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ビタミンA

(レチノール)

執筆者:

Larry E. Johnson

, MD, PhD, University of Arkansas for Medical Sciences

最終査読/改訂年月 2018年 9月
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ビタミンA(レチノール)は、眼の網膜にある光を感じ取る神経細胞(視細胞)の機能に必要で、夜間視力の維持を助けます。また皮膚と、肺、腸、尿路の内壁を健康に保ち、感染に対する防御にも役立ちます。

魚の肝油、レバー、卵黄、バター、クリーム、栄養強化牛乳などには、ビタミンAが豊富に含まれています。

ベータカロテンなどのカロテノイドは、果物や野菜に黄色やオレンジ色、赤色を与える色素です。カロテノイドは、摂取されると体内でゆっくりとビタミンAに変換されます。カロテノイドは、加熱調理するか細かく砕いた野菜を多少の油脂とともに摂取した場合に最もよく吸収されます。緑黄色野菜、黄色やオレンジ色の果物には、カロテノイドが豊富に含まれています。

ビタミンAに関連した薬(レチノイド)が、重度のにきびや乾癬の治療に用いられます。ビタミンA、ベータカロテン、レチノイドを摂取することが、特定の種類の皮膚がんが発生するリスクを低下させる役に立つかどうかについて、研究が行われています。しかし、ベータカロテンのサプリメントを摂取すると特定のがんのリスクが上昇する可能性があります。

ビタミンA欠乏症

  • 夜盲症が初期症状の1つです。

  • 最終的に失明に至ることもあります。

  • 眼や皮膚、その他の組織が乾燥して損傷を受け、感染症が生じる頻度が高まります。

  • 診断は症状と血液検査の結果に基づいて下されます。

  • 高用量のビタミンAを数日間摂取することで、ビタミンA欠乏症は改善されます。

原因

通常、ビタミンA欠乏症は次の原因で生じます。

  • 長期にわたりビタミンAが不足した食生活

この欠乏症は、次に挙げるようなビタミンAが豊富に含まれる食物を十分に食べる習慣がない地域でよくみられます。

  • 動物および魚のレバー

  • 緑黄色野菜、黄色やオレンジ色の果物

  • 栄養強化乳製品

例として、ビタミンA欠乏症は、ビタミンAが含まれない食品である普通の米を主食とする南アジアや東アジアでみられます。ゴールデンライスにはより多くのベータカロテンが含まれ、ビタミンA欠乏症を軽減する可能性があります。

腸で脂肪が吸収されにくくなる病気になると、脂溶性であるビタミンAの吸収量が減少し、ビタミンA欠乏症になるリスクが高まります。そのような病気には慢性の下痢 成人の下痢 下痢は、便の量や水分、排便回数が増加することです。(小児の下痢も参照のこと。) 排便回数が多いだけでは、下痢を決定づける特徴とはいえません。正常な状態で1日に3~5回排便する人もいます。野菜に含まれる食物繊維をたくさん食べる人は、1日に約500グラム以上の便を排泄することがありますが、この場合の便はよく固まっていて、水様便ではありません。下痢になると腸内ガス、腹部けいれん、便意の切迫を伴うことが多く、下痢が感染性微生物や有害物質によって... さらに読む セリアック病 成人の下痢 下痢は、便の量や水分、排便回数が増加することです。(小児の下痢も参照のこと。) 排便回数が多いだけでは、下痢を決定づける特徴とはいえません。正常な状態で1日に3~5回排便する人もいます。野菜に含まれる食物繊維をたくさん食べる人は、1日に約500グラム以上の便を排泄することがありますが、この場合の便はよく固まっていて、水様便ではありません。下痢になると腸内ガス、腹部けいれん、便意の切迫を伴うことが多く、下痢が感染性微生物や有害物質によって... さらに読む 嚢胞性線維症 嚢胞性線維症(CF) 嚢胞性線維症(のうほうせいせんいしょう)は、特定の分泌腺が異常な分泌物を産生し、それによって組織や器官、特に肺や消化管が損傷を受ける遺伝性疾患です。 嚢胞性線維症は、遺伝子の突然変異を親から引き継ぐことで発生し、粘り気の強い濃厚な分泌物が肺やその他の臓器の働きを妨げます。 典型的な症状としては、新生児にみられる嘔吐や腹部膨満、軟便、体重増... さらに読む 、膵臓の特定の病気、胆管閉塞 胆汁は、緑がかった黄色の粘り気のある液体で、肝臓で作られます。胆汁はコレステロール、脂肪、脂溶性ビタミンを腸から吸収しやすい形に変えることで、消化を補助します。また、特定の老廃物(主にビリルビンと過剰なコレステロール)や薬の副産物を体外に排出する働きもあります。 胆道は複数の細い管で構成され、胆汁はそれらの管を通って肝臓から胆嚢へ、さらに... さらに読む などがあります。腸や膵臓の手術も同様の影響を及ぼすことがあります。

症状

ビタミンA欠乏症の初期症状の1つに、網膜の障害が原因で起こる夜盲症があります。その後すぐに、眼球乾燥症 角膜軟化症 角膜軟化症とは、低栄養の人で食事中のビタミンAが欠乏している場合に、角膜(虹彩と瞳孔の前にある透明な層)が乾いて濁る病気です。 ビタミンAの欠乏によって、角膜潰瘍や細菌感染症が引き起こされる可能性があります。 ビタミンAの欠乏によって、夜盲症(暗闇での視力低下)が起こる可能性があります。 角膜軟化症の診断は、角膜の外観に基づいて下されます。 治療として、ビタミンAの欠乏を食生活の改善またはサプリメントで是正し、感染症には抗菌薬の点眼薬ま... さらに読む という白眼(結膜)と角膜が乾燥して厚くなる病態が現れることがあります。眼球乾燥症は、特にビタミンAの摂取不足の小児や、重度のカロリーとタンパク質不足の小児によくみられます。ビトー斑と呼ばれる泡状の沈着物が白眼に現れることがあります。乾いた角膜は軟らかくなって劣化することがあり、失明に至ることもあります。ビタミンA欠乏症は、発展途上国で失明の一般的な原因となっています。

皮膚が乾いてうろこ状になり、肺、腸、尿路の内壁が肥厚して硬くなります。

免疫システムが正常に機能せず、感染症にかかりやすくなります(特に乳児と小児)。

小児の成長と発達の遅れがみられることもあります。重症のビタミンA欠乏症の場合、小児では半数以上が死亡する可能性があります。

診断

  • 医師による評価

  • 血液検査

  • ビタミンAサプリメントの摂取による症状の緩和

医師は、夜盲症などの症状からビタミンA欠乏症を疑います。

医師は血液中のビタミンA濃度を測定します。しかしながら、体は多量のビタミンAを蓄えているため、欠乏症が重度になってくるまで血液中の濃度は低下をみせません。

ビタミンA欠乏症の診断確定に役立てるために、医師は患者にビタミンAのサプリメントを与え、症状が軽減されるかどうかを確認することがあります。

予防

ビタミンA欠乏症を予防するには、濃い緑色の葉野菜、黄色やオレンジ色の果物(パパイヤやオレンジなど)、ニンジン、黄色い野菜(カボチャなど)を食べる必要があります。その他に、ビタミンAで栄養強化された牛乳とシリアル、レバー、卵黄、魚の肝油などの食品があります。カロテノイドは果物や野菜に黄色やオレンジ色、赤色を与え、体内ではビタミンAに変換されます。加熱調理するか細かく砕いた野菜を多少の油脂とともに摂取した場合に最もよく吸収されます。

発展途上国に住みビタミンA欠乏症になるリスクが高い小児は、ビタミンAのサプリメントを摂取するべきです。

治療

  • ビタミンAのサプリメント

ビタミンA欠乏症の人には、高用量のビタミンAが数日間投与され(通常は経口により)、その後視覚と皮膚が改善されるまで、より少ない用量で投与が続けられます。乳児の場合は、毒性が現れる場合があるため、繰り返し高用量を投与するべきではありません。

ビタミンAの大量摂取

ビタミンAをとりすぎると、有害な影響(毒性)が現れることがあります。例えば、1日当たりの推奨量の10倍以上を数カ月にわたって毎日とり続けると毒性が生じます。毒性はときに、重度のにきびやその他の皮膚疾患の治療のために、特別に調剤された高用量のビタミンAを服用することで生じることがあります。乳児では少量でも毒性が生じ、ときには数週間以内に毒性が生じることがあります。小児が誤って非常に大量に摂取した場合、たちまち毒性が生じる可能性があります。

大量のカロテノイド(体内でビタミンAに変換される)を食物から摂取しても、カロテノイドがビタミンAに変換される速度が非常に遅いため、毒性は生じません。通常、症状は起こりません。しかし、非常に大量のカロテノイドを摂取すると、皮膚が濃い黄色に変色することがあり(柑皮症)、特に手のひらや足の裏に顕著に現れます。

ベータカロテンのサプリメントを多量に摂取すると、がんのリスクが高まる可能性がありますが、カロテノイドを果物や野菜から摂取した場合はこのリスクを高めることはないと考えられます。

症状

ビタミンA中毒のほとんどの人には頭痛と発疹がみられます。

長期間にわたってビタミンAの過剰摂取を続けると、髪の毛が荒れ、部分的な脱毛(まゆを含む)が生じ、唇がひび割れ、皮膚が乾燥して荒れることがあります。

後から現れる症状には、重度の頭痛、全身の筋力低下などがあります。骨や関節の痛みがよくみられます(特に小児)。容易に骨折が起こることがあります(特に高齢者)。小児では、食欲が減退し正常な成長と発達がみられないことがあります。皮膚がかゆくなることがあります。肝臓や脾臓が腫大することもあります。

知っていますか?

  • 乳児や小児では、非常に多量のビタミンAは有害な影響を及ぼすことがあります。

  • 妊娠中に非常に多量のビタミンAやイソトレチノイン(isotretinoin)(ビタミンA由来の薬)を摂取すると、先天異常の原因となります。

一度に極めて多量のビタミンAを摂取すると、数時間以内に眠気、易怒性、頭痛、吐き気、嘔吐が生じ、その後ときに皮膚がむけてきます。頭蓋内圧が上昇し(特に小児)、嘔吐が起こります。ビタミンAの摂取を中止しないと、昏睡や死に至ることがあります。

妊娠中にイソトレチノイン(isotretinoin)(重度のにきびの治療に用いられるビタミンA誘導体)を摂取すると、先天異常の原因となります。妊娠しているかその可能性がある女性は、胎児に先天異常が生じるリスクがあるため、安全な上限(3000マイクログラム)を超える量のビタミンAを摂取するべきではありません。

診断

  • 身体診察

  • 血液検査

ビタミンA中毒の診断は、主に症状に基づいて下されます。診断を確定するために、医師はビタミンAの値を測定する血液検査も行うことがあります。

治療

  • ビタミンAのサプリメントの使用を中止する

治療としては、ビタミンAのサプリメントの使用を中止します。ほとんどの人が完全に回復します。

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