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B型肝炎(慢性)

執筆者:

Anna E. Rutherford

, MD, MPH, Harvard Medical School

最終査読/改訂年月 2017年 11月
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B型慢性肝炎は、B型肝炎ウイルスを原因とし、6カ月以上持続している肝臓の炎症です。

  • ほとんどのB型慢性肝炎患者では症状がありませんが、全身のだるさを感じ、疲れを覚え、食欲を失う場合もあります。

  • B型慢性肝炎があると肝臓がんのリスクが増大します。

  • 血液検査の結果に基づいてB型肝炎の診断が下され、肝傷害の程度を確認するために通常は肝生検が行われます。

  • B型慢性肝炎の患者には必ずしも治療が必要なわけではありませんが、B型慢性肝炎によって肝傷害が生じている(炎症や瘢痕化を引き起こす)場合は、抗ウイルス薬の使用を開始します。

  • 抗ウイルス薬による治療は、ウイルスの抑制と肝臓のさらなる炎症や瘢痕化の予防に役立ちます。

B型慢性肝炎にかかっている人は、米国では推定85万~220万人、世界中では約2億4000万人に上ります。

極東やアフリカの一部では、慢性肝炎や肝硬変(肝臓の重度の瘢痕化)、肝臓がんの多くの症例がB型肝炎ウイルスによって発生しています。

B型急性肝炎が慢性化するかどうかは、患者の年齢によって決まります。感染した成人は、その約5~10%がB型慢性肝炎を発症するか、キャリアになります。しかし、新生児が感染すると最大90%、幼児が感染すると最大25~50%がB型慢性肝炎を発症します。年齢が低いほど、B型慢性肝炎を発症する確率が高まります。

B型急性肝炎は、血液透析による治療を受けている人の約40%と、免疫機能が低下している人の最大20%で慢性化します。

キャリアとは、慢性の感染がある人で、一般的には症状がなく、感染の自覚がないことがある人のことです。しかし、他者に感染する可能性があります。

B型慢性肝炎は悪化する傾向があり、ときには急速に、ときには数十年かけて肝硬変に至ります。B型慢性肝炎も肝臓がんのリスクを増加させます。約20%のB型慢性肝炎患者が、肝硬変か肝臓がんを発症し、若年死を迎える可能性があります。

B型慢性肝炎患者の多くで、D型慢性肝炎が併発します。治療しないでいると、この併存によって患者の最大70%で肝硬変が生じます。

症状

B型慢性肝炎の症状は、肝傷害の程度によって異なります。

B型慢性肝炎患者の多く、特に小児では、症状がみられません。症状がある場合、通常は全身のだるさを感じ、疲労を覚え、食欲を失います。微熱や上腹部の漠然とした不快感がみられることもあります。

多くの場合、最初の具体的な症状は慢性肝疾患や肝硬変によるものです。具体的には以下のものがあります。

  • 脾臓の腫大

  • 皮膚にみられる、小さなくものような形の血管(くも状血管腫)

  • 手のひらの発赤

  • 腹部への体液の貯留(腹水

  • 出血傾向(血液凝固障害)

  • 黄疸(皮膚と白眼が黄色に変色すること)

  • 肝臓の機能不全に起因する脳の機能の低下(肝性脳症

脳機能の低下は、有害物質が血液中に蓄積し脳に到達することによるものです。肝臓は正常な状態では、血液中から有害物質を取り除いて分解し、無害な副産物として胆汁中や血液中に排泄していますが、ひどい損傷を受けた肝臓は、有害物質を除去できなくなるためです。

損傷を受けた肝臓ではもはや血液凝固を助けるタンパクを十分に合成できなくなるため、出血しやすい傾向がみられます。

B型慢性肝炎の患者では、黄疸、かゆみがみられることがあるほか、便の色が薄くなることがあります。黄疸やかゆみが発生する理由は、損傷を受けた肝臓が血液から正常にビリルビンを取り除くことができないためです。そうしてビリルビンが血液中に蓄積し、皮膚に沈着します。(ビリルビンは黄色い色素で、赤血球の正常な分解の際に老廃物として作られます。)便の色が薄くなる理由は、肝臓から出る胆汁の流れが遮られることにより、便中に排泄されるビリルビンが減少するためです。ビリルビンは、便の色を典型的な茶色にする物質です。

診断

  • 血液検査

  • 肝生検

以下の場合にB型慢性肝炎が疑われることがあります。

  • 典型的な症状がみられる場合。

  • 血液検査(他の理由で行ったもの)で異常に高い肝酵素値が検出される場合。

  • 過去に急性肝炎の診断を受けたことがある場合。

B型慢性肝炎の検査は、通常、肝臓がどの程度機能しているかと肝傷害の有無を評価する血液検査(肝機能検査)により開始します。肝機能検査では、肝酵素や肝臓で作られるその他の物質の濃度を測定します。この検査は、肝炎の診断の確定や除外、原因の特定、肝傷害の重症度の判定に役立ちます。

また、感染症を引き起こしている肝炎ウイルスの種類を特定するための参考にする目的でも、血液検査を行います。

具体的なウイルスを特定する検査によって、以下のことが行われます。

  • 特定の肝炎ウイルスに反応して患者の免疫系によって作られた抗体の検出

  • 特定の肝炎ウイルス抗原(抗原とは、体の免疫反応を引き起こすあらゆる物質のことです)の検出

  • ウイルスの遺伝物質が存在する量の測定

これらの検査によって、B型慢性肝炎の診断を確定することができます。

B型慢性肝炎が確定した場合、医師は併存していることが多いD型肝炎の抗体の有無を調べるほか、HIVとC型肝炎ウイルスも同じ経路(血液や精液などの体液との接触)で感染することが多いため、これらの感染の有無も調べます。

ウイルスが特定されない場合は、自己免疫性肝炎など、他の原因を調べる別の血液検査が必要です。

肝生検は、肝傷害の程度を判定し、肝疾患の他の原因がないか確認するために行われることがあります。

肝臓がんのスクリーニング

B型慢性肝炎の患者では、肝臓がんのスクリーニングを6カ月毎に行います。以下の検査が行われます。

  • 超音波検査

  • ときにアルファ-フェトプロテインの濃度の測定

肝臓がんがあると、アルファ-フェトプロテイン(胎児の未熟な肝細胞が正常時から作るタンパク)の測定値が高くなります。

治療

  • 抗ウイルス薬

  • ときに肝移植

以下のいずれかがみられる場合には、抗ウイルス薬が使用されます。

  • 肝酵素検査での異常高値

  • 悪化する病気の症状

  • 肝傷害が持続していることを示す生検結果

B型慢性肝炎の治療を受ける人のほとんどは、無期限に治療を受けなければなりません。そのため、治療に非常に高い費用がかかることがあります。

治療を早期に中止すると、再発につながる可能性があり、重度となることもあります。しかし、血液検査で活動期のB型肝炎ウイルスが検出されなくなった場合は、治療を中止することがあります。

通常は以下のいずれかの抗ウイルス薬が最初に用いられます。

  • エンテカビル

  • テノホビル

これらの薬は、経口投与され、非常に効果的で、副作用がほとんどありません。

そのほかに使用されることがある薬としては、アデホビル、ラミブジン、インターフェロンアルファ、ペグインターフェロンアルファ、テルビブジン(telbivudine)などがあります。

皮下注射で使用するインターフェロンアルファは、効果的ですが、インフルエンザ様の症状、疲労、全身のだるさ(けん怠感)、抑うつなどの副作用があるため、B型慢性肝炎の治療ではあまり使用されません。インターフェロンアルファは、妊娠中の使用に関する安全性が確認されていないため、妊婦には通常使用されません。

同じく皮下注射で使用されるペグインターフェロンアルファは、インターフェロンアルファの代わりに使用することができます。ペグインターフェロンアルファは、一種のインターフェロンアルファで、投与の頻度を減らすため、分解が遅くなるように改変されています。ペグインターフェロンアルファの副作用は、インターフェロンアルファのものと同様ですが、より軽度であることがあります。

肝機能の障害がひどければ、肝移植を考慮する必要があります。以下の場合には、移植した肝臓が機能し続ける見込みが高く、B型肝炎が再発する可能性が低くなります。

  • B型慢性肝炎患者が長期間にわたって抗ウイルス薬を服用している場合。

  • 移植の前と、しばしば後に肝炎免疫グロブリンによる治療を受けている場合。

B型肝炎免疫グロブリンは、B型肝炎に対する抗体の濃度が高い人の血液から抽出されます。筋肉内または静脈内への注射で投与されます。体が感染に抵抗するのを助けます。

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