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腕、脚、心臓、脳の動脈瘤

執筆者:

Koon K. Teo

, MBBCh, PhD, McMaster University

最終査読/改訂年月 2018年 3月
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動脈瘤は、動脈の壁にできる膨らみ(拡張)のことです。

  • 脚(太ももの大腿動脈、膝の裏側の膝窩動脈)

  • 心臓(冠動脈)

  • 首(頸動脈)

  • 脳(脳動脈)

頸動脈の動脈瘤はまれです。動脈瘤は若い人よりも高齢者に多くみられます。

原因

これらの動脈瘤の多くは、出生時からみられる(先天性の)動脈壁の脆弱化か、動脈硬化 動脈硬化 アテローム性動脈硬化とは、太い動脈や中型の動脈の壁の中に主に脂肪で構成されるまだら状の沈着物(アテロームあるいはアテローム性プラーク)が形成され、それにより血流が減少ないし遮断される病気です。 アテローム性動脈硬化は、動脈の壁が繰り返し損傷を受けることによって引き起こされます。... さらに読む 動脈硬化 (血管壁にプラークや脂肪性物質が蓄積した状態)による動脈壁の脆弱化が原因です。他には刺傷や銃創によって生じたり、ヘロインなどの薬物を娯楽目的で静脈内に注射した後、動脈壁に細菌や真菌が感染して生じたりします。動脈の感染症は体の他の部位から始まるものが多く、典型的には心臓弁 感染性心内膜炎 感染性心内膜炎は、心臓の内側を覆っている組織(心内膜)に生じる感染症で、通常は心臓弁にも感染が及びます。 感染性心内膜炎は、血流に入った細菌が損傷のある心臓弁に到達して、そこに付着することで発生します。 急性細菌性心内膜炎では通常、高熱、頻脈(心拍数の上昇)、疲労、そして広範囲にわたる急激な心臓弁の損傷が突然もたらされます。... さらに読む 感染性心内膜炎 で生じ、その後動脈壁に広がります。

脳動脈瘤

動脈瘤は脳動脈にも発生することがあります。脳動脈瘤が破裂すると、脳組織への出血(脳内出血 脳内出血 脳内出血は、脳の中で起こる出血です。 脳内出血は通常、慢性高血圧によって起こります。 多くの場合、最初の症状は重度の頭痛です。 診断は、主に症状と画像検査の結果に基づいて下されます。 治療としては、出血に寄与した可能性のある病態の管理(血圧が非常に高ければ、降圧するなど)のほか、まれに、貯まった血液を手術で除去することがあります。 さらに読む )が生じ、脳卒中 脳卒中の概要 脳卒中は、脳に向かう動脈が詰まったり破裂したりして、血流の途絶により脳組織の一部が壊死し(脳梗塞)、突然症状が現れる病気です。 脳卒中のほとんどは虚血性(通常は動脈の閉塞によるもの)ですが、出血性(動脈の破裂によるもの)もあります。 一過性脳虚血発作は虚血性脳卒中と似ていますが、虚血性脳卒中と異なり、恒久的な脳損傷が起こらず、症状は1時間... さらに読む が起こります。脳動脈瘤は脳の近くに発生し、通常は小さいため、診断法も治療法も他の動脈瘤とは異なります。破裂していない大きな脳動脈瘤は、頭痛、瞳孔の散大、体の片側の脱力や麻痺など、脳卒中の症状を引き起こすことがあります。

脳動脈瘤の診断は、特殊なCTまたはMRI検査によって下されます。これらの特殊な検査は、CT血管造影検査またはMRアンギオグラフィー検査と呼ばれています。

感染を起こした脳動脈瘤は特に危険で、早期に治療する必要があります。診断はCT血管造影検査、血液検査(C反応性タンパク値の上昇や赤血球沈降速度の上昇など炎症のレベル上昇を示す検査)、血液培養検査(血液のサンプルを検査室で培養して微生物の増殖を調べる検査)によって下されます。

治療としては、しばしば手術による動脈瘤の修復を行います。手術による修復では、クリップで動脈瘤を閉じる処置を行います。動脈瘤が元の動脈から飛び出している場所にクリップを設置します。ときに、体への負担が少ない治療法(コイル塞栓術)を行うことも可能です。コイル塞栓術では、合成樹脂でできた柔軟な細長いチューブ(カテーテル)を太ももから動脈に挿入します。カテーテルを、体の動脈を経由して脳動脈の動脈瘤がある場所まで押し進めます。細い金属製コイルをカテーテルを通して動脈瘤の開口部から中に送り込み、それにより動脈瘤に入る血流が遮断されることで、動脈瘤は縮小します。動脈瘤が感染している場合は、抗菌薬または抗真菌薬を投与します。

症状

大動脈や脳動脈の動脈瘤とは異なり、膝窩動脈、大腿動脈、冠動脈、頸動脈の動脈瘤が破裂することはまれです。

診断

  • 画像検査

脚や腕の動脈瘤は、動脈に拍動のあるかたまりを触診して診断することがあります。診断は超音波検査やCT検査で確定できます。心臓や脳の動脈瘤では、従来の血管造影 血管造影 血管造影検査は、X線を用いて血管の詳細な画像を描出する検査で、CT血管造影検査やMRアンギオグラフィー検査と区別するために「従来の血管造影」と呼ばれることもあります。血管造影の撮影を行いながら、医師が血管の異常を治療することも可能です。 血管造影では静止画像だけでなく動画(シネアンギオグラフィーといいます)も撮影でき、血液が血管内を流れる速さを測ることも可能です。 血管造影は体に負担をかける検査法ですが、それでも比較的安全です。... さらに読む CT血管造影 CT血管造影 CT検査では、X線源とX線検出器が患者の周りを回転します。最近の装置では、X線検出器は4~64列あるいはそれ以上配置されていて、それらが体を通過したX線を記録します。検出器によって記録されたデータは、患者の全周の様々な角度から撮影された一連のX線画像であり、直接見ることはできませんが、検出器からコンピュータに送信され、コンピュータが体の2次元の断面のような画像(スライス画像)に変換します。(CTとはcomputed... さらに読む CT血管造影 MRI血管造影 MRアンギオグラフィー検査 MRI(磁気共鳴画像)検査は、強力な磁場と非常に周波数の高い電磁波を用いて極めて詳細な画像を描き出す検査です。X線を使用しないため、通常はとても安全です。 患者が横になった可動式の台が装置の中を移動し、筒状の撮影装置の中に収まります。装置の内部は狭くなっていて、強力な磁場が発生します。通常、体内の組織に含まれる陽子(原子の一部で正の電荷をもちます)は特定の配列をとっていませんが、MRI装置内で生じるような強力な磁場の中に置かれると、磁場... さらに読む MRアンギオグラフィー検査 など、他の画像検査が必要になります。

治療

  • 手術またはステントグラフトによる修復

下半身にできた動脈瘤は、大きさがその血管の正常時の太さの2倍になった時点、または症状が現れた時点で修復を行います。腕にできた動脈瘤は、その血管内で血栓ができる可能性がより高いため、通常は症状がなくてもすぐに修復します。

直径が約2.5センチメートル以上の膝窩動脈瘤の場合、通常は直視下手術か動脈瘤内にステントグラフトを挿入する処置が行われます。ステントグラフトは合成素材の中空のチューブで、壁面は弾力性のあるメッシュです。メッシュの壁は、折りたためるストローのように小さくたたむことができ、細長いワイヤーに沿って動脈内に挿入することができます。動脈を通してステントを進め、動脈瘤まで到達させます。そこでステントグラフトを開くと、安定した血流の通り道が作られます。ステントグラフトは冠動脈瘤にも使用できますが、冠動脈瘤に対しては、ときとして冠動脈バイパス術 経皮的冠動脈インターベンション 冠動脈疾患とは、心臓の筋肉(心筋)への血液供給が部分的または完全に遮断されることで起きる病気です。 心筋は酸素を豊富に含んだ血液を絶えず必要とします。その血液を心臓に送る血管は、大動脈が心臓から出たところで枝分かれする冠動脈です。この血管が狭くなる冠動脈疾患では、血流が遮断されて、胸痛(狭心症)や心臓発作(心筋梗塞とも呼ばれる)が発生しま... さらに読む 経皮的冠動脈インターベンション が必要になります。大腿動脈瘤や頸動脈瘤は通常、手術で修復します。

感染した動脈瘤に対しては、一般的には抗菌薬または抗真菌薬による治療が必要になり、動脈瘤の位置、大きさ、感染症による損傷の程度に応じて、手術が必要になる場合もあります。

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