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無気肺

執筆者:

Başak Çoruh

, MD, University of Washington;


Alexander S. Niven

, MD, Uniformed Services University of the Health Sciences

最終査読/改訂年月 2017年 12月
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無気肺は、肺の一部または全体に空気がなく、肺がつぶれた状態です。

  • 無気肺の一般的な原因は気管支の閉塞です。

  • 酸素レベルが低くなる、または肺炎が起こると、息切れが生じます。

  • 診断を確定するには胸部X線検査を使います。

  • 治療では、深い呼吸を確実にできるようにすること、気道の障害物を取り除くこと、またはその両方が必要になることがあります。

肺の主な機能は、大気中から血液中に酸素を取り込み、血液中の二酸化炭素を呼気として吐き出すことです(ガス交換、 肺胞腔と毛細血管の間でのガス交換)。ガス交換が行われるためには、肺の中にある小さな空気の袋(肺胞)が、ふくれた状態を保ち、空気で満たされていなければなりません。肺胞がふくれた状態を保てるのは、肺の構造に弾力性があり、サーファクタントと呼ばれる液体が肺胞の内面を覆っているおかげです。このサーファクタントは、肺胞が自然につぶれようとする(虚脱する)のを防いでいます。無意識に行っている周期的な深い呼吸やせきも、肺胞がふくれた状態を保つのに役立っています。肺胞につながる気道をふさぐおそれがある粘液やその他の分泌物は、せきによって吐き出されます。

何らかの理由で肺胞がつぶれた場合、その肺胞ではガス交換ができなくなります。つぶれた肺胞が多いほど、ガス交換の量が減少します。そのため、無気肺になると、血液中の酸素レベルが低下します。体はそれを補うために、無気肺の部分が少なければ、つぶれた肺胞がある領域の血管を閉じ(収縮させ)ます。この血管の収縮により、その分の血液が膨らんでいる肺胞に流れ、そこでガス交換が行われます。

原因

無気肺の一般的な原因には通常、以下のものがあります。

  • 気管から分かれて肺組織につながっている管(気管支)のうちの1つがふさがれる

  • 深い呼吸を減らす、またはせきをする能力を抑える病態

このような閉塞は、粘液の栓、腫瘍、吸い込んだ異物(例えば、錠剤、食べもののかけら、おもちゃ)など、気管支の内部にあるものによって起こることがあります。あるいは、腫瘍やリンパ節の腫れなどによって、気管支の外から圧迫を受けることで閉塞が発生することもあります。また、外部からの圧迫による閉塞は、胸腔(肺の外側で胸の内側の空間)に大量の液体(胸水)または空気(気胸)がたまった場合にも発生することがあります。

気管支またはより細い気道(細気管支)がふさがってしまうと、閉塞部より先の肺胞内にある空気が血液中に吸収されてしまい、その肺胞は小さくなってつぶれてしまいます。その閉塞部の奥(内部)には細菌や白血球が蓄積することがあるため、つぶれた部分の肺が感染を起こすおそれがあります。無気肺が数日にわたって続くと、特に感染しやすくなります。無気肺が数カ月にわたって続くと、肺が容易には元通りに膨らまない可能性があります。

深い呼吸を減らしたり、せきをする能力を抑える状態は、無気肺を引き起こしたり、無気肺の一因となる可能性があります。オピオイドや鎮静薬を大量に使用すると、深い呼吸が妨げられることがあります。せきや呼吸を促す仕組みが一時的に抑制される全身麻酔の後には無気肺がよくみられます。胸部や腹部の手術の後は、全身麻酔の影響に加えて、深い呼吸をすると痛むことから患者は浅く呼吸するため、無気肺が特に多くみられます。また、けがや肺炎などの他の原因によって胸や腹部に痛みがある場合も、深い呼吸をすると痛みが生じます。

特定の神経疾患や胸部の変形があったり、体を動かせない状態が続いたり、腹部が腫れていたりすると、胸部の動きが制限されるため、深く呼吸できないことがあります。極めて過体重の人や肥満の人でも、無気肺のリスクが高まります。

知っていますか?

  • 手術後に深い呼吸をすることは、無気肺を防ぐのに役立ちます。

  • 喫煙者の場合、理想的には手術の6~8週間前に禁煙することで、手術後に無気肺になるリスクを低下させることができます。

症状

ときに息切れがみられることを除き、無気肺自体に症状はありません。息切れの有無や重症度は、無気肺の進行速度や範囲によって決まります。無気肺が肺の限られた部分にとどまり、進行が遅い場合は、症状は軽いことが多く、気づかないことさえあります。多数の肺胞がつぶれ、特に無気肺が急速に発生した場合は、息切れがひどくなることがあります。

また、心拍数や呼吸数が増加することもあり、場合によっては、血液中の酸素レベルが低下して、皮膚が青白く見えるチアノーゼと呼ばれる状態になることもあります。

症状は、無気肺を引き起こした病気(例えば、けがによる胸の痛み)や、無気肺が原因で発生した病気(例えば、肺炎による深呼吸に伴う胸の痛み)を反映している場合もあります。

診断

  • 胸部X線検査

医師は、患者の症状、身体所見、症状が現れた状況などをもとに無気肺を疑います。胸部X線検査で空気がない領域が示されると、診断が確定します。原因を特定するために、CT検査や気管支鏡検査(気管支へ内視鏡を挿入して調べる検査)、またはその両方が行われることがあります。

予防

喫煙者の場合、理想的には手術の6~8週間前までに禁煙することで、手術後に無気肺になるリスクを低下させることができます。手術の後は、呼吸を深くし、規則的にせきをして、できるだけ早く体を動かすことが勧められます。自発的に深い呼吸ができるように促す、インセンティブ・スパイロメーター( 呼吸訓練)と呼ばれる機器の利用や、肺の粘液やその他の分泌物を吐き出しやすくする体位変換などの特定の運動が、無気肺の予防に役立つ場合があります。

必ず深い呼吸を行うことで、無気肺を予防できる可能性があります。長期にわたって呼吸が浅くなる病態があれば、すぐにでも治療する必要があります。

治療

  • 深い呼吸とせき

  • 吸引または気管支鏡による気道閉塞の解除

無気肺の治療では、深い呼吸を確実にできるようにすること、気道の障害物を取り除くこと、またはその両方が必要です。

場合によっては、医療従事者が患者の気道吸引を行う際に、障害物を除去できることもあります。吸引で除去できない障害物は、気管支鏡で取り出す必要があります。ときにはほかの方法が必要になることもあります。例えば、気道をふさいでいるのが腫瘍であれば、手術、放射線、化学療法、またはレーザーなどによって閉塞を解除することがあります。気道に粘液の栓が詰まっている場合、粘液を薄めたり気道を開くための薬剤が投与されることがあります。

合併症の治療

無気肺の症状や合併症に対する治療が必要になることもあります。例えば、以下が必要になることがあります。

  • 酸素吸入

  • 細菌感染症が疑われる場合、抗菌薬

  • 持続陽圧呼吸

  • まれに呼吸用のチューブの挿入(気管挿管)と人工呼吸器

持続陽圧呼吸では、フェイスマスクを通して、空気または空気と酸素の混合気体に常に圧力をかけながら肺に送り込むことで、息を吐いているときでも気道がつぶれずに、肺が膨らんだ状態を維持できるように補助します( 閉塞性睡眠時無呼吸症候群)。持続陽圧呼吸は、気道を開通し、せきによる分泌物の除去を促すために使用されることもあります。細菌感染症が疑われると、しばしば抗菌薬が投与されます。

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