。必要な量の血液と血圧( 体内の水分について 体内の水分について 水分は体重の約半分から3分の2を占めます。脂肪組織は筋組織より水分の割合が少なく、女性は脂肪が多い傾向があるため、平均的な女性で水分が体重に占める割合は男性より低くなります(男性が60%に対して女性は52~55%)。高齢者や肥満の人も水分が体重に占める割合が低く、反対に出生時や乳幼児期では水分が体重に占める割合が高く(70%)なります。7... さらに読む )を維持するために、水分が細胞内から血流へ移動します。脱水が続くと、体の組織が乾き始め、細胞はしぼんで機能しなくなります。

軽度から中等度の脱水の症状には以下のものがあります。

  • のどの渇き

  • 発汗の減少

  • 皮膚の弾力性の低下

  • 尿の産生量の減少

  • 口腔乾燥

重度の脱水になると、のどの渇きが逆に減少することがあり、血圧が下がって、ふらつきや失神が特に立ち上がるときによく起こります(起立性低血圧 立ちくらみ 一部の人、特に高齢者では、上体を起こしたり、立ち上がったりすると、血圧が極度に低下することがあります(起立性低血圧や体位性低血圧と呼ばれます)。立ち上がると(特にベッドで寝ていた後や長時間にわたって座っていた後に)数秒間から数分間にわたって気が遠くなる、ふらつき、めまい、混乱、かすみ目などの症状が起こり、横になるとそれらの症状は速やかに消失します。しかし、なかには転倒や失神、また極めてまれですが短時間のけいれんが起こる場合もあります。こ... さらに読む と呼ばれる状態)。脱水状態が続くと、ショック ショック ショックとは、臓器への酸素の供給量が低下し、生命を脅かす状態で、臓器不全やときには死亡につながります。通常、血圧は低下しています。 (低血圧も参照のこと。) ショックの原因には血液量の減少、心臓のポンプ機能の障害、血管の過度の拡張などがあります。 血液量の減少または心臓のポンプ機能の障害によってショックが起きると、脱力感、眠気、錯乱が生じ、皮膚が冷たく湿っぽくなり、皮膚の色が青白くなります。... さらに読む (重度の血圧低下)に陥り、腎臓、肝臓、脳などの臓器に重度の損傷が生じます。脱水がさらに重度になると、特に脳細胞が影響を受けやすくなります。したがって、錯乱は激しい脱水状態であることを示す指標の1つだといえます。極めて激しい脱水は、昏睡(こんすい)を引き起こします。

加齢に関連する注意点:高齢者における水分バランス

脱水

高齢者は特に脱水になりやすいものです。高齢者における脱水の一般的な原因には以下のものがあります。

さらに、高齢者はのどの渇きを感じるのが若い人に比べて遅く、感じ方も鈍くなるため、それ以外の点では健康な人でも、失禁や失禁に対する恐れなどの様々な理由から、十分に水分をとらないことがあります。

高齢者は体脂肪の割合が高くなります。脂肪組織は筋組織よりも水分の割合が少ないため、体内の総水分量は年齢とともに減少する傾向があります。

水分過剰

診断

  • 医師による評価

  • ときに血液検査

脱水は、しばしば症状や医師の診察の結果から診断できます。しかし、容態が極めて悪く見える人や特定の薬を使用している人、または特定の病気を患っている人については、血液検査を行う場合もあります。

脱水状態になると、普通は血液中のナトリウム濃度が上昇します。多量の発汗、嘔吐、下痢など、一般的な原因による脱水の際には電解質(特にナトリウムやカリウム)も失われますが、それ以上に水分が失われるため、ナトリウムの血中濃度は高くなります。

予防

治療より予防が大切です。成人は1日に少なくともグラス6杯の水分をとる必要があります(果物や野菜など水気の多い食物から得られる水分も含む)。暑い日や長時間の運動中や運動後は、たくさん水分をとるようにします。

運動、体温の上昇、暑い気候によって、体が必要とする水分量が増えます。スポーツドリンクは、激しい運動で失われる電解質を補うように調整されているため、脱水の予防に利用できます。運動前と運動中、その後も電解質を含む飲料を利用するようにします。心臓と腎臓に病気がある場合は、どのように水分を補充するのが安全かについて、運動の前に主治医に相談するのがよいでしょう。

治療

  • 水分と電解質の補給

軽い脱水の治療法は、水をたくさん飲むだけです。中程度または重度の脱水の場合は、失われた電解質(特にナトリウムやカリウム)も補う必要があります。

適切な量の電解質を含む経口補水液 治療 脱水は体からの水分の喪失であり、しばしば嘔吐または下痢が原因です。 脱水は、著しい量の体内の水分と、様々な程度で電解質が失われると生じます。 症状には、のどの渇き、活動性の低下、唇や口の中の乾燥、尿量の減少などがあります。 重度の脱水は生命を脅かすことがあります。 脱水の治療には水分と電解質を口から与え、重篤な場合には静脈内投与します。 さらに読む は、処方せんがなくても購入することができます。こうした飲みものは脱水の治療に有効で、特に小児の嘔吐や下痢で発生した脱水に効果的です。スポーツドリンクは必ずしも十分な電解質を含んでいるわけではなく、経口補水液の十分な代用品にならない場合があります。また、嘔吐している場合は、水分を摂取するだけでは不十分な場合があります。

より重度の脱水の治療では、塩化ナトリウムを含む点滴が必要になります。点滴液は初めのうちは速く投与し、全身状態の改善に合わせて速度を落としていきます。

脱水を引き起こしている原因も治療の対象となります。例えば、吐き気や嘔吐 成人の吐き気と嘔吐 吐き気は、嘔吐しそうな不快感です。めまい、腹部の漠然とした不快感、食欲不振を感じることもあります。 嘔吐とは、胃の強い収縮によって、胃の内容物が食道に押し上げられて口から出ることです。(乳児と小児の嘔吐も参照のこと。)嘔吐すると胃が空になり、少なくとも一時的には吐き気がかなり治まることがよくあります。嘔吐は極めて不快で、激しいことがあります。激しい嘔吐では、胃の内容物を1メートル以上飛ばすこともあります(噴出性嘔吐)。嘔吐は逆流とは異な... さらに読む 、または下痢 成人の下痢 下痢は、便の量や水分、排便回数が増加することです。(小児の下痢も参照のこと。) 排便回数が多いだけでは、下痢を決定づける特徴とはいえません。正常な状態で1日に3~5回排便する人もいます。野菜に含まれる食物繊維をたくさん食べる人は、1日に約500グラム以上の便を排泄することがありますが、この場合の便はよく固まっていて、水様便ではありません。下痢になると腸内ガス、腹部けいれん、便意の切迫を伴うことが多く、下痢が感染性微生物や有害物質によって... さらに読む がある場合には、嘔吐や下痢をコントロールする薬や止める薬を使用します。

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