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血精液症

執筆者:

Anuja P. Shah

, MD, David Geffen School of Medicine at UCLA

最終査読/改訂年月 2017年 9月
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血精液症(精液中に精子とともに血液が混入すること)は、不安にさせる症状ですが、通常は重篤な異常の徴候ではありません。血精液症は、通常はがんの徴候ではなく、性機能にも影響を及ぼしません。

精液は、精巣上体からの精子と精嚢、前立腺、小さな粘液腺(精子に栄養を与える体液を供給する)からの体液で構成されています。そのため、これらの構造のいずれかが損傷すれば血液の混入が起こる可能性があります。(尿路症状の概要 尿路症状の概要 腎臓や尿路の病気(腎・泌尿器疾患)とは、腎臓(片側または両側)、尿管(片側または両側)、膀胱、尿道、さらに男性では前立腺、精巣(片側または両側)、精巣上体に生じる病気を指します。 尿路の病気の中には、問題が深刻化するまで症状が現れにくいものもあります。具体的には以下のものがあります。... さらに読む も参照のこと。)

原因

血精液症がみられる状況で最も多いのは以下のものです。

  • 特発性:すなわち警告となる徴候なしに発生し、原因を特定できないケース

このようなケースでは、数日から数カ月間で自然に解消されます。

最も一般的な原因は以下のものです。

あまり一般的でない原因としては、前立腺肥大症 前立腺肥大症 前立腺肥大症とは、前立腺が大きくなる良性の病気で、排尿が困難になることがあります。 前立腺は年齢とともに大きくなります。 排尿が困難になることがあり、尿意がより頻繁に、より切迫して感じるようになることがあります。 通常、診断は直腸診の結果に基づいて下されますが、前立腺がんがないか確認するために血液サンプルを採取することもあります。... さらに読む (前立腺が大きくなる良性の病気)、感染症(前立腺炎 前立腺炎 前立腺炎では、前立腺に痛みと腫れ、炎症、またはそれらの両方が生じます。 細菌感染が原因で発症することがあります。 陰嚢と肛門の間の部分や腰、陰茎、精巣に痛みが生じます。 切迫した尿意を頻繁に催し、排尿、勃起、射精、排便の際に痛みを感じることがあります。 尿と、ときに前立腺から分泌される体液を培養します。 さらに読む 尿道炎 尿道炎 尿道炎は、尿が膀胱から体外に排出されるまでに通過する管である尿道の感染症です。 尿道炎の最も一般的な原因は細菌(性行為によって感染するものも含む)です。 症状としては、排尿時の痛み、頻尿、尿意切迫などが挙げられ、ときに分泌物もみられます。 通常、感染の治療には抗菌薬を投与します。 (尿路感染症の概要も参照のこと。) さらに読む 精巣上体炎 精巣上体炎と精巣精巣上体炎 精巣上体炎とは精巣上体(精巣の上にあるコイル状の管で、精子が成熟するための空間と環境を作っている)の炎症のことで、精巣精巣上体炎とは精巣上体と精巣の両方に炎症が生じた場合のことをいいます。 患部の腫れと圧痛や痛みがみられます。 精巣上体炎と精巣精巣上体炎の診断は、身体診察と尿検査のほか、ときにドプラ超音波検査を行うことで下されます。... さらに読む など)、前立腺がん 前立腺がん 前立腺がんのリスクは年齢とともに高くなります。 排尿困難、頻尿や急な尿意、血尿などの症状は通常、がんが進行するまで現れません。 この種のがんは転移する可能性があり、最も転移しやすい部位は骨とリンパ節です。 スクリーニング検査には議論の余地がありますが、症状のない男性で前立腺がんの可能性をチェックするためには、手袋をはめた指で直腸内から前立腺を診察する直腸指診や血液検査(PSA)を行います。... さらに読む 前立腺がん (35~40歳以上の男性)などがあります。ときに、精嚢や精巣に腫瘍がある場合に血精液症がみられることがあります。尿道または精管(精巣と尿道をつなぐ管)に異常な血管のかたまり(血管腫 血管腫 血管腫は、血管が異常増殖してできる腫瘍で、皮膚の中や体内の他の部分で発生し、赤色または紫色のかたまりに見えます。 (皮膚の良性腫瘍の概要と脈管の増殖と奇形の概要も参照のこと。) 乳児期の血管腫は非常によくみられます。中年以降にも、特に体幹に生じることがあります。 この種の血管腫は乳児期の腫瘍として最も多いものであり、生後1年までの乳児の10~12%にみられます。乳児の血管腫は、生後すぐにできて1年の間に急速に大きくなり、12~18カ月後... さらに読む 血管腫 )があると、精液中に多量の血液が混ざる場合があります。

ビルハルツ住血吸虫 Schistosoma haematobiumは、アフリカおよびインドと中東の一部で広く感染症を引き起こしている寄生虫で、尿路に侵入して、血尿やしばしば精液への血液の混入を引き起こすことがあります。これらの地域に滞在したことがない男性では、住血吸虫症 住血吸虫症 住血吸虫症は、住血吸虫という扁形動物(吸虫)による感染症です。 この吸虫がいる水場(淡水)で泳いだり、水浴びをしたりすることで住血吸虫症に感染します。 症状はかゆみを伴う発疹が現れ、その数週間後に発熱、悪寒、筋肉痛、疲労、吐き気、腹痛のほか、感染した臓器に応じた症状が現れます。 便または尿のサンプル中に虫卵を特定することで住血吸虫症の診断が確定します。 この感染症の治療にはプラジカンテルが使用されます。 さらに読む の可能性は低くなります。結核 結核 結核は、空気感染する細菌である結核菌 Mycobacterium tuberculosisによって引き起こされる、感染力の強い慢性感染症です。通常は肺が侵されます。 結核に感染するのは、主に活動性結核の患者によって汚染された空気を吸い込んだ場合です。 最もよくみられる症状はせきですが、発熱や寝汗、体重減少、体調不良を感じることもあります。... さらに読む 結核 によって血精液症が起こる場合もあります。

評価

血精液症は不安にさせる症状ですが、通常は重篤なものではなく、直ちに診察を受ける必要はありません。以下では、どのようなときに医師の診察を受ける必要があるか、また受けた場合に何が行われるかについて説明しています。

警戒すべき徴候

特定の症状や特徴に注意が必要です。具体的には以下のものがあります。

  • 1カ月以上持続する出血(前立腺生検を最近受けた場合は除く)

  • 陰嚢内に触れることのできるしこり

  • 住血吸虫症の流行地域への旅行

受診のタイミング

警戒すべき徴候がみられる男性は、医師の診察を受ける必要があります。時期は重要ではなく、1週間程度の遅れは問題になりません。警戒すべき徴候がなく、年齢が35歳未満の場合は、陰嚢の痛み 陰嚢痛 陰嚢(精巣を包んで保護している袋)の痛みは、新生児から高齢者まで、あらゆる年齢の男性で起こる可能性があります。精巣は非常に感受性が高いため、軽度のけがでも痛みや不快感を起こす可能性があります。 (尿路症状の概要を参照のこと。) 痛みは精巣に直接関連しているか、陰嚢、鼠径部、腹部の病気によって起こる場合があります。 突然の陰嚢痛の最も一般的な原因としては以下のものがあります。 精巣のねじれ(精巣捻転) さらに読む や鼠径部の痛みまたは排尿時の痛み 排尿時の痛みまたは灼熱感 排尿時の灼熱感または痛み(排尿困難)は、尿道口または(まれに)膀胱の全体(骨盤内[恥骨のすぐ上の下腹部])にわたって感じられます。排尿時の灼熱感または痛みは、成人女性で極めて一般的な症状ですが、成人男性でも起こる可能性があり、年齢を問わず発生します。 (尿路症状の概要も参照のこと。) 排尿時の灼熱感または痛みは、典型的には尿道または膀胱の炎症が原因です。女性では、腟または腟開口部周囲の炎症(外陰腟炎)が尿に触れることで痛みを生じる可能性... さらに読む などの他の症状がなければ、医師の診察は必要ありません。警戒すべき徴候がなく、年齢が35歳以上の場合は、数週間内に医師の診察を受ける必要があります。

医師が行うこと

医師はまず、症状と病歴について質問します。次に身体診察を行います。病歴聴取と身体診察で得られた情報から、多くの場合、血液混入の原因と必要になる検査を推測することができます。

医師は以下のことを質問します。

診察では、性器の発赤、しこり、圧痛がないかを調べます。直腸指診を行い、前立腺の肥大、圧痛、しこりがないかを調べます。

しばしば、病歴聴取と診察を行うだけで、可能性の高い原因を判断することができます。例えば、以下のような情報は手がかりを与えてくれます。直腸指診で前立腺の異常がみつかった場合、前立腺がん 前立腺がん 前立腺がんのリスクは年齢とともに高くなります。 排尿困難、頻尿や急な尿意、血尿などの症状は通常、がんが進行するまで現れません。 この種のがんは転移する可能性があり、最も転移しやすい部位は骨とリンパ節です。 スクリーニング検査には議論の余地がありますが、症状のない男性で前立腺がんの可能性をチェックするためには、手袋をはめた指で直腸内から前立腺を診察する直腸指診や血液検査(PSA)を行います。... さらに読む 前立腺がん 前立腺肥大症 前立腺肥大症 前立腺肥大症とは、前立腺が大きくなる良性の病気で、排尿が困難になることがあります。 前立腺は年齢とともに大きくなります。 排尿が困難になることがあり、尿意がより頻繁に、より切迫して感じるようになることがあります。 通常、診断は直腸診の結果に基づいて下されますが、前立腺がんがないか確認するために血液サンプルを採取することもあります。... さらに読む 前立腺炎 前立腺炎 前立腺炎では、前立腺に痛みと腫れ、炎症、またはそれらの両方が生じます。 細菌感染が原因で発症することがあります。 陰嚢と肛門の間の部分や腰、陰茎、精巣に痛みが生じます。 切迫した尿意を頻繁に催し、排尿、勃起、射精、排便の際に痛みを感じることがあります。 尿と、ときに前立腺から分泌される体液を培養します。 さらに読む など前立腺の病気がある可能性が高くなります。尿道の分泌物が認められる男性であれば、多くの場合、尿道炎によるものです。精巣上体に圧痛があれば、精巣上体炎の可能性が高くなります。しかし、このような異常があっても、必ずしもそれが血精液症の原因とは限りません。例えば、ほとんどの高齢男性には前立腺肥大症がありますが、そのうち血精液症がみられる人はごくわずかです。

出血の持続期間が1カ月未満で、住血吸虫症の流行地域に行ったことがなく、警戒すべき徴候や検査での異常が認められない場合は、原因を特定できないのが通常です。

検査

ほとんどの場合、特に35~40歳未満の場合や前立腺の生検を最近受けた男性では、血精液症は重篤ではなく、自然に消失します。通常は尿検査 尿検査と尿培養検査 尿検査は、検尿とも呼ばれ、腎疾患や尿路疾患の評価で必要になる場合があります。通常、尿のサンプルは中間尿採取法など、雑菌が混入しない方法(無菌法)で採取されます。例えば、汚染のないきれいな尿サンプルを採取する方法として、カテーテルを尿道から膀胱まで挿入する方法もあります。 尿培養は、採取した尿のサンプルに含まれる細菌を検査室で増殖させる検査で、尿路感染症を診断する際に行われます。尿培養は通常の尿検査には含まれません。尿サンプルの採取には、... さらに読む 尿検査と尿培養検査 尿培養検査 尿検査と尿培養検査 尿検査は、検尿とも呼ばれ、腎疾患や尿路疾患の評価で必要になる場合があります。通常、尿のサンプルは中間尿採取法など、雑菌が混入しない方法(無菌法)で採取されます。例えば、汚染のないきれいな尿サンプルを採取する方法として、カテーテルを尿道から膀胱まで挿入する方法もあります。 尿培養は、採取した尿のサンプルに含まれる細菌を検査室で増殖させる検査で、尿路感染症を診断する際に行われます。尿培養は通常の尿検査には含まれません。尿サンプルの採取には、... さらに読む 尿検査と尿培養検査 を行います。さらなる検査は、感染症やその他の病気を示唆する泌尿器症状がない限り、通常は必要ありません。しかし、重篤化する可能性がある特定の病気が疑われる場合は、さらに検査が行われ、例えば、40歳以上の男性には前立腺がんの検査を広く行っている医師もいます。

具体的な検査としては、前立腺特異抗原(PSA)検査や経直腸的超音波検査などがあります。ときに、MRI(磁気共鳴画像)検査と膀胱鏡検査(柔軟性のある観察用の細い管状の機器を尿道から挿入し、尿道と膀胱の内部を調べる検査)が必要になります。精液の観察と分析はまれにしか行われません。

治療

原因が判明している場合は、原因の治療を行います。しばしば治療は不要の場合もあり、血液は自然に消失します。

要点

  • ほとんどの場合、出血の原因は特定できないか、前立腺の生検後に起きた出血です。

  • 血精液症は、通常はがんの徴候ではなく、性機能にも影響を及ぼしません。

  • より詳細な評価が必要になるのは、症状が1カ月以上続いている男性、40歳以上の男性、異常な所見がみつかった男性などです。

  • アフリカ、インド、中東の一部に旅行した男性では、住血吸虫症の検査が必要になることがあります。

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