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パーソナリティ障害の概要

執筆者:

Andrew Skodol

, MD, University of Arizona College of Medicine

最終査読/改訂年月 2018年 8月
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本ページのリソース

パーソナリティ障害(人格障害とも呼ばれます)とは、本人に重大な苦痛をもたらすか、日常生活に支障をきたしている思考、知覚、反応、対人関係のパターンが長期的かつ全般的にみられる人に対して用いられる用語です。

  • パーソナリティ障害は10種類あり、自己像(セルフイメージ)と他者やストレスに対する反応のパターンに、それぞれ特徴的な問題がみられます。

  • 症状はパーソナリティ障害の種類によって異なりますが、基本的には、他者と人間関係を築くことやストレスに対処することが困難で、本人の自己像は状況によって異なり、他者から見たその人の認識との間に隔たりがあります。

  • パーソナリティ障害は、自己や他者を一貫して現実とは異なる形で認識する人や、日常的によくない結果を招く行為を決まってとり続ける人において、その診断が検討されます。

  • 薬剤による治療でパーソナリティ障害自体に変化がみられることは通常ありませんが、そうした治療が症状を軽減するのに役立つことはあります。

  • 精神療法は、自分が問題を引き起こしていることに患者が気づき、社会的に好ましくない行動を改めるのに役立つことがあります。

他者やストレスになる出来事に対する見方や関わり方については、誰にでも特徴的なパターンがあります(反応パターンと呼ばれます)。例えば、困ったことが起きたとき、誰かに助けを求めることで対処しようとする人もいれば、自分だけで問題に対処しようとする人もいます。また問題を過小評価する人もいれば、大げさに考える人もいます。しかし、自分の特徴的な行動パターンがうまくいかない場合や不都合な結果を招いている場合には、ほとんどの人は自分の反応パターンを変えようと試みるものです。対照的に、パーソナリティ障害の人は、自分がとる反応のパターンが繰り返しうまくいかない場合や不都合な結果を招いている場合でも、そのパターンを変えようとしません。そのようなパターンは、状況に応じて調節(適応)されることがないため、不適応と呼ばれます。不適応な行動パターンの重症度と持続期間は様々です。

米国精神医学会が発行している精神障害の診断と統計マニュアル第5版DSM-5)によれば、10種類のパーソナリティ障害が存在します。

約10%の人が何らかのパーソナリティ障害に該当します。全体として男女差はありませんが、パーソナリティ障害の種類によっては、男女いずれかに多くみられるものもあります。例えば、反社会性パーソナリティ障害は男性に6倍多くみられます。

パーソナリティ障害の大半では、この障害が原因で生じる問題は中程度のもので、時間の経過とともに軽減していきますが、重度の社会的・精神的な問題を生涯抱え続ける人もいます。

パーソナリティ障害は、通常は青年期後期または成人期早期に現れますが、それより早期(小児期)に現れる場合もあります。これらの障害の持続期間には大きな幅があります。一部の種類のパーソナリティ障害(反社会性または境界性など)は加齢とともに軽減したり、消失したりする傾向があります。そうなりにくい種類もあります(強迫性統合失調型など)。患者によっては、症状は続くものの、軽症化する場合もあります。

パーソナリティ障害患者の多くには、以下のうちの1つ以上もみられます。

パーソナリティ障害に加えて、これらの病気を抱えていると、いずれの病気に対しても治療が効きにくくなるため、経過の見込み(予後)が悪くなります。

原因

パーソナリティ障害は遺伝子と環境の相互作用によって起こります。すなわち、一部の人はパーソナリティ障害になりやすい遺伝的な傾向を生まれつきもっていて、その傾向が環境的な要因によって抑えられたり、強められたりするということです。一般に、遺伝子と環境はパーソナリティ障害の発症にほぼ同じくらい寄与しています。

パーソナリティ障害の種類

10種類のパーソナリティ障害は、3グループ(A、B、C)に分類することができます。各グループに含まれる種類は、それぞれ特定の基本的なパーソナリティ特性が共通していますが、各障害にはそれぞれの際立った特徴があります。

Aグループは奇妙または風変わりな様子を特徴とします。このグループにはそれぞれの際立った特徴をもつ以下のパーソナリティ障害が含まれます。

Bグループは演技的、感情的、または移り気な様子を特徴とします。このグループにはそれぞれの際立った特徴をもつ以下のパーソナリティ障害が含まれます。

  • 反社会性:社会的無責任、他人の軽視、欺瞞、自分の利益を得るための他人の操作

  • 境界性:一人でいることに関する問題(見捨てられる恐れによる)、感情や衝動的行動をコントロールすることの問題

  • 演技性:人の注意を引きたい欲求と劇的な行動

  • 自己愛性:もろい自尊心、賞賛される必要性、および自分の価値についての過大評価(誇大性と呼ばれる)

Cグループは不安や恐れを抱いている様子を特徴とします。このグループにはそれぞれの際立った特徴をもつ以下のパーソナリティ障害が含まれます。

  • 回避性:拒絶される恐れによる対人接触の回避

  • 依存性:服従と依存(世話をしてもらう必要性による)

  • 強迫性:完全主義、柔軟性のなさ、頑固さ

症状

パーソナリティ障害では、主に以下の点で問題が生じます。

  • 自己同一性と自己感覚:パーソナリティ障害の人は、自分自身のイメージがはっきりせず、安定していません。つまり、自分のことをどのように捉えるかが、周囲の状況や一緒にいる人によって変化します。例えば、自分のことを残酷だと考える時期と親切だと考える時期が交互に入れ替わる人がいます。また、自分の価値観や目標が頻繁に変わる人もあります。例えば、教会にいる間は信心深いのに、別の場所では不敬で冒とく的になることがあります。自尊心の高さが現実と一致しない人もいます。

  • 人間関係:パーソナリティ障害の人は、他者と親密で安定した人間関係を築くことに苦労します。他者の気持ちに対して鈍感であったり、感情的に無関心であったり、共感性を欠いていたりすることがあります。

パーソナリティ障害の人は、しばしば家族や医師を含めた周囲の人に対する態度に一貫性がないようにみえ、困惑させ、フラストレーションを与えます。子育てでは一貫性がなく、無関心、過度に感情的、虐待的、または無責任な場合があり、ときには子どもに身体的な問題や精神的な問題が生じることがあります。

パーソナリティ障害の人は、どのように他者を扱い、また他者の周囲で振る舞えば妥当、安全で、許容されるのかについての理解に問題を抱えている場合があります。

パーソナリティ障害の人は、自分で問題を引き起こしていることに気づいていないことがあります。

知っていますか?

  • パーソナリティ障害の人は、自分の思考や行動に問題があるとは考えていない場合があります。

診断

  • 具体的な診断基準に基づく医師による評価

特定のパーソナリティ障害の診断は、DSM-5に障害別に記載されたパーソナリティ特性の一覧(診断基準)に基づいて下されます。

パーソナリティ障害の人の中には、自分の行動に悩んでいて、積極的に治療を求める人もいます。自分の行動に問題があることが理解できない人もいます。そのような人は人の助けを求めようとしない傾向があります。代わりに、他者に迷惑をかけているなどの理由で、友人や家族あるいは社会的機関によって医療機関に連れて来られることがあります。

パーソナリティ障害の人が助けを求める場合、その理由はパーソナリティ障害自体ではなく、不安、抑うつ、物質乱用などの症状や、離婚、失業、孤独などパーソナリティ障害が原因で生じた問題についてのことであるのが通常です。このような症状や問題を訴える場合、医師は通常、パーソナリティ障害が関係している可能性があるかどうかを判断するために問診を行います。例えば、自分と他者をどのように捉えているか、また他者が自分の行動に対し否定的に反応した場合にどのように対応するかを尋ねます。

以下の場合、医師はパーソナリティ障害を疑います。

  • 自分や他者のことを、現実とは異なる形で持続的に捉えている

  • 自分の思考や行動について適切でない特定のパターンがあることを自ら説明し、そのような行動が望ましくない結果を招いているにもかかわらず、それを変えない

  • 自らの行動やその結果のために苦痛を感じているか、自らの行動のために日常的な役割を十分に果たすことができない

不適切な思考や行動には、本人が自分や他者をどのようにみて理解しているか、他者とどのような関係をもっているか、また自分の衝動をどの程度コントロールしているかが関わる場合があります。そのような思考や行動は、持続的であり(たまに生じるだけというものではなく)、本人に苦痛をもたらしたり日常生活での問題の原因となったりしているにも関わらずそのような思考や行動を続ける場合にのみ、障害とみなされます。またその思考や行動は青年期または成人期初期に始まっており、もっと後になって生じたものではない必要があります。

診断を確定するための参考として、医師は、さらなる情報を得るために患者の友人や家族から話を聞くことがあります。そのような協力が得られないと、生じている問題の原因が患者本人にもあることに医師も患者も気づかないままになる場合があります。

治療

  • 精神療法(心理療法)

パーソナリティ障害の治療は精神療法により行われ、具体的には個人精神療法や集団療法などがあります。治療は本人が治療を求め、変わりたいという意欲がある場合に効果的となる可能性が高まります。

薬が、抑うつや不安などの苦痛の症状を和らげ、攻撃性などの一定のパーソナリティ特性をコントロールするのに役立つことがあります。しかし、薬でパーソナリティ障害を治癒することはできません。

パーソナリティ障害は特に治療が困難になることがあるため、精神療法家の中でも経験豊富かつ中立的で、患者の自己像、心の繊細な部分、普段の対処方法を理解できる専門家を選ぶことが重要になります。

治療の一般原則

具体的な治療法はパーソナリティ障害の種類(病型)によって異なりますが、一般に以下のことが治療の目標になります。

  • 苦痛を緩和する

  • 起きている問題の原因が(他者や状況ではなく)自分にあることを患者が理解できるよう支援する

  • 社会的に好ましくない不適応な行動を減らす

  • 困難の原因になっているパーソナリティ特性を是正する

不安や抑うつなどの当面の苦痛を緩和することが治療の最初の目標となります。ストレスを減らすことでパーソナリティ障害の治療がやりやすくなります。精神療法家はまず、ストレスを引き起こしている原因を患者が認識できるように支援します。次に、その原因を軽減する方法を検討します。精神療法家は、患者が強い苦痛をもたらす状況や人間関係を抜け出すのに役立つ方法を提供します(心理社会的支援と呼ばれます)。そのような方法としては、具体的には家族、友人、隣人、医療従事者などによるケアと支援があります。不安や抑うつに対する薬剤の使用も、このような症状の軽減に役立ちます。薬剤を使用する場合は、少量で短期間だけ使用するのが理想です。

パーソナリティ障害の人は、自分の行動に問題があるとは思っていない場合があるため、問題の原因が自己にあることを患者が理解できるように支援することは極めて重要です。医師は、いつ自分の行動が不適切であり、有害な結果を招いているかを患者が理解するよう支援します。医師は患者との間に協力的で互いを尊重し合う関係を築くことにより、患者が自らについてより深く知り、社会的に望ましくない不適切な行動に気づくよう支援することができます。また、自分の行動や自分と他者に対する見方を変えるには時間と努力が必要であることを患者が理解するよう支援することもできます。

すでに起きている仕事や人間関係に関する被害を抑えるため、望ましくない不適応な行動(無謀な行動、社会的孤立、自己主張の欠如、かんしゃくなど)には迅速に対処する必要があります。ときに、医師が受診中の患者の行動に制限を課さなければならないこともあります。例えば、叫んだり、脅したりするとセッションを行うのが困難になることを患者に伝える場合があります。無謀な行動をとる、自らを社会的に孤立させる、感情を爆発させる、自己破壊的であるなど、極端な行動がみられる場合は、デイホスピタルや居住型施設での治療が必要になる場合もあります。

以下のいずれかのパーソナリティ障害の患者では、行動を変えることが最も重要となります。

集団療法と行動変容法により、一般的には数カ月以内に改善がみられます。自助グループや家族療法も、不適切な行動を変えるのに役立ちます。家族の行動は、患者の不適切な行動や思考を強める可能性もあれば、軽減する可能性もあるため、家族の関与は治療に役立ち、しばしば不可欠となります。

問題のあるパーソナリティ特性(依存性、不信感、傲慢、操作的態度など)を修正するには、長い時間(通常1年以上)がかかります。このような特性を修正するために重要となるのは次のものです。

  • 個人精神療法

精神療法は、自分のパーソナリティ障害が現在の問題にどのように関わっているかを患者が理解するのに役立ちます。また、人と関わって対処するための新しい適切な方法を患者が学ぶのにも役立ちます。通常、変化は徐々に生じます。

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