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急性間欠性ポルフィリン症

執筆者:

Herbert L. Bonkovsky

, MD, Wake Forest University School of Medicine;


Sean R. Rudnick

, MD, Wake Forest University School of Medicine

最終査読/改訂年月 2018年 9月
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本ページのリソース

腹痛や神経症状を引き起こす急性間欠性ポルフィリン症は、最も一般的な急性ポルフィリン症です。

  • 多くの患者で症状はまったく現れません。

  • 症状があるとすれば、嘔吐、腹痛または背中の痛み、腕や脚の脱力、精神症状などがみられます。

  • 発作中に尿サンプルを採取して検査が行われます。

  • 栄養状態を良好に保ち、発作を引き起こすアルコールや薬を避けることが重要です。

  • 発作の治療では、ブドウ糖の投与のほか、ときにヘムの投与が行われます。

急性間欠性ポルフィリン症は、あらゆる人種にみられます。ほとんどの国で、最も一般的な急性ポルフィリン症です。その他の急性ポルフィリン症には以下のものがあります。

  • 異型ポルフィリン症

  • 遺伝性コプロポルフィリン症

  • デルタ-アミノレブリン酸デヒドラターゼ(ALAD)欠損性ポルフィリン症(極めてまれ)

異型ポルフィリン症と遺伝性コプロポルフィリン症は皮膚症状を引き起こすこともあります。

急性間欠性ポルフィリン症は、ヒドロキシメチルビラン合成酵素としても知られるポルフォビリノーゲンデアミナーゼという酵素の欠損が原因で、最初に肝臓にヘム前駆体のデルタ-アミノレブリン酸とポルフォビリノーゲンが蓄積します。

これは遺伝性の病気で、両親のいずれかから異常な遺伝子を1つ受け継いだことにより発症します。もう片方の親から正常な遺伝子を受け継いでいれば、酵素の量は正常値の半分に維持され、正常な量のヘムをつくることができます。

ポルフォビリノーゲンデアミナーゼが欠けていても、ほとんどの場合、症状は起こりません。しかし、特定の要因がある場合には、症状が促進され発作が起こります。急性ポルフィリン症の発作を引き起こす可能性のある因子には以下のものがあります。

  • 多くの薬(性ホルモン、バルビツール酸系薬剤、抗てんかん薬、スルホンアミド系抗菌薬など)

  • 女性のホルモンの変化

  • 低カロリー低炭水化物の食事

  • アルコール摂取

  • 有機溶剤(ドライクリーニング液やペンキなど)への曝露(ばくろ)

  • 精神的ストレス

  • 感染症や他の病気

  • 手術

発作の原因には通常、複数の要因が関与しています。発作を起こす要因を特定できない場合もあります。

発作は男性より女性に多く起こり、思春期以前に発生することは非常にまれです。ごくまれに、この病気が両方の親から遺伝する(2つの異常な遺伝子を受け継ぐ)場合があります。この場合には、小児期に発達異常を含む症状が現れます。

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急性間欠性ポルフィリン症の発作を引き起こしうる主な薬*

薬の種類

麻酔薬(局所)

リドカイン

抗てんかん薬

バルビツール酸系薬剤

カルバマゼピン

エトスクシミド

ラモトリギン

フェニトイン

プリミドン

バルプロ酸

抗ヒスタミン薬

クレマスチン

ジメンヒドリナート

ヒドロキシジン

特定の血糖降下薬(スルホニル尿素薬)

クロルプロパミド

グリメピリド

グリピジド

グリベンクラミド

トルブタミド

抗菌薬

クロラムフェニコール

クリンダマイシン

エリスロマイシン

ケトコナゾール

ニトロフラントイン

リファンピシン

リトナビル

スルホンアミド系薬剤

トリメトプリム

心臓の薬

ヒドララジン

リドカイン

メチルドパ

ニフェジピン

スピロノラクトン

ホルモン剤

ダナゾール

エストロゲン

プロゲステロン

合成プロゲスチン

片頭痛薬

ジヒドロエルゴタミン

鎮静薬

バルビツール酸系薬剤

*薬に対する反応は患者により異なり、また多くの薬がポルフィリン症患者を対象に検証されたわけではないため、この表はおおまかな指針としてのみご利用ください。ポルフィリン症の人は、非処方薬、薬用ハーブ、サプリメントも含めて、薬を使用する際に主治医に相談する必要があります。

症状

急性間欠性ポルフィリン症では、多くの人で症状が現れません。生涯で数回だけ、発作を経験する人もいます。しかし、一部の人では発作が繰り返しみられます。

症状は、通常は数日間続く発作として起こりますが、さらに長引くこともあります。たいてい、最初の発作は思春期以降に起こります。一部の女性では、月経周期の後半に発作を起こしますが、これはその際の プロゲステロン値の上昇により誘発される可能性が高いようです。

最もよくみられる症状は腹痛です。腹部手術が必要だと医師が誤解するほど痛みが強くなることがあります。他の消化器症状には、吐き気、嘔吐、重度の便秘、下痢(まれ)などがあります。

精神症状として、易刺激性、不穏(落ち着かなくなる)、不眠症、興奮、疲労、抑うつなどもよくみられます。

神経系の症状には多くのものがあります。筋肉を制御している神経が侵されて、筋力低下が現れることがあります。筋力低下は通常、肩や腕から始まりますが、実質的にすべての筋肉に進行する可能性があり、このなかには呼吸に関与する筋肉も含まれます。振戦(ふるえ)やけいれん発作が起こることもあります。

ほかに多くみられる症状は以下のものです。

  • 心拍数の増加

  • 血圧の上昇

  • 発汗

  • 不穏(落ち着かなくなる)

  • 睡眠障害

胃腸症状も含めて、これらの症状のほとんどは、神経系が影響を受けた結果として起こります。

発作時の危険な合併症として心拍リズムの異常(不整脈)があります。

症状は数日以内に回復しますが、重度の筋力低下から完全に回復するには、数カ月ないし数年かかることがあります。疲労、頭痛、背中や太ももの痛み、不眠症、うつ病、不安などの軽い症状が長引く場合もあります。発作により死に至ることはまれです。しかし、少数ですが発作が生活に支障をきたすこともあります。

急性間欠性ポルフィリン症の長期に及ぶ合併症には、筋力低下の持続、高血圧慢性腎臓病肝硬変肝腫瘍などがあります。

診断

  • 尿検査

急性間欠性ポルフィリン症による重度の消化管症状と神経症状は、もっと一般的な多くの病気でみられる症状と似ています。発作中に尿サンプルを採取して検査すると、2つのヘム前駆体(デルタ-アミノレブリン酸とポルフォビリノーゲン)の濃度が上昇していることが分かります。発作中はこの2つの前駆体の濃度が非常に高く、繰り返し発作を起こす人では、常に高い状態になります。

これらの前駆体が赤みを帯びたポルフィリンになることがあります。これにより尿が赤色または赤褐色に変わります。尿サンプルを光と空気にあてると、この色はより明らかになります。

症状がない血縁者は、赤血球にあるポルフォビリノーゲンデアミナーゼを測定するか、確実性が最も高い遺伝子検査を行って、この病気のキャリアかどうかを調べることができます。出生前診断も可能ですが、この病気にかかっていても大半の人に症状がみられないため、普通は必要ありません。

急性発作の予防

急性間欠性ポルフィリン症の発作は、以下の対策によって予防できる可能性があります。

  • 十分な炭水化物を摂取することも含め、良好な栄養状態を維持する

  • アルコールを避ける

  • 発作を引き起こす可能性のある薬を避ける

  • 肉体的・精神的ストレスや過労を避ける

  • 急激に体重を減らす極端なダイエットを避ける

発作が月経周期に関係している女性など、発作が起こる時期が予測できる人は、発作の予防のためヘムを静脈内投与することができます。女性の月経前発作は、子宮内膜症の治療に使用されているゴナドトロピン放出ホルモンアゴニストで予防できますが、この治療はポルフィリン症の治療を専門とする医師の指導の下で行わなければなりません。

治療

急性発作の治療は、すべての急性ポルフィリン症の治療と同じです。

  • ヘムの静脈内投与

  • ブドウ糖

急性間欠性ポルフィリン症の発作を起こす人は、重い症状を治療するためにしばしば入院します。

急性発作の治療

激しい発作がある場合は、ヘムを静脈内投与して治療します。普通は数日以内に、血液と尿のデルタ-アミノレブリン酸とポルフォビリノーゲンの濃度が速やかに低下して症状が治まります。治療が遅れると回復に時間がかかり、永久的な神経の損傷が残ることがあります。

ブドウ糖の経口投与(嘔吐している患者には静脈内投与)も有益で、特に低カロリーや低炭水化物の食事で発作が起きた場合に有効ですが、ヘムほどの効果はありません。

痛みはオピオイドなどの薬で制御できます。

吐き気、嘔吐、不安、不穏(落ち着かなくなる)といった症状に対しては、フェノチアジン系薬剤による治療が短期間行われます。吐き気にはオンダンセトロンも使用できます。

不眠に対しては、抱水クロラールまたは低用量のベンゾジアゼピン系薬剤による治療が行われますが、バルビツール酸系は使用されません。過剰に膀胱が充満した場合には、カテーテルによる尿の排出が行われます。

医師は、発作を促進する薬を患者が使用していないことを確認し、発作を誘発する因子がほかにないか突き止め、可能であればそれに対処します。

抗てんかん薬は大半のものが発作を悪化させるため、けいれん発作の治療は困難です。レベチラセタムは、使用しても安全だと考えられています。ベータ遮断薬は心拍数の上昇や高血圧の治療に使用されます。

その他の治療

腎障害の徴候がみられる場合は、通常、腎臓を専門とする医師(腎臓専門医)を紹介されます。

急性間欠性ポルフィリン症患者では肝臓がんのリスクが高く、50歳以上の患者の場合少なくとも年1回は、肝臓がんのスクリーニング検査が実施されます。

肝移植により急性間欠性ポルフィリン症の完治が可能です。重度の発作を繰り返すために、生活の質が悪化して、腎臓や神経系に永続的な損傷を及ぼすリスクがある場合に移植が考慮されます。腎移植が必要になる人もいます。

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