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クループ

(喉頭気管気管支炎)

執筆者:

Rajeev Bhatia

, MD, Phoenix Children's Hospital

最終査読/改訂年月 2018年 7月
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本ページのリソース

クループは主に生後6カ月から3歳の小児が罹患する。

病因

最も頻度が高い病原体は以下のものである:

比較的まれな原因としてRSウイルス RSウイルス(RSV)感染症およびヒトメタニューモウイルス感染症 RSウイルス感染症とヒトメタニューモウイルス感染症は,特に乳児および幼児において,季節性の下気道疾患を引き起こす。無症候性ないし軽症で済むこともあれば,細気管支炎や肺炎を伴った重症となることもある。診断は臨床的に行うのが通常であるが,臨床検査による診断も可能である。治療は支持療法による。 ヒトに感染するウイルスの大半は成人と小児の両方に感染するが,それらについては本マニュアルの別の箇所で考察されている。新生児に特異的な影響を及ぼすウイル... さらに読む (RSV)とアデノウイルス アデノウイルス感染症 数多くあるアデノウイルスのいずれかに感染した場合,無症状に経過することもあれば,軽度の呼吸器感染症,角結膜炎,胃腸炎,膀胱炎,原発性肺炎などの特異的な症候群を来すこともある。診断は臨床的に行う。治療は対症療法である。 アデノウイルスは,3つの主要なカプシド抗原(ヘキソン,ペントン,およびファイバー)によって分類されるDNAウイルスである。ヒトアデノウイルスには,7つの種(A~G)と57の血清型がある。血清型によって異なる病態がみられる。... さらに読む があり,A型およびB型インフルエンザウイルス インフルエンザ インフルエンザは,発熱,鼻感冒,咳嗽,頭痛,および倦怠感を引き起こすウイルス性呼吸器感染症である。季節的な流行の際には特に高リスク患者(例,施設入所者,低年齢児と高齢者,心肺機能不全患者,または妊娠後期の妊婦)の間で死亡も起こりうる;パンデミックの間は,健康な若年患者でさえ死に至る可能性がある。診断は通常,臨床的に,また地域の疫学的パターンに基づいて行う。インフルエンザワクチンは禁忌のない6カ月以上の全ての人に毎年接種すべきである。抗ウ... さらに読む エンテロウイルス エンテロウイルス感染症の概要 エンテロウイルスは,ライノウイルス(感冒を参照)およびヒトパレコウイルスとともに,ピコルナウイルス科(小さな[pico]RNAウイルス)に属する。ヒトパレコウイルス1型および2型は,かつてはエコーウイルス22型および23型と呼ばれていたが,現在ではパレコウイルスに再分類されている。全てのエンテロウイルスは不均一な抗原性を有し,地理的に広く... さらに読む ,ライノウイルス,麻疹ウイルス 麻疹 麻疹は,小児で最も多くみられる感染性の高いウイルス感染症である。発熱,咳嗽,鼻感冒,結膜炎,口腔粘膜の粘膜疹(コプリック斑),および頭尾方向に拡大する斑状丘疹状皮疹を特徴とする。診断は通常,臨床的に行う。治療は支持療法による。予防接種が非常に効果的である。 ヒトに感染するウイルスの大半は成人と小児の両方に感染するが,それらについては本マニュアルの別の箇所で考察されている。新生児に特異的な影響を及ぼすウイルスについては,新生児における感染... さらに読む 麻疹 ,および肺炎マイコプラズマ マイコプラズマ マイコプラズマは遍在性の細菌で,細胞壁を欠いているという点で他の原核生物と異なっている。 肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)は肺炎,特に市中肺炎の一般的な原因菌である。 非淋菌性尿道炎症例の一部は性器マイコプラズマ(M. genitalium)またはUreaplasma urealyticumが原因菌であることを示唆したエビデンスが蓄積されている。これらの細菌(およびM... さらに読む などがそれに続く。インフルエンザによるクループは特に重症で,広い年齢層の小児に起こりうる。

季節的アウトブレイクがよくみられる。パラインフルエンザウイルスに起因する症例は秋にみられる傾向があり,RSVおよびインフルエンザウイルスに起因する症例は冬から春にかけてみられる傾向がある。伝播は通常,空気感染,または感染分泌物との接触による。

病態生理

感染すると,喉頭,気管,気管支,細気管支,および肺実質に炎症が起こる。腫脹や炎症性滲出物による閉塞が生じ,声門下部で顕著になる。閉塞により呼吸仕事量が増え,まれに,疲労により高炭酸ガス血症に至る。細気管支が閉塞する場合は,無気肺を併発することがある。

症状と徴候

明白な呼吸窮迫と荒い吸気性喘鳴が最も印象的な身体所見である。聴診では吸気延長および吸気性喘鳴を認める。断続性ラ音を呈することもあり,下気道が侵されていることを示唆する。無気肺で呼吸音が減弱することがある。発熱は約半数の患児でみられる。病状は朝には改善したようにみえるが夜には再び悪化する。

反復するものはしばしば痙攣性クループと呼ばれる。痙攣性クループでは,アレルギーまたは気道反応性がある程度関与している可能性があるが,臨床像はウイルス性クループのものと区別がつかない。また,痙攣性クループも通常はウイルス感染が最初の原因であるが,一般に発熱はみられない。

診断

  • 臨床像(例,犬吠様咳嗽,吸気性喘鳴)

  • 必要に応じて頸部X線(前後像および側面像)

クループの診断は通常,犬吠様の咳嗽から明白である。類似の吸気性喘鳴は,喉頭蓋炎 喉頭蓋炎 喉頭蓋炎は喉頭蓋および周辺組織において急速に進行する細菌感染症であり,突然の気道閉塞および死亡に至ることもある。症状としては,重度の咽頭痛,嚥下困難,高熱,流涎,吸気性喘鳴などがある。診断には声門上部構造の直接観察が必要であるが,これは十分な呼吸補助が可能になるまで行うべきではない。治療には気道の保護および抗菌薬などがある。 喉頭蓋炎はかつては主に小児に発生し,通常,インフルエンザ菌(Haemophilus... さらに読む 喉頭蓋炎 細菌性気管炎 細菌性気管炎 細菌性気管炎は気管の細菌感染症である。 細菌性気管炎はあまり多くはみられないが,いずれの年齢の小児でも罹患しうる。黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)およびA群β溶血性レンサ球菌が最も高頻度に関係する。 ほとんどの小児は,重度の吸気性喘鳴(stridor)および呼吸困難を発症する前の1~3日間,ウイルス性呼吸器感染... さらに読む ,気道異物,ジフテリア ジフテリア ジフテリアは,主にジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae)の毒素産生株,まれに比較的頻度の低い他のCorynebacterium属細菌によって引き起こされる,咽頭または皮膚の急性感染症である。症状は非特異的な皮膚感染症または偽膜性咽頭炎で始まり,それに続いて外毒素による心筋および神経組織の障害がみられる。無症候性保菌者も存在する。診断は臨床的に行い,培養により確定する。治療は抗毒素とペニシリンまたはエリスロ... さらに読む ジフテリア ,および咽後膿瘍 咽後膿瘍 咽後膿瘍は幼児に最も頻度が高く,咽頭痛,発熱,項部硬直,および吸気性喘鳴を生じうる。診断には頸部X線(側面像)またはCTが必要である。治療には気管挿管,排膿,および抗菌薬を用いる。 咽後膿瘍は,脊椎に隣接する咽頭後部の咽頭後リンパ節に発生する。咽後膿瘍は咽頭,副鼻腔,アデノイドまたは鼻の感染によって播種しうる。咽頭後リンパ節が4~5歳までに退縮し始めるため,咽後膿瘍は主に1~8歳の小児に発症する。しかしながら,成人では異物の摂取や器具操... さらに読む 咽後膿瘍 によっても起こりうる。喉頭蓋炎,咽後膿瘍,および細菌性気管炎の場合,発症はより急速で,重症感(toxic appearance)がより強く,嚥下痛が生じ,上気道症状は少ない。異物によって呼吸窮迫および典型的なクループ様咳嗽が生じることがあるが,発熱および先行する上気道感染はみられない。ジフテリアは,適切な予防接種歴により除外され,典型的には灰色がかったジフテリアの偽膜からの剥離物のウイルス培養において菌が同定されれば確定される。

診断がはっきりしない場合は,患児は頸部および胸部のX線検査(前後像および側面像)を受けるべきである;頸部X線の前後像上での喉頭蓋下の狭小化(steeple sign)によって診断が裏付けられる。重篤な病状の患児は,喉頭蓋炎が懸念されるため,気道確保のできる適切な専門医によって手術室で診察すべきである(Professional.see page 治療 治療 喉頭蓋炎は喉頭蓋および周辺組織において急速に進行する細菌感染症であり,突然の気道閉塞および死亡に至ることもある。症状としては,重度の咽頭痛,嚥下困難,高熱,流涎,吸気性喘鳴などがある。診断には声門上部構造の直接観察が必要であるが,これは十分な呼吸補助が可能になるまで行うべきではない。治療には気道の保護および抗菌薬などがある。 喉頭蓋炎はかつては主に小児に発生し,通常,インフルエンザ菌(Haemophilus... さらに読む 治療 )。パルスオキシメトリーを行うべきであり,呼吸窮迫を有する場合は動脈血ガス測定も行うべきである。

パール&ピットフォール

  • 喉頭蓋炎,咽後膿瘍,および細菌性気管炎の場合,クループに比べ重症感(toxic appearance)が強く,金属音様で犬吠様の咳嗽は伴わない。

治療

  • 外来の場合,加湿冷気および可能性として長時間作用型コルチコステロイドの1回投与

  • 入院患者には,加湿酸素,ラセミ体アドレナリン,およびコルチコステロイド

この疾患は通常,3~4日続き,自然に消失する。軽症の小児は,水分補給と解熱薬を用いて在宅で看護してもよい。疲労および啼泣で病状が悪化しうるため,患児の環境を快適に保つことが重要である。加湿装置(例,コールドスチーム噴霧器または加湿器)は上気道の乾燥を改善する可能性があり,しばしば家族が家で使用するが,疾患の経過を変えるとは示されていない。クループ患児の大多数は完治する。

入院は一般的に,呼吸窮迫の増悪または持続,頻脈,疲労,チアノーゼ,低酸素血症,または脱水に対して適応となる。パルスオキシメトリーは重度の症例の評価およびモニタリングに役立つ。酸素飽和度が92%未満に低下した場合,加湿酸素を投与し,CO2蓄積を評価するため動脈血ガスを測定すべきである。30~40%の吸気酸素濃度が通常は適切である。CO2蓄積(Paco2> 45mmHg)は,酸素化を維持するのが不可能な場合と同様に,一般的に疲労と気管挿管の必要性を示唆する。

生理食塩水3mL中の霧状ラセミ体アドレナリン5~10mg,2時間毎の投与によって,症状が緩和し,疲労も軽減する。しかしながら,効果は一時的であり,疾患の経過,基礎のウイルス感染症,およびPao2は,この投与によっては改善されない。頻脈および他の有害反応が起こることもある。この薬剤は主に中等度から重度のクループの患者に推奨される。

高用量デキサメタゾン0.6mg/kgの筋注または経口による1回投与(最大用量10mg)は,罹患後24時間以内で早い段階の患児に便益を与える可能性がある。これは入院を防ぐ,または中等度から重度のクループで入院している患児に有用である;迅速な反応を示さなかった入院児には数回の投与が必要な場合もある。クループを最も頻繁に起こすウイルスは通常,二次的な細菌感染を引き起こさないため,抗菌薬が適応となるのはまれである。

要点

  • クループとは生後6~36カ月の乳児が罹患する気道の急性ウイルス感染症で,典型的にはパラインフルエンザウイルス(主に1型)によって起こる。

  • 犬吠様,しばしば攣縮性の咳嗽およびときに吸気性喘鳴(声門下浮腫による)が最も著明な症状であり,症状はしばしば夜間に悪化する。

  • 診断は通常,臨床的に行うが,頸部および胸部のX線前後像で示される典型的な喉頭蓋下の狭小化(steeple sign)によって診断が支持される。

  • 加湿冷気または加湿冷却酸素,およびときにコルチコステロイド,霧状ラセミ体アドレナリンを投与する。

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