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レビー小体型認知症とパーキンソン病認知症

執筆者:

Juebin Huang

, MD, PhD, Memory Impairment and Neurodegenerative Dementia (MIND) Center, University of Mississippi Medical Center

最終査読/改訂年月 2018年 3月
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レビー小体型認知症とは、精神機能が進行性に失われていく病気で、神経細胞の中にレビー小体が認められることを特徴とします。パーキンソン病認知症は、パーキンソン病患者において精神機能が失われていく病気で、神経細胞の中にレビー小体が認められることを特徴とします。

  • レビー小体型認知症の患者は目覚めた状態とうとうとした状態との間で大きく変動するほか、絵を描くのが困難になったり、幻覚が起こったり、パーキンソン病と同様の動作困難が生じたりします。

  • パーキンソン病認知症は、一般に、パーキンソン病の他の症状が現れてから10~15年後に発生します。

  • 診断は症状に基づいて下されます。

  • 日常生活をできるだけ長く維持するための対策が講じられます。アルツハイマー病の治療に用いられる薬剤が有用な場合もあります。

せん妄と認知症の概要認知症も参照のこと。)

レビー小体型認知症は、3番目に多い認知症の種類です。レビー小体型認知症は通常、60歳以上の人に発生します。

パーキンソン病患者の約40%が、パーキンソン病認知症を発症します。通常、パーキンソン病認知症が発生するのは70歳以降で、パーキンソン病の診断から約10~15年後です。

認知症とは、記憶、思考、判断、学習能力などの精神機能が、ゆっくりと進行性に低下する病気です。認知症とせん妄は異なる病態であり、せん妄は注意力および思考力の低下、見当識障害、覚醒(意識)レベルの変動を特徴とします。

  • 認知症では主に記憶力が障害され、せん妄では主に注意力が障害されます。

  • 認知症は一般にゆっくり発生し、いつ始まったのかをはっきり特定できません。せん妄は突然発生し、たいていいつ始まったのかをはっきり特定できます。

脳の変化

レビー小体型認知症とパーキンソン病認知症では、神経細胞の中にタンパクでできた円形の異常な沈着物(これをレビー小体と呼びます)が生じます。このレビー小体ができた神経細胞はやがて死んでしまいます。

レビー小体型認知症では、脳の外側の層(灰白質、または大脳皮質)全体にレビー小体が形成されます。大脳皮質は、脳の中で最大の体積を占め、思考、感覚の受容、言語の使用と理解を司っています。

パーキンソン病認知症では、パーキンソン病の病変がみられる部位である黒質という脳の部位にレビー小体が形成される傾向があります。黒質は脳幹の奥深くに位置し、体の動きを滑らかにするのを助ける働きがあります。

レビー小体型認知症とパーキンソン病認知症は、同じ1つの病気が異なる現れ方をしたものである可能性があります。この病気では、シヌクレイン(神経細胞間の情報伝達を助ける脳のタンパク)が形を変えて(異常な形に折りたたまれ)、その大部分が脳内に、一部は消化管と心臓にゆっくりと蓄積していきます。シヌクレインが異常に蓄積したものをレビー小体と呼びます。レビー小体内部の、異常な形に折りたたまれたシヌクレインは、別のシヌクレインが異常な形に折りたたまれる原因になり、その結果さらに多くのレビー小体が形成されることになります。レビー小体が蓄積すると、脳損傷が起こります。このようにして脳損傷の原因になる、異常な形に折りたたまれたタンパクをプリオンと呼びます。プリオンは、クロイツフェルト-ヤコブ病などの脳の病気を引き起こします。

アルツハイマー病における脳損傷の主な原因は神経原線維変化と老人斑であると考えられていますが、アルツハイマー病の人にレビー小体が発生することもあります。アルツハイマー病に典型的な神経原線維変化と老人斑が、レビー小体型認知症の患者に発生することもあります。レビー小体型認知症、パーキンソン病認知症、アルツハイマー病の病態にはかなり重複する部分があり、これら3つの病気の関係を明らかにするためのさらなる研究が待たれます。

症状

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症の症状は、アルツハイマー病の症状と非常によく似ています。具体的には記憶障害や見当識障害などがみられ、記憶、思考、理解、意思疎通、行動の制御などが難しくなります。しかしレビー小体型認知症は、以下の点でアルツハイマー病と区別できます。

  • 初期には、数日から数週間の周期で精神機能が劇的に変動し、ときには刻一刻と変動することもあります。十分に覚醒して注意を払い筋の通った会話ができていた人が、次の日にはうとうとして、注意散漫になり、ほとんど何も話さなくなることもあります。長い時間宙を見つめ続けるようになることもあります。

  • 最初のうちは、記憶力(最近の出来事に関する記憶を含みます)より注意力や覚醒度が低下しやすい傾向があります。記憶障害は、実際に思い出せないことよりも注意力の低下によるものと考えられます。

  • その他の脳機能に比べて、何かを模写する能力や絵を描く能力がひどく低下する可能性があります。

  • レビー小体型認知症では、幻覚、妄想、パラノイアなどの精神病症状が比較的多くみられ、幻覚は早い段階から起こる傾向があります。

通常、レビー小体型認知症の幻覚は幻視(視覚的な幻覚)であり、患者はしばしば複雑で詳細な幻覚を見ます。はっきり認識できる動物や人間が出てくることもあり、しばしば恐ろしい幻覚もみられます。レビー小体型認知症の患者の半数以上は、複雑で奇妙な妄想を抱きます。抗精神病薬は、こうした症状を軽減せず、むしろこれらの症状や他の症状を悪化させることが多く、ときに生命を脅かす副作用( 抗精神病薬)をもたらす場合もあります。

レビー小体型認知症では、パーキンソン病と同じように、筋肉が硬くなり、動作が遅く緩慢になり、歩行時に足を引きずるようになり、腰が曲がります。バランスを失いやすくなって、転倒しやすくなります。振戦も生じますが、通常はパーキンソン病に比べて現れるのが遅く、問題も少ない傾向があります。通常、精神機能の異常と筋肉や運動の異常は、いずれかが発生して1年以内にもう一方も発生します。

睡眠障害もよくみられます。レビー小体型認知症の患者の多くでは、レム睡眠行動障害がみられます。レム睡眠行動障害では、夢の中の行動を実際に体現してしまい、ときには一緒に寝ている人にけがを負わせることもあります。

自律神経系の機能不全が起こり、血圧や体温などの身体機能を調節できなくなることもあります。すると、失神する、汗をかきすぎる、汗をかかないといった症状や、口腔乾燥、排尿障害、便秘が起こります。

症状が現れてからの平均的な生存期間は約6~12年間です。

パーキンソン病認知症

パーキンソン病認知症では(レビー小体型認知症と異なり)、一般に精神機能の低下は、筋肉や運動の異常が発生してから10~15年後に始まります。

他の認知症と同様、多くの精神機能が影響を受けます。記憶力が損なわれ、注意を払ったり情報を処理したりすることが困難になり、思考が鈍くなります。計画や複雑な課題を行う能力の低下は、アルツハイマー病より多く、より早くみられます。

幻覚や妄想は、レビー小体型認知症より少ないか、より軽度です。

診断

  • 医師による評価

  • CTまたはMRI検査

医師は、患者に認知症があるかどうかを判定し、あればそれがレビー小体型認知症またはパーキンソン病認知症であるかどうかを判定しなければなりません。

認知症の診断

診断では以下のような情報が参考にされます。

  • 症状(本人、家族、その他の介護者に質問することで特定する)

  • 身体診察の結果

  • 精神状態検査の結果

  • CTまたはMRI検査などの追加検査の結果

精神状態検査は、簡単な質問と課題から成り、患者が認知症を有するかどうかを判定する上で役立ちます。

障害の程度を判定するため、あるいは精神機能が本当に低下しているかどうかを調べるため、より精密な検査(神経心理学的検査と呼ばれます)が必要になることもとあります。この検査は気分を含めた重要な精神機能をすべて網羅していて、通常は終了までに1~3時間かかります。この検査は、医師が加齢に伴う記憶障害軽度認知障害うつ病から認知症を鑑別する上での助けになります。

上記の検査や情報は、症状の原因としてせん妄を除外する上でも役立ちます( せん妄と認知症の比較)。認知症と異なり、せん妄は迅速な治療によって回復を望めるため、せん妄を除外することは極めて重要です。

せん妄とレビー小体型認知症では、どちらも精神機能のレベルが変動するため、この2つを鑑別することは特に重要です。

レビー小体型認知症とパーキンソン病認知症の診断

レビー小体型認知症の診断は、特徴的な症状に基づいて下されます。幻視(視覚的な幻覚)とパーキンソン病に似た筋肉と運動の異常がある患者に、精神機能の変動がみられる場合、レビー小体型認知症の可能性が高いです。

他の原因による認知症である可能性を否定するために、CT検査やMRI検査を行うこともあります。

SPECT(単一光子放出型CT)と呼ばれる特殊なCT検査は、レビー小体型認知症を診断する上で役立ちます。

レビー小体型認知症はパーキンソン病認知症と症状が似ているため、両者の鑑別は困難な場合もあります。

  • 一般に、運動や筋肉の異常が精神機能の低下と同時または直後に発生した場合は、レビー小体型認知症である可能性が高いと考えられます。

  • パーキンソン病患者に、筋肉や運動の異常が発生してから何年も経って精神機能が低下した場合や、筋肉や運動の症状が精神機能障害よりも重度である場合、パーキンソン病認知症の可能性が高いと考えられます。

しかし、脳組織のサンプルを採取して顕微鏡で調べなければ、これらの認知症の診断を確定することはできません。この検査は死後の解剖時に行われます。

治療

  • 安全対策と患者の支援

  • アルツハイマー病の治療薬

レビー小体型認知症とパーキンソン病認知症の治療では、すべての認知症の場合と同様に、安全と支援を提供するための一般的な対策が講じられます。

安全対策と患者の支援

患者の支えとなる安全な環境を整えることは非常に役立ちます( 認知症患者に適した環境を作る)。

一般に、明るく楽しげで、落ち着いた安全な環境が望ましく、また見当識を保つ工夫をするとよいでしょう。ラジオやテレビなどの適度な刺激も有用ですが、過度の刺激は避けるべきです。

物の配置や1日のスケジュールを定型化することは、認知症患者が見当識を保つのに役立ち、安心感や安定感を与えます。周囲の環境や日課が変わる場合や、介護者が交代する場合は、明確かつ簡潔に説明します。

入浴、食事、睡眠など日常生活のスケジュールを一定に保つことは、認知症患者の記憶の助けになります。就寝前の手順を一定に保つと、睡眠の質を改善できる可能性があります。

その他の活動を定期的なスケジュールで組み込むと、楽しい活動や生産的な行為に注意が向き、自立して他者から必要とされているという感覚をもつのに役立ちます。こういった活動には身体的活動と精神的活動を両方含めるべきです。認知症が悪化してきた場合には、活動を細かく分けたり単純化したりする必要があります。

薬剤

アルツハイマー病の治療に用いられる薬剤、特にリバスチグミンは、レビー小体型認知症やパーキンソン病認知症の治療にも使用することができます。これらの薬剤は精神機能を改善する可能性があります。

パーキンソン病の治療薬は、どちらの認知症があっても、パーキンソン病の症状を軽減するのに役立ちます( パーキンソン病の治療に用いられる薬剤)。しかし、この種の薬をレビー小体型認知症の患者に使用すると、錯乱、幻覚、妄想が悪化する可能性があります。

ピマバンセリン(pimavanserin)という抗精神病薬は、パーキンソン病患者の幻覚や妄想の治療に使用できます。

レビー小体型認知症における幻覚や妄想の治療には、可能であれば抗精神病薬を使用しないようにします。抗精神病薬は、筋肉と運動の症状を悪化させる傾向があるためです。

介護者に対するケア

認知症患者の介護は多くのストレスがかかる重労働であり、介護者は自分自身の精神的・肉体的健康に無頓着になりがちで、抑うつ状態になったり疲弊困憊したりすることがあります。以下のような対策が介護者の助けになります( 介護者へのケア)。

  • 認知症患者のニーズを効果的に満たす方法を学び、認知症患者に何が期待できるかを知る:介護者は、このような情報を、看護師、ソーシャルワーカー、関係団体、雑誌やインターネットから得ることができます。

  • 必要な場合は支援を求める:介護者は、ソーシャルワーカー(地域病院にいる人を含みます)に相談し、デイケアプログラム、訪問看護、パートまたはフルタイムのホームヘルパー、住み込みでの介護サービスなどの適切な支援について検討することもできます。また、家族支援団体に相談することも有用です。

  • 介護者自身に対するケア:介護者は自分自身にも気を配る必要があります。友人との交流、趣味、種々の活動を諦めてはいけません。

終末期の問題

レビー小体型認知症またはパーキンソン病認知症の人は、意思決定能力が大きく損なわれる前に、医療方針についての様々な決定を行っておくとともに、金銭上および法律上の手続きも済ませておくべきです。こうした取り決めを記載した書類は事前指示書と呼ばれます。患者は自分の代わりに治療に関する決定を行う人(医療代理人)を法律に基づいて指名し、治療に関する希望について、その代理人および主治医と話し合っておくべきです。こうした問題は、実際に意思決定が必要になる前に、できるだけ早く関係者全員で話し合っておく必要があります。

認知症が悪化するに従って、治療の重点は、余命を延ばすことから快適さを保つことに移されていきます。

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