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気胸

執筆者:

Richard W. Light

, MD, Vanderbilt University Medical Center

最終査読/改訂年月 2017年 10月
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気胸とは、2層の胸膜(肺の外側と胸壁の内側を覆っている薄くて透明な膜)の間に空気が入り込むことによって、肺が部分的または完全につぶれてしまう病気です。

  • 症状には、呼吸困難や胸痛などがあります。

  • 胸部X線検査によって診断が下されます。

  • 治療は通常、ドレーンやときに合成樹脂製のカテーテルを胸部に挿入して空気を抜くことです。

正常な状態では、胸腔内の圧力は、肺の内部や胸の外側より低くなっています。胸腔と肺の内部、または胸腔と胸の外部がつながってしまうような穿孔が生じると、胸腔内に空気が入り込み、圧力が等しくなるか空気の通路がふさがれるまで空気が入り続けます。胸腔に空気が入り込むと、肺が部分的につぶれます(肺の虚脱)。場合によっては、肺のほとんどまたは全部がつぶれて、激しい息切れを起こすことがあります。

原発性自然気胸は、肺疾患のない人に明らかな原因なく起こる気胸です。原発性自然気胸は通常、肺のややもろくなった部分(ブラ)が破裂した際に発生します。この病気は、40歳未満で背が高い男性の喫煙者に最もよくみられます。ほとんどの人が完全に回復しますが、最大で50%の人に再発がみられます。

基礎に肺疾患がある人に発生する場合もあり、これを続発性自然気胸と呼びます。このタイプの気胸は、慢性閉塞性肺疾患 慢性閉塞性肺疾患(COPD) 慢性閉塞性肺疾患は、気道が狭くなる状態(閉塞)が持続する病気で、肺気腫や慢性閉塞性気管支炎、またはその両方に伴って発生します。 この病気の原因として最も重要なのは、紙巻きタバコの喫煙です。 この病気になると、せきが出て、やがて息切れが現れます。 診断は、胸部X線検査と肺機能検査によって下されます。... さらに読む 慢性閉塞性肺疾患(COPD) (COPD)のある高齢者においてブラが破裂したときに発生することが最も多いものの、嚢胞性線維症 嚢胞性線維症(CF) 嚢胞性線維症(のうほうせいせんいしょう)は、特定の分泌腺が異常な分泌物を産生し、それによって組織や器官、特に肺や消化管が損傷を受ける遺伝性疾患です。 嚢胞性線維症は、遺伝子の突然変異を親から引き継ぐことで発生し、粘り気の強い濃厚な分泌物が肺やその他の臓器の働きを妨げます。 典型的な症状としては、新生児にみられる嘔吐や腹部膨満、軟便、体重増... さらに読む 喘息 喘息 喘息は、気道が何らかの刺激に反応して狭くなる(通常は可逆性)病態です。 症状としては、特定の誘因に反応して生じる、せき、喘鳴(ぜんめい)、息切れなどが最もよくみられます。 医師は、呼吸の検査(肺機能検査)を行って喘息の診断を確定します。 喘息発作を防ぐためには、誘因となる物質を吸い込まないようにするとともに、気道の開口を保つ薬を服用する必... さらに読む 喘息 ランゲルハンス細胞組織球症 肺ランゲルハンス細胞組織球症 肺ランゲルハンス細胞組織球症は、組織球や好酸球(白血球の一種)と呼ばれる細胞が肺の中で増殖する病気で、しばしば瘢痕化を引き起こします。 症状がまったくない場合もあれば、せきや呼吸困難がみられる場合もあります。 診断にはCT検査が必要で、場合によっては肺組織サンプルの分析(生検)も必要になります。 どのような治療が有効かについては、はっきり分かっていませんが、禁煙は役に立つ可能性があります。... さらに読む サルコイドーシス サルコイドーシス サルコイドーシスとは、体の多くの器官に炎症細胞の異常な集積(肉芽腫[にくげしゅ])がみられる病気です。 サルコイドーシスは、一般に20~40歳で発生し、スカンジナビア系の人やアフリカ系アメリカ人に最も多くみられます。 多くの器官が侵される可能性がありますが、肺に最もよくみられます。... さらに読む サルコイドーシス 肺膿瘍 肺膿瘍 肺膿瘍とは、肺の中にできた膿で満たされた空洞のことで、周りは炎症を起こした組織で囲まれており、感染症が原因で発生します。 通常は、口の中にいる細菌が肺の中へ吸い込まれることで生じます。 症状には、疲労感、食欲不振、寝汗、発熱、体重減少、たんがからんだせきなどがあります。 通常は、胸部X線検査で診断します。... さらに読む 肺膿瘍 結核 結核 結核は、空気感染する細菌である結核菌 Mycobacterium tuberculosisによって引き起こされる、感染力の強い慢性感染症です。通常は肺が侵されます。 結核に感染するのは、主に活動性結核の患者によって汚染された空気を吸い込んだ場合です。 最もよくみられる症状はせきですが、発熱や寝汗、体重減少、体調不良を感じることもあります。... さらに読む 結核 、ニューモシスチス(Pneumocystis)肺炎など、その他の肺疾患の患者でもみられます。続発性自然気胸では、基礎に肺疾患があるため、原発性自然気胸に比べて症状や治療成績は一般に悪くなります。再発率は、原発性自然気胸と同程度です。

月経随伴性気胸は、続発性自然気胸のまれな一形態です。閉経前女性では月経開始後48時間以内に起こりますが、ときにエストロゲン製剤.を服用している閉経後女性にもみられます。原因は胸部の子宮内膜症で、これは子宮の内側の組織(子宮内膜)が横隔膜の開口部または静脈を通って肺に移動することで生じると考えられています(子宮内膜症 子宮内膜症 子宮内膜症では、正常な状態では子宮内膜(子宮の内側を覆っている層)にしか存在しない組織(子宮内膜組織)が子宮以外の場所で認められます。 子宮内膜組織が子宮以外の場所に出現する理由は分かっていません。 子宮内膜症は妊よう性(妊娠のしやすさ)を低下させたり、痛み(特に月経前、月経中、性交時)を生じさせたりすることがありますが、何の症状も引き起... さらに読む 子宮内膜症 は子宮内膜が子宮外のどこかに現れたときに使用される医学用語です)。

胸腔に空気が入る処置を受けた後に、気胸が発生することもあります(外傷性気胸 外傷性気胸 外傷性気胸は、損傷によって胸壁と肺との間に空気がたまることで起こります。その結果、肺が部分的または完全に虚脱します。 胸痛を伴い、息切れを感じる場合もあります。 通常は、胸部X線検査が行われます。 空気を抜き取り肺が再び膨らむようにするため、通常は胸部にチューブ(胸腔ドレーン)が挿入されます。 (胸部損傷に関する序も参照のこと。) さらに読む と呼ばれます)。外傷性気胸は、胸腔穿刺、気管支鏡検査または胸腔鏡検査などの処置によって起こることがあります。人工呼吸器により肺に圧力損傷が生じて、気胸になることもあり、特にCOPDや重症の急性呼吸窮迫症候群 急性呼吸窮迫症候群(ARDS) 急性呼吸窮迫症候群は、呼吸不全(肺機能不全)の一種で、肺に液体が貯留し、血液中の酸素レベルが異常に低下する様々な病気が原因で発生します。 患者は息切れを起こし、呼吸は通常速く浅くなり、皮膚に斑点ができたり、色が青っぽくなったりすること(チアノーゼ)や、心臓や脳などの他の臓器が機能不全に陥ることがあります。 指先のセンサー(パルスオキシメーター)または動脈から血液サンプルを採取する方法で血液中の酸素レベルが測定され、胸部X線検査も行われま... さらに読む の患者に最もよくみられます。肺内の圧力変化(ダイバー[圧外傷 圧外傷 圧外傷は圧力の変化によって、体の様々な部位に存在する気体が圧縮されたり、膨張したりすることで起こる組織の障害です。 肺、消化管、潜水用フェイスマスクで覆われた顔の一部、眼、耳、副鼻腔が侵される可能性があります。 症状は様々で、呼吸に関連するもの、胸痛(肺の圧外傷)、眼の充血(マスクの圧外傷)、回転性めまい、耳の痛み(耳の圧外傷)、顔面痛や鼻血(副鼻腔の圧外傷)などがあります。... さらに読む ]や航空パイロットにみられる)は、気胸のリスクを高めることがあります。

症状

胸腔内に入った空気の量、つぶれた肺の範囲、気胸が生じる前の肺機能などによって、症状は大きく異なります。症状はまったくないこともあれば、わずかな息切れや胸痛がみられる程度であったり、激しい息切れ、ショック、生命を脅かす心停止が生じたりと様々です。

ほとんどの場合、鋭い胸痛や息切れが突然始まり、ときに発作的な空せきがみられることもあります。肩、首、または腹部に痛みを感じることもあります。ゆっくり進行する気胸は、急速に進行する気胸よりも症状が軽い傾向にあります。

診断

  • 身体診察

  • 胸部X線検査

気胸が大きい場合は、一般に診察により診断を確定することができます。医師が聴診器を胸に当てると、胸の一部で正常な呼吸音が聞こえないことがあり、胸部をたたく(打診する)と、中が空の太鼓のような音がします。ときに、胸部の皮膚の下に空気がたまることがあり、胸部を触ると気泡がはじけるような感覚がしてプチプチという音が聞こえることがあります。

胸部X線検査では、空気のたまった部分や、内側の薄い胸膜に縁どられたつぶれた肺の輪郭がみられます。また、気管(首の前側を通っている太い気道)が片側に押されていないかどうかも胸部X線検査で確認できます。

治療

  • 空気を抜く

小さな原発性自然気胸では、一般に治療の必要はありません。通常は、重篤な呼吸障害には至らず、空気は数日間で吸収されます。空気の吸収を速めるため、鼻またはフェイスマスクから酸素が投与されることもあります。比較的大きな気胸では、空気が完全に吸収されるのに2~4週間かかることがあります。ただし、カテーテルまたは胸腔ドレーンを気胸のある部位に挿入することで、もっと速く空気を抜くこともできます。

呼吸に支障をきたすほどの大きな原発性自然気胸は、胸部に挿入した合成樹脂製のカテーテルに太い注射器を取り付けて、空気を抜く(吸引する)ことも可能です。カテーテルはすぐに抜去することもありますが、再度空気がたまったらその空気を抜くことができるよう、密封してしばらくの間そのまま留置しておくこともあります。

カテーテルによる吸引で効果がない場合や、続発性自然気胸や外傷性気胸などの別の種類の気胸である場合は、胸腔ドレーンを用いて空気を抜きます。胸壁を切開して胸腔ドレーンを挿入し、片方をウォーターシール式のドレナージ装置、または空気を逆流させずに放出できる一方向弁に接続します。気道と胸腔の間にできた異常な通路(瘻孔)から空気が入り続けている場合は、吸引ポンプを胸腔ドレーンに接続して使用することもあります。

場合によっては、手術が必要です。多くの場合、手術は胸腔鏡を胸壁から胸腔内に挿入して行われます。

再発性気胸

気胸が再発すると、高度の身体障害をきたすことがあります。手術によって、気胸の再発を予防することもあります。手術では一般的に、肺の空気が漏れている部分を修復し、胸膜の内側の層と外側の層をしっかりと接着します。この手術は通常、胸腔内を観察できる胸腔鏡 胸腔鏡検査 胸腔鏡検査では、胸腔鏡を介して肺の表面や胸腔を観察します。胸腔鏡は特定の外科手術のために用いられることもあります。胸腔鏡を用いた手術は胸腔鏡下手術(VATS)と呼ばれます。肺の組織サンプルを採取する最も一般的な生検の方法は、胸腔鏡によるものです。胸腔鏡は、胸水(胸腔内に液体がたまった状態)の治療にも使用されます。 胸腔鏡下手術は一般に全身麻酔下で行われますが、胸腔鏡検査であれば、目が覚めた状態で鎮静薬だけを投与して行われることもあります... さらに読む という管状の機器を用いて行います。手術が必要と考えられるのは、次のような場合です。

  • リスクの高い人(例えば、ダイバーや航空機パイロットなど)が気胸を初めて発症した後

  • 続発性自然気胸を初めて発症した後(十分に手術を受けられる健康状態の場合)

  • 気胸が回復する見込みがない人、または同じ側の肺に気胸が2回発生した人

健康状態が悪いために手術に耐えられない再発性気胸の患者では、胸腔から空気を抜くのに使用している胸腔ドレーンを通して、タルク配合剤またはドキシサイクリンという薬剤を注入することで、胸膜の間の空間をふさぐことがあります。ただし、このようにして胸膜の間の空間をふさぐ方法は、手術に比べて効果が劣ります。この治療を受けた人の25%では、いずれ気胸が再発します。それに対して、手術を行った場合、気胸が再発する割合はわずか5%です。

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