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最小意識状態

執筆者:

Kenneth Maiese

, MD, National Heart, Lung, and Blood Institute

最終査読/改訂年月 2018年 3月
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最小意識状態とは、大脳(思考と行動を制御する脳の部位)の広範囲の損傷によって、認識能力が重度に障害されているものの、完全にはなくなっていない状態のことをいいます。

  • この状態は、脳の損傷によって生じる場合もあれば、植物状態から一部の機能が回復するときに生じる場合もあります。

  • 最小意識状態の人では、自己と周囲の環境をある程度認識していることを示す動作(アイコンタクトなど)がみられます。

  • 医師が重度の意識障害がある人を一定期間、複数回にわたり観察した後、意識がある証拠を見つけた場合、最小意識状態の診断が下されます。

  • 最小意識状態の人には、十分な栄養補給と動けないことで生じる問題(床ずれなど)を防止するための対策を含めた、包括的なケアが必要になります。

この状態は、脳の損傷によって直接生じる場合もあれば、植物状態から一部の機能が回復するときに生じる場合もあります。

症状

最小意識状態の人では、植物状態の人と異なり、自己と周囲の環境をある程度認識していることを示す動作がみられます。患者は以下のような動作をすることがあります。

  • 目を合わせる

  • 物を目で追う

  • 物に手を伸ばす

  • 質問に反応する(ただし多くの場合、適切な回答であるかどうかにかかわらず同じ単語で答える)

  • すべての指示に決まった方法で反応するが、通常とは異なる方法(例えば、まばたき)による

診断

  • 医師による評価

  • MRI検査などの画像検査

最小意識状態は症状に基づいて疑われます。しかし、最小意識状態と診断する前に、一定期間、複数回にわたって患者を観察しなければなりません。

MRI(磁気共鳴画像)検査やCT(コンピュータ断層撮影)検査などの画像検査を行い、問題の原因になっている病気(特に治療できるもの)がないかを確認します。

予後(経過の見通し)

最小意識状態の人は、継続的に改善する傾向がありますが、改善の程度は限られています。少数の人は、意思疎通と理解の能力を取り戻します。ときに何年も経過してからこのような回復がみられることもあります。しかし、自立した生活を送り、社会的な役割を果たせるようになるほど回復する人はほとんどいません。最小意識状態が長く続くほど、取り戻せる可能性の高い機能は少なくなります。しかし、高度な看護が行われれば、何年も生存できます。原因が頭部外傷である場合、より高度な回復が見込めます。

昏睡のような状態で数年過ごした後、目覚めた患者がいるということも報告されています。そのような報告の多くは、頭部外傷後に最小意識状態になった人に関するものです。

治療

  • 体を動かせないことで生じる問題の予防策

  • 十分な栄養を与える

  • 特定の薬を使用する可能性がある

長期的なケア

昏睡状態の人と同様に、最小意識状態にある人にも包括的なケアが必要になります。

十分な栄養を与えること(栄養補給)が重要です。栄養は鼻から胃に挿入したチューブを介して与えられます(経管栄養と呼ばれます)。腹部を切開して直接胃にチューブを挿入し、そのチューブから栄養を胃または小腸に送り込むこともあります。このチューブから薬を投与することもあります。

体を動かせないことによって様々な問題が起こるため、それらの問題を予防するための対策が不可欠です( 床上安静による問題)。例えば、以下のようなことが起こりえます。

  • 床ずれ:同じ姿勢で寝ていると、体の一部分への血液供給が遮断され、その部分の皮膚が破れて、床ずれ(褥瘡)が発生する可能性があります。

  • 拘縮:体を動かさずにいると、筋肉が永久的に硬直し(拘縮)、関節が曲がったまま元に戻らなくなることがあります。

  • 血栓:体を動かさずにいると、脚の静脈に血栓が形成されやすくなります。

拘縮を予防するため、患者の関節をすべての方向に優しく動かしたり(他動的関節可動域訓練)、関節を特定の姿勢で固定したりするケアを理学療法士が行います。

血栓の予防策として、薬剤の使用や脚の圧迫または挙上などが行われます。他動的関節可動域訓練で行うように、四肢を動かすことも血栓の予防に役立つ可能性があります。

失禁がある場合は、皮膚を清潔で乾燥した状態に保つためのケアが必要です。膀胱が機能せず、尿がたまってしまう場合は、膀胱にチューブ(カテーテル)を留置して排尿させます。尿路感染症を予防するため、カテーテルは丁寧に洗浄し、定期的に点検を行います。

床ずれは、頻繁に体位を変えるとともに、ベッドの表面に接する部分(かかとなど)の下に保護パッドを置いて保護することで、予防することができます。

その他の治療

非常に少数ですが、ゾルピデム(睡眠補助薬)やアマンタジン(ウイルス感染症の治療などに用いられる薬)などによる治療後に改善した人もいます。しかし、効果的であると証明された治療法はありません。

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