(心臓弁膜症の概要 心臓弁膜症の概要 心臓弁は、4つの心腔(心臓の上部にある比較的小さな丸い空洞である左右の心房と、心臓の下部にある比較的大きな円錐形の空洞である左右の心室)を通過する血液の流れを制御しています。それぞれの心室には、その入口側と出口側に、一方向に開く弁が1つずつあります。それぞれの弁は複数の薄い組織(弁尖)で構成され、一方向だけに開閉できるようになっています。... さらに読む も参照のこと。)
肺動脈弁は、右心室と肺につながる血管(肺動脈)の間の開口部にあります。肺動脈弁は、右心室が収縮し、肺に血液を送り出す際に開きます。特定の病気により弁の開口部が狭くなります(狭窄)。
肺動脈弁狭窄症は成人ではまれであり、通常は 先天異常 心臓の異常の概要 約100人に1人は心臓に異常をもって生まれます。重症の場合もありますが、多くはそうではありません。心臓の異常には心臓壁、弁、心臓に出入りする血管の異常形成などがあります。 哺乳不良、呼吸困難、青みがかった皮膚、正常に発育しない、あるいは正常に運動できない、速い心拍、失神のほか、乳児が成長するに従って運動中の胸痛といった症状がみられます。... さらに読む によって起こります。狭窄が重度の場合は、大きな心雑音が生じることから、通常は小児期に診断されます。重度の肺動脈弁狭窄症では、小児期に 心不全 心不全(HF) 心不全とは、心臓が体の需要を満たせなくなった状態のことで、血流量の減少や静脈または肺での血液の滞留(うっ血)、心臓の機能をさらに弱めたり心臓を硬化させたりする他の変化などを引き起こします。 心不全は心臓の収縮や弛緩が不十分になることで発生しますが、これらの変化は一般的に、心筋が弱ったり硬くなったりすることが原因で起こります。... さらに読む を起こすこともありますが、通常は成人期まで症状はみられません。
症状は、胸痛(狭心症)、息切れ、失神などです。
診断
身体診察
心エコー検査
聴診では、肺動脈弁狭窄症に特有の心雑音が聞こえます。
治療
バルーン弁形成術
症状がみられるか、心エコー検査で高度の狭窄が認められた場合には、バルーン弁形成術を行うことがあります。この手法では、先端にバルーンの付いたカテーテルを静脈から心臓内にまで挿入し、弁の開口部を拡張して開きます。弁の内部に到達したら、バルーンを膨らませて癒着した弁尖を分離します。まれに、肺動脈弁を生体弁に置換することもあります。