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胆石

(胆石症)

執筆者:

Ali A. Siddiqui

, MD, Thomas Jefferson University

最終査読/改訂年月 2018年 11月
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本ページのリソース

胆石は胆嚢内で固形物(主にコレステロールの結晶)が集積したものです。

  • 肝臓はコレステロールを過剰に分泌することがあり、このコレステロールは胆汁とともに胆嚢に運ばれ、そこで過剰なコレステロールが固体粒子を形成して蓄積します。

  • 胆石は、ときに数時間続く上腹部痛を起こすことがあります。

  • 超音波検査では極めて正確に胆石を検出できます。

  • 胆石によって痛みなどの問題が繰り返し起こる場合は、胆嚢を摘出します。

胆嚢と胆管の病気の概要も参照のこと。)

胆嚢と胆管の病気のほとんどは、胆石に起因します。胆石の危険因子には以下のものがあります。

  • 女性

  • 高齢

  • アメリカンインディアン

  • 肥満

  • 急激な体重減少(非常にカロリーの低い食事または減量手術によるもの)

  • 欧米型の食生活

  • 胆石の家族歴

米国では、65歳以上の高齢者の約20%、全成人の約10%に胆石がみられます。

胆嚢の中にある石(結石)は胆嚢結石と呼ばれますが、これがときに胆管に入り込むこともあれば、胆管の中で結石が形成されることもあります。胆管の中にある結石は胆管結石と呼ばれます。このような結石は、ときに胆管をふさぎます。

ほとんどの胆石は症状を引き起こしません。しかし、症状やその他の問題が生じた場合は、治療が必要です。米国では毎年50万人以上が胆嚢を摘出する手術を受けています。

胆石とは何か

胆石の多くは、胆汁に含まれるコレステロールが結晶化してできたもので、胆嚢の中で形成されます。胆嚢から出て、胆嚢管や総胆管、ファーター膨大部につかえることがあります。

胆石とは何か

欧米では、大半の胆石の主成分はコレステロールという脂肪(脂質)の一種で、これは正常な状態では胆汁に溶ける(水には溶けない)物質です。しかし、肝臓がコレステロールを過剰に分泌すると、胆汁内でコレステロールが過飽和状態になります。過剰なコレステロールは固体の粒子(コレステロールの結晶)を形成します。この微小なコレステロールの結晶が胆嚢内に蓄積し、胆石になります。

他の種類の胆石も同様に形成されますが、その固体粒子はカルシウム化合物またはビリルビン(胆汁中の主な色素)です。ビリルビンを成分とする胆石は色素結石と呼ばれ、黒(胆嚢で形成)または茶色(胆管で形成)のものがあります。黒色の色素結石は、アルコール性肝疾患の患者、高齢者、または溶血性貧血(体が赤血球を早まって破壊する場合に起こる)の患者によくみられます。褐色の色素結石は、胆嚢や胆管が炎症または感染を起こしたり、胆管が狭窄したりした場合にみられます。

胆石は、胆嚢内にとどまることもあれば、胆管に入り込むこともあります。胆石は、胆嚢管、総胆管、またはファーター膨大部(総胆管と膵管の合流部分)をふさぐことがあります。胆管内のコレステロール結石のほとんどは、胆嚢で形成されたものです。

胆管が狭窄(狭くなること)すると、閉塞を招き、胆汁の流れが遅くなります。胆汁の流れが遅くなったり止まったりすると、細菌感染症が生じやすくなります。

ときに、コレステロールやカルシウム化合物、ビリルビンなどの微細な粒子が蓄積しても、胆石が形成されないことがあります。こうして蓄積した物質は胆泥と呼ばれます。胆泥は、妊娠中のように、胆嚢に胆汁がかなり長い間滞留する場合に生じます。通常、妊娠が終わるなど、原因が解消されれば、胆泥は消失します。しかし、胆泥が胆石に変化したり、胆道に入って胆管をふさいだりすることもあります。

知っていますか?

  • 他の食べものに比べて、脂肪の多い食品が特に胆石による痛みを誘発するわけではありません。

症状

胆石が形成された人の約80%では、長年にわたって何の症状も起こりません。胆石が胆嚢内にとどまっている場合は、特にこの傾向がよくみられます。

胆石は痛みを伴うことがあります。痛みを生じるのは、胆石が胆嚢から出て、胆嚢管や総胆管、またはファーター膨大部に入り、管をふさいでしまった場合です。その後、胆嚢が腫れ、胆道仙痛と呼ばれる痛みが起こります。この痛みは上腹部、通常は右側の肋骨の下に感じられます。痛みの場所を正確に特定できないこともあり、糖尿病の患者や高齢者では特に困難です。一般に15分から1時間の間に痛みが強くなり、その後は長くて12時間、一定して痛みが継続します。この痛みは通常、救急外来に搬送されるほどの激痛です。痛みが引き始めると、30~90分かけて弱まっていき、後には鈍痛が残ります。吐き気を催して嘔吐することも、しばしばあります。

ボリュームのある食事をとると、含まれる脂肪分の量にかかわらず、胆道仙痛が誘発されることがあります。胆石が、げっぷや腹部膨満感を引き起こすことはありません。吐き気は、胆道仙痛が生じる場合にのみ起こります。

ほとんどの胆道仙痛は自然に消失しますが、毎年20~40%の人で再発し、合併症が生じることがあります。痛みが治まった後、次に発生するまで体調は良好です。

閉塞が長く続くと、胆嚢が炎症を起こします(急性胆嚢炎と呼ばれる状態)。胆嚢に炎症が起こると、細菌が繁殖し、感染症が発生することがあります。炎症があると通常は発熱します。

総胆管またはファーター膨大部の閉塞は、胆嚢管の閉塞より重篤です。胆管が閉塞すると、管が広がる(拡張する)ことがあります。場合によって、発熱、悪寒、黄疸(皮膚や白眼の部分が黄色くなること症状)も起こります。これらの症状の組合せは、急性胆管炎という重篤な感染症が発生していることを示します。細菌が血流に拡散し、体のどこか別の部位で重篤な感染症を引き起こす可能性があります(敗血症)。また、肝臓に膿瘍(内部に膿がたまった空洞)ができることもあります( 症状)。

ファーター膨大部をふさいでいる胆石が、膵管もふさいでしまうことがあり、その場合、膵臓の炎症(膵炎)と痛みが生じます。

胆石が原因で生じた胆嚢の炎症により、胆嚢の壁が侵食され、穴が開くことがあります(穿孔)。胆嚢の内容物が穿孔部分から腹腔全体に漏れ出すと、重度の炎症(腹膜炎)が起こります。大きな胆石が小腸に入ると、胆石イレウスと呼ばれる腸の閉塞を起こすことがあります。この合併症はまれですが、高齢者に起こりやすいようです。

知っていますか?

  • 胆石がげっぷや腹部膨満感を引き起こすことはありません。

  • 約80%の胆石は、症状やその他の問題を引き起こしません。

診断

  • 超音波検査またはその他の画像検査

上腹部に特徴的な痛み(胆嚢が腫れたことによるもの)が生じている場合は、胆石が疑われます。別の理由で行われた超音波検査などの画像検査で、胆石が検出されることもあります。

超音波検査が選択すべき検査となります。この検査で胆嚢の胆石の95%が正確に検出されます。胆管の胆石は、そこまで正確には検出できませんが、閉塞による胆管の拡張が見つかることがあります。場合によっては、他の診断検査が必要になります。具体的には以下のものがあります。

  • 超音波内視鏡検査(EUS):小さな胆石を精度よく検出するため

  • MRI検査とCT検査:胆嚢内に結石がないか確認するため

  • 磁気共鳴胆道膵管造影(MRCP)検査、またはMRCPではっきりしない場合は内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)検査:胆管内に結石がないか確認するため( 内視鏡的逆行性胆道膵管造影検査について

超音波内視鏡検査(EUS)では、先端に小さな超音波装置を組み込んだ内視鏡を口から胃や小腸に通します。これを胆嚢や胆管に近づけると、標準的な超音波検査よりも良好な組織像が得られます。

ERCPでは、手術器具を取り付けた内視鏡(観察用の柔軟な管状の機器)を、口から挿入して食道と胃を経由し、小腸に到達させます( 内視鏡的逆行性胆道膵管造影検査について)。この内視鏡から細いカテーテルを通し、小腸と総胆管や膵管との間にある開口部をくぐらせ総胆管に挿入します。次にカテーテルを介して放射線不透過性の造影剤(X線画像に写る物質)を胆管に注入し、X線画像を撮影して異常を確認します。

血液検査により、肝臓がどの程度機能しているかと、肝臓に損傷が起きているかどうかを評価します(肝機能検査)。胆石が胆管をふさいでいない限り、結果はたいてい正常です。胆石が胆管をふさいでいる場合、結果は異常であることが多く、肝臓に胆汁が滞留している(胆汁うっ滞)ことが示唆されます。しばしばビリルビンや特定の肝酵素が増加しています。

治療

  • 胆嚢を摘出する手術(胆嚢摘出術)

  • ときに胆石を溶かす薬剤

  • ときに内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)検査での胆石の摘出

症状を引き起こさない胆石(無症候性胆石)は、治療を必要としません。胆石によって痛みが生じている場合、食事内容を変更しても(例えば低脂肪食など)効果はありません。

胆嚢内の胆石

胆石が激しい痛みを繰り返し起こしている場合には、胆嚢を摘出する手術(胆嚢摘出術)を勧められることがあります。胆嚢を摘出すれば、胆道仙痛の発生を予防できる一方で、消化には影響を及ぼしません。手術後に特別な食事制限は必要ありません。胆嚢摘出の手術中に、胆管内結石の有無もチェックすることがあります。

胆嚢摘出術の約90%では、腹腔鏡(観察用の管状の機器)が使用されます。この方法では、腹部を小さく切開し、そこから腹腔鏡を挿入します。さらにその切開部位から手術器具を挿入して、胆嚢を摘出します。腹腔鏡下胆嚢摘出術により、従来と比べて手術後の痛みは軽減され、必要な入院日数が短縮し、さらに術後に残る創痕も小さくなり、回復に要する期間も短くなりました。

それ以外の胆嚢摘出術は開腹手術であり、腹部をより大きく切開する必要があります。

手術の代わりに、ときに胆汁酸(ウルソデオキシコール酸)などの薬を服用して胆石を溶かすこともあります。このような薬を毎日2~3回服用すると、小さな結石であれば6カ月で溶かすことができます。大きな胆石は溶けるまでに1~2年かかることがあります。溶かすことができないことも多々あります。薬による胆石の溶解は、胆石の成分がコレステロールで、胆嚢の開口部がふさがっていない場合に最も効果的です。胆石の溶解に成功しても、この治療を受けた患者の半数は5年以内に胆石が再発します。この治療法の用途は限られ、手術のリスクが非常に高い場合(例えば、深刻な病気がある場合— 手術のリスク)にのみ用いられます。

ウルソデオキシコール酸は、減量手術後に体重が急速に減っている肥満患者や、非常にカロリーの低い食事をとっている肥満患者において、胆石の形成を予防するのに有用です。

胆管内の胆石

胆管内の胆石は、ERCPの最中に除去できます。内視鏡的乳頭括約筋切開術と呼ばれるこの手技では、内視鏡を介して器具を挿入し、それを用いてオッディ括約筋(小腸に開口している)を切開します。ときには、胆管の末端も切開して広げます。切開しても、胆石が自然に小腸へと出てこない場合は、先端に小さなかごのついたカテーテルを内視鏡を介して挿入します。それを用いて胆石を捕らえ、胆管から引っぱり出します。将来胆石が再びできた場合に小腸に出てきやすいように、胆管の末端を切開して開口部を広くしておきます。胆嚢内の胆石は、この方法で取り除くことはできません。

ERCPと内視鏡的乳頭括約筋切開術を併せて行う治療法は、90%の患者で成功しています。開腹手術よりも、はるかに安全です。この処置による死亡率は1%未満であり、ERCPと内視鏡的乳頭括約筋切開術を受けてすぐに合併症が発生する割合は最大で7%とされています。そのような合併症には、出血、膵臓の炎症(膵炎)、胆管の穿孔や感染などがあります。やがて、一部の患者では、炎症を起こした胆管が狭くなります(狭窄)。胆管が狭いと、胆管内に結石ができやすくなって、胆管が閉塞する可能性が高くなります。

ERCPと内視鏡的乳頭括約筋切開術を受ける患者の大半が、後になって胆嚢摘出術を受けています(通常は腹腔鏡を使用します)。胆嚢が残っていると、胆嚢内の結石が胆管に入って、頻繁に閉塞することがあるためです。

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