通常は超音波検査で、胆管や胆嚢の腫瘍を検出できます。
これらのがんは多くの場合致死的ですが、症状の治療はできます。
( 胆嚢と胆管の病気の概要 胆嚢と胆管の病気の概要 胆汁は、緑がかった黄色の粘り気のある液体で、肝臓で作られます。胆汁はコレステロール、脂肪、脂溶性ビタミンを腸から吸収しやすい形に変えることで、消化を補助します。また、特定の老廃物(主にビリルビンと過剰なコレステロール)や薬の副産物を体外に排出する働きもあります。 胆道は複数の細い管で構成され、胆汁はそれらの管を通って肝臓から胆嚢へ、さらに... さらに読む も参照のこと。)
胆管のがん(胆管がん)はまれです。胆管のどの部位にでも発生する可能性がありますが、特に肝臓外の胆管に由来することがよくあります。高齢であることと、 原発性硬化性胆管炎 原発性硬化性胆管炎 原発性硬化性胆管炎では肝臓内外の胆管に炎症が生じ、瘢痕化や胆管の狭窄が進行します。最終的には影響を受けた胆管が完全に詰まります。肝硬変、肝不全、またときには胆管がんが発生します。 症状は徐々に現れ、疲労やかゆみの悪化がみられるほか、後に黄疸が生じます。 画像検査で診断を確定します。 治療では、症状の緩和に重点が置かれますが、肝移植によって余命を延長することも可能です。 (胆嚢と胆管の病気の概要も参照のこと。) さらに読む があることは、このがんの発生リスクを高めます。
胆嚢のがんもまれです。胆嚢がんを発症する人には、ほとんどの場合、 胆石 胆石 胆石は胆嚢内で固形物(主にコレステロールの結晶)が集積したものです。 肝臓はコレステロールを過剰に分泌することがあり、このコレステロールは胆汁とともに胆嚢に運ばれ、そこで過剰なコレステロールが固体粒子を形成して蓄積します。 胆石は、ときに数時間続く上腹部痛を起こすことがあります。 超音波検査では極めて正確に胆石を検出できます。 胆石によって痛みなどの問題が繰り返し起こる場合は、胆嚢を摘出します。 さらに読む がみられます。このがんが発生すると、多くの人は数カ月しか生きられません。このがんは、アメリカンインディアン、大きな胆石がある人、重度の慢性 胆嚢炎 胆嚢炎 胆嚢炎は胆嚢に炎症が起きた状態で、多くは胆嚢管をふさいでいる胆石が原因です。 典型的には腹痛、発熱、吐き気がみられます。 通常は、超音波検査で胆嚢炎の徴候を検出できます。 胆嚢の摘出には、しばしば腹腔鏡が用いられます。 (胆嚢と胆管の病気の概要も参照のこと。) さらに読む に伴う胆嚢の広範な瘢痕がある人に多くみられます。
良性の増殖物であるポリープが胆嚢にできることもあります。ポリープが症状を引き起こしたり、治療が必要になったりすることはまれです。これは超音波検査で約5%の人に見つかります。
ときにがんが胆汁の流れを妨げることがありますが、閉塞のほとんどは胆石によるものです。それより頻度は低いものの、体の別の部位に発生したがんが、隣接する組織や付近のリンパ節に広がり(転移し)、閉塞を引き起こすことがあります。胆管の良性腫瘍も閉塞を引き起こします。
症状
胆管がんの症状は、主として50~70歳のときに始まります。初期症状としては以下のものがあります。
腹部不快感
食欲不振
体重減少
かゆみ
症状は徐々に悪化します。腹痛が激しくなって持続することがあります。腹痛は通常、胆管の閉塞によって起こります。便の色が白くなることもあります。疲労感や不快感を覚えます。腹部にしこりが感じられることがあります。
胆嚢がんも同様の症状を引き起こします。
ほとんどの胆嚢ポリープは症状を引き起こしません。
診断
超音波検査に続いて、その他の画像検査
ときに内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)検査または組織サンプルの採取
胆管がふさがっていて、ほかに原因を特定できない場合は、胆管がんまたは胆嚢がんが疑われます。 原発性硬化性胆管炎 原発性硬化性胆管炎 原発性硬化性胆管炎では肝臓内外の胆管に炎症が生じ、瘢痕化や胆管の狭窄が進行します。最終的には影響を受けた胆管が完全に詰まります。肝硬変、肝不全、またときには胆管がんが発生します。 症状は徐々に現れ、疲労やかゆみの悪化がみられるほか、後に黄疸が生じます。 画像検査で診断を確定します。 治療では、症状の緩和に重点が置かれますが、肝移植によって余命を延長することも可能です。 (胆嚢と胆管の病気の概要も参照のこと。) さらに読む の患者では、特に胆管がんが強く疑われます。原発性硬化性胆管炎の患者では、定期的に血液検査を行って腫瘍が分泌する物質(腫瘍マーカー)を測定し、このがんが発生していないかチェックします。
診断は 画像検査 MRI検査 肝臓、胆嚢、胆管の画像検査には、超音波検査、核医学検査、CT検査、MRI検査、内視鏡的逆行性胆道膵管造影検査、経皮経肝胆道造影、術中胆道造影、単純X線検査などがあります。 超音波検査では、音波を利用して肝臓や胆嚢、胆管を画像化します。経腹超音波検査は、肝硬変(肝臓の重度の瘢痕化)や脂肪肝(肝臓に過剰な脂肪が蓄積している状態)など肝臓全体を一様に侵す異常よりも、腫瘍など肝臓の特定の部分だけを侵す構造的な異常の検出に優れています。これは、胆... さらに読む で確定されます。通常は最初に超音波検査が行われます。ときにCT検査が行われることもありますが、多くの場合、確定的な結果は得られません。そのため通常は、CT胆道造影検査(造影剤を静脈に注射してから行うCT検査)または磁気共鳴胆道膵管造影検査(MRCP検査)が必要になります。
画像検査の結果がはっきりしなければ、内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)検査が行われます。この方法では、内視鏡(観察用の柔軟な管状の機器)を口から小腸内に挿入します。内視鏡を介して細いチューブ(カテーテル)を挿入し、そのカテーテルから放射線不透過性の造影剤(X線画像上で見える物質)を胆管に注入します。続いてX線撮影を行い、異常を検出します。この方法で、画像だけでなく顕微鏡下で観察するための組織サンプルを取得することもできます( 内視鏡的逆行性胆道膵管造影検査について 内視鏡的逆行性胆道膵管造影検査について )。
これらの検査で腫瘍が疑われるものの、それでも結論に至らない場合は、異常があると考えられる部位に皮膚の上から細い針を挿入し、組織サンプルを採取します。超音波画像またはCT画像を頼りにして、医師が針を目的の位置まで進めます。
がんの広がりを調べるために、大きな切開を加え、直接その部位を確認しなければならないこともあります(その場合は開腹手術と呼ばれます)。
治療
閉塞した胆管へのステントの挿入
ときに腫瘍を切除する手術
胆管がんと胆嚢がんは、ほとんどが死に至りますが、治療は症状をコントロールするのに役立ちます。
閉塞部を胆汁が流れるようにするために、ステントと呼ばれる管状の機器を閉塞部に挿入する方法があります。この処置は、痛みのコントロールとかゆみの軽減に有用です。ステントはERCP検査の最中に挿入できます。
悪性腫瘍を切除する手術が行われることがありますが、通常は腫瘍を完全に切除することはできません。胆管がんに対する化学療法と放射線療法は、現在研究段階です。腫瘍が他の部位から広がってきた場合(転移性腫瘍)、化学療法により症状はいくらか軽減しますが、生存期間が大幅に改善されることはありません。
胆石の手術中にごく早期の胆嚢がんが見つかった場合は、しばしば胆嚢を摘出することで完治させることができます。