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慢性肝炎の概要

執筆者:

Sonal Kumar

, MD, MPH, Weill Cornell Medical College

医学的にレビューされた 2019年 10月
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やさしくわかる病気事典

慢性肝炎は、肝臓の炎症が最低6カ月以上持続する病気です。

  • 一般的な原因としては、B型およびC型肝炎ウイルス、特定の薬などがあります。

  • ほとんどの場合は無症状ですが、全身のけん怠感、食欲不振、疲労などの漠然とした症状がみられることもあります。

  • 慢性肝炎は、肝硬変のほか、最終的には肝臓がんや肝不全に進行することがあります。

  • 診断を確定するために生検が行われることもありますが、慢性肝炎は通常、血液検査の結果に基づいて診断が下されます。

  • 抗ウイルス薬やコルチコステロイドなどの薬を用いたり、進行した症例には肝移植が必要になったりすることがあります。

肝炎の概要 肝炎の概要 肝炎は肝臓の炎症です。 ( 急性ウイルス性肝炎の概要と 慢性肝炎の概要も参照のこと。) 肝炎は世界中でみられる病気です。 肝炎には以下の種類があります。 急性(経過が短い) さらに読む B型肝炎[慢性] B型肝炎(慢性) B型慢性肝炎は、B型肝炎ウイルスを原因とし、6カ月以上持続している肝臓の炎症です。 ほとんどのB型慢性肝炎患者では症状がありませんが、全身のだるさを感じ、疲れを覚え、食欲を失う場合もあります。 B型慢性肝炎があると肝臓がんのリスクが増大します。 血液検査の結果に基づいてB型肝炎の診断が下され、ときとして肝傷害の程度を確認するために肝生検が行われます。 B型慢性肝炎の患者には必ずしも治療が必要なわけではありませんが、B型慢性肝炎によって肝... さらに読む C型肝炎[慢性] C型肝炎(慢性) C型慢性肝炎は、C型肝炎ウイルスを原因とし、6カ月以上持続している肝臓の炎症です。 C型肝炎は、肝臓にひどい損傷を与えるまでは症状を引き起こさないことがよくあります。 C型慢性肝炎の診断は、血液検査の結果に基づいて下されます。 C型慢性肝炎によって肝硬変が生じた場合、6カ月毎に肝臓がんのスクリーニングを行います。 C型慢性肝炎の治療は抗ウイルス薬によって行います。 さらに読む も参照のこと。)

慢性肝炎は、 急性ウイルス性肝炎 急性ウイルス性肝炎の概要 急性ウイルス性肝炎は、5種類の肝炎ウイルスのいずれかの感染によって肝臓に炎症が起きる病気です。多くの場合、炎症は突然始まり数週間続きます。 症状は、何もみられない場合から重症の場合まであります。 感染すると、食欲不振、吐き気、嘔吐、発熱、右上腹部の痛み、黄疸などの症状がみられます。 医師は、肝炎の診断を下しその原因を特定するための血液検査を行います。 ワクチンはA型、B型、E型の肝炎を予防できます(E型肝炎ワクチンは中国でのみ利用可能)... さらに読む と比べてはるかに少ない病気ですが、数年間、ときには数十年間も続くことがあります。多くの場合かなり軽症で、重大な肝傷害は引き起こしません。しかし、一部の患者では、持続的な炎症によって少しずつ肝臓が損傷していき、最終的には 肝硬変 肝硬変 肝硬変は、機能を果たさない瘢痕組織が大量の正常な肝組織と永久に置き換わり、肝臓の内部構造に広範な歪みが生じることです。肝臓が繰り返しまたは継続的に損傷を受けると、瘢痕組織が生じます。 肝硬変の最も一般的な原因は、慢性的な アルコール乱用、 慢性ウイルス性肝炎、 飲酒によらない脂肪肝です。 食欲不振、体重減少、疲労、全身のけん怠感などの症状が現れます。 腹部への体液の貯留( 腹水)、... さらに読む 肝硬変 (肝臓の重度の瘢痕化)や 肝不全 肝不全 肝不全は、肝機能が大幅に低下した状態です。 肝不全は、肝臓に損傷が起きる病気や物質により引き起こされます。 ほとんどの患者は 黄疸(皮膚と眼が黄色くなる)になり、疲れて脱力を覚え、食欲を失います。 他の症状には、腹部への体液の貯留( 腹水)や、皮下出血や出血が起きやすい傾向などがあります。 医師は通常、症状と身体診察、および血液検査の結果に基づいて、肝不全の診断を下すことができます。 さらに読む に至り、ときに 肝臓がん 肝細胞がん 肝細胞がんは、肝臓の細胞から発生するがんの一種であり、原発性の肝臓がんの中で最も多くみられるものです。 B型またはC型肝炎、 脂肪性肝疾患、および 過度の飲酒は、肝細胞がんの発生リスクを高め、特に肝硬変がある患者では著しくリスクを高めます。 腹痛や体重減少がみられるほか、右上腹部に大きなかたまりを触れることがあります。 医師は血液検査と画像検査の結果に基づいて診断を下します。... さらに読む が発生することがあります。

原因

慢性肝炎の最も一般的な原因は以下のものです。

慢性肝炎の約60~70%はC型肝炎ウイルスに起因し、C型急性肝炎の少なくとも75%が慢性化します。

まれですが、臓器移植の後に免疫系を抑制する薬を服用している人、がんの治療薬を服用している人、HIVに感染している人など、免疫機能が低下している人にE型肝炎ウイルスによる慢性肝炎がみられることがあります。

A型肝炎ウイルスは慢性肝炎を引き起こしません。

非アルコール性脂肪肝炎 脂肪肝 は、通常、過体重(肥満)や糖尿病の場合や、血液中のコレステロールや他の脂肪(脂質)の濃度が異常な場合に発生します。これらの病態はすべて、体内での脂肪の合成を増やしたり、脂肪の処理(代謝)や排泄を遅くしたりします。その結果、脂肪が蓄積して肝細胞に保持されます(脂肪肝 脂肪肝 脂肪肝は、肝細胞の内部に中性脂肪(トリグリセリド)が過剰に蓄積した状態です。 脂肪肝の患者には、疲労や腹部の軽い不快感が生じることがありますが、それ以外の症状はみられません。 脂肪肝は、線維化や肝硬変などの進行した肝疾患を引き起こすことがあります。 診断を確定するため、また損傷の原因と範囲を特定するために肝生検が必要になることがあります。 医師は、メタボリックシンドロームや過度の飲酒など、脂肪肝の原因をコントロールするか取り除くことに重... さらに読む )。脂肪肝は、慢性の炎症や 肝硬変 肝硬変 肝硬変は、機能を果たさない瘢痕組織が大量の正常な肝組織と永久に置き換わり、肝臓の内部構造に広範な歪みが生じることです。肝臓が繰り返しまたは継続的に損傷を受けると、瘢痕組織が生じます。 肝硬変の最も一般的な原因は、慢性的な アルコール乱用、 慢性ウイルス性肝炎、 飲酒によらない脂肪肝です。 食欲不振、体重減少、疲労、全身のけん怠感などの症状が現れます。 腹部への体液の貯留( 腹水)、... さらに読む 肝硬変 に至る可能性があります。

アルコールは、消化管で吸収された後、通常は肝臓で処理(代謝)されます。アルコールが処理される際には、肝臓に損傷を与える物質が生成されます。アルコール関連肝疾患は、何カ月も、または何年も大量に飲酒する人に発生するのが典型的です。アルコール関連肝疾患の特徴は、脂肪肝と広範囲の肝臓の炎症で、それによって肝臓の細胞が死んでしまうことがあります。飲酒を続けると、肝臓に瘢痕組織が形成され、最終的に肝臓の正常組織の大部分が取って代わられ肝硬変になる可能性があります。

特定のは、特に長期にわたって服用する場合、慢性肝炎を引き起こすことがあります。具体的には、イソニアジド、メチルドパ、ニトロフラントインなどがあります。

まれに、慢性肝炎は以下のものに起因することがあります。

同じウイルスや薬でも、実際に慢性肝炎を発症するかどうか、また発症した場合の重症度は人によって異なりますが、その正確な理由は分かりません。

知っていますか?

  • 慢性肝炎は肝硬変に進行するまで疑われないことがあります。

症状

約3分の2の患者では慢性肝炎は徐々に発生し、多くの場合、肝硬変になるまで肝疾患の症状はみられません。残りの3分の1は、急性ウイルス性肝炎の発生後(多くは数週間後)に肝炎が継続するか再発して、慢性肝炎になります。

多くの場合、最初の具体的な症状は、肝疾患が進行して肝硬変の所見がみられるようになると現れます。具体的な症状には以下のものがあります。

脳の機能が低下する理由は、ひどい損傷を受けた肝臓が血液から有害物質を正常に除去できないためです。そうした物質が、その後血液中に蓄積し脳に到達します。肝臓は正常な状態では、血液中から有害物質を取り除いて分解し、無害な副産物として胆汁(消化を助ける緑がかった黄色の液)中や血液中に排泄しています(肝臓の機能 肝臓の機能 を参照)。肝性脳症の治療によって、脳の機能の低下が永続的なものになるのを予防できます。

損傷を受けた肝臓はもはや血液凝固を助けるタンパク質を十分に合成できなくなるため、血液が正常に凝固できません。

少数の患者で、 黄疸 成人の黄疸 黄疸では、皮膚や白眼が黄色くなります。黄疸は、血中にビリルビン(黄色の色素)が多すぎる場合に起こります。この病態を高ビリルビン血症と呼びます。 ( 肝疾患の概要と 新生児黄疸も参照のこと。) 写真では、黄色に変色した眼と皮膚(黄疸)がみられます。 ビリルビンは、古くなった赤血球や損傷した赤血球を再利用する正常なプロセスの中で、ヘモグロビン(酸素を運ぶ赤血球の一部)が分解されるときに生成されます。ビリルビンは、血流によって肝臓に運ばれ、そ... さらに読む 成人の黄疸 やかゆみがみられ、便の色が薄くなります。黄疸やかゆみが発生する理由は、損傷を受けた肝臓が血液から正常にビリルビンを取り除くことができないためです。そうしてビリルビンが血液中に蓄積し、皮膚に沈着します。ビリルビンは黄色い色素で、赤血球の正常な分解の際に老廃物として作られます。便の色が薄くなる理由は、肝臓から出る胆汁の流れが遮られ、便中に排泄されるビリルビンが減少するためです。ビリルビンは、便の色を典型的な茶色にする物質です。

自己免疫性肝炎では、そのほかにも、体の他の器官系を侵す症状が現れることがあります。具体的な症状としては、月経の停止、関節の痛みや腫れ、食欲不振、吐き気などがあります。自己免疫性肝炎の患者には、1型糖尿病、潰瘍性大腸炎、セリアック病などの別の自己免疫疾患や、貧血や甲状腺や腎臓の炎症を引き起こす自己免疫疾患も存在することがあります。

多くの人では何年もの間、慢性肝炎の進行はみられません。一部の人では慢性肝炎が徐々に悪化します。その後の見通しは、原因となるウイルスによって異なります。

診断

  • 血液検査

  • 生検

以下の場合に慢性肝炎が疑われることがあります。

  • 典型的な症状がみられる場合。

  • 血液検査(他の理由で行ったもの)で肝酵素値の上昇が検出される場合。

  • 過去に急性肝炎があった場合。

また米国では、症状の有無にかかわらず、1945年から1965年までに生まれたすべての人は、一度C型肝炎の検査を受けるべきです。というのも、C型肝炎はこの年齢層でよくみられ、気づかれていないことが多いためです。

また、肝炎ウイルスが感染症を引き起こしているかどうかを特定するための参考にする目的でも、血液検査を行います。ウイルスが特定されない場合は、自己免疫性肝炎など、他の原因を調べる別の血液検査が必要です。

肝傷害の程度を判定したり、肝臓の他の問題がないか確認したりするために、他の検査が行われることがあります。検査には以下のものがあります。

  • 特殊な画像検査、例えば超音波エラストグラフィーや磁気共鳴エラストグラフィーなど

  • 線維化の有無や程度を示す物質(マーカー)を測定する血液検査

肝臓がんのスクリーニング

B型慢性肝炎(または何らかの肝疾患に起因する肝硬変)の患者では、肝臓がんのスクリーニングを6カ月毎に行います。次の2つの検査が行われます。

  • 超音波検査

  • ときにアルファ-フェトプロテインの血中濃度の測定

肝臓がんがあると、アルファ-フェトプロテイン(胎児の未熟な肝細胞が正常時から作るタンパク質)の測定値が高くなることがあります。

治療

  • 原因の治療(例えばB型またはC型肝炎に対する抗ウイルス薬)

  • 合併症の治療

薬が原因である場合は、その薬の使用を中止します。他の病気が原因の場合は、その治療を行います。

B型肝炎とC型肝炎

一部の患者では、薬物治療を中止するとB型肝炎が再発する傾向があり、さらに重症化することがあります。したがって、このような患者は抗ウイルス薬を無期限に服用する必要があります。

非アルコール性脂肪肝炎

非アルコール性脂肪肝炎の治療では、この病気に寄与している病態の管理に重点が置かれます。例えば、治療法には以下のものがあります。

自己免疫性肝炎

自己免疫性肝炎の治療には、通常はコルチコステロイド(プレドニゾン[日本ではプレドニゾロン]やブデソニドなど)と、免疫抑制薬であるアザチオプリンを併用します。これらの薬は炎症を抑え、症状を和らげ、長期的な生存率を改善します。こうした治療を行っていても、肝臓の瘢痕は徐々に悪化することがあります。

治療を中止すると炎症が再発するため、ほとんどの患者は生涯にわたって薬の服用を続ける必要があります。しかし、コルチコステロイドを長期にわたって用いると著しい副作用が起こる可能性があります。そのため、医師は通常、徐々にコルチコステロイドの用量を減量し、患者が使用を中止できるようにします。その後、患者はアザチオプリンやミコフェノール酸(免疫系を抑制する別の薬)を無期限に服用します。

合併症の治療

肝移植

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