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神経因性膀胱

執筆者:

Patrick J. Shenot

, MD, Thomas Jefferson University Hospital

最終査読/改訂年月 2018年 9月
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神経因性膀胱は、脳卒中、脊髄損傷、腫瘍などの神経の異常によって膀胱をコントロールできなくなった状態です。

  • 最も重要な症状は尿失禁(排尿をコントロールできない状態)です。

  • 膀胱カテーテルの挿入、画像検査、および尿の流れを測定する検査を行います。

  • 治療の目標は、膀胱を定期的に空にすることです(間欠的導尿または薬の使用などによって)。

神経因性膀胱は以下のように分類されます。

  • 弛緩性:弛緩性の神経因性膀胱では、膀胱が収縮せず、限界を超えるまで膀胱に尿が充満した後、尿が漏れ出します。

  • けい性:不随意な膀胱収縮が発生し、膀胱内の尿がほとんどないか、まったくない場合にも尿意を感じます。典型的には、膀胱の収縮と膀胱の開口部を閉鎖する筋肉(尿道括約筋)の協調がうまくとれていません。

  • 混合型:弛緩性とけい性の両方の要素がみられる場合もあります。

膀胱または膀胱出口をコントロールする神経に損傷を加えたり干渉したりする病態は、いずれも神経因性膀胱を引き起こす可能性があります。

一般的な原因としては、脳卒中 脳卒中の概要 脳卒中は、脳に向かう動脈が詰まったり破裂したりして、血流の途絶により脳組織の一部が壊死し(脳梗塞)、突然症状が現れる病気です。 脳卒中のほとんどは虚血性(通常は動脈の閉塞によるもの)ですが、出血性(動脈の破裂によるもの)もあります。 一過性脳虚血発作は虚血性脳卒中と似ていますが、虚血性脳卒中と異なり、恒久的な脳損傷が起こらず、症状は1時間... さらに読む 脊髄の損傷または外傷 脊椎および脊髄の損傷 脊髄損傷のほとんどは自動車事故、転倒や転落、暴行、スポーツ外傷が原因です。 症状は感覚の消失、筋力の消失や、腸、膀胱、性機能の喪失などで、これらの症状は一時的なことも永久的なこともあります。 損傷を特定するには、MRI検査(軟部組織、脊髄、靱帯の損傷を評価するため)、CT検査(骨の損傷を評価するため)、またはその両方を用いるのが最善の方法... さらに読む 脊椎および脊髄の損傷 筋萎縮性側索硬化症 筋萎縮性側索硬化症(ALS)とその他の運動ニューロン疾患(MND) 運動ニューロン疾患は、筋肉の運動を開始させる神経細胞が進行性に変性することを特徴とします。その結果、これらの神経に刺激されていた筋肉も萎縮し、正常に機能しなくなります。 筋萎縮性側索硬化症(ルー・ゲーリッグ病)は、最も一般的な運動ニューロン疾患です。 通常は、筋力の低下や萎縮が起こって、動きが固くなり、ぎこちなくなります。 医師は主に診察結果からこの病気を疑い、筋電図検査、神経伝導検査、MRI検査、血液検査の結果を参考にして診断を確定し... さらに読む (ALS)、パーキンソン病 パーキンソン病 パーキンソン病は、中枢神経系(脳と脊髄)の特定の領域がゆっくりと進行性に変性していく病気です。特徴として、筋肉が安静な状態にあるときに起こるふるえ(安静時振戦)、筋肉の緊張度の高まり(こわばり、筋強剛)、随意運動が遅くなる、バランス維持の困難(姿勢不安定)などがみられます。多くの患者では、思考が障害され、認知症が発生します。 パーキンソン病は、動きを協調させている脳領域の変性によって起こります。... さらに読む パーキンソン病 多発性硬化症 多発性硬化症(MS) 多発性硬化症では、脳、視神経、脊髄の髄鞘(ずいしょう)(ほとんどの神経線維を覆っている組織)とその下の神経線維が、まだら状に損傷または破壊されます。 原因は解明されていませんが、免疫系が自分の体の組織を攻撃する現象(自己免疫反応)が関与していると考えられています。 多発性硬化症の患者のほとんどは、健康状態が比較的良好な期間と症状が悪化する期間を交互に繰り返しますが、時間の経過とともに、多発性硬化症は徐々に悪化していきます。... さらに読む 糖尿病性神経障害 糖尿病における神経障害 糖尿病では、体の様々な部位に重篤で長期に及ぶ多くの合併症がみられます。 (糖尿病も参照のこと。) 糖尿病には、以下の2つの種類があります。 1型 2型 さらに読む 糖尿病における神経障害 、骨盤内手術によって引き起こされた神経損傷などがあります。

症状

最も重要な症状は尿失禁 成人の尿失禁 尿失禁とは、自分では意図せずに尿が漏れることです。 尿失禁は、男女とも年齢を問わず起きる可能性がありますが、女性と高齢者でより多くみられ、高齢女性の約30%、高齢男性の約15%が尿失禁を起こしています。尿失禁は高齢者でより多くみられるものの、加齢に伴う正常な変化の一部ではありません。尿失禁は、利尿効果のある薬を服用した場合のように突然で一時的なこともあれば、長期にわたって持続すること(慢性)もあります。慢性の尿失禁であっても、ときに軽減... さらに読む 成人の尿失禁 です。少量の尿が持続的に放出されます。男性では勃起障害 勃起障害(ED) 勃起障害(ED)とは、性交を行うのに十分な勃起を達成または持続できないことです。 (男性の性機能障害の概要も参照のこと。) どんな男性でもときに勃起に至らない問題を抱えることがあり、そのような問題の発生は正常なことと考えられています。勃起障害は男性が次のような場合に起こります。 一切勃起できない 短い間勃起するが性交には十分な時間ではない さらに読む が起こる傾向があります。さらに一部のけい性神経因性膀胱では、頻繁に排尿する必要があり、切迫した尿意を催すことも多く、夜間に起きて排尿する必要があります。けい性神経因性膀胱のある人は、他の神経も損傷している場合があり、脚の筋力低下、筋肉のけいれん、感覚消失が起こります。

神経因性膀胱のある人は、尿路感染症 尿路感染症(UTI)の概要 健康な人では、膀胱の中にある尿は無菌(細菌などの感染性の微生物が存在しない状態)です。尿が膀胱から体外へと排出されるまでの通路(尿道)にも、感染症を引き起こす細菌はほとんど存在していません。しかし、尿路のどの部分にも感染が起こる可能性はあり、尿路で発生した感染症は尿路感染症(UTI)と呼ばれています。... さらに読む および尿路結石 尿路結石 結石は尿路のいずれかの部位で形成される硬い固形物で、痛み、出血、または尿路の感染や閉塞の原因となることがあります。 小さな結石の場合は症状がみられませんが、大きな結石が発生すると、肋骨と腰の間の部分に耐えがたい激痛が生じることがあります。 結石の診断では通常、画像検査と尿検査が行われます。... さらに読む 尿路結石 のリスクがあります。膀胱に尿が貯まることで腎臓で尿が停滞するようになると、水腎症( 水腎症:拡張した腎臓 水腎症:拡張した腎臓 尿路閉塞とは、腎臓、尿管、膀胱、尿道など、尿が通過する経路(尿路)のどこかが詰まり、尿の流れが遮断された状態のことです。 完全な閉塞(完全閉塞)と部分的な閉塞(部分閉塞)があります。 閉塞が起きると、腎傷害、腎結石、感染症などの原因になる可能性があります。 症状としては、側腹部痛、尿量の減少または増加、夜間頻尿などがあります。... さらに読む )のリスクもあります。

診断

  • 排尿後に膀胱に残った尿の量を測定する検査

  • 尿路の超音波検査

  • ときに膀胱造影検査などのより詳細な検査

神経障害がある人で尿失禁がみられる場合、神経因性膀胱が疑われます。通常、排尿後に膀胱に残った尿量(排尿後の残尿量)を、膀胱にカテーテルを挿入するか超音波検査の画像を用いて測定します。尿路全体の超音波検査を実施して異常がないか調べ、腎機能を確認するためにいくつかの血液検査を行います( 尿路の画像検査 尿路の画像検査 腎疾患または尿路疾患が疑われる場合の評価には、様々な検査が用いられます。 尿路を評価する際、X線検査は通常役に立ちません。ときに、腎結石の位置や増大をモニタリングするために用いられる程度です。 超音波検査は以下の点で有用な画像検査です。 電離放射線や造影剤の静脈内投与(ときに腎臓を損傷します)が不要である 安価に行える さらに読む )。

治療

  • カテーテル挿入(長期にわたる間欠的導尿を伴う)

  • 摂取する水分量の維持

  • まれに手術

迅速な治療により、恒久的な機能障害および腎臓の損傷を防ぐことができます。カテーテル挿入または導尿手技により、尿が膀胱内に長期にわたって滞留することを回避できます。例えば、けい性神経因性膀胱の一部の患者では、下腹部を押したり、太ももを引っ掻いたりすることで導尿が可能です。尿が膀胱にとどまる時間が長すぎると、尿路感染症 尿路感染症(UTI)の概要 健康な人では、膀胱の中にある尿は無菌(細菌などの感染性の微生物が存在しない状態)です。尿が膀胱から体外へと排出されるまでの通路(尿道)にも、感染症を引き起こす細菌はほとんど存在していません。しかし、尿路のどの部分にも感染が起こる可能性はあり、尿路で発生した感染症は尿路感染症(UTI)と呼ばれています。... さらに読む のリスクが高まります。膀胱にカテーテルを定期的に挿入する方が、カテーテルを継続的に留置するより安全です。

結石の形成を予防するため、十分な水分摂取を心がけ、食事でのカルシウムの摂取を制限することが推奨されます。また、腎機能の定期的なモニタリングが行われます。

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