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高安動脈炎

(脈なし病、大動脈弓症候群)

執筆者:

Carmen E. Gota

, MD, Cleveland Clinic Lerner College of Medicine at Case Western Reserve University

最終査読/改訂年月 2016年 12月
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高安(たかやす)動脈炎は、慢性の血管の炎症を引き起こし、主に大動脈(直接心臓につながる動脈)とそれから分岐する動脈、肺動脈に生じます。

  • 原因は不明です。

  • 発熱や筋肉や関節の痛みなどの全身症状がみられることがあり、その後、侵された臓器に応じて様々な症状がみられます。

  • 診断を確定するために、大動脈の画像検査、例えばCT血管造影検査やMRアンギオグラフィー検査を行います。

  • コルチコステロイドと、ときには免疫の働きを抑制する別の薬を使うことで、通常は、炎症を抑えることができます。

血管炎の概要を参照のこと。)

高安動脈炎はまれな病気です。アジア系の人によくみられますが、世界中で発生しています。主に15~30歳の女性に発生します。原因は不明です。

大動脈やそこから分岐する血管(頭部や腎臓に血液を供給する動脈を含む)が、炎症を起こします。患者の約半数では肺動脈も炎症を起こします。炎症によって、これらの動脈が部分的に狭くなったり詰まったりすることがあります。大動脈やそこから分岐する血管の壁が厚くなり、膨らみ(動脈瘤)ができることがあります。患部の血管は、組織に十分な血液を供給できません。

症状

高安動脈炎は、症状の重さが変動する慢性の病気です。

ときには、この病気は発熱、筋肉や関節の痛み、食欲不振、体重減少、寝汗から始まります。しかし、通常は、動脈が狭くなり体の一部への血流が減少したときに、以下に示す症状が発生します。

  • 腕や脚:腕を反復的に動かしたり、長時間腕を上げ続けたりすると、腕の痛みや疲れが容易に出ます。歩くと痛みを感じることがあり、通常はふくらはぎに感じ、この症状は跛行(はこう)と呼ばれます。片側または両側の腕や脚で、脈が弱くなったり血圧が低下したりすることがあります。

  • 頭:めまいを感じたり、気が遠くなったり、頭痛がしたり、視覚の問題が起こることがあります。まれに、脳卒中に至ることがあります。

  • 心臓:ときに、心臓への血流が減り、狭心症や心臓発作が起こります。

  • 腎臓:腎臓に血液を送り込む血管が狭くなることで、腎臓の機能障害に至ることがあります。血管が狭くなると高血圧になる可能性があります。高血圧により、腎不全脳卒中心臓発作のリスクが増加します。

  • 肺:肺の血圧が非常に高くなります(肺高血圧症)。息切れを感じ、疲れやすくなり、胸が痛むことがあります。

症状がまったくない人もいます。一方で、高安動脈炎が進行し、脳卒中、心不全、心臓発作、腎不全、動脈瘤などの重篤な合併症が起こる人もいます。

診断

  • 医師による評価

医師は、以下に示すことに基づいてこの病気を疑い、特に患者が若い女性の場合に疑います。

  • 片腕または両腕で、血圧を測ることができない。

  • 片側の腕や脚で、反対側と比べて血圧がはるかに高いか、脈がはるかに強い。

  • 血圧が予想外に高い。

  • 脳卒中、狭心症、心臓発作、または明白な説明がつかない予想外の腎障害が患者に認められる。

医師は、同様の症状を引き起こすことがある他の病気を否定するために、症状について質問し、病歴を確認し、全身の身体診察を行います。両腕と両脚で血圧を測ります。血圧が低い腕や脚では、動脈が狭くなっている可能性があります。血圧の正確な測定値を得るために、この病気で血管が狭くなっていない腕や脚で血圧を測ります。

血液の検査と尿の検査を行います。それらの検査で高安動脈炎を確定することはできませんが、炎症があることは確定されることがあります。

診断を確定するために、従来からある血管造影検査(動脈造影とも呼ばれる)、MRアンギオグラフィー検査、またはCT血管造影検査を用いて、大動脈やそこから分岐する血管を評価することがあります。従来の血管造影検査、またはCT血管造影検査では、血管の輪郭が分かるように、X線画像に写る物質(造影剤)を血管に注射します。その後でX線撮影をします。MRアンギオグラフィー検査の場合は、造影剤の注射は必要ありません。これらの方法で動脈瘤を検出でき、動脈が狭くなっているところや動脈の壁が厚くなっているところを示すことができます。

高安動脈炎が診断されたら、病気が進行していないか医師が確認できるように、定期的な受診の予定を立てるべきです。

予後(経過の見通し)

20%の患者では、高安動脈炎は1回だけ発生して、繰り返しません。それ以外の患者では、高安動脈炎は、消えては現れるか、ずっと続いてだんだん悪化していきます。症状や臨床検査の異常から、病気が活動性でないことが示唆される場合でさえ、新たな症状が発生し画像検査で異常が認められます。病気がだんだん悪化する場合や合併症(高血圧、心不全、動脈瘤など)がある場合は、予後が不良です。

治療

  • コルチコステロイドとその他の免疫抑制薬

  • 高血圧を治療する薬

  • ときに手術

通常はコルチコステロイド(例えばプレドニゾン[日本ではプレドニゾロン])が使用されます。大部分の患者で、コルチコステロイドは効果的に炎症を軽減します。ときには、免疫の働きを抑える別の薬(免疫抑制薬)、例えば、アザチオプリン、シクロホスファミド、ミコフェノール酸モフェチル、メトトレキサートなども使用します。腫瘍壊死因子阻害薬(インフリキシマブ、エタネルセプトなど)もまた効果的なことがあります。しかし、患者の約4分の1は、薬で症状を抑えることができません。

薬をどのくらいの期間使用するべきかは決まっていません。重篤な副作用が現れることがあるため(特に長期間使用した場合)、コルチコステロイドの用量は徐々に減らし、最終的には投与を中止します。投与を中止すると、患者の約半数で症状が再び現れるため、投与を再開しなければならないことがあります。

高血圧は、合併症を予防するためにコントロールしなければなりません( 高血圧 : 治療)。アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬がしばしば使用されます。炎症を起こした動脈に血栓(血管の詰まりにつながる)ができるリスクの軽減に役立てるため、通常、低用量のアスピリンの服用が推奨されます。心臓に血液を供給する動脈が詰まると、心臓発作が起こることがあります。

腕を使ったり歩いたりするのが困難な場合、患部の腕や脚への血流を回復するためにバイパス手術を行うことがあります。症状に応じて、血流を回復する別の手術(例えば、冠動脈バイパス術や経皮的冠動脈形成術)が必要になることがありますが、バイパス手術ほどうまくいかないことがあります。

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