失認は比較的まれです。通常は1つの感覚だけが侵されます。
失認の原因
失認の症状
具体的な症状は、損傷を受けた部位によって以下のように異なります。
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頭頂葉:通常、この種の損傷は脳卒中が原因で起こります。損傷を受けた部位とは反対側の手のひらに鍵や安全ピンなど見慣れた物体を置いても、患者はその物体をなかなか識別することができません(体性感覚性の失認と呼ばれます)。しかし、実際に眼で見れば、直ちに識別してそれが何か特定することができます。頭頂葉が損傷した人は、どこにも異常はないと言い張ったり、この問題に無頓着であったりする場合があり、体の左右半分が麻痺しているのにそのような態度をとる人さえいます(このような状態を病態失認といいます)。
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後頭葉:スプーンや鉛筆などのありふれた物体を、眼では見えているにもかかわらず、認識することができません。この障害は視覚失認と呼ばれます。よく知っている人の顔を認識できないこと(相貌失認)や、見慣れた場所を認識できないこと(環境失認)もあります。
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側頭葉:音が聞こえるにもかかわらず、何の音なのか認識できません。この障害は聴覚失認と呼ばれます。