静脈の上の皮膚が赤く腫れて、痛みます。
医師は症状がみられる部位を診察しますが、検査は通常不要です。
病気が治まるまで、必要に応じて、痛みを軽減するために鎮痛薬を使用します。
( 静脈系の概要 静脈系の概要 静脈は、血液が全身の臓器から心臓に戻っていく際に通る血管です。太い動脈と並行する太い静脈には、しばしば動脈と同じ名前がついていますが、静脈系の経路をたどるのは動脈系の場合より困難です。名前のない細い静脈が多数集まって不規則なネットワークを形成し、太い静脈につながっています。 多くの静脈(特に腕や脚の静脈)には一方向だけに開く弁が備わってい... さらに読む も参照のこと。)
表在静脈血栓症は脚の 表在静脈 静脈系の概要 静脈は、血液が全身の臓器から心臓に戻っていく際に通る血管です。太い動脈と並行する太い静脈には、しばしば動脈と同じ名前がついていますが、静脈系の経路をたどるのは動脈系の場合より困難です。名前のない細い静脈が多数集まって不規則なネットワークを形成し、太い静脈につながっています。 多くの静脈(特に腕や脚の静脈)には一方向だけに開く弁が備わってい... さらに読む (皮膚の直下に存在する)に最も多く発生しますが、鼠径部(そけいぶ)や腕の表在静脈にみられることもあります。腕の表在静脈血栓症は、通常は静脈内に針を刺したことが原因で発生します。脚の表在静脈血栓症は、通常は 静脈瘤 静脈瘤 静脈瘤とは、脚の表在静脈に起こる異常な拡張のことです。 静脈瘤は痛み、かゆみ、疲労感などの症状を引き起こします。 皮膚の診察で、静脈瘤を確認することができます。 手術や注入療法で静脈瘤を除去することができますが、しばしば新しい静脈瘤ができます。 (静脈系の概要も参照のこと。) さらに読む が原因で発生します。しかし、静脈瘤のほとんどの患者には、血栓症は起こりません。
静脈瘤は、ごく小さな傷が原因で炎症を起こすことがあります。ほとんど炎症が起こらない 深部静脈血栓症 深部静脈血栓症 深部静脈血栓症は、深部静脈に血栓(血液のかたまり)が形成される病気で、通常は脚で発生します。 血栓は、静脈の損傷や血液の凝固を引き起こす病気により形成される場合や、何らかの原因で心臓に戻る血流が遅くなることで形成される場合があります。 血栓によって、脚や腕の腫れが生じることがあります。 血栓が剥がれて血流に乗り、肺に到達すると、肺塞栓症を引き起こします。 深部静脈血栓症を発見するために、ドプラ超音波検査や血液検査を行います。 さらに読む とは異なり、表在静脈血栓症では急性の炎症反応が起こり、そのため血栓(血液のかたまり)が静脈壁にしっかりと付着して剥がれにくくなります。深部静脈と違って表在静脈は筋肉に取り囲まれていないため、血栓が押し出されることはありません。これらの理由から、表在静脈血栓症では、血栓が剥がれて塞栓を起こすことはほとんどありません。
遊走性静脈炎または遊走性血栓性静脈炎は、正常な静脈に表在静脈血栓症が繰り返し起こるものです。この静脈炎がある場合、内臓のがんなど、原因になっている重篤な基礎疾患が疑われます。遊走性静脈炎と内臓のがんが同時に発生している場合は、トルソー症候群と呼ばれます。
症状
炎症が起きている領域で痛みと腫れが急速に生じます。静脈の周囲の皮膚が赤く熱っぽくなり、触れるとひどく痛みます。中の血液が凝固するため、この状態の静脈は正常な静脈や静脈瘤のように軟らかくはなく、皮膚の下に硬いコードがあるように感じられます。このような静脈は全長にわたって硬い感触がすることもあります。
診断
医師の評価
表在静脈血栓症は外見から診断できます。通常、検査は必要ありませんが、表在静脈血栓症が膝より上にあり、静脈瘤のない領域に突然発生した場合は、深部静脈に血栓がないか確認するため、しばしば超音波検査を行います。
治療
痛みを緩和するため、患部を温め鎮痛薬を使用する
たいていの場合、表在静脈血栓症は自然に治癒します。患部を温め、アスピリンや 非ステロイド系抗炎症薬 非ステロイド系抗炎症薬 基礎疾患を治療することで、痛みを解消したり最小限に抑えたりできるケースがあります。例えば、骨折をギプスで固定することや、感染を起こした関節に抗菌薬を投与することは、鎮痛に役立ちます。しかし、痛みの基礎疾患が治療可能な場合でも、痛みに速やかに対処するために痛み止め(鎮痛薬)が必要になる場合もあります。 医師が鎮痛薬を選択する際、痛みのタイプと持続期間、それぞれの鎮痛薬の便益とリスクを考慮します。ほとんどの鎮痛薬は侵害受容性疼痛(通常の組織... さらに読む (NSAID)などの鎮痛薬を服用すると、通常は痛みの軽減に役立ちます。
炎症は数日で治まりますが、腫れと圧痛が完全に消えるには数週間かかることもあります。早期に症状を軽減するために、局所麻酔を行って血栓を除去し、圧迫包帯を使用し、数日間巻いたままにしておくことがあります。ときに、表在静脈血栓症が非常に広範囲にある場合は、血液の凝固を抑えるため、ヘパリンやその他の抗凝固薬も投与されます。