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弱視

執筆者:

Christopher M. Fecarotta

, MD, Phoenix Children’s Hospital;


Wendy W. Huang

, MD, PhD, Phoenix Children’s Hospital

最終査読/改訂年月 2016年 5月
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弱視とは,視力発達過程における眼の不使用によって引き起こされる機能的な視力低下のことである。弱視の発見および治療が8歳までになされない場合,患眼の重度の視力障害に至ることがある。他に病因がなく,最大矯正視力に左右差が検出された場合に診断される。治療は原因に応じて異なる。

弱視は小児の約2~3%に発生し,通常は2歳未満で始まるが,約8歳未満であれば全ての小児に発生しうる。

視覚系が適正に発達するために脳は,鮮明な焦点の合った正しく整合された像を両眼から同時に受け取らなければならない。この発達は主に生後3年間に起こるが,約8歳まで完成しない。片眼からの像のみが持続的に干渉を受け続けると,弱視が発生する。視覚野では患眼からの像が抑制される。抑制がかなり長期に及ぶと視力障害が永続的になりうる。

病因

原因は以下の3つである:

  • 斜視

  • 不同視

  • 視軸の遮断

斜視では,眼位の異常により異なる網膜像が視覚野に送られるため,弱視が発生することがある。この眼位の異常が起こった場合,小児の脳は一時に一側の眼のみに注意を向け他側からの情報が抑制される。成人では視路がすでに十分発達しているため,異なる2つの像が提示されると1つの像の抑制ではなく複視が起こる。

不同視(乱視,近視,または遠視のために両眼の屈折度に差が生じた状態)でも,網膜像の焦点が異なる結果,屈折異常の大きい方の眼において結像不良となるため,弱視が生じる。

視軸の遮断が眼表面から網膜までの一点で発生した場合(例, 先天性白内障),患眼における網膜の結像が妨げられたり,完全に損なわれたりする。この視軸の遮断により弱視が起こりうる。

症状と徴候

弱視はしばしば無症状で,ルーチンの視力スクリーニングでのみ明らかになることが多い。小児は眼を細めたり片眼を覆ったりするが,片眼性の視力障害を訴えることはまれである。年少の幼児では,両眼の視力に差が生じていても気づかないか,たとえ自覚していても表現することができない。これより年長児では,患眼の視覚障害を訴えたり,奥行きの知覚不良を示したりする場合がある。斜視が原因の場合は,注視線の偏位が他の原因の場合よりも顕著となる。白内障が視軸の遮断を引き起こしていることは見逃されることがある。

診断

  • 早期スクリーニング

  • フォトスクリーナー検査

  • 追加検査(例,遮閉試験,遮閉-遮閉除去試験,屈折検査,眼底検査,細隙灯顕微鏡検査)

就学前の全ての小児を対象にした弱視(および斜視)のスクリーニングが推奨されており,実施時期は3歳前後が最適である。学習障害または発達障害のために自覚検査を受けられない年少の幼児に対するスクリーニングには,フォトスクリーナー検査が1つの手段となる。フォトスクリーナーでは,視標固視中の瞳孔反射および光源に対する赤色反射をカメラで撮影する;その画像で左右の対称性を比較する。これより年長児におけるスクリーニングは,図形(例,タンブリングE,Allenカード,HOTV図形もしくはキャラクター)またはスネレン視力表を用いた視力検査からなる。

基礎的原因を同定するには追加検査が必要となる。斜視は,遮閉試験または遮閉-遮閉除去試験によって確認できる( 斜視 : 診断)。眼科医は各眼の屈折検査により弱視を確認できる。視軸の遮断は,眼底検査または細隙灯顕微鏡検査によって確認できる。

予後

弱視は,視覚系が成熟することが多い8歳までに診断および治療がなされない場合,不可逆的となりうる。5歳までに同定および治療がなされた小児の大部分は,ある程度の視力改善が得られる。早期治療により視力の完全回復の可能性が高まる。特定の状況では,これより年長の弱視の小児でも治療により視力の改善が見込める。一部の症例では,視覚系が成熟するまでに再発の可能性が残る。視力が成熟した後でも,視力の軽度低下を示す患者がみられる。

治療

  • 眼鏡またはコンタクトレンズ

  • 白内障手術

  • 眼帯

  • アトロピン点眼

  • 斜視があればその治療

弱視の治療は小児の眼疾患の管理に経験豊富な眼科医の指導の下で行われるべきである。いかなるものでも基礎的原因を治療しなければならない(例,眼鏡またはコンタクトレンズによる屈折異常の矯正,白内障手術,斜視の治療)。その後は弱視眼に視覚的優位性を与えるため,よい方の眼への眼帯装着またはアトロピン点眼により弱視眼の使用を促進する。治療に対するアドヒアランスは点眼療法の方が良好である。改善が安定した後も,小児が約8~10歳になるまでは再発予防のための維持治療が推奨される。

要点

  • 弱視とは,視路が成熟する前の早期小児期に各眼から鮮明に焦点の合った正しく整合された像が視覚野に入力されないことによって生じる一側眼の視力障害である。

  • 診断は主としてスクリーニング検査により行い,約3歳で検査すべきである。

  • 治療は原因に対して行い(例,屈折異常の矯正,白内障手術,斜視の治療),その後視力のよい方の眼に対する眼帯またはアトロピン点眼を行う。

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