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脳、脊髄、末梢神経の病気の検査

執筆者:

Michael C. Levin

, MD, College of Medicine, University of Saskatchewan

最終査読/改訂年月 2016年 11月
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病歴聴取と神経学的診察によって推定された診断を確定するために、検査が必要になることがあります。

画像検査

神経系の病気(神経疾患)の診断に一般的に用いられる画像検査としては、以下のものがあります。

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神経系の病気の診断に役立つ画像検査

検査

用途

脳血管造影検査(カテーテルを使用する)

心臓から脳に向かう動脈(頸動脈や椎骨動脈)など、脳の血管の詳細な画像を撮影する

血管形成術、ステント留置術、動脈瘤を修復する手術などの処置の前に最もよく行われる

CT(コンピュータ断層撮影)検査

脳内の構造的な異常(膿瘍、腫瘍、水頭症など)を特定する

出血や脳卒中の証拠を特定する

椎間板破裂や椎間板ヘルニアを特定する

脊椎の骨折を特定する

脳腫瘍に対する放射線療法の効果や脳膿瘍に対する抗菌薬の効果をモニタリングする

CT血管造影検査

脳の血管の詳しい画像を撮影し、脳卒中を起こした人で血栓を見つける(CT血管造影検査の普及により、脳血管造影検査はあまり行われなくなっている)

頸動脈のドプラ超音波検査、脳底部の動脈の(経頭蓋)ドプラ超音波検査

頸部および頭部の動脈の狭窄または閉塞を特定し、その程度を評価することで、脳卒中のリスクを判定する

一過性脳虚血発作を起こした人に対して、発作直後やその後の評価のために行われる場合が最も多い

MRI(磁気共鳴画像)検査

脳内の構造的な異常(膿瘍、腫瘍、水頭症など)を特定する(脳組織のMRI画像はCT画像よりも鮮明だが、MRI装置を利用できる医療施設は限られる)

脊髄内の異常(膿瘍、腫瘍、空洞症[液体で満たされた空洞ができた状態]、水頭症など)を特定する

MRアンギオグラフィー検査

脳卒中または一過性脳虚血発作(TIA)を起こした患者や、動脈瘤(動脈の膨らみ)または動静脈奇形(動脈と静脈の間の異常な交通路)が疑われる患者について、動脈の状態を評価する

磁気共鳴静脈造影検査

脳の静脈内の血栓(脳静脈血栓症)を発見するとともに、この病気に対する治療の効果をモニタリングする

fMRI(機能的MRI)検査

各種の作業(本を読む、字を書く、何かを思い出す、計算する、手足を動かすなど)を行っているときに活性化する脳領域を特定する

灌流強調画像(PWI)法によるMRI検査

脳の特定の領域に血液がどれだけ流れているかを推定する

拡散強調画像(DWI)法によるMRI検査

ごく早期の脳卒中やクロイツフェルト・ヤコブ病を特定する

MR(磁気共鳴)スペクトロスコピー

膿瘍、腫瘍、脳卒中を鑑別する

PET(陽電子放出断層撮影)検査

脳内の血流と代謝活性を評価する

けいれん性疾患について情報を収集する

アルツハイマー病、パーキンソン病、一過性脳虚血発作、および脳卒中を特定するための情報を得る

ほとんどが研究内での使用である

腰椎穿刺

脳と脊髄を覆っている組織層(髄膜)の間には、くも膜下腔と呼ばれる空間があり、この空間には脳脊髄液(髄液)が流れています。髄液は脳と脊髄を取り囲んで、急激な振動や軽い外傷の際に衝撃を和らげるのに役立っています。

腰椎穿刺では、髄液のサンプルを注射針で吸い出し、それを検査室に送ります。

髄液を分析することで、脳や脊髄に起こる感染症、腫瘍、出血の有無を調べます。正常な状態では、髄液は赤血球と白血球をほとんど含まず無色透明ですが、これらの病気が起こると、髄液の外観や含有物が変化します。例えば、次のような所見がみられた場合には、特定の病気が疑われます。

  • 髄液中に含まれる白血球の数が増加している場合は、脳および脊髄の感染または炎症が疑われます。

  • 白血球が多くて髄液が濁っている場合は、髄膜炎(脳と脊髄を覆っている組織の感染および炎症)のほか、ときに脳炎(脳の感染症や炎症)が疑われます。

  • 髄液のタンパク濃度が上昇している場合は、原因として脳、脊髄または脊髄神経根(脊髄神経の脊髄のすぐ近くの部分)の損傷が考えられます。

  • 髄液中に異常な抗体が認められる場合は、多発性硬化症または感染症が疑われます。

  • 糖(グルコース)の濃度が低下している場合は、髄膜炎またはがんが疑われます。

  • 髄液中の血液の存在は、脳出血を意味している可能性があり、例えば、脳内のもろくなった動脈の膨らみ(動脈瘤)が破れた場合(破裂)などにみられます。

  • 髄液の圧力が上昇している場合は、脳腫瘍や髄膜炎など多数の病気が考えられます。

頭蓋内の圧力が上昇している場合、例えば脳内に腫瘍や膿瘍などの腫瘤がある場合には、腰椎穿刺は行われません。このような状況で腰椎穿刺を行うと、脳より下の圧力が急激に下がることがあるためです。そうなると、脳の位置がずれて、脳の各部分を仕切っている比較的硬い組織にある小さな穴から脳の一部が押し出されることがあります(この状態を脳ヘルニアと呼びます— ヘルニア:脳の圧迫)。脳ヘルニアでは脳に圧力がかかり、死に至ることもあります。脳ヘルニアのリスクの有無を判断するには、病歴聴取と神経学的診察が役立ちます。例えば、頭蓋内の圧力が高くなっている場合には視神経( 検眼鏡とは)が膨らむため、腰椎穿刺を行う前に、検眼鏡を使って視神経の検査を行うことがあります。腰椎穿刺の前に行う別の予防策として、CTまたはMRI検査で腫瘤がないか確認することもよくあります。

腰椎穿刺の方法

脳脊髄液(髄液)は、脳と脊髄を覆っている3層の組織(髄膜)のうち、中間の層と内側の層との間にある空間(くも膜下腔)を流れています。髄液のサンプルを採取するには、脊柱の下の方にある2つの椎骨の間(通常は第3腰椎と第4腰椎の間か第4腰椎と第5腰椎の間で、脊髄の下端部より下に位置します)に中空の細い針を刺し込み、くも膜下腔(脊髄と脳を覆っている組織の層[髄膜]と層との間の空間)に挿入します。通常、患者は膝を胸の方に曲げた状態で横向きに寝ます。この姿勢をとると、椎骨と椎骨の隙間が広がるため、刺す際に針が骨に当たりにくくなります。

針から流れ出た髄液は試験管に集められて、検査のために検査室に送られます。

腰椎穿刺の方法

典型的な腰椎穿刺では、患者は膝を胸の方に引き寄せた状態で横向きに寝ます。針を刺す場所には局所麻酔を行います。そして、脊柱の下の方(脊髄の末端より下)にある2つの椎骨の間に針を刺します。

腰椎穿刺の際には、頭蓋内の圧力を測定することもできます。特発性頭蓋内圧亢進症や脳および周辺構造に特定の他の異常がある人では、圧力が正常よりも高くなることがあります。その場合は、腰椎穿刺に使用する針に専用の計器(圧力計)を接続し、その計器内で上昇する髄液の高さを測ります。

腰椎穿刺は、ほかにも以下の理由で行われることがあります。

  • 特発性頭蓋内圧亢進症の人の頭蓋内圧(頭蓋内の圧力)を低下させるため

  • 脊髄造影検査の前に造影剤を投与するため

  • 薬剤の効果を迅速に出す必要がある、または脳、脊髄、もしくは髄膜の特定の領域を標的とする薬剤を投与する必要がある(例えば、これらの部分に影響を及ぼす感染症やがんを治療するため)

腰椎穿刺にかかる時間は通常15分以内です。

腰椎穿刺の後には、およそ10人に1人の割合で、立ち上がったときに頭痛が起こります(低髄液圧性頭痛と呼ばれます)。この頭痛は通常、数日から数週間で消失します。ただし、数日経ってもひどい頭痛が続く場合には、医師が腰椎穿刺を行った部位の周辺に少量の血液を注入することがあります。この処置は、硬膜外自家血注入療法(ブラッドパッチ)と呼ばれ、これにより髄液の漏れが遅くなり、頭痛が緩和することがあります。頭痛以外の問題が発生することは極めてまれです。

脳エコー検査

脳エコー検査は、超音波を利用して脳の画像を撮影する検査です。これは簡単で痛みがなく、費用も比較的安い検査方法で、まだ頭蓋骨が薄くて超音波を通しやすい2歳未満の小児に用いることができます。水頭症や出血の存在を確認したい場合に、ベッドサイドで迅速に行うことができます。

しかし、年長児以上と成人では、脳エコー検査よりもはるかに鮮明な画像が得られるCT検査とMRI検査が、現在では主流になっています。

脊髄造影検査

脊髄造影検査は、腰椎穿刺によってくも膜下腔に造影剤を注射してから脊髄のX線画像を撮影する検査です。現在では、脊髄造影検査よりも詳しい画像を容易かつ安全に撮影できるMRI検査が主流になっています。

しかし、MRI検査では描出されない脊柱管とその周囲の骨を詳しく調べる必要がある場合には、CTによる脊髄造影検査が行われます。CTによる脊髄造影検査は、MRI検査が行えない場合や安全に行えない場合(患者が心臓ペースメーカーを使用している場合など)にも用いられます。

脳波検査

脳波検査は、脳の電気的な活動を波形として計測して、紙に印刷したりコンピュータに記録したりする検査法で、痛みを伴わずに容易に行えます。脳波検査は以下の特定に役立つ可能性があります。

例えば、けいれん発作の原因が脳のどの領域にあるかを特定したり、肝不全などの病気や特定の薬剤による錯乱(肝不全に起因するものを肝性脳症と呼びます)に特徴的な電気的活動を検出したりするのに脳波検査が役立ちます。

脳波検査では、まず頭皮に小さな円形のセンサー(電極)を貼り付けます。電極はワイヤーで記録装置に接続されていて、個々の電極が検出したわずかな電圧の変化をこの装置で記録(トレーシング)します。この記録結果は脳波と呼ばれます。

けいれん性疾患が疑われていて、最初の脳波が正常であった場合には、けいれん発作を誘発する処置を施した後で、再び脳波を記録します。例えば、睡眠不足の状態にする、深く速く呼吸させる(過換気)、点滅する光(ストロボスコープ)を当てるなどの方法を用いて発作を誘発します。

ときとして(例えば、けいれん発作のような動きがみられるものの精神障害による症状との区別が難しい場合など)、患者を入院させてビデオカメラでモニタリングしながら、24時間以上にわたって脳の電気的活動を記録する場合もあります。けいれん発作のような動きがカメラで捉えられたら、医師がその時点の脳波を調べることにより、けいれん発作が起こっているのか、それとも正常な脳の活動が続いているのかを判定し、後者の場合には精神障害を疑います。

脳の活動の記録

脳波とは、脳の電気的活動を記録したものです。検査方法は簡単で痛みもありません。20個ほどの小さな電極を頭皮に貼り、まず普通の状態で脳の電気的活動を記録します。ときに、明るい光や点滅する光などの様々な刺激を用いて、人為的に発作を誘発します。

脳の活動の記録
脳の活動の記録

誘発反応検査

視覚、聴覚、または触覚に刺激を与えることで、脳の特定の領域を活性化し、反応を誘発します。そこで脳波検査を行い、刺激により誘発された反応を検出します。その反応から、脳の各領域がどの程度正常に機能しているかを知ることができます。例えば、ライトを点滅させることにより、眼の網膜と視神経、そして視覚情報を受け取り解釈する部位(脳の後部)につながる神経経路が刺激されます。

誘発反応検査は、乳児や小児で感覚がどの程度機能しているかを検査するのに特に有用です。例えば、乳児の左右それぞれの耳のそばでカチッという音をたてて反応をみることで、聴覚を検査できます。

誘発反応検査は、多発性硬化症などの病気が視神経、脳幹、脊髄の様々な部位に及ぼしている影響を特定するのにも役立ちます。こうした影響は、MRI検査では発見できない場合もあります。

誘発反応検査は、昏睡状態にある人の予後(経過の見通し)を予測する上でも役に立ちます。刺激を与えても典型的な脳の活動がみられなければ、予後が悪い可能性が高くなります。

筋電図検査と神経伝導検査

筋電図検査と神経伝導検査は、筋力低下や感覚消失の原因が以下の部位の損傷であるかどうかを判断するのに役立ちます。

筋電図検査

筋電図検査では、筋肉に小さな針を刺し、その筋肉が休んでいるときと収縮しているときの電気的活動を記録します。正常であれば、休んでいる筋肉は電気的活動を起こしません。筋肉がわずかに収縮すると電気的活動がいくらか生じ、強く収縮するほど電気的活動も強くなります。

筋電図検査で得られる記録を筋電図と呼びます。脊髄神経根、末梢神経、筋肉、または神経筋接合部の異常によって筋力低下が起こっている場合には、筋電図に異常がみられます。体のどこにどのような問題があるかに応じて、症状、診察結果、筋電図検査の結果にそれぞれ異なるパターンの異常が現れます。

検査技師が日常的に行えるCT検査や脳波検査と異なり、筋電図検査では、専門知識をもつ神経科医が適切な神経と筋肉を選択して、得られた結果を解釈する必要があります。

神経伝導検査

神経伝導検査では、運動神経または感覚神経を信号(インパルス)が伝わる速さを測定します。微弱な電流を流して特定の神経を刺激し、その神経に沿って信号を送ります。電流は皮膚の表面に置かれたいくつかの電極や、神経の経路に沿って挿入されたいくつかの針によって伝えられます。信号は神経に沿って伝わり、最終的には筋肉に到達して収縮を引き起こします。信号が筋肉に到達するまでの時間と、電極または針から筋肉までの距離を計測することで、神経伝導速度を算出します。神経の刺激は1回だけ行う場合もあれば、数回にわたり行う場合(神経筋接合部の機能を判定するため)もあります。

結果が異常となるのは、症状が神経または神経筋接合部の問題に起因する場合に限られます。例えば、

  • 神経伝導速度が低下している場合は、原因として手根管症候群(手首の神経が圧迫されて痛みが生じる病気)など、1つの神経を侵す病気が考えられます。一方で全身の神経を侵す病気(多発神経障害)が原因である場合もあり、具体的な例として、足の神経から始まって全身の神経を侵していく病気である糖尿病などがあります。

  • 刺激を繰り返したときに筋肉の反応が次第に弱くなる場合は、原因として(重症筋無力症でみられるような)神経筋接合部の異常が考えられます。

ただし、侵されたのが細い神経や髄鞘(神経の外側を覆う組織で、信号が神経を伝わる速度を速める働きがある)をもたない神経である場合は、結果が正常になることがあります。異常が脳、脊髄、脊髄神経根、または筋肉だけに限られる場合も、正常な結果が出ます。これは、そのような病気は神経の伝導速度に影響を与えないためです。

生検

筋肉と神経

ときに、血液検査、画像検査、筋電図、または神経伝導検査の結果だけでは、神経損傷や筋力低下の原因を判定できないことがあります。そのような場合、医師は患者を専門医に紹介し、その専門医が筋組織のほか、ときに神経組織のサンプルを少量ずつ採取して、顕微鏡で調べます(生検)。サンプルは症状がみられる部位から採取されます。サンプルを染色することで、筋肉または神経の損傷パターンを特定し、サンプル中に白血球があるかどうか(あれば炎症が示唆されます)を確認しやすくなります。

皮膚

痛みを伝える神経または体内プロセスを自動的に調節する神経(自律神経)の損傷は、感覚神経の診察や筋電図検査で見つけられないことがしばしばあります。このような損傷が疑われるのは、痛みへの感受性が下がっていたり、脚に灼熱痛を感じたり、めまいや立ちくらみを感じたり、発汗の量が過剰または過少であったりするときです。このような神経の損傷を確認するには、小さな円形のカッターを用いて皮膚のサンプルを採取し(パンチ生検)、検査室に送って顕微鏡で観察します。皮膚のサンプルに含まれる神経の末端部(神経終末)が破壊されていれば、痛覚や自律神経の神経線維を含めた細い神経線維を侵す病気(血管炎など)が原因である可能性があります。

遺伝子検査

遺伝子の異常によって起こる神経疾患も多くあり、特に振戦(ふるえ)や歩行障害といった運動障害によくみられます。診察や検査の結果から遺伝子異常が疑われると、遺伝子検査が行われます。

遺伝子検査が推奨される場合には、通常は遺伝カウンセラーを紹介してもらえます。そうでない場合は、自分で探して予約することもできます。

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