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骨髄炎

執筆者:

Steven Schmitt

, MD, Cleveland Clinic Lerner College of Medicine at Case Western Reserve University

最終査読/改訂年月 2017年 5月
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骨髄炎は、通常は細菌、抗酸菌、または真菌によって起こる、骨の感染症です。

  • 細菌、抗酸菌、真菌が血液を介して、あるいは近くの感染組織や開いて汚染された傷から広がり(こちらの場合が多い)、骨に感染することがあります。

  • 患者には骨の一部の痛み、発熱、体重減少がみられます。

  • 血液検査と画像検査を行い、骨のサンプルを採取して検査します。

  • 抗菌薬が数週間投与され、感染した骨を除去するために手術が必要なこともあります。

骨髄炎は、主に幼児と高齢者にみられますが、どの年齢層の人にもリスクはあります。また、重篤な病気がある人は発症しやすくなります。

骨への感染が起こると、しばしば骨の内部の軟らかい部分(骨髄)が腫れます。腫れた組織が、外側の硬い骨の壁に押しつけられ、骨髄内の血管が圧迫されることがあり、それにより骨への血液供給が減少したり、途絶えたりします。

血液の供給が十分でないと、骨の一部が壊死することがあります。骨が壊死すると、体内で感染防御を行う自然免疫細胞や抗菌薬が、その領域に到達することが困難であるため、感染の治癒が難しくなります。

骨から外側に感染が広がり、筋肉などの近くの軟部組織内に膿がたまって膿瘍を形成することもあります。ときには膿瘍が皮膚から自然に排出されます。

骨髄炎の原因

通常、骨は感染から十分に保護されていますが、次の三つの経路で感染する可能性があります。

  • 血流(体の別の部位から骨に感染を広げることがある)

  • 直接侵入(開放骨折、手術、または骨に刺さった物体を通じて)

  • 近くの構造(例えば関節や人工関節、軟部組織)の感染

けが、異物(感染した人工関節など)、臓器や組織への血液供給の減少(虚血)が、骨髄炎の原因になることがあります。

深い床ずれが生じている部位に、骨髄炎が発生することもあります。

ほとんどの骨髄炎は、直接侵入か近くの軟部組織の感染(例えば、血行不良や糖尿病によって生じた足の潰瘍によるもの)の結果生じます。

血液を介した感染

骨髄炎を起こす微生物が血流を介して広がる場合、通常は次の部位に感染が起こります。

  • 小児では、脚や腕の骨端部

  • 成人(特に高齢者)では、脊椎(椎骨)

椎骨の感染症は、化膿性脊椎炎と呼ばれます。高齢者や、衰弱している人(介護施設に暮らす人など)、鎌状赤血球症患者、腎臓透析を受けている人、滅菌していない注射針で薬を注射する人は特に化膿性脊椎炎にかかりやすくなります。

血流を介して広がる骨髄炎の原因菌で最もよくみられるのは、黄色ブドウ球菌 Staphylococcus aureusです。結核菌 Mycobacterium tuberculosis(結核の原因となる細菌)と真菌は同じ経路で広がって骨髄炎を引き起こすことがあり、これは特に免疫系が弱っている人(HIV感染者、特定のがん患者、免疫系の働きを抑制する薬による治療を受けている人など)や、特定の真菌感染症が多い地域に住む人でよくみられます。

直接侵入

開放骨折や骨の手術中、汚染された物体が骨に刺さった場合には、細菌や真菌の胞子が直接骨に感染することがあります。

股関節やその他の部位の骨折を修復するために、手術で金属片を骨に装着した部位でも骨髄炎が起こる可能性があります( 骨折した股関節の修復)。また、細菌や真菌の胞子が、人工関節に接触している骨に感染することもあります( 人工関節の感染性関節炎)。微生物が、関節の置換手術中に人工関節の周囲の骨に入り込むこともあれば、術後に感染することもあります。

近くの構造からの感染

骨髄炎は、近くの軟部組織の感染の結果生じることもあります。近くの軟部組織の感染は、数日から数週間後に骨へと広がります。この種の感染は、高齢者に特に多くみられます。

このような感染は、外傷や手術、放射線療法、がん、血行不良や糖尿病によってできた皮膚潰瘍(特に足の潰瘍)で損傷を受けた部分によく起こります。副鼻腔、歯ぐき、歯で起こった感染は、頭蓋骨へ広がることがあります。

骨髄炎の症状

急性骨髄炎では、脚や腕の骨の感染による発熱がみられ、感染した骨に(ときに数日後に)痛みが現れます。感染した骨の上の部分は、さわると痛みがあり、赤く、熱感があり、腫れていて、動かすと痛むことがあります。患者は体重が減少したり、疲れを感じたりすることがあります。

軟部組織の感染または原因菌の直接侵入の結果、骨髄炎が生じると、その骨の上の領域が腫れて痛みます。周囲の組織に膿瘍が形成されることがあります。このような感染の場合、発熱がみられないこともあります。

感染した人工関節、または腕や脚の周囲に感染が広がると、一般にその部位に持続する痛みが生じます。

化膿性脊椎炎は、通常は徐々に発生し、持続する背中の痛みや、触れたときに圧痛を生じます。体を動かすと痛みはひどくなり、安静にしても、温めても、あるいは痛み止め(鎮痛薬)を服用しても痛みは改善されません。通常、発熱は感染症の最も明らかな徴候ですが、発熱がみられない場合もしばしばあります。

慢性骨髄炎は、骨髄炎の治療が成功しない場合に生じることがあります。慢性骨髄炎は、根絶することが非常に難しい持続性感染症です。ときには、慢性骨髄炎は数カ月から数年間、無症状で長期間発見されないこともあります。多くの場合、慢性骨髄炎は骨に痛みを引き起こし、骨の上の軟部組織で感染を繰り返し、皮膚から持続的または断続的に膿が排出します。このような排膿が起こるのは、感染した骨から皮膚の表面に通路(瘻孔[ろうこう])が形成され、膿がその瘻孔を通って排出される場合です。

骨髄炎の診断

  • 血液検査

  • X線検査、CT検査、MRI検査、骨シンチグラフィー、または白血球シンチグラフィーなどの画像検査

症状と身体診察での所見から骨髄炎が疑われることがあります。例えば、骨の一部に持続する痛みがあり、ほとんどの時間、疲れを感じているような患者では、発熱の有無にかかわらず、骨髄炎が疑われることがあります。

骨髄炎が疑われる場合、血液検査を行って、以下のうち1つを測定し、炎症の有無を調べます。

  • 赤血球沈降速度(赤沈―試験管に入った血液中で赤血球が沈澱する速さを測定する検査)

  • C反応性タンパク(血液中のタンパクの1つで、炎症が生じていると濃度が劇的に上昇する)の値

赤沈とC反応性タンパクの値が高い場合は、通常は炎症が起こっています。また、血液検査で白血球が高い値を示すことがよくあります。しかし、これらの血液検査だけでは骨髄炎の診断を下すには不十分です。ただ、結果が正常であれば、炎症がほとんどないか、まったくないことが示され、骨髄炎の可能性は低くなります。

X線検査を行うと骨髄炎の特徴的変化が認められることがあります。ただし、最初に症状が出現してから2~4週間経過しないと変化が認められないこともあります。

X線検査の結果がはっきりしないか、症状が重い場合は、CT(コンピュータ断層撮影)検査、またはMRI(磁気共鳴画像)検査を行います。CT検査とMRI検査では、感染した部位や関節を特定し、膿瘍などの周辺の感染を発見することができます。

代わりに、骨シンチグラフィー(放射性テクネチウムという物質を注入して作成する骨の画像)を行うこともあります。骨シンチグラフィー像では、ほとんどの場合、感染の起こった部位に異常が認められます。ただし、この検査法では、成長中の骨の異常を確実に検出できないため、乳児は例外です。また、骨シンチグラフィーは、感染症とそれ以外の骨の病気とを常に判別できるとは限りません。骨シンチグラフィーで異常のある領域において、感染症と他の病気を区別するのに白血球シンチグラフィー(放射性インジウムで標識した白血球を静脈に注射して作成する画像)が役立つことがあります。

骨の感染症の診断や原因菌の特定のために、血液、膿、関節液、または骨自体のサンプルを採取して検査することがあります。通常、化膿性脊椎炎に対しては、骨組織のサンプルを針で採取するか、手術中に採取します。

予後(経過の見通し)

骨髄炎患者の予後は、早期に適切な治療が行われれば通常は良好です。ただし、ときに慢性骨髄炎が発生し、数週間から数カ月後、あるいは数年後にも骨に膿瘍が再発することがあります。

骨髄炎の治療

  • 抗菌薬または抗真菌薬

  • ときに手術

  • 膿瘍に対して、通常は排膿

血流を介した骨の感染を最近起こした小児と成人に対しては、抗菌薬の投与が最も効果的な治療法です。感染の原因菌が特定できなければ、黄色ブドウ球菌  Staphylococcus aureusに対して効果的な抗菌薬や、多種の細菌に対して効果的な抗菌薬(広域抗菌薬)を使用します。感染症の重症度によって、抗菌薬を約4~8週間静脈内投与します。その後、患者の抗菌薬に対する反応に応じて、抗菌薬の経口投与をさらに長い期間続けることがあります。慢性骨髄炎を発症し、数カ月間の抗菌薬治療を必要とする人もいます。

真菌による感染症であると特定されるか疑われる場合は、抗真菌薬が数カ月間必要です。早期に感染症が発見されれば、通常、手術は必要ありません。

細菌による化膿性脊椎炎を起こしている成人の場合、通常の治療として抗菌薬を4~8週間投与します。ベッドでの安静が必要なほか、装具の着用が必要になる場合もあります。排膿や、感染した脊椎の安定化(椎骨がつぶれて近くの神経や、脊髄、血管が損傷するのを防ぐ)のために手術が必要な場合があります。

骨髄炎が近くの軟部組織の感染の結果生じた場合は、治療はより複雑です。通常は、壊死した組織と骨を手術ですべて除去し、そこに健康な皮膚や他の組織を埋め込みます。その後、抗菌薬により感染症を治療します。手術後3週間以上、広域抗菌薬が必要なこともあります。

膿瘍があれば、通常は手術で排膿する必要があります。発熱が長く続き、体重減少がみられる場合も手術が必要になることがあります。

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