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耳および副鼻腔の圧外傷

執筆者:

Alfred A. Bove

, MD, PhD, Lewis Katz School of Medicine, Temple University

最終査読/改訂年月 2015年 10月

圧外傷は,身体区画内のガス容積が圧力に応じて変化することに起因する組織損傷である。耳(耳痛,難聴,および/または前庭症状が生じる)または副鼻腔(痛みおよび鼻閉が生じる)に起こりうる。診断にはときに聴力検査および前庭検査が必要となる。治療としては,必要に応じて,鼻閉改善薬,鎮痛薬,およびときにコルチコステロイド経口投与または内耳,中耳,あるいは副鼻腔の重篤な損傷に対する外科的修復などがある。

潜水では外耳,中耳,および内耳が侵されうる。一般的には,ダイバーは潜降時に耳閉感および耳痛を覚える;圧平衡が速やかに行われない場合,中耳出血および鼓膜破裂が起こりうる。冷水が中耳に入ると,潜水中に回転性めまい,悪心,および方向感覚の喪失を来しうる。耳の診察では,鼓膜は充血,鼓室内出血,穿孔,または気密耳鏡による送気中に可動性の欠如を呈することがある;伝音難聴が通常存在する。

内耳の圧外傷はしばしば正円窓または卵円窓の破裂を伴い,これにより耳鳴,感音難聴,回転性めまい,悪心,および嘔吐が引き起こされることがある。その結果生じる内耳瘻孔および外リンパ漏が,内耳を恒久的に損傷することがある。

副鼻腔の圧外傷 は前頭洞に最も多く生じ,次に篩骨洞および上顎洞に多く生じる。ダイバーは軽度の圧迫感から重度の疼痛を感じ,さらに浮上中または潜降中に副鼻腔区域の詰まりを覚え,ときに鼻出血を来す。疼痛は重度のことがあり,ときに触診時の顔面の圧痛を伴う。

まれに,副鼻腔が破裂し,顔面もしくは口腔の疼痛,悪心,回転性めまい,または頭痛を伴う気脳症を引き起こすことがある。上顎洞が破裂すると,眼窩後部に空気が入り,動眼神経機能障害による複視を生じることがある。上顎洞における三叉神経の圧迫によって顔面に錯感覚が起こりうる。身体診察で副鼻腔の圧痛または鼻出血を認めることがある。

診断

  • 聴力検査および前庭検査

内耳外傷の症状がある患者は,前庭機能障害の徴候がないか診察で確認し,正式な聴力検査および前庭検査を受けさせるべきである。

合併症のない副鼻腔圧外傷の診断に画像検査(例,単純X線,CT)の必要はないが,副鼻腔破裂の疑いがあればCTは有用である。

治療

  • 鼻閉改善薬および鎮痛薬

  • ときに経口コルチコステロイド,外科的修復,またはその両方

ほとんどの圧外傷が自然に軽快し,対症療法および外来でのフォローアップを要するのみである。

副鼻腔および中耳の圧外傷に対する薬物療法は同じである。鼻閉改善薬(通常オキシメタゾリン0.05%,各鼻孔に2噴霧,1日2回,3~5日間,またはプソイドエフェドリン60~120mg,経口,1日2~4回,最高1日240mgまで,3~5日間)が,閉塞腔を開くのに役立つ可能性がある。重症患者は,コルチコステロイド点鼻薬で治療できる。点鼻薬療法の直後にバルサルバ手技を実施すると,閉塞腔に鼻閉改善薬が分布しやすくなる。疼痛はNSAIDまたはオピオイドによりコントロールできる。

出血または滲出の徴候があれば,抗菌薬を投与する(例,アモキシシリン500mg,経口,12時間毎,10日間;トリメトプリム/スルファメトキサゾール2倍量1錠,経口,1日2回,10日間)。

中耳の圧外傷に対して,経口コルチコステロイドの短期投与(例,プレドニゾン60mg,経口,1日1回,6日間,その後7~10日間かけて漸減)を推奨する医師もいる。

重度のまたは持続的な症状がある場合,耳鼻咽喉科医への紹介が必要となる。重篤な内耳もしくは中耳,または副鼻腔の損傷には,手術(例,破裂した正円窓または卵円窓の直接的修復のための鼓室開放術,中耳からの排液を図る鼓膜穿刺術,副鼻腔減圧術)を要することがある。

予防

頻回に嚥下したり,つまんだ鼻先に息を送り込み,耳管を開け中耳と外界との圧力を平衡化させることで耳の圧外傷を回避しうる。耳栓の裏側の圧は平衡化できないため,潜水に使用すべきでない。

プソイドエフェドリン(60~120mg,経口,1日2回または4回,最高1日240mgまで)を潜水12~24時間前から予防的に投与することにより,耳および副鼻腔の圧外傷の発生率を低減しうる。うっ血が軽快しない場合,または上気道感染もしくはコントロール不良のアレルギー性鼻炎がある場合は,潜水を行うべきではない。

要点

  • 耳鳴,難聴,または回転性めまいがあれば,聴力検査および前庭検査を受けさせるべきである。

  • 副鼻腔破裂が疑われる場合,CTを考慮する。

  • 症状が重度であれば,鎮痛薬および鼻閉改善薬を処方する。

  • 鼻閉があるときに潜水しないよう忠告したり,ときにはプソイドエフェドリンを予防的に処方することにより,耳および副鼻腔の圧外傷のリスクを低下させる。

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