末梢動脈疾患という用語は、たいていの場合、 動脈硬化 動脈硬化 アテローム性動脈硬化とは、太い動脈や中型の動脈の壁の中に主に脂肪で構成されるまだら状の沈着物(アテロームあるいはアテローム性プラーク)が形成され、それにより血流が減少ないし遮断される病気です。 アテローム性動脈硬化は、動脈の壁が繰り返し損傷を受けることによって引き起こされます。... さらに読む による脚の動脈の血流不足を指して用いられます。しかし、脚以外の動脈、例えば腕でも起こることがあり、また、別の原因によることもあります。脳へ血液を供給する動脈の病気は、 脳血管疾患 脳卒中の概要 脳卒中は、脳に向かう動脈が詰まったり破裂したりして、血流の途絶により脳組織の一部が壊死し(脳梗塞)、突然症状が現れる病気です。 脳卒中のほとんどは虚血性(通常は動脈の閉塞によるもの)ですが、出血性(動脈の破裂によるもの)もあります。 一過性脳虚血発作は虚血性脳卒中と似ていますが、虚血性脳卒中と異なり、恒久的な脳損傷が起こらず、症状は1時間... さらに読む として末梢動脈疾患とは分けて考えられています。また、腹部の動脈の血流が減少する病気も、 腹部大動脈の分枝の閉塞 腹部大動脈の分枝の閉塞 腹部大動脈の分枝の閉塞とは、腹部で大動脈から枝分かれした太い動脈の1つがふさがったり狭くなったりした状態です。 大動脈の分枝は、動脈硬化、動脈の壁の筋肉の異常増殖(線維筋性異形成)、血栓、その他の病気によってふさがる(閉塞)することがあります。 閉塞が起きると、閉塞した動脈から血液の供給を受けていた領域において、血流の不足に関連した症状(... さらに読む として分けて考えられています。
原因
末梢動脈疾患には以下の2つがあります。
末梢閉塞性動脈疾患は、動脈が何らの物体によって物理的に狭くなったり詰まったりすることで発生します。最も一般的な原因は、動脈が硬くなる 動脈硬化 動脈硬化 アテローム性動脈硬化とは、太い動脈や中型の動脈の壁の中に主に脂肪で構成されるまだら状の沈着物(アテロームあるいはアテローム性プラーク)が形成され、それにより血流が減少ないし遮断される病気です。 アテローム性動脈硬化は、動脈の壁が繰り返し損傷を受けることによって引き起こされます。... さらに読む です。末梢閉塞性動脈疾患の別の例として、 線維筋性異形成 線維筋性異形成 線維筋性異形成は、動脈壁が異常に厚くなる病気で、動脈硬化や炎症とは関連しませんが、動脈の狭窄や閉塞を引き起こします。 線維筋性異形成は、 閉塞性の末梢血管疾患の一種です。 線維筋性異形成は、通常は40~60歳の女性に発生します。原因は不明です。しかし、おそらく遺伝的要素があり、喫煙は危険因子であると考えられます。線維筋性異形成は、特定の結... さらに読む があります。
機能性の末梢動脈疾患では、動脈が正常に機能しないため、血流が減少します。機能障害には通常、血管の壁の中にある筋肉の突然の異常収縮(けいれん)が関与しています。けいれんにより一時的に血管が狭くなり、血流が減少します。さらにまれですが、血管の壁の中の筋肉が異常に弛緩することで、血管が拡張する結果、この病態が生じることもあります。機能性末梢血管疾患の例としては、 肢端チアノーゼ 肢端チアノーゼ 肢端チアノーゼは機能性の末梢動脈疾患の一種で、通常は寒さや精神的ストレスに対する反応として皮膚の細い血管にけいれんが起きることにより、両手のほか、まれに両足が持続的に青く変色し、痛みは伴いません。 ( 機能性の末梢動脈疾患の概要も参照のこと。) 肢端チアノーゼは通常は女性に起こります。手と手指または足と足指が冷たく感じられ、青みがかった色... さらに読む 、 肢端紅痛症 肢端紅痛症 肢端紅痛症とは、皮膚の細動脈が周期的に拡張して、焼けつくような痛みや熱感を引き起こし、足と、より頻度は低いものの手が赤くなる、まれな症候群です。 肢端紅痛症は 機能性の末梢動脈疾患の一種です。通常、肢端紅痛症の原因は不明です。原因不明の肢端紅痛症は、20歳以上で発生する傾向があります。まれにみられる遺伝性の肢端紅痛症は、出生時や小児期に発... さらに読む 、 レイノー症候群 レイノー症候群 レイノー症候群は、 機能性の末梢動脈疾患の一種で、寒さに対する反応として起きる細い動脈(細動脈)の狭窄(収縮)が正常時より強くなる状態であり、通常は手足の指の細動脈が侵されます。 細い動脈の収縮によって、手足の指が青白くなったり、しびれやチクチクした感覚が生じたりします。 多くの場合、診断は症状に基づいて下されます。... さらに読む
などが挙げられます。