Msd マニュアル

Please confirm that you are not located inside the Russian Federation

honeypot link

ベーカー嚢胞

(ベーカー嚢腫;膝窩嚢胞)

執筆者:

Joseph J. Biundo

, MD, Tulane Medical Center

最終査読/改訂年月 2018年 4月
プロフェッショナル版で 同じトピックをみる

ベーカー嚢胞は、膝の裏側の関節包の延長部分にできる、関節液(滑液)で満たされた小さな袋です。

ベーカー嚢胞は、関節液がたまって、膝の裏側の関節包から袋状に突出した結果生じます。関節液がたまる原因には、 関節リウマチ 関節リウマチ(RA) 関節リウマチは炎症性関節炎の1つで、関節(普通は手足の関節を含む)が炎症を起こし、その結果、関節に腫れと痛みが生じ、しばしば関節が破壊されます。 免疫の働きによって、関節と結合組織に損傷が生じます。 関節(典型的には腕や脚の小さな関節)が痛くなり、起床時やしばらく動かずにいた後に、60分以上持続するこわばりがみられます。... さらに読む 関節リウマチ(RA) 変形性関節症 変形性関節症 変形性関節症は軟骨と周囲の組織の損傷を伴う慢性疾患で、痛み、関節のこわばり、機能障害を特徴とします。 関節の軟骨と周囲の組織の損傷による関節炎は、加齢に伴い、非常によくみられるようになります。 痛みや腫れ、骨の過剰な増殖がよくみられ、起床時や動かずにいた後に生じて30分以内に治まるこわばり(特に関節を動かしていると治まりやすい)も一般的で... さらに読む 変形性関節症 、膝の使いすぎなどがあります。ベーカー嚢胞があると、しばしば膝の裏側に不快感が起こります。この嚢胞は、野球のボールほどの大きさになって、下の方に広がりふくらはぎの筋肉に入り込むこともあります。

嚢胞の中の液の量が急速に増えて内圧が高まると破裂することがあります。嚢胞から漏れ出た液によって周囲の組織が炎症を起こすことがあり、その結果、ふくらはぎの血栓に類似した症状が生じます( 深部静脈血栓症[DVT] 深部静脈血栓症 深部静脈血栓症は、深部静脈に血栓(血液のかたまり)が形成される病気で、通常は脚で発生します。 血栓は、静脈の損傷や血液の凝固を引き起こす病気により形成される場合や、何らかの原因で心臓に戻る血流が遅くなることで形成される場合があります。 血栓によって、脚や腕の腫れが生じることがあります。... さらに読む 深部静脈血栓症 )。さらに、ベーカー嚢胞の膨らみや破裂したベーカー嚢胞がまれに、膝の後ろを通っている膝窩静脈を圧迫するために、その静脈に実際に血栓性静脈炎を引き起こすことがあります。

診断

  • 医師による評価

  • ときに画像検査

通常、医師は、症状に関する具体的な質問を行い、膝の裏やふくらはぎの腫れに触れることによってベーカー嚢胞を診断することができます。

必要であれば、 超音波検査 超音波検査 超音波検査は、周波数の高い音波(超音波)を用いて内臓などの組織の画像を描出する検査です。プローブと呼ばれる装置で電流を音波に変換し、この音波を体の組織に向けて発信すると、音波は体内の構造で跳ね返ってプローブに戻ります。これは再度、電気信号に変換されます。コンピュータが、この電気信号のパターンをさらに画像に変換してモニター上に表示するととも... さらに読む 超音波検査 MRI検査 MRI(磁気共鳴画像)検査 MRI(磁気共鳴画像)検査は、強力な磁場と非常に周波数の高い電磁波を用いて極めて詳細な画像を描き出す検査です。X線を使用しないため、通常はとても安全です。 患者が横になった可動式の台が装置の中を移動し、筒状の撮影装置の中に収まります。装置の内部は狭くなっていて、強力な磁場が発生します。通常、体内の組織に含まれる陽子(原子の一部で正の電荷を... さらに読む MRI(磁気共鳴画像)検査 関節造影検査 X線検査 筋骨格系の病気は、病歴と身体診察の結果に基づいて診断することがよくあります。医師が診断を下したり確定したりするのを助けるために、臨床検査、画像検査、またはその他の診断方法が必要になることがあります。 臨床検査は、筋骨格系の病気の診断にしばしば役立ちます。例えば、赤血球沈降速度(赤沈)は、血液を試験管に入れたときに赤血球が沈む速度を測定する... さらに読む X線検査 が診断に役立ち、嚢胞を深部静脈の血栓(DVT)と区別し、嚢胞の広がりを記録することができます。

治療

  • 関節穿刺とコルチコステロイドの注射

  • ときに、手術による嚢胞の摘出

  • 嚢胞が破裂した場合、痛み止め

関節炎による慢性の膝関節の腫れがあれば、ベーカー嚢胞を小さくしたり形成を予防したりするために、医師は針を刺して滑液を抜き( 関節穿刺 関節穿刺(関節液の吸引) 筋骨格系の病気は、病歴と身体診察の結果に基づいて診断することがよくあります。医師が診断を下したり確定したりするのを助けるために、臨床検査、画像検査、またはその他の診断方法が必要になることがあります。 臨床検査は、筋骨格系の病気の診断にしばしば役立ちます。例えば、赤血球沈降速度(赤沈)は、血液を試験管に入れたときに赤血球が沈む速度を測定する... さらに読む 関節穿刺(関節液の吸引) と呼ばれる処置)、長時間作用型コルチコステロイド(トリアムシノロンアセトニドなど)を注射することが必要になる場合もあります。他の治療法で効果がなければ、代わりに手術で嚢胞を切除します。

嚢胞が破裂した場合は、 非ステロイド系抗炎症薬 非ステロイド系抗炎症薬 基礎疾患を治療することで、痛みを解消したり最小限に抑えたりできるケースがあります。例えば、骨折をギプスで固定することや、感染を起こした関節に抗菌薬を投与することは、鎮痛に役立ちます。しかし、痛みの基礎疾患が治療可能な場合でも、痛みに速やかに対処するために痛み止め(鎮痛薬)が必要になる場合もあります。... さらに読む (NSAID)や、NSAIDが使用できない場合は別の痛み止めで痛みを治療します。嚢胞が破裂して膝窩静脈に血栓性静脈炎が起こった場合は、治療としては床上で安静にし、患部の脚を高い位置に上げ、患部を温め、抗凝固薬(ワルファリンなど)を投与します。

プロフェッショナル版で 同じトピックをみる
プロフェッショナル版で 同じトピックをみる
ANDROID iOS
ANDROID iOS
ANDROID iOS
ANDROID iOS
ANDROID iOS
ANDROID iOS
TOP