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末梢閉塞性動脈疾患

執筆者:

Koon K. Teo

, MBBCh, PhD, McMaster University, Hamilton, Ontario, Canada

最終査読/改訂年月 2018年 3月
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末梢閉塞性動脈疾患とは、脚(まれに腕)の動脈がふさがったり狭くなったりする病気で、通常の原因は動脈硬化で、血流量が低下します。

  • 症状は、閉塞した動脈やその重症度により異なります。

  • 診断を下すために、影響が現れている領域への血流を測定します。

  • 薬剤、血管形成術、手術により、閉塞を緩和して症状の軽減を図ります。

末梢閉塞性動脈疾患は、年齢とともに増加する動脈硬化(血管の壁にプラークなどが蓄積する病態)が原因で生じることが多いため、高齢者によくみられます。

また、末梢閉塞性動脈疾患は以下に該当する人にもよくみられます。

これらの要因はどれも末梢閉塞性動脈疾患の発生に寄与するだけでなく、悪化させる要因でもあります。

末梢閉塞性動脈疾患は、脚の動脈に最も多く発生し、腸骨動脈(大動脈の2本の分枝)、大腿動脈(太ももの主要な動脈)、膝窩動脈(膝の動脈)、脛骨動脈および腓骨動脈(ふくらはぎの動脈)などで起こります。頻度は低いものの、肩や腕の動脈でもみられることがあります。

閉塞性の動脈疾患は、腹部を通る大動脈の一部(腹部大動脈)やその分枝でも起こることがあります(腹部大動脈の分枝の閉塞を参照)。

末梢閉塞性動脈疾患の原因としては以下のものがあります。

  • 動脈が徐々に狭まる

  • 動脈が突然閉塞する

動脈が狭まると、その先の部位に十分な量の血液が供給されない可能性があります。血液の供給量が不足すると、体の組織の酸素レベルが不十分な状態(虚血)になります。虚血は急に発生する場合もゆっくり生じる場合もあります。動脈が突然、または完全に閉塞すると、そこから血液を供給されている部位の組織が壊死(えし)することがあります。

動脈が徐々に狭まる場合

動脈が徐々に狭まる場合、原因は通常、動脈硬化です。動脈硬化では動脈壁にコレステロールやその他の脂質が沈着します(アテロームまたはアテローム性プラーク)。アテロームにより動脈の内腔が徐々に狭くなり、血流が減少します( プラークの形成)。血管の壁にカルシウムが蓄積することがあり、その結果、動脈が硬くなります。

まれに、動脈壁の筋肉が異常に増殖したり(線維筋性異形成)、炎症を起こしたり(血管炎)、腫瘍や嚢腫など膨張するかたまりによって外部から圧迫されたりして、次第に動脈が狭められることもあります。

動脈が突然閉塞する場合

すでに狭くなっている動脈に血栓(血液のかたまり)が形成されると、動脈が突然かつ完全にふさがることがあります。このような突然の閉塞は、心臓や大動脈で形成された血栓が流れ出して他の部位で動脈を詰まらせることによっても起こります(この現象を塞栓といいます)。一部の病気では、血栓ができるリスクが上昇します。そのような病気としては、心房細動、その他の心疾患、凝固障害などがあります。自己免疫疾患によって起こることのある血管の炎症(血管炎)も、突然の動脈閉塞の原因になる可能性があります。

ときに、アテロームが血管内で破裂して血栓の形成を誘発し、動脈が突然閉塞することがあります。アテロームから脂肪のかたまりが剥がれ落ち、動脈を突然詰まらせることもあります。突然の閉塞は大動脈解離が原因の場合もあります。大動脈解離では大動脈の内層が裂け、その裂け目に血液が勢いよく流れ込み、内層が中間層から解離します。解離が広がると、大動脈から枝分かれした動脈がふさがる場合があります。

症状

末梢閉塞性動脈疾患は、以下の要因に応じて異なる症状を示します。

  • どの動脈が閉塞しているか

  • どの程度閉塞しているか

  • 徐々に狭くなったのか突然閉塞したのか

通常は、動脈の内腔の約70%がふさがれなければ症状は起こりません。急に閉塞する場合と比べて徐々に狭くなる方が症状は軽く、たとえ最終的に動脈が完全に閉塞したとしてもその傾向がみられます。徐々に狭まる場合に症状が軽いことがある理由は、近くにある動脈が拡張したり、新しい血管(側副血管)が発達したりする時間があるためです。その結果、患部組織への血液の供給は継続されます。一方、血管が急に閉塞すると側副血管が発達する時間がないため、通常、症状は重くなります。

脚や腕の動脈が突然完全に閉塞すると、重度の痛み、冷感、しびれが起こることがあります。脚や腕の皮膚が青白くなるチアノーゼが生じます。動脈が閉塞した部分から先では脈がとれなくなります。脚や腕への血流が突然、劇的に減少した場合は、緊急に治療する必要があります。脚や腕への血流が途絶えると、急速に感覚の消失や麻痺が起こります。血流の遮断が長引くと組織は壊死し、腕や脚を切断しなければならない場合もあります。

間欠性跛行(はこう)は末梢動脈疾患の最もよくみられる症状で、脚の動脈が徐々に狭くなるために起こります。脚の筋肉にうずくような痛み、けいれん、疲労感が起こりますが、関節の症状はありません。間欠性跛行は運動中に定期的に起こることが予測でき、休息すればすぐに軽減します。歩行中の筋肉の痛みは、患者が速く歩いたり坂を登ったりすると早く現れ、より悪化します。間欠性跛行の痛みは1~5分休息すると治まり(座る必要はありません)、また歩くことができますが、それまでに歩いた距離と同じくらいの距離を歩くと再び痛みが出ます。最もよく痛むのはふくらはぎですが、閉塞が起きた位置に応じて、太もも、股関節、殿部が痛むこともあります。非常にまれですが、足が痛むこともあります。

脚の動脈がさらに狭くなると、痛みを感じずに歩ける距離が短くなります。最終的に、病気が非常に重くなると、休んでいるときでさえも筋肉が痛み、特に横になると痛みます。この痛みは、通常は下腿や足の甲から始まり、耐えがたいほどひどい痛みで、脚を上げるとさらに悪化します。しばしば痛みのために眠れなくなります。痛みを和らげるためにベッドの横から足を垂らしたり、脚が垂れ下がるように腰掛けた状態で休む人もいます。

腕の動脈が大規模に閉塞することはまれですが、閉塞した場合は、腕を繰り返し動かすと筋肉の疲労、けいれん、痛みを感じます。

腕や脚は、血液供給量が軽度から中等度まで減少してもほとんど正常にみえます。足への血液供給量がひどく減少した場合は、足が冷たくなり、足の脈を検出するために特別な装置が必要になることがあります。足や脚の皮膚は、乾燥したり、うろこ状になったり、つやが出たり、ひび割れた状態になったりします。爪が正常に伸びなかったり、脚の毛が伸びないこともあります。動脈がさらに狭まると、なかなか治らない潰瘍ができることがあり、典型的には足の指やかかと、ときに下腿にも起こり、特にけがをした後によく発生します。また、感染症にかかりやすくなり、すぐに重篤化します。重症の末梢閉塞性動脈疾患では皮膚の傷が治るのに数週間から数カ月かかり、治らないこともあります。足に潰瘍が発生することもあります。通常、脚の筋肉が萎縮します。大きな閉塞は壊疽(えそ)を引き起こすことがあります。

跛行が予測可能で安定していた人でも、跛行が突然悪化することがあります。例えば、それまでは10ブロックは歩けていたのに、1ブロック歩いただけで突然ふくらはぎが痛くなることがあります。この変化は脚の動脈に新しく血栓ができたことを示唆します。このような場合は、直ちに医師の診察を受ける必要があります。

知っていますか?

  • 腕や脚に突然痛みや冷感が起こり、青白くなった場合は、直ちに医師の診察を受ける必要があります。

診断

  • 身体診察および症状

  • 血圧および血流量の測定

身体診察

末梢閉塞性動脈疾患の診断は、症状と身体診察の結果に基づいて下されます。医師は腕や脚の皮膚を調べ、色や温度を確認するほか、皮膚を静かに押してから手を離し、元の色に戻る速さを調べます。こうした観察により、十分な血液が循環しているかどうかを判断できます。血圧や血流量を直接測定する検査も行います。

血圧測定は、標準的な血圧測定カフと特別な電子聴診器を用いて行います。収縮期血圧を両腕と両脚で測定します。足首の血圧が腕の血圧と比べて一定の値より低い場合は(腕の血圧の90%未満)、脚への血流が不十分であり、末梢閉塞性動脈疾患と診断できます。腕の動脈の閉塞が疑われる場合は、両腕の収縮期血圧を測定して比べます。片方の腕の血圧が常に高いようであれば、血圧が低い方の腕の閉塞が示唆され、末梢閉塞性動脈疾患と診断されます。

脈拍の評価も血流を評価する上で有用です。医師や看護師は、まず左右のわきの下、肘、手首、脚の付け根、足首、足、膝の裏側の脈を調べます。動脈が詰まると、そこから先の脈は弱くなるか、まったく感じられなくなります。例えば、脚の動脈の閉塞が疑われる場合は、脚の特定の部位から下の脈をチェックします。腎動脈など脈拍を確認できない動脈に対しては、血流を画像化する検査を行います。狭くなった動脈を血流が通過するときに生じる異常な雑音(血管雑音)を、聴診器で聞くことができます。

組織内酸素の測定

経皮的酸素分圧測定は、皮膚の下の組織の酸素レベルを測定します。酸素は血液によって組織に運ばれることから、この検査は血流量を間接的に測定します。この検査は痛むことはなく、患部の脚や腕の皮膚と胸の上部にセンサーをあてて行われます。センサーの電極が皮膚の下の領域を温めることで血管が一時的に拡張するため、センサーで酸素レベルを簡単に測定できます。

画像検査

ドプラ超音波検査を用いて、血流を直接測定し、末梢閉塞性動脈疾患の診断を確定することができます。この検査では、血管の狭窄部位や閉塞部位が正確に描出されます。運動中にしか現れない異常もあるため、ドプラ超音波検査による血流の測定を運動負荷試験の実施中に行うこともあります。

通常、血管造影検査(柔軟な合成樹脂製の管[カテーテル]を太ももの上部にある太い動脈に挿入して行う、体に負担をかける検査)は、外科手術または血管形成術(動脈内で小さな風船[バルーン]を膨らませて、閉塞した部分を開通させる処置)が必要な場合にのみ行われます。この場合の目的は、手術や血管形成術を行う前に、異常のある動脈の鮮明な画像を撮影することです。まれに、外科手術や血管形成術が実施可能かどうかを判断するために血管造影検査が必要になることもあります。血管造影検査では、造影剤(X線画像に写る物質)をカテーテル(柔軟な合成樹脂製の管)から動脈に注入します。その造影剤により、動脈の内側の輪郭がX線画像上に映し出されます。その結果、血管造影検査では動脈の内径を正確に調べることができ、一部の閉塞はドプラ超音波検査よりも正確に検出されます。

最近では、ほとんどの病院で、CT血管造影検査やMRアンギオグラフィー検査など、体への負担が少ない方法で血管造影検査が行われています。これらの検査は、柔軟なカテーテルを主要な動脈まで挿入する必要がなく、腕の静脈に挿入した標準的なカテーテルから少量の造影剤を血流中に注入して行います。

末梢閉塞性動脈疾患に必要なその他の検査

動脈硬化がある患者の場合は、血液検査を行ってコレステロール値、血糖値、ときにホモシステイン値などを測定し、危険因子がないか調べます。血圧が一貫して高いかどうかを判定するために、何回か血圧を測定します。

自己免疫疾患による血管の炎症など、動脈の狭窄や閉塞の他の原因を突き止めるために血液検査を行うこともあります。このような検査では赤血球沈降速度(赤沈)や、炎症を起こしているときにだけ産生されるC反応性タンパクを測定します。腕の動脈が閉塞している場合は、原因が動脈硬化か、胸郭出口症候群か、動脈の炎症(動脈炎)かの判断を試みます。

脊柱管が狭くなる脊柱管狭窄症も運動中の痛みを引き起こす可能性があるため、MRI検査でその可能性を否定します。ただし、この場合の痛みは間欠性跛行とは異なり、休息するだけでなく座らないと軽快しません。

予防

末梢閉塞性動脈疾患の予防で最もよい方法は、動脈硬化危険因子を改善するか、取り除くことです。以下の予防法があります。

糖尿病をうまくコントロールできれば、末梢閉塞性動脈疾患の発症を遅らせたり予防したりできるだけでなく、その他の合併症のリスクを減らすこともできます。

治療

  • 危険因子をコントロールする

  • 運動

  • 薬剤

  • 血管形成術

  • 閉塞を軽減またはバイパスする手術

  • 組織が壊死した場合は腕や脚の切断

治療は以下の目的で行われます。

  • 病気の進行を予防する

  • 広範囲の動脈硬化による心臓発作、脳卒中、死亡のリスクを低下させる

  • 腕や脚の切断を回避する

  • 間欠性跛行などの症状を軽減して生活の質を改善する

治療法には、跛行を軽減する薬剤や血栓を溶かす薬剤(血栓溶解薬)による治療、血管形成術、手術、運動療法、足のケアなどがあります。いずれの治療法を選択するかは、以下の要素によって決まります。

  • 閉塞が突然生じたか、徐々に起きたか

  • 症状の重症度

  • 閉塞の程度

  • 閉塞している場所

  • 治療に関連するリスク(特に手術)

  • 患者の全般的な健康状態

使用された特定の治療法が何であれ、総合的な予後(経過の見通し)を改善するためには、動脈硬化の危険因子(高血圧、糖尿病、喫煙、コレステロール高値など)を改善する必要があります。血管形成術および手術は、直面している問題を単に物理的に修正するだけの処置です。これらの治療法は、もともと病気を引き起こしていた過程をコントロールしたり正常な状態に戻したりするものではありません。

運動

間欠性跛行の痛みは、ほとんどの場合、定期的な運動や薬剤によって軽減することができます。運動は最も効果的な治療で、やる気があって処方された運動プログラムを毎日実行できる人に適しています。運動によって跛行が軽減する理由は正確には分かっていませんが、おそらくは運動によって筋肉の機能が改善する、血流が改善する、あるいは新しい血管(側副血管)の発達が促されると考えられています。跛行がある人は、可能であれば、1日30分以上の歩行を少なくとも1週間に3回行うべきです。これを習慣にすることで、たいていの人は楽に歩ける距離を延ばすことができます。歩行中に感じる不快感は危険なものではありません。不快感を覚えたら立ち止まり、不快感が消えるまで待ってから再び歩くようにします。歩ける距離を延ばすには、休息している時間を除いて30分以上は歩く必要があります。

通常は、訓練を受けた療法士の指導によるリハビリテーションプログラムが最も効果的な運動です。跛行がある人は、リハビリテーションプログラムを始める前に、心筋に血液が十分に供給されていることを運動負荷試験で確認することが勧められます。

フットケア

適切なフットケアを行うことが重要です。フットケアにより、足の傷や潰瘍に感染が起きて痛みを伴うようになり、最終的に壊疽に至る過程を予防できます。十分なフットケアは、足の切断を回避する上でも役立ちます。セルフケアの対策として以下のものがあります。

  • 毎日、足を観察して、ひび割れ、潰瘍、うおのめ、たこができていないかどうか注意深く調べる

  • 毎日、ぬるま湯と刺激の少ない石けんで足を洗い、やさしく拭いて完全に乾かす

  • 皮膚が乾燥しがちなら、ラノリンなどの潤滑剤を使用する

  • 足の乾燥を保つため、非薬用パウダーを使用する

  • 足の爪は水平に切り、短く切りすぎない(足の専門医に切ってもらう必要がある場合もあります。その場合は、足の専門医に末梢動脈疾患があることを伝える必要があります。)

  • うおのめやたこの治療は足の専門医にまかせる

  • うおのめやたこを取り除くために貼り薬や刺激性の化学薬品を使用しない

  • 靴下やストッキングは毎日取り替え、靴はたびたび履き替える

  • ゆったりとしたウールの靴下を履き、足を暖かくしておく

  • きつい靴下止めやゴムがきついストッキングを履かない

  • 足によく合い、つま先に余裕がある靴を履く

  • サンダルや裸足で歩かない

  • 足が変形している場合は、足の専門医に特別な靴を処方してもらう

  • 湯たんぽや電気あんかなどは使用しない

  • 熱いお湯や化学物質の溶液に足を浸さない

足の潰瘍には細心のケアが求められます。そのケアの目的は、感染症を治療し、皮膚をさらなる損傷から保護し、歩行能力を維持することにあります。

足の潰瘍は清潔に保つ必要があります。刺激の少ない石けんか抗菌作用のある溶液を使って毎日足を洗い、清潔な乾いた包帯で覆っておく必要があります。血流を改善するために、脚を心臓より低い位置に保つべきです。糖尿病がある人は、血糖値をできるだけコントロールしなければなりません。原則として、足の血液循環の悪い人や糖尿病がある人は誰でも、7日ほど経っても潰瘍が治らない場合には医師の診察を受ける必要があります。しばしば抗菌薬入りの軟膏が処方されます。

足の潰瘍が治らない場合は、ベッドで安静にしている必要があります。その場合は足に床ずれができないように、ヒールパッド付きの包帯をするか、フォームラバーのブーツを履く必要があります。ベッドは頭の方を約15~20センチメートルほど高くし、脚を心臓の高さと同じか、それより低くして、重力の作用で脚の動脈に血液が流れるようにします。潰瘍に感染が起こった場合は、通常は経口抗菌薬が処方され、入院する必要があることもあります。

薬剤

末梢閉塞性動脈疾患を引き起こす病気(高血圧、糖尿病、コレステロール高値など)を治療する薬剤も投与されます。血栓を溶かしたり、新たな血栓の形成を予防したりするため、他の薬剤が投与されることもあります。最もよく使用される薬剤はアスピリンとクロピドグレルで、これらの薬剤は血栓が形成されるリスクを低下させます。

アスピリンやクロピドグレルは、血栓(血液のかたまり)の形成を防ぎ、心臓発作や脳卒中のリスクを減らすことから、通常はこれらの薬剤が投与されます。これらの薬剤は血小板に作用して、血管の壁に付着しないようにします。正常な状態では、血小板は血液に含まれて体内を循環しており、血管が傷つくと出血を止めるために凝集して血栓を作ります。

跛行の治療では、ペントキシフィリンやシロスタゾールなどの薬剤を服用します。これらの薬剤は血流量を増加させるため、筋肉への酸素供給量が増えます。どちらの薬剤も2~3カ月間服用しなければ有効かどうか判定できません。しかし最近ではペントキシフィリンの有効性に疑問がもたれるようになり、多くの専門家がこの薬剤を推奨しなくなっています。対照的に、シロスタゾールでは痛みを伴わずに歩ける距離が1.5~2倍に延びるという結果が出ています。この薬剤は心不全のある人には使えません。

ラミプリル(アンジオテンシン変換酵素阻害薬と呼ばれる種類の薬剤で、血管の拡張を促し、ときに血流を改善します)によっても、痛みを伴わずに歩ける距離が延長することが、研究によって示されています。

血管形成術

血管を広げる血管形成術は、血管造影検査の直後に行われることがあります。閉塞が突然起きた場合は、四肢の不可逆的な機能喪失や切断を回避するために、できるだけ早く血管形成術を行う必要があります。血管形成術は症状を軽減するために行われ、手術を延期したり回避したりすることが可能です。ときには、手術や血栓を除去する処置と併用することもあります。血管形成術では、先端に小さな風船(バルーン)の付いたカテーテルを動脈の狭窄部位に挿入し、バルーンを膨らませて閉塞を開通させます。広げた動脈をそのまま開いた状態にしておくため、ステント(網目状のワイヤーでできた筒)を動脈内に留置します。現在では、薬剤を徐々に放出するタイプのステント(薬剤溶出性ステント)もあり、閉塞の再発を予防する効果があります。

血管形成術は通常は外来で行われます。血管形成術による痛みはめったにありませんが、硬い台の上に寝ていなくてはならないため、いくぶん不快感はあるかもしれません。全身麻酔は行わずに弱い鎮静薬を使用します。

血管形成術がどの程度成功するかは、閉塞している部位と末梢動脈疾患の重症度によります。血管形成術を行った後はアスピリンやクロピドグレルなどを投与して、脚や腕の動脈で血栓が形成されるのを防ぎ、心臓発作や脳卒中を予防します。また、ドプラ超音波検査を定期的に行って動脈を通る血流を監視し、動脈が再び狭くなっていないかどうかを確認します。

動脈の狭窄部位が多すぎる場合、狭窄部位が長すぎる場合、動脈が広範囲にわたってひどく硬化している場合には、血管形成術を行っても効果はありません。血管形成術の後に、狭窄部位に血栓が形成された場合や、血栓の破片が流れ出して他の部位で詰まった場合(塞栓)、動脈解離(血液が動脈の内層にしみこんでたまり、内側に突き出て血流を遮断する)がみられる場合、またはひどい出血がみられる場合には、手術が必要です。

血管形成術の際にバルーンカテーテルの代わりに使用できる器具には、レーザー、機械的なカッター、超音波カテーテル、回転やすりなどがありますが、いずれもバルーンカテーテル以上の効果はないようです。

手術

他の治療では跛行が軽減しない場合は、血栓を取り除く手術かバイパス術を行います。通常、これらの手術は血流が大幅に減少している場合(すなわち、日常生活が困難な跛行がある場合、安静にしていても痛みがある場合、傷が治らない場合、壊疽が起きた場合)に、脚の切断を回避するために行われます。

血栓溶解薬が効果がない場合や危険すぎて使用できない場合には、手術を行って血栓を取り除きます(血栓内膜摘除術)。アテロームを取り除く手術(動脈内膜剥離術)やその他の閉塞を解除する手術を行うこともあります。

また、それらの代わりにバイパス術を行う場合もあります。バイパス術では、合成素材のチューブか他の部位の静脈の一部を、閉塞部位の前後の動脈につなぎ合わせます。これにより、血液は閉塞部位を迂回することになります。

また、狭窄または閉塞部位を切除して、その間をグラフトでつなぐ手術を行うこともあります。末梢閉塞性動脈疾患の患者は冠動脈疾患も患っていることが多いため、通常は手術前に心臓の機能と心臓を通る血流の状態を調べて、手術の相対的な安全性を判定します。

脚のバイパス術

バイパス術は狭窄や閉塞のある動脈を治療するために行います。この手術を行うことによって、血液は動脈の病変部、例えば太ももの大腿動脈の一部や膝の膝窩動脈の一部を迂回することになります。合成素材のチューブか他の部位の静脈の一部を、閉塞部位の前後の動脈につなぎ合わせます。

脚のバイパス術

まれに、脚の一部が壊死した場合や、その領域への血流を回復できるよい方法がない場合には、脚の切断が必要になります。脚の切断は、感染組織を取り除くため、長期間続く痛みを軽減するため、または壊疽の悪化を止めるために行われます。外科医はできるだけ切断部分を最小限にとどめます。義足を装用するには、膝の関節を残しておくことが特に重要です。脚の切断後は、リハビリテーションが重要になります。

その他の治療

寒気に曝露すると、血管が狭くなり(収縮)、組織に送られる血液がさらに制限されるため、最小限にとどめるべきです。

血管を収縮させる薬剤の使用を避けることも重要です。該当する薬剤としては、エフェドリン、プソイドエフェドリン、フェニレフリンなどがあり、これらは副鼻腔の閉塞やかぜに対する一部の医薬品に成分として含まれています。

現在、血流が顕著に不足している人の脚に幹細胞を注入する研究が進められています。幹細胞により新たな血管の形成が促進され、切断の必要性が減る可能性があります。

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