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一過性全健忘

執筆者:

Juebin Huang

, MD, PhD, Memory Impairment and Neurodegenerative Dementia (MIND) Center, University of Mississippi Medical Center

最終査読/改訂年月 2017年 7月
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一過性全健忘とは、健忘の原因が発生した以降の出来事や、ときにそれ以前の出来事の記憶が、一時的に突然失われる障害です。

  • 一過性全健忘の原因が判明することはまれですが、ある種類のものは、過度の飲酒や特定の薬の服用が原因で起こります。

  • 一過性全健忘の患者では、新しい記憶を維持する能力と、発症後に起こった出来事を思い出す能力が突然かつ一時的に失われます。

  • 通常、一過性全健忘の診断は、主に症状に基づいて下されます。

  • 可能であれば、記憶障害の原因に対する治療を行います。

一過性全健忘は通常、50~70歳の人に起こります。40歳未満の人に発生することはまれです。

原因

一過性全健忘の原因は不明です。けいれん発作、片頭痛、側頭葉へ血液を供給する動脈の一時的な閉塞(例えば血栓によるもの)、心理的要因などが原因になりうると考えている専門家もいます。しかし、これらの病態が一般的な原因であることを示す確固たる科学的証拠はありません。

以下の行為は、集中や明瞭な思考を妨げるほか、おそらくは新しい記憶を形成して保存する能力も損なうと考えられます。

  • 大量のアルコールを摂取する

  • 特定の鎮静薬(バルビツール酸系薬剤など)をやや多目に服用する

  • いくつかの違法薬物を使用する

  • ときに、比較的少量のベンゾジアゼピン系薬剤(鎮静薬)、特にミダゾラムやトリアゾラムを服用する

このようなケースは、いずれもある種の一過性全健忘とみなされます。

一過性全健忘は以下のような出来事がきっかけで起こります。

  • 突然冷水または熱湯に浸かる

  • 身体活動

  • 感情的または精神的ストレス

  • 痛み

  • 医学的な処置

  • 性交

  • バルサルバ法(排便時のいきみのように、息が漏れないようにした状態で思い切り息を吐き出そうとする動作)

しかし、引き金になった要因は特定されないのが通常です。

症状

一過性全健忘の患者では、新しい記憶を維持する能力と、発症後に起こった出来事を思い出す能力が突然かつ一時的に失われます。患者は不安で用心深くなり、しばしば同じ質問や言い回しを繰り返します。時間や場所について混乱がみられることもありますが、周りの人が誰であるかについて混乱することは通常ありません。発症前に起こった出来事を一部忘れることもあります。

記憶障害の持続時間は通常は1~8時間ですが、30分の場合もあれば、まれですが最長で24時間続くこともあります。

アルコールまたは薬物が健忘の原因である場合には、その物質の摂取直前や、その物質の影響を受けていた最中に起きた出来事を忘れます。混乱がみられるのは、患者がアルコールや薬物の影響下にある間だけです。通常は、同量のアルコールや同量の薬物を摂取することで、同じ種類の健忘が発生します。

けいれん発作や片頭痛が原因でない限り、一過性全健忘は大半の患者で生涯に1度しか発生しません。再発する人の割合は約5~25%です。健忘が終息すれば、混乱はすぐに収まり、完全に回復するのが原則ですが、発症中に起こったことは覚えていない場合があります。

診断

  • 医師による評価

  • CT検査やMRI検査などの画像検査

通常、一過性全健忘の診断は主に症状に基づいて下されます。異常がないか確認するために、CT検査やMRI検査などの画像検査も行われます。

脳の血管の閉塞が疑われる場合は、高分解能拡散強調画像(DWI)という方法で脳MRI検査が行われます。閉塞が起きた人のほとんどでは、症状の出現から24時間はMRI検査を行っても正常と判定されますが、3日ほど経過するとMRI検査の結果に異常が現れるようになります。

通常は血液検査を行って、この健忘のまれな原因である過剰な血液凝固の徴候がないか確認します。

原因としてけいれん発作が疑われる場合は、脳波検査が行われます。

治療

  • 可能であれば、原因の治療

治療法は原因によって異なります。

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