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巨細胞性動脈炎

(側頭動脈炎、頭蓋動脈炎、ホートン病)

執筆者:

Carmen E. Gota

, MD, Cleveland Clinic Lerner College of Medicine at Case Western Reserve University

最終査読/改訂年月 2016年 12月
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本ページのリソース

巨細胞性動脈炎は、頭部、頸部、上半身にある大型動脈や中型動脈に慢性の炎症が起きる病気です。典型的に侵されるのは側頭動脈であり、この血管はこめかみを通り、頭皮の一部、あごの筋肉、視神経に血液を供給しています。

  • 原因は不明です。

  • 主に、ズキズキする激しい頭痛、髪をとかしたときの頭皮の痛み、ものをかむときに顔の筋肉の痛みがみられます。

  • 治療しないと、失明することがあります。

  • 症状と身体診察の結果からこの病気が疑われますが、診断を確定するには側頭動脈の生検を行います。

  • プレドニゾン(日本ではプレドニゾロン)(コルチコステロイドの1つ)とアスピリンの使用が、通常は効果的な治療です。

血管炎の概要も参照のこと。)

巨細胞性動脈炎は、米国と欧州で比較的多くみられる種類の血管炎です。男性よりも女性に多くみられます。巨細胞性動脈炎は、一般に55歳以上の人がかかり、しばしば70歳頃に発症します。巨細胞性動脈炎の患者の約40~60%は、リウマチ性多発筋痛症を合併しています。これらの病気の原因は不明です。

症状

症状は、数週間かけて徐々に現れることもあれば、突然現れることもあります。さらに、発熱があったり、疲れや全身の具合の悪さを感じることがあります。意図していないのに体重が減り、いつもより汗をかきやすくなることがあります。症状は様々で、どの動脈が侵されたかによって異なります。

頭痛と頭皮の痛み

典型的には、頭部に向かう太い動脈が侵され、最初こめかみや後頭部に激しく、ときにズキズキする頭痛が生じます。こめかみの動脈は、触ると圧痛があり、腫れて隆起していることがあります。頭皮に触れたときや髪をとかしたときに、頭皮に痛みを感じることがあります。

失明と視覚障害

複視やかすみ目、視野の欠損、片目が突然見えなくなり数分以内に回復する、などの眼の問題が生じることがあります。中でも、最も重大な危険は永久的な失明であり、視神経への血液の供給が途絶えると突然失明する可能性があります。この病気が疑われた後、すぐに治療すれば両目を完全に失明することはあまりありませんが、治療しなければ起こりえます。過去50年にわたり、視覚障害の発生数が減少した一方で回復率は向上しています。この最も可能性の高い理由として、巨細胞性動脈炎が早期に診断され眼が侵される前に治療されていることがあげられます。

顎と舌の痛み

典型的には、ものを噛み始めるとすぐに、あごの筋肉に痛みと疲れが現れます。食べたり話したりするときに、舌が痛むこともあります。顎と舌の痛みがある人は、視覚障害がみられる可能性がより高くなります。

神経と心血管の問題

ときに脳への血流が妨げられ、脳卒中が起こります。

ときには、炎症により大動脈が損傷し、内層が裂けたり(解離)、大動脈の壁に膨らみ(動脈瘤)ができたりします。

リウマチ性多発筋痛症

リウマチ性多発筋痛症が合併している場合、頸部、肩関節、股関節に激しい痛みとこわばりが起こることがあり、それらは夜間や朝に悪化します。

知っていますか?

  • 巨細胞性動脈炎の患者は、髪をとかしたり、ものをかんだりすると痛みを感じることがよくあります。

診断

  • 医師による評価

  • 血液検査

  • 側頭動脈の生検

医師は、症状と身体診察の結果に基づいてこの病気を疑います。医師は、患者のこめかみに触れ、側頭動脈が硬くないか、でこぼこしていないか、圧痛がないかを調べます。血液検査を行います。それらの結果で診断を裏付けることができます。例えば、貧血があり、赤血球沈降速度(赤沈)の値が非常に高く、C反応性タンパクの値が高ければ、炎症が示唆されます。こめかみにある側頭動脈の生検を行って診断を確定します( 側頭動脈の生検)。

リウマチ性多発筋痛症の徴候がみられる場合も、診断がつく可能性が高まります。

大動脈やその主要分枝など、非常に大きな動脈に巨細胞性動脈炎が疑われる場合は、診断を確定するためにMRアンギオグラフィー検査を行うこともあります。

側頭動脈の生検

側頭動脈の生検は、巨細胞性動脈炎の診断を確定する方法です。生検する側頭動脈の位置をドプラ超音波検査で確認することもあります。局所麻酔の注射をした後、側頭動脈の上を直接浅く切開して、動脈の一部を少なくとも長さ2.5センチメートル採取します。採取後、切開部を縫合します。

側頭動脈の生検

治療

  • プレドニゾン(日本ではプレドニゾロン)

  • 低用量のアスピリン

治療により大部分の人々は完全に回復しますが、再発することがあります。

治療しないと失明に至る可能性があるため、巨細胞性動脈炎が疑われれば、すぐに治療を開始します。通常は、生検を行う前であっても治療を開始します。治療を開始してから2週間以内に生検を行う限りにおいて、治療が生検結果に影響することはありません。コルチコステロイドであるプレドニゾン(日本ではプレドニゾロン)が効果的です。血管の炎症を止め、視力障害を予防するために、初期には高用量を投与します。数週間後に、症状が改善していれば、徐々に用量を減らします。大半の患者は、症状を抑え失明を予防するために、少なくとも2年間プレドニゾン(日本ではプレドニゾロン)を服用する必要があります。

脳卒中を予防するために、患者は低用量のアスピリンを毎日服用するように推奨されています。

加齢に関連する注意点:巨細胞性動脈炎とリウマチ性多発筋痛症

巨細胞性(側頭)動脈炎とリウマチ性多発筋痛症は、しばしば合併し、ほぼ例外なく55歳以上の人だけに発生します。これらの病気は高齢になるにつれて多くみられます。80歳以上の人では50~59歳の人に比べて10倍多くみられます。

巨細胞性動脈炎では、典型的に、ズキズキする頭痛と視覚の問題(眼やその周囲の痛みを含む)が生じます。リウマチ性多発筋痛症は、筋肉に痛みやこわばりを生じます。治療をしないと、これらの病気による痛みは、病気が合併しているか単独であるかにかかわらず、日常生活をつらく困難なものにします。また、すぐに治療しなければ、巨細胞性動脈炎により失明することがあります。

これらの病気の主な治療法であるコルチコステロイドの投与は、高齢者に問題を起こす場合があります。コルチコステロイドは劇的な改善をもたらし、失明の予防に不可欠です。しかし、高齢者では副作用がより多くみられます。患者は体液がたまったり、食欲が増加したり、錯乱を起こしたりすることがあります。血糖値が上昇し、ときに糖尿病を引き起こし、骨密度が低下することがあります。血圧が上昇することもあります。これらの副作用のリスクを減らすために、医師はコルチコステロイドの用量を減らし、できるだけ早くその投与を中止します。

コルチコステロイドを服用する高齢者は、骨密度の維持に役立つ対策を行うように奨励されます。体重の負荷がかかる運動を行い、カルシウムと ビタミンDのサプリメントを服用するという対策が可能です。ビスホスホネート系薬剤(アレンドロン酸、リセドロン酸、イバンドロン酸など)を服用すると、骨密度の増加に役立ちます。

指示された治療を忠実に継続すると、結果的に多くの人が完治します。

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