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ベーチェット病

(Behçet病)

執筆者:

Carmen E. Gota

, MD, Cleveland Clinic Lerner College of Medicine at Case Western Reserve University

最終査読/改訂年月 2016年 12月
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ベーチェット病は、有痛性の口や陰部の潰瘍、皮膚の病変、眼の問題を生じることのある、慢性の血管の炎症(血管炎)です。関節、神経系、消化管も炎症を起こすことがあります。

  • 典型的な例では、口内や、性器、皮膚に潰瘍やびらんができ、それが消え、再び現れます。

  • 診断は、症状と身体診察の結果に基づいて下されます。

  • 治療は、侵された部位によって異なりますが、一般的には、コルチコステロイドとときに免疫の働きを抑制する他の薬を用います。

血管炎の概要も参照のこと。)

ベーチェット病は、世界中で発生していますが、地中海から中国までのシルクロード沿いの地域で最も多くみられます。米国では比較的まれです。男女でほぼ等しく起こり、一般的には20代から発症しますが、男性の方がより重度である傾向があります。ときには、小児に発生することもあります。原因は不明です。

症状

ベーチェット病のほぼすべての患者で、アフタ性口内炎に似た、繰り返し起こり痛みのある口の潰瘍ができます。通常は口の潰瘍がベーチェット病の最初の症状です。びらんは、舌、歯ぐき、口の内壁など、口のどこにでも現れることがあり、密集してできることがよくあります。潰瘍は円形か楕円形で、直径は0.5~4インチ(約1~10センチメートル)あり、浅いことも深いこともあり、中心が黄色がかった色をしています。1~2週間持続します。

他の種類の口の潰瘍は非常によくみられますが(例えば単純ヘルペスウイルスによる口唇ヘルペス)、ベーチェット病による潰瘍は、それらに比べて持続期間が長くより重い傾向があります。

びらんは性器に現れることもあります。陰茎、陰嚢、外陰部のびらんは、痛みを伴う傾向があります。腟のびらんは痛みがないことがあります。

発熱と全身のだるさ(けん怠感)がみられることがあります。以下に示すその他の症状が、数日から数年後に現れます。

  • 眼:25~75%の患者で眼が侵されます。眼の一部が断続的に炎症を起こします。この炎症(再発性虹彩毛様体炎またはぶどう膜炎)は、眼の痛みや、充血、光に対する過敏、かすみ目を引き起こします。そのほかにいくつかの眼の問題が起こることがあります。治療しないでいると、失明する可能性があります。

  • 皮膚:水疱や膿が詰まった吹き出物が約80%の患者に生じます。皮下注射の針を刺した穴のようなわずかな外傷でさえ、小さな赤い隆起や膿で満たされた隆起ができる原因になることがあります。結節性紅斑と呼ばれる、痛みを伴う赤みがかった紫色の隆起が脚にできることがあります。

  • 関節:患者の約半数で、膝関節などの大きな関節が痛むようになります。この比較的軽い炎症(関節炎)は進行せず、組織に損傷を与えることもありません。

  • 血管:全身の血管の炎症(血管炎)によって、動脈に血栓ができ、弱くなった血管の壁に膨らみ(動脈瘤)ができることがあります。脳に向かう動脈が血管炎に侵されている場合、脳卒中を起こすことがあります。腎臓に向かう動脈が侵されている場合、腎臓の損傷を起こすことがあります。肺の動脈が侵されると、出血が起こることがあり、患者が喀血する場合もあります。

  • 消化管:症状には、腹部の不快感と腹痛、けいれん、下痢、腸の潰瘍などがあります。症状は炎症性腸疾患(クローン病と潰瘍性大腸炎)によって生じるものと類似していることがあります。

  • 中枢神経系:脳や脊髄の炎症は、あまり一般的ではありませんが、その結果は深刻なものです。最初に頭痛が起こることがあります。その他の症状には、発熱や項部硬直(髄膜炎の症状)、錯乱、協調運動の障害があります。人格の変化や記憶障害が、数年後に起こることがあります。HLA B51遺伝子が認められるなど、特定の遺伝学的特徴がある人でリスクが高いと考えられます。

診断

  • 身体診察

  • 血液検査

診断は症状と身体診察の結果に基づいて下されます。ベーチェット病を確定できる臨床検査はありません。口の潰瘍が1年間に3回起こり、以下のうち2つがみられる患者、特に若い成人で、この病気が疑われます。

  • 繰り返し起こる陰部の潰瘍

  • 特徴的な眼の問題

  • 皮膚の下の隆起、にきび、または潰瘍のように見える皮膚の病変

  • わずかな外傷によって引き起こされる皮膚の隆起または水疱

ただし、ベーチェット病の症状は、反応性関節炎(以前はライター症候群と呼ばれていた)、全身性エリテマトーデスクローン病ヘルペス潰瘍性大腸炎などの、別の多くの病気の症状と似ていることがあります。医師は、治まっては再発する(寛解と再発)症状のパターンがないか調べて、この病気を特定するための参考にするため、診断には数カ月かかることがあります。口の潰瘍は、口唇ヘルペス(単純ヘルペスウイルスによって生じる)など、他のよくみられるものに類似していることがあります。

血液の検査を行います。このような検査でベーチェット病を特定することはできませんが、炎症があることは確定できます。

口の潰瘍や、ときに性器または皮膚のびらんしかみられない場合には、診断を確定するのは困難です。眼や血管の炎症など、他の症状がある場合には、はるかに簡単に診断を下せます。

予後(経過の見通し)

症状が、予測不可能に現れたり消えたりしながら、非常に破壊的になっていくことがあります。症状のある期間または症状のない期間(寛解期)が、数週間、数年間、または数十年間続く可能性があります。多くの患者は、最終的に寛解状態になります。ときには、神経系、消化管、または血管が致死的な損傷を受けることもあります。若年男性の場合と、動脈の病変がある場合または再発の回数が多い場合に、死亡リスクが最も高くなります。時間が経つにつれて、この病気は治まっていくようです。

治療

  • コルチコステロイドとその他の免疫抑制薬

  • 症状に応じてその他の薬

ベーチェット病は治癒しませんが、通常は、治療により特有の症状を軽減できます。どの薬が使用されるかは、どの臓器が侵されているかと、重症度によって決まります。例えば、以下に示す薬を使用することがあります。

  • 眼の炎症と皮膚のびらん:コルチコステロイド(炎症を軽減するために使用)を眼や皮膚に塗ることができます。免疫の働きを抑制する薬(免疫抑制薬)のアザチオプリンが、視界の鮮明さを保つために役立ち、眼の痛みが生じるのを防ぎ、また口の中や陰部にできる潰瘍を減らしたり、すでにある潰瘍の治癒を助けたり、関節の痛みを軽減したりする可能性があります。

  • 眼または神経系の強い炎症:眼の炎症が強い場合、またはコルチコステロイドのプレドニゾン(日本ではプレドニゾロン)で症状を十分に抑えられない場合は、免疫抑制薬のシクロスポリンやアザチオプリンが使用されることがあります。

  • 口や陰部の潰瘍および関節痛:潰瘍には、コルチコステロイドのクリーム、局所麻酔薬、スクラルファートを塗ることができます。新たな潰瘍を予防するために、コルヒチン(痛風の治療に使用される)を服用することができます。サリドマイドは経口投与し、口、性器、皮膚の潰瘍やびらんの治癒を助けることがありますが、投与を中止すると、再発することがあります。エタネルセプトは腫瘍壊死因子阻害薬で(したがって、免疫の働きを抑制します)、新たな口の潰瘍の予防に役立ちます。エタネルセプトは注射により投与します。ときに、別の腫瘍壊死因子阻害薬(インフリキシマブまたは可能性としてアダリムマブ)が使用されます。コルヒチンで効果がない場合に、インターフェロンアルファも注射により投与することがあります。痛みを軽減し口内の潰瘍の数を減らすためにアプレミラストを使用することができます。

他の薬が効かない場合、または生命を脅かす合併症や、眼や神経系の深刻な合併症が発生した場合に、シクロホスファミドやクロラムブシルを使用します。

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