(肝腫瘍の概要 肝腫瘍の概要 肝臓の腫瘍(肝腫瘍)には、がんではない良性腫瘍と、がんである悪性腫瘍があります。 肝臓の悪性腫瘍は、原発性(肝臓から発生したもの)と転移性(他の部位から肝臓に転移してきたもの)に分類されます。ほとんどの肝臓がんは転移性です。体の各部で発生した腫瘍から離れたがん細胞は、しばしば血流に入って全身に運ばれますが、肝臓では体全体に流れる血液の大部... さらに読む も参照のこと。)
米国では、成人の約1~5%に無症状の小さな肝血管腫がみられます。この種の腫瘍は、別の理由で超音波検査、CT検査、またはMRI検査が行われた際に発見されるのが通常です( 肝臓と胆嚢の画像検査 肝臓と胆嚢の画像検査 肝臓、胆嚢、胆管の画像検査には、超音波検査、核医学検査、CT検査、MRI検査、内視鏡的逆行性胆道膵管造影検査、経皮経肝胆道造影、術中胆道造影、単純X線検査などがあります。 超音波検査では、音波を利用して肝臓や胆嚢、胆管を画像化します。経腹超音波検査は、肝硬変(肝臓の重度の瘢痕化)や脂肪肝(肝臓に過剰な脂肪が蓄積している状態)など肝臓全体を一様に侵す異常よりも、腫瘍など肝臓の特定の部分だけを侵す構造的な異常の検出に優れています。これは、胆... さらに読む )。治療の必要はありません。
肝血管腫では、ごくまれにしか症状は起こりません。血管腫が約4センチメートルより大きくなると、症状が現れる可能性が高くなります。この種の腫瘍による症状としては、腹部の不快感や膨満のほか、頻度は下がりますが食欲不振、吐き気、少量の食事でも満腹になったような感覚、痛みなどがみられます。
乳児に生じる肝血管腫は通常、自然に消失します。しかし、ときに肝血管腫が大きくなり、広範囲の血栓形成や心不全などの問題を引き起こすことがあります。このような場合は治療の必要があり、薬(コルチコステロイドなど)、肝血管腫への血液供給を遮断する手術(選択的肝動脈塞栓術と呼ばれます)、ときに手術による腫瘍の切除、まれに肝移植 肝移植 肝移植は2番目に多い臓器移植です。肝臓が機能しなくなった人々に残された唯一の選択肢です。 完全な形の肝臓は死亡した人からしか提供を受けられませんが、肝臓の一部であれば生きているドナーでも提供できます。移植用の肝臓は摘出後、最長で18時間保存できます。 適合する肝臓を待つ間に死亡する患者も大勢いますが、実際に肝移植を受けた人(レシピエント)が生存している割合は以下の通りです。 移植後1年時点:86~90%... さらに読む などが行われます。