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脳死

執筆者:

Kenneth Maiese

, MD, Rutgers University

最終査読/改訂年月 2018年 3月
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脳死とは、脳の活動が永久的になくなることです。結果として、脳死した人は自力で呼吸できず、生命維持に必要な他の機能を維持することもできず、すべての認識能力と思考能力を永久的に失います。

  • 人工的な手段によりしばらくは呼吸と心臓の拍動を維持することができますが、いったん脳死が起こると、他の臓器をいつまでも機能させることはできません。

  • 医師が脳死の診断を下すには、具体的に定められた基準に従わなければなりません。

  • 脳死した人を救える治療法はありません。

脳死とは、脳が機能を停止したことを意味します。患者はいかなる刺激にも反応しません。いかなる治療も無益で、脳死の診断が確定すれば、その人は法的に死亡したとみなされます。

過去の医療状況では、脳が死んだ時点で体の他の部分も死んでいたため、脳死という概念は意味のないものでした。つまり、脳死した人では呼吸が止まり、心臓の拍動も停止していたのです。しかし現在では、たとえ脳の活動がすべて停止しても、人工的な手段(人工呼吸器や薬など)によって呼吸や心拍を一時的に維持することができます。とはいえ、人工的な手段で補助したとしても、最終的には体のすべての臓器が機能を停止します。いったん脳死になると、心臓の拍動を無期限に維持することは、いかなる手段をもってしても不可能です。

診断

  • 具体的な診断基準に基づく医師による評価

  • ときにその他の検査(通常は臓器提供を可能にするため)

脳死の診断には、具体的な基準が定められています。そのうち、以下に挙げるようないくつかの項目は、身体診察の際に確認できます。

  • 医師が特定の反応や反射の検査(のどの奥に触れて咽頭反射を誘発するなど)を行っても、患者が顔をしかめたり、動いたりせず、何の反応もみられない。

  • 眼が光に反応しない。

  • 自発的な呼吸努力がない。

脳が機能していないことを確定するため、医師はほかの特定の反射も確認します。医師は患者の近親者または親しい友人への告知を試みなければなりません。

さらに、脳機能を鈍らせ脳死と誤診されうる問題で治療可能なものがあるかを確認し、それがあればすべて是正するまで、脳死と判定することはできません。そのような問題には、以下のものがあります。

  • 体温が非常に低い

  • 血圧が非常に低い

  • 血液中の特定の物質(糖やナトリウムなど)の濃度が非常に高いまたは非常に低い

  • 鎮静薬の過剰摂取

  • 特定の薬剤の使用

医師は、患者に反応がないことを確定するため、6~24時間後に同じ基準に基づく再確認を行います。成人では、2回目の確認を行った後に脳死を確定することができます。以下のすべてを満たす必要があります。

  • 誤って脳死と診断される可能性がある治療可能な病態がすべて否定されている。

  • 包括的な神経学的診察が行われている。

  • 必要な検査が実施済みである。

小児の場合は、少なくとも48時間の間隔を開けて2回検査を行うことを推奨している州もあります。

任意の追加検査

ときに、医師は脳死の確定の参考にするために、特定の診断検査を用いることがあります。一般的に、そのような検査は臓器提供を可能にする目的でのみ行われます(例えば、自動車事故などにより壊滅的な頭部外傷が起きた場合)。そのような検査は、複数の検査を必要とする呼吸の検査の代わりに行われることがあります。呼吸の検査を1つ行うたびに、臓器から酸素が奪われ、移植される予定の臓器がさらに損傷を受けるリスクがあるため、患者が呼吸できるかどうかを検査するのは望ましくありません。具体的には以下の検査があります。

画像検査としては、血管造影検査 血管造影 血管造影検査は、X線を用いて血管の詳細な画像を描出する検査で、CT血管造影検査やMRアンギオグラフィー検査と区別するために「従来の血管造影」と呼ばれることもあります。血管造影の撮影を行いながら、医師が血管の異常を治療することも可能です。 血管造影では静止画像だけでなく動画(シネアンギオグラフィーといいます)も撮影でき、血液が血管内を流れる速さを測ることも可能です。 血管造影は体に負担をかける検査法ですが、それでも比較的安全です。... さらに読む CT血管造影検査 CT血管造影 CT検査では、X線源とX線検出器が患者の周りを回転します。最近の装置では、X線検出器は4~64列あるいはそれ以上配置されていて、それらが体を通過したX線を記録します。検出器によって記録されたデータは、患者の全周の様々な角度から撮影された一連のX線画像であり、直接見ることはできませんが、検出器からコンピュータに送信され、コンピュータが体の2次元の断面のような画像(スライス画像)に変換します。(CTとはcomputed... さらに読む CT血管造影 SPECT SPECT(単一光子放出型コンピュータ断層撮影) 核医学検査では、放射性核種を用いて画像を描出します。放射性核種は不安定な原子で、エネルギーを放射線の形で放出することで安定した原子になろうとする性質があります。放射性核種の多くは高いエネルギーをガンマ線(人の手によらない、自然環境で発生するX線)または粒子(陽電子放出断層撮影で使用される陽電子など)の形で放出します。 放射性核種は、甲状腺などの特定の臓器の病気を治療するのにも使用されます。... さらに読む 検査(単一光子放出型コンピュータ断層撮影の略で、放射性核種と呼ばれる放射性分子を使用して血流の画像を撮影する検査)、脳血流を見るためのドプラ超音波検査 ドプラ超音波検査 超音波検査は、周波数の高い音波(超音波)を用いて内臓などの組織の画像を描出する検査です。プローブと呼ばれる装置で電流を音波に変換し、この音波を体の組織に向けて発信すると、音波は体内の構造で跳ね返ってプローブに戻ります。これは再度、電気信号に変換されます。コンピュータが、この電気信号のパターンをさらに画像に変換してモニター上に表示するとともに、フィルムやビデオテープに記録するか、コンピュータ上のデジタル画像として記録します。超音波検査では... さらに読む ドプラ超音波検査 などがあります。

予後(経過の見通し)

脳死基準を満たした人が回復することはありません。そのため、いったん脳死が確認されると、その人は死亡したとみなされます。

脳死が確定したら、生命維持装置をすべて停止させます。その際、家族は希望すれば患者のそばにいることができます。呼吸補助を停止したときに、腕や脚が動く可能性があること、起き上がり座った状態になる(ときにラザロ徴候と呼ばれます)可能性さえあることを家族に伝えておく必要があります。これらの動きは脊髄反射による筋肉の収縮によって生じるもので、患者が脳死状態でないことを意味するものではありません。

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