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シェーグレン症候群

(Sjögren症候群)

執筆者:

Alana M. Nevares

, MD, The University of Vermont Medical Center

最終査読/改訂年月 2018年 4月
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シェーグレン症候群はよくみられる自己免疫リウマチ疾患で、眼や口などの粘膜の異常な乾燥を特徴とします。

  • 白血球が、体液を分泌する腺に侵入して損傷を与えることがあり、ときには他の臓器に損傷が及ぶ場合もあります。

  • 診断を助けるために確立された基準が用いられることがあり、検査により涙と唾液の分泌量を測定するとともに、血液中に異常な抗体が存在しないかを評価できます。

  • 通常は、眼や口などの表面を乾燥させないようにする対策を講じるだけで十分です。

  • ときとして、内臓の損傷が重い場合には、コルチコステロイド、または特定の症状に対してリツキシマブが投与されることもあります。

シェーグレン症候群は、自己免疫疾患と考えられていますが、その原因は不明です。中年の女性に最も多くみられます。一部のシェーグレン症候群患者には、他の自己免疫疾患(関節リウマチ全身性エリテマトーデス全身性強皮症血管炎混合性結合組織病橋本甲状腺炎原発性胆汁性肝硬変慢性自己免疫性肝炎など)が併存しています。

口の唾液腺や眼の涙腺など、体液を分泌する腺に白血球が侵入します。侵入した白血球が腺を傷つける結果、この症候群の特徴的な症状である口腔や眼の乾燥が発生します。

症状

一部の患者では、口または眼の乾燥だけがみられます(乾燥症候群と呼ばれる状態)。眼が乾燥すると、角膜がひどく傷つくことで、眼にヒリヒリとした感覚や刺激感が生じることがあるほか、涙の分泌量が不足することで、永続的な眼の損傷の原因となることもあります。唾液の分泌が不足すると、味覚や嗅覚が鈍くなり、ものを食べたり飲み込んだりする際に痛みが生じるほか、う蝕や唾液腺の結石(唾石)原因にもなります。患者の約3分の1では、頬にある唾液腺(耳下腺)が大きくなり、弱い圧痛がみられるようになります。口の中に焼けつくような感覚を覚える場合もあり、この症状は、ときに真菌感染症の合併を示していることもあります。

多数の臓器が侵される場合もあります。シェーグレン症候群では、皮膚や、鼻、咽頭、消化管、喉頭、気管、気管支、外陰部、腟の表面を覆っている粘膜が乾燥することがあります。外陰部や腟が乾燥すると、性交に痛みを伴うことがあります。気管が乾燥すると、せきが出ます。神経、肺、その他の組織が炎症によって損傷を受けることもあります。

患者の約3分の1で、関節の炎症(関節炎)が起こり、関節リウマチの場合と同じ関節が侵されますが、シェーグレン症候群の関節炎は、より軽い傾向があり、通常は破壊的な関節炎ではありません。全身のリンパ節が腫れることがあります。シェーグレン症候群の患者では、一般の人と比べてリンパ系のがんであるリンパ腫が多くみられ、非ホジキンリンパ腫の発生率が、正常な人の40倍になります。発疹、腎障害、肺の病気、膵炎、末梢神経を損傷する血管炎などが、シェーグレン症候群の一般的ではないものの重度の症状です。シェーグレン症候群患者の約3分の1でレイノー現象が起こります。

診断

  • 確立された基準

  • 涙と唾液の検査

  • 血液検査

口腔や眼が乾燥している感覚は一般的なものですが、これに関節炎、唾液腺の腫れ、神経の損傷、特定の発疹、または腎臓の問題が伴っていれば、患者はシェーグレン症候群であることが示唆されます。シェーグレン症候群の診断や、似た症状がみられる他の病気との判別には、確立された基準と様々な検査が役立ちます。

確立された基準

確立された基準を用いてシェーグレン症候群の診断に役立てることができます。基準を適用する前に、医師はまず問診と身体診察を行って患者に目または口の症状があるかどうか判定します。次のうち1つ以上の乾燥症状が目または口にある人に基準を適用することができます。

  • 目の症状:持続的で厄介なドライアイが3カ月以上毎日あるか、砂や砂利が目の中に入っているかのような感覚が頻繁にあるか、涙の代わりとなるものを1日につき3回以上使用している。

  • 口の症状:口腔乾燥の感覚が3カ月以上毎日あるか、乾燥した食べものを飲み込むのを補助するために毎日液体を使用している。

目または口の症状の診断がつくと、医師は基準を用いてシェーグレン症候群の診断を裏付ける他の症状がないか判断します。医師は、患者がもっているかもしれない他の病気を否定するためにも基準を用います。

涙と唾液の検査

涙の分泌量は、細長い濾紙(ろし)を両眼の下まぶたにハサミ、濾紙がどの程度濡れるかを観察することで推定できます(シルマー試験)。シェーグレン症候群の患者では、涙の分泌量が正常な場合の3分の1未満の場合があります。眼科では、眼球の表面に傷がないかを調べます。

唾液の分泌を評価するためにより高度な検査を行うことがあり、唾液腺の画像検査や唾液腺組織の一部を採取して調べる検査(生検)を医師が指示することがあります。

血液検査

血液検査では、シェーグレン症候群患者で認められる抗SS-A抗体など、異常な抗体を検出できます。全身性エリテマトーデスの患者で認められる抗核抗体(ANA)や関節リウマチの患者で認められるリウマトイド因子が、シェーグレン症候群の患者でも検出されることがあります。70%の患者では、赤血球沈降速度(赤沈:試験管に入った血液中で赤血球が沈澱する速さを測定する検査)の値が高くなります。およそ33%で赤血球の減少(貧血)がみられ、最大25%で特定の白血球の減少(白血球減少症)がみられます。

血液検査の結果はシェーグレン症候群の診断を下すのに役立ちますが、そこで検出される異常がときとして健康な人や別の病気の人でみられることがあるため、それだけではシェーグレン症候群の診断を確定することはできません。シェーグレン症候群の診断は、症状、身体診察の結果、すべての検査結果など、医師が集めたすべての情報に基づいて下されます。

予後(経過の見通し)

一般的に、予後は良好です。しかし、抗体によって肺、腎臓、またはリンパ節が損傷を受けると、肺炎腎不全、またはリンパ腫が発生する場合があります。シェーグレン症候群の患者は、シェーグレン症候群でない人と比較して、リンパ腫を発症するリスクがわずかに高まります(およそ10人に1人から20人に1人)。

治療

  • 乾燥を緩和する対策

  • 関節と皮膚の症状に対してヒドロキシクロロキン、メトトレキサート、またはその両方

  • 重度の症状に対してコルチコステロイドまたはリツキシマブ

シェーグレン症候群を治癒させる方法はありませんが、症状の軽減は可能です。

眼の乾燥(ドライアイ)は、日中は人工涙液を点眼し、夜間は潤滑用の軟膏を使用することで治療可能です。シクロスポリンを含有する処方点眼薬を使用することもあります。眼鏡の横にカバーをつけることで、眼を空気や風から保護するのを助け、涙の蒸発を減らすこともできます。涙点閉鎖術と呼ばれる簡単な手術を行うこともあります。この手術では、眼科医が下側のまぶたの端にある涙管に小さな栓を挿入し、涙が眼球上により長くとどまるようにします。

口腔乾燥(口の中の乾燥)には、水分を少量ずつ持続的に補給したり、シュガーレスのガムをかんだり、唾液の代用となる洗口液を使用したりすることで対処できます。鼻閉改善薬、抗うつ薬、抗ヒスタミン薬など唾液の分泌量を減少させる薬は、乾燥を悪化させる可能性があるため、使用を避けるべきです。唾液腺の異常がそれほど重くない場合は、ピロカルピン、またはセビメリンが唾液の分泌を刺激するのに役立つことがあります。口の中の衛生に細心の注意を払い、歯科に頻繁に通うことで、う蝕や歯の喪失を予防することができます。

唾液腺の痛みや腫れは、鎮痛薬の使用や患部を温めることで治療できます。唾液腺の結石は除去します。

性交による痛みは、腟潤滑剤を用いることで非常に効果的に軽減できます。皮膚の乾燥を緩和するために保湿剤を用いることができます。

関節の症状は、通常は軽いため、多くの場合、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)を使用して安静にしておくだけで十分な治療となります。抗マラリア薬(ヒドロキシクロロキンなど)は、関節痛、リンパ節の腫れ、皮膚の症状を軽減することができます。メトトレキサートという薬が投与されることもあります。

内臓の損傷に起因した重い症状の場合は、コルチコステロイド(プレドニゾン[日本ではプレドニゾロン]など)またはリツキシマブが投与されることがあります。

他の自己免疫疾患(全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、全身性強皮症など)に伴って起こるシェーグレン症候群は、二次性シェーグレン症候群と呼ばれます。二次性シェーグレン症候群では、上述の治療に加えて、併発した病気に対する治療も行われます。

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