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心筋炎

執筆者:

Brian D. Hoit

, MD, Case Western Reserve University

最終査読/改訂年月 2017年 9月
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心筋炎とは、心臓の筋肉組織(心筋)に炎症が起きた状態であり、組織の壊死につながります。

  • 心筋炎は、感染症、心臓に影響を与える毒素や薬剤、サルコイドーシスといった全身性疾患など、様々な病気によって引き起こされる可能性がありますが、原因が分からないこともよくあります。

  • 症状は様々ですが、疲労、息切れ、腫れ(浮腫)、心拍の自覚(動悸)、突然死などがみられます。

  • 診断は、心電図検査、心筋バイオマーカーの測定、心臓の画像検査、および心筋生検の結果に基づいてなされます。

  • 治療は原因によって異なり、心不全や不整脈の治療薬を使用したり、まれに手術を行ったりすることもあります。

炎症は心筋全体に広がる場合もあれば、一部の領域にとどまる場合もあります。炎症が心膜(心臓を包んでいる柔軟な2層の袋状の膜)に及ぶと、心筋心膜炎になります。心筋炎の重症度や心膜への波及の程度によって、どのような症状が現れるかが決まります。心臓全体に広がった炎症は心不全不整脈、ときに心臓突然死を引き起こす可能性があります。炎症の範囲が小さければ、心不全になる可能性は低くなりますが、それでも不整脈や心臓突然死が起きる可能性があります。心膜に炎症が波及すると、胸痛をはじめとする、心膜炎の典型的な症状が現れます。症状がまったくない人もいます。

心筋炎の原因

心筋炎は、感染によって起こる場合と、感染以外の原因によって起こる場合があります。原因が特定できない場合(特発性)もよくあります。

米国や他のほとんどの先進国では、感染に起因する心筋炎(感染性心筋炎)の原因として最も多いのはウイルス感染です。米国で最もよくみられる原因ウイルスは、パルボウイルスB19とヒトヘルペスウイルス6型です。発展途上国では、感染性心筋炎はリウマチ熱シャーガス病、またはエイズによって引き起こされることが多くなっています。

感染症以外の原因としては、心臓に有害な物質(アルコールやコカインなど)、特定の薬剤、一部の自己免疫性疾患や炎症性疾患などがあります。薬剤によって引き起こされる心筋炎は、過敏性心筋炎と呼ばれます。

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心筋炎の原因

原因

自己免疫疾患

細菌感染症

心毒性

アルコール

コカイン

薬剤

クロザピン

ペニシリン系

一部の利尿薬

真菌感染症

特発性

炎症性疾患

寄生虫感染症

放射線療法

ウイルス感染症

コクサッキーB群ウイルス

HIV

ヒトヘルペスウイルス6型

ヒトパルボウイルスB19

巨細胞性心筋炎

巨細胞性心筋炎は、急速に発症する重症型のまれな心筋炎です。原因は不明ですが、自己免疫が関与している可能性があります。診断のため生検が行われます。巨細胞性心筋炎になると、心臓が突然、体の機能を支えるのに十分な血液を送り出すことができなくなります(心原性ショックと呼ばれます)。患者の多くには、是正するのが難しい不整脈もみられます。巨細胞性心筋炎の経過の見通し(予後)は不良ですが、免疫抑制療法が生存期間の延長に役立つ可能性があります。

心筋炎の症状

症状はごくわずかの場合もあれば、重度の急速に進行する心不全や重度の不整脈がみられる場合もあります。症状は炎症の程度と重症度だけでなく、心筋炎の原因によっても異なります。

心不全の症状としては、疲労感、息切れ、腫れ(浮腫)などがあります。

心拍の自覚(動悸)や失神がみられることもあります。一部の人では、最初の症状が突然始まる重度の不整脈であることもあります。

心筋炎に加えて心膜の炎症が起こると、胸痛が現れることがあります。鈍い痛みまたは鋭い痛みが、首、背中、または肩に広がる可能性があります。痛みは軽度から重度まで様々です。心膜炎による胸痛は通常、せき、呼吸、嚥下(食べものを飲み込む動作)など、胸部の動きによって悪化します。座ったり前かがみになったりすると、痛みが和らぐことがあります。

感染性心筋炎の患者では、心筋炎を発症する前に、発熱や筋肉痛などの感染症の症状がみられることがあります。薬剤に関連した心筋炎(過敏性心筋炎)は発疹を伴うことがあります。リンパ節が腫れる場合もあります。

心筋炎には急性、亜急性、慢性のものがあります。心筋炎が拡張型心筋症につながるケースもあります。

心筋炎の診断

  • 心電図検査と心筋マーカーの測定

  • 心臓の画像検査

  • ときに心内膜心筋生検

  • 原因を特定するための検査

ほかの点では健康で、心臓病の危険因子もない人に心不全または不整脈がみられる場合、医師は心筋炎を疑います。

心臓の異常の所見を探すために、心電図検査を行います。

血液中の心筋マーカー(心臓が損傷を受けたときに存在する物質)の濃度を測定します。

心筋炎があれば、心エコー検査で異常がみられます。

心筋炎がある場合、心臓MRI検査で特徴的な異常パターンが認められることがあります。

心内膜心筋生検は、心臓の内壁から組織のサンプルを採取して顕微鏡で調べる検査ですが、心筋炎と確認するためにこの検査を行うことがあります。ただし、診断は異常がある部分から組織サンプルを採取する医師に依存するため、心内膜心筋生検は必ずしも心筋炎の診断に最良の検査ではありません。したがって、心内膜心筋生検で心筋炎の証拠が認められれば診断が確定しますが、組織サンプルに心筋炎の特徴がみられないからといって、この病気の可能性を否定することはできません。さらに、心内膜心筋生検は心臓壁の裂傷や死亡など重度の合併症のリスクを伴うため、巨細胞性心筋炎が疑われる場合(巨細胞性心筋炎は迅速な治療が救命につながることがあります)や、心筋炎が原因で心不全や不整脈が起きている場合を除き、この検査を決まって行うわけではありません。

原因の診断

心筋炎と診断できたら、原因を特定するための検査を行います。それまでは健康だったウイルス感染と心筋炎がみられる若年成人の患者であれば、通常は詳細な評価は必要ありません。

過敏性心筋炎の患者では、特定の白血球(好酸球)が増加していますが、好酸球を検出するのに血算という検査が役に立ちます。

心筋炎は症状が心臓発作に似る場合があるため、心筋虚血(心臓への血流が減少した状態)の可能性を否定するための心臓カテーテル検査が役立つことがあります。

その他のケースでは、診断を確定するために心臓の生検が必要になることがあります。

自己免疫疾患、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症、ヒストプラズマ症、その他の感染症の検査など、その他の検査が必要になることもあります。

心筋炎の治療

  • 心不全と不整脈の治療

  • 基礎にある病気の治療

心不全の治療としては、症状を軽減するために利尿薬や硝酸薬などを使用します。心不全のある一部の症例では、左室補助人工心臓(LVAD)の装着や心臓移植といった手術が必要になることがあります。心不全の長期にわたる薬物治療が必要です。

不整脈は抗不整脈薬で治療します。不整脈が持続する場合は、ときにペースメーカーが必要になります。

心筋炎の原因が感染症である場合は、ときに抗菌薬やその他の感染症治療薬を使用します。

心筋炎の原因が薬剤や毒素である場合は、原因物質の使用を中止した上で、コルチコステロイドを投与します。

巨細胞性心筋炎は、コルチコステロイドと免疫抑制療法で治療します。

サルコイドーシスによる心筋炎は、コルチコステロイドで治療します。

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