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糸球体疾患の概要

執筆者:

Navin Jaipaul

, MD, MHS, Loma Linda University School of Medicine

最終査読/改訂年月 2018年 7月
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腎臓には、血液のろ過を担っている糸球体と呼ばれる組織が左右でそれぞれ約100万個ずつ存在します。糸球体は、小さな穴が開いた微細な血管(毛細血管)で形成された顕微鏡レベルの微小なかたまりです。この微細な血管は、内部を流れる血液中の水分が周囲に漏れ出るようにできていて、漏れ出た水分は尿細管という微細な管に流れ込みます。尿細管は化学物質やその他の物質を分泌したり吸収したりして、この水分から尿を作ります。尿は、その後、尿細管から次第に大きな管を通って、最終的に腎臓から流れ出します。正常な状態では、このろ過の仕組みによって水分と小さな分子だけが尿細管に漏出します(タンパクや血液の細胞[血球]はほとんど漏出しません— 無症候性タンパク尿・血尿症候群)。腎臓の病気は、腎臓の中で異常が発生する部位とその発生の仕組みによって、次の3種類に分類することができます。

  • 糸球体腎炎(または腎炎症候群)は、糸球体に炎症が起きることで血球やタンパクが糸球体の毛細血管から尿中に漏れ出てしまう病気で、ときに遺伝することがあります(その場合は遺伝性腎炎と呼ばれます)。

  • 糸球体の毛細血管が損傷を受けることで、タンパクが尿中に漏れ出てしまうと、ネフローゼ症候群が発生します。

  • 尿細管間質性腎炎は、尿細管やその周辺の組織(間質)に炎症が起きる病気です。

一部の病気は、糸球体腎炎とネフローゼ症候群の両方の特徴を有しています。

尿が膀胱から腎臓に逆流することから逆流性腎症と呼ばれる別の病気では、尿路感染症のリスクが高まるとともに、腎臓に炎症や瘢痕化(はんこんか)が起きる可能性があります。

尿路の構造

尿路の構造

糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、尿細管間質性腎炎は特定の病気の名前ではなく、それぞれ病気のカテゴリーの名前です。これらのカテゴリーにはそれぞれ多くの病気が含まれ、各カテゴリーの病気は数多くの特定の病態によって引き起こされます。例えば、膜性増殖性糸球体腎炎は、腎臓のろ過機能を担う細胞に炎症が起きる病気で、免疫反応によって引き起こされます。その免疫反応は、全身性エリテマトーデスなどのいくつかの自己免疫疾患や感染症、さらにはがんによっても起こる可能性があります。

糸球体腎炎では、多くの場合、異常な免疫反応が原因で炎症が発生します。そのような反応の発生の仕方には2種類があります。

  • 抗体(抗原と呼ばれる特定の分子を攻撃するために体内で作られるタンパク)が腎臓の細胞やそれに取り込まれた分子に直接結合する結果、炎症が起きる。

  • 抗体が腎臓の外部で抗原に結合し、この抗原と抗体の複合体(免疫複合体)が血流に乗って腎臓まで運ばれた後、糸球体に捕捉されて炎症を引き起こす。

相当数の糸球体が損傷を受けると、腎臓の機能が低下します。その結果、作られる尿の量が減少し、血液中に老廃物が蓄積されます。また損傷がひどくなると、炎症細胞や傷ついた糸球体の細胞が蓄積し、糸球体の毛細血管が圧迫されて、血液のろ過が妨げられます。瘢痕(はんこん)と呼ばれる線維性の組織が形成されると、腎機能が損なわれ、作られる尿の量が減少します。人によっては、細い血管の中に小さな血液のかたまり(微小血栓)が形成され、これが腎機能のさらなる低下を引き起こす場合もあります。まれですが、遺伝性の病気が原因で糸球体腎炎が発生する場合もあります。そのほかにも、糸球体腎炎は血管の炎症(血管炎)によっても発生します。

ネフローゼ症候群では、大量のタンパクが血液から尿中に漏れ出ていきます。このタンパクの漏出につながる糸球体の損傷は、炎症が原因の場合もあれば、炎症とは無関係の場合もあります。炎症が原因の場合は、尿中に赤血球が認められます。そのため、炎症によって引き起こされたネフローゼ症候群には、糸球体腎炎と類似した特徴が認められます。炎症以外が原因の場合は、尿中に赤血球は認められません。一部のネフローゼ症候群は重症化することがあります。その場合には、糸球体が線維化して瘢痕組織が形成され、腎不全(腎機能がほぼ失われた状態)へと発展します。比較的軽度のネフローゼ症候群では、腎機能の低下はごくわずかに限られます。

尿細管間質性腎炎は、多くの場合、薬剤に対する中毒反応やアレルギー反応によって引き起こされます。影響を受けた腎臓を観察すると、白血球や瘢痕組織が認められます。腎臓の感染症(腎盂腎炎)も尿細管間質性腎炎の原因になる可能性があります。尿細管とその周辺の組織が炎症によって損傷を受けると、腎臓が正常な機能を維持できなくなり、例えば尿の濃縮ができなくなると、尿が過度に薄くなってしまいます。ほかにも、老廃物を体外に排出(排泄)できなくなったり、酸やナトリウム、その他の電解質(カリウムなど)が排出されるバランスを調節できなくなったりします。組織の損傷がひどく、なおかつ両方の腎臓が障害された場合には、腎不全となります。

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