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尿路感染症(UTI)の概要

執筆者:

Talha H. Imam

, MD, University of Riverside School of Medicine

最終査読/改訂年月 2018年 7月
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健康な人では、膀胱の中にある尿は無菌(細菌などの感染性の微生物が存在しない状態)です。尿が膀胱から体外へと排出されるまでの通路(尿道)にも、感染症を引き起こす細菌はほとんど存在していません。しかし、尿路のどの部分にも感染が起こる可能性はあり、尿路で発生した感染症は尿路感染症(UTI)と呼ばれています。

尿路の臓器

尿路の臓器

尿路感染症は、尿路内の感染部位に応じて、上部尿路感染症と下部尿路感染症に分類されますが、どちらであるか判断することは、ときに医師にも難しく、不可能な場合もあります。

さらに尿道の感染症(尿道炎 尿道炎 尿道炎は、尿が膀胱から体外に排出されるまでに通過する管である尿道の感染症です。 尿道炎の最も一般的な原因は細菌(性行為によって感染するものも含む)です。 症状としては、排尿時の痛み、頻尿、尿意切迫などが挙げられ、ときに分泌物もみられます。 通常、感染の治療には抗菌薬を投与します。... さらに読む )や前立腺の感染症(前立腺炎 前立腺炎 前立腺炎では、前立腺に痛みと腫れ、炎症、またはそれらの両方が生じます。 細菌感染が原因で発症することがあります。 陰嚢と肛門の間の部分や腰、陰茎、精巣に痛みが生じます。 切迫した尿意を頻繁に催し、排尿、勃起、射精、排便の際に痛みを感じることがあります。 尿と、ときに前立腺から分泌される体液を培養します。 さらに読む )も下部尿路感染症に含められる場合があります。腎臓など左右で対になっている臓器の感染症は、一方のみに起こることもあれば、両方で起こることもあります。成人だけでなく、小児でも尿路感染症は起こります 小児の尿路感染症(UTI) 尿路感染症(UTI)とは、細菌による膀胱の感染症(膀胱炎)、腎臓の感染症(腎盂腎炎[じんうじんえん])、またはその両方がある状態です。 尿路感染症は細菌によって引き起こされます。 新生児と乳児では発熱以外の症状が出ないことがありますが、年長児では、排尿するときに痛みや灼熱感があったり、膀胱周辺が痛んだり、頻繁に排尿したくなったりする症状が... さらに読む

原因

感染症を引き起こす微生物が尿路に侵入する経路は2つ考えられます。そのうち格段に多いのは尿路の下端からの侵入経路であり、男性では陰茎の先端部、女性では外陰部にある尿道の開口部から微生物が侵入します。尿道から侵入した微生物は、尿路を上の方に移動して膀胱に達するほか、ときには腎臓にまで到達して、膀胱と腎臓の両方に感染する場合もあります。もう1つの侵入経路は、微生物が血流から、通常は腎臓へと侵入するものです。

尿路感染症は、そのほぼすべてが細菌によるものですが、ウイルス、真菌または寄生虫が原因になる場合もあります。尿路感染症の85%以上は、腸または腟から移動してきた細菌によって引き起こされます。ただし細菌が尿路に侵入したとしても、排尿時に勢いよく流れ出る尿によって細菌も洗い流されるのが通常です。

細菌

下部尿路の細菌感染症(通常は膀胱)は非常に多く、特に若く性的に活動的な女性でよくみられます。若年の女性では腎臓の細菌感染症もしばしば起こりますが、膀胱の感染症と比較すると頻度はそれほど多くありません。大腸菌 Escherichia coliが下部尿路感染症の最も多い原因菌です。20~50歳の人に限定して男女別にみると、女性では細菌による尿路感染症が男性の約50倍多くみられます。これは男性の尿道が女性の尿道より長いために、細菌が感染を生じられる高さまでなかなか上ってこられないからです。20~50歳の男性で最もよくみられる尿路感染症は、尿道炎 尿路結石 結石は尿路のいずれかの部位で形成される硬い固形物で、痛み、出血、または尿路の感染や閉塞の原因となることがあります。 小さな結石の場合は症状がみられませんが、大きな結石が発生すると、肋骨と腰の間の部分に耐えがたい激痛が生じることがあります。 結石の診断では通常、画像検査と尿検査が行われます。... さらに読む 尿路結石 または前立腺炎 前立腺炎 前立腺炎では、前立腺に痛みと腫れ、炎症、またはそれらの両方が生じます。 細菌感染が原因で発症することがあります。 陰嚢と肛門の間の部分や腰、陰茎、精巣に痛みが生じます。 切迫した尿意を頻繁に催し、排尿、勃起、射精、排便の際に痛みを感じることがあります。 尿と、ときに前立腺から分泌される体液を培養します。 さらに読む です。50歳を過ぎると、尿路感染症は男女ともに多くみられるようになり、男女差は少なくなります。

細菌性尿路感染症を起こしやすくする要因

尿路から始まる感染

  • 尿路の閉塞(結石などによって発生する)

  • 適切な排尿を妨げる膀胱の機能障害(神経の病気などでみられる)

  • 尿管と膀胱の間にある弁機構からの尿の漏れ。尿と細菌が膀胱から尿管を伝って逆流し、ときに腎臓にまで達する(尿路感染症の小児患者でよくみられる)。

  • 導尿カテーテルや器具の挿入

  • 性交

  • ペッサリーと殺精子剤の併用

  • 腟と膀胱の間または腸と膀胱の間に発生した異常な通路(瘻孔[ろうこう])

  • 男性の場合は前立腺の腫大または感染

血液から尿路に広がる感染(まれ)

  • 血流感染症(敗血症)

  • 心臓弁の感染症(感染性心内膜炎、まれな原因)

ウイルス

単純ヘルペスウイルス 単純ヘルペスウイルス(HSV)感染症 単純ヘルペスウイルス(HSV)感染症では、皮膚、口、唇(口唇ヘルペス)、眼、性器に、液体で満たされた、痛みのある小さな水疱が繰り返し発生します。 非常に感染力の強いウイルス感染症であり、潰瘍に直接触れたり、ときには潰瘍がない場合でも患部に触れることで感染します。 ヘルペスウイルスは口の中や性器に水疱や潰瘍を引き起こし、最初の感染時には、発... さらに読む 単純ヘルペスウイルス(HSV)感染症 2型(HSV-2)が尿道に感染することがあり、その症状としては排尿時に痛みが生じたり、膀胱を空にするのが難しくなったりします。その他のウイルスの尿路感染(例えば、膀胱や腎臓の感染症など)は、免疫系が障害されない限り(例えば、がん、HIV/エイズ、免疫系を抑制する薬の使用による)、通常は起こりません。

真菌

一部の真菌が尿路に感染することがあります。この種の感染症は、しばしば真菌感染症と呼ばれます(真菌は腟炎の原因になることもあります)。尿路の真菌感染症を引き起こす可能性が最も高い微生物は、カンジダ Candida属に分類される真菌です(カンジダ症 カンジダ症 カンジダ症は、カンジダ・アルビカンス Candida albicansをはじめとする数種類のカンジダ属 Candida真菌によって引き起こされる感染症です。 最もよくみられる病型は、口、腟、皮膚の表面に感染が起きるもので、白や赤の斑点が生じ、かゆみや刺激感、またはその両方を引き起こします。... さらに読む カンジダ症 )。カンジダ Candidaによる感染症は、免疫力が低下した人や膀胱にカテーテルが留置されている人でしばしば発生します。真菌と細菌が同時に腎臓に感染することもあります。

寄生虫

いくつかの寄生虫(一部の蠕虫[ぜんちゅう]も含まれます)が尿路に感染することがあります。

トリコモナス症 トリコモナス症 トリコモナス症は、腟トリコモナス Trichomonas vaginalisという原虫によって腟や尿道に起こる性感染症で、腟が過敏になったり分泌物が出たりするほか、ときに排尿に問題がみられます。 女性では、泡状で黄緑色の生臭いおりものが生じ、陰部が過敏になり痛みが生じることがあります。... さらに読む は、顕微鏡でしか見ることのできない微小な寄生虫によって起こる性感染症で、感染した女性では泡を伴った黄緑色の分泌物が腟から大量に排出されます。ときに膀胱や尿道に感染することもあります。トリコモナス症は男性の尿道に発生することもあります。男性では、通常症状は出ません。

住血吸虫症 住血吸虫症 住血吸虫症は、住血吸虫という扁形動物(吸虫)による感染症です。 この吸虫がいる水場(淡水)で泳いだり、水浴びをしたりすることで住血吸虫症に感染します。 症状はかゆみを伴う発疹が現れ、その数週間後に発熱、悪寒、筋肉痛、疲労、吐き気、腹痛のほか、感染した臓器に応じた症状が現れます。... さらに読む は、吸虫と呼ばれる種類の寄生虫による感染症で、腎臓、尿管および膀胱が侵されます。この感染症は、アフリカ、南米およびアジアの在住者の間では重度の腎不全の原因としてよくみられます。膀胱への住血吸虫の感染が長引くと、しばしば血尿や尿管の閉塞などが引き起こされ、最終的には膀胱がんになることもあります。

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