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異所性妊娠

執筆者:

Antonette T. Dulay

, MD, Main Line Health System

最終査読/改訂年月 2014年 1月
本ページのリソース

異所性妊娠では,着床が子宮腔の子宮内膜以外の部位,すなわち卵管,子宮角,頸部,卵巣,腹腔または骨盤腔内に起こる。異所性妊娠では満期まで妊娠を継続できず,最終的には破裂または自然消失する。初期症状および徴候として骨盤痛,性器出血,および頸部移動痛がある。破裂に伴って失神または出血性ショックが起こりうる。診断はヒト絨毛性ゴナドトロピンβサブユニットの測定および超音波検査による。治療は腹腔鏡や開腹での外科的切除,またはメトトレキサート筋注による。

異所性妊娠の発生頻度は診断された妊娠の約2/100である。

病因

卵管病変によりリスクは上昇する。特にリスクを上昇させる要因には以下のものがある:

  • 異所性妊娠の既往(10~25%の再発リスク)

  • 骨盤内炎症性疾患の既往(特にChlamydia trachomatisによる)

  • 腹部の手術,特に卵管結紮を含む卵管手術の既往

他の特異的な危険因子としては以下のものがある:

  • 子宮内避妊器具(IUD)の使用

  • 不妊症

  • 複数のセックスパートナー

  • 喫煙

  • ジエチルスチルベストロールへの曝露

  • 人工妊娠中絶の既往

IUDを装着している場合,妊娠が起こる可能性は低い;しかしながら妊娠した場合の約5%は異所性妊娠である。

病態生理

最も多くみられる異所性妊娠の部位は卵管であり,続いて子宮角である。頸管,帝王切開瘢痕,卵巣,腹膜,または卵管間質の妊娠はまれである。

子宮内外同時妊娠(異所性妊娠および子宮内妊娠の同時発生)は妊娠10,000~30,000例当たりわずか1例であるが,排卵誘発,または体外受精および配偶子卵管内移植(GIFT)などの生殖補助医療の治療を受けた女性でより多くみられることがある;このような女性で報告されている異所性妊娠率は1%以下である。

胎児を含む受胎産物は通常6~16週後に破裂する。破裂による出血は,徐々に起こるか,出血性ショックを生じるほど急激に起こることもある。腹腔内出血は腹膜を刺激する。破裂の時期が後になるほど失血が急激となり,死亡のリスクが高まる。

症状と徴候

症状は様々で,しばしば破裂が起こるまで認められない。大部分の患者に骨盤痛(ときに痙攣性),性器出血,または両方が起こる。月経の遅れや欠如はまちまちであり,患者は妊娠に気づいていないこともある。

破裂の前兆は突然の重度の疼痛であり,その後,失神,または出血性ショックや腹膜炎の症状および徴候が現れる。子宮角妊娠で破裂が生じると急激な出血が起こる可能性が高い。

頸部移動痛,片側または両側の付属器の圧痛,または付属器腫瘤を認めることがある。子宮はわずかに大きくなることがある(しかし最終月経日に基づく予想よりもしばしば小さい)。

診断

  • 血清β‐ヒト絨毛性ゴナドトロピン(β-hCG)の定量

  • 骨盤内超音波検査

  • ときに腹腔鏡検査

性交歴,避妊歴,月経歴にかかわらず,妊娠可能年齢の全ての女性において,骨盤痛,性器出血または原因不明の失神や出血性ショックがあれば,異所性妊娠を疑う。身体診察(内診を含む)の所見は感度や特異度が低い。

パール&ピットフォール

  • 性交歴,避妊歴,月経歴および診察所見にかかわらず,妊娠可能年齢の全ての女性に骨盤痛,性器出血または原因不明の失神や出血性ショックがあれば,異所性妊娠を疑う。

まず最初に,妊娠(異所性およびそれ以外)の感度が約99%の尿妊娠検査を行う。尿のβ-hCGが陰性であり,臨床所見が異所性妊娠を強く示唆しない場合,症状が再発または悪化しない限りさらなる評価は不要である。尿のβ-hCGが陽性であるか,または臨床所見が異所性妊娠を強く示唆する場合は,血清β-hCG定量および骨盤内超音波検査の適応となる。

血清β-hCG定量が5mIU/mL未満であれば,異所性妊娠は除外される。超音波検査で子宮内の胎嚢が発見された場合は,女性が生殖補助医療(子宮内外同時妊娠のリスクが上昇する)を利用していた場合を除いて異所性妊娠はほとんど考えられない;しかしながら,副角および腹腔内の妊娠は子宮内妊娠のようにみえることがある。異所性妊娠を示唆する超音波検査所見(16~32%でみられる)には,特に付属器の複雑な構造の(充実性成分と嚢胞性成分の混合)腫瘤,およびダグラス窩の液体がある。

血清β-hCG が一定の値(discriminatory zoneと呼ばれる)を超えている場合は,子宮内妊娠の患者では超音波検査で胎嚢が検出されるはずである。その値は通常約2000mIU/mLである。β-hCG値がdiscriminatory zoneよりも高く子宮内に胎嚢がみられない場合は,異所性妊娠である可能性が高い。経腟超音波検査およびカラードプラ超音波検査によって,検出率は高まる。

β-hCG値がdiscriminatory zoneよりも低く,超音波検査で著胎嚢が検出されない場合には,患者は子宮内妊娠初期または異所性妊娠である可能性がある。臨床的評価で異所性妊娠が示唆される場合(例,著明な出血または腹膜刺激の徴候),確定診断のために診断的腹腔鏡検査が必要になることがある。異所性妊娠の可能性は低いと考えられ,患者の状態が安定していれば,β-hCGの血清中濃度を外来で連続的に測定してもよい(典型的には2日毎)。正常では,値は妊娠41日まで1.4~2.1日毎に2倍となる;異所性妊娠(および流産)における値は期日から予想されるよりも低く,通常はそれほど速く倍増しない。β-hCG値が予測されるように上昇しない場合,または低下する場合は,自然流産および異所性妊娠の診断を再度考慮する。

予後

異所性妊娠は胎児にとって致死的であるが,破裂前に治療すれば母体の死亡は非常にまれである。米国では,おそらく異所性妊娠が妊産婦死亡の9%を占める。

治療

  • 外科的切除(通常)

  • 小さな,未破裂の異所性妊娠に対してメトトレキサート(一部)

外科的切除

血行動態が不安定な患者では早急な開腹および出血性ショックの治療が必要である。( ショック : 出血性ショック)。安定している患者では,治療は通常,腹腔鏡手術による;ときとして開腹が必要となる。可能であれば,卵管を保存するために通常は焼灼法,高周波(ハーモニック)超音波またはレーザーを用いた卵管切開術を行い,受胎産物を除去する。

卵管切除術は以下のいずれかの症例で適応となる:

  • 異所性妊娠が再発または > 5cm

  • 卵管が重度の損傷を受けている

  • 将来妊娠を計画していない

卵管のうち不可逆的に損傷した部位のみを除去し,卵管の修復により妊孕性が回復する可能性が最大になるようにする。卵管は修復することもしないこともある。副角妊娠後では,罹患した卵管および卵巣は通常,救済可能であるが,ときに修復不可能であり,子宮摘出が必要となる。

メトトレキサート

卵管妊娠が未破裂で直径3cm未満,胎児の心拍がみられず,さらに理想的にはβ-hCG値が5000mIU/mL未満(しかし最大15,000mIU/mLまで)の場合,メトトレキサート50mg/m2の単回筋注が可能である。およそ4日目および7日目にβ-hCGを再測定する。β-hCG値が15%減少しなければ,2回目のメトトレキサート投与または手術が必要である。代わりに他のプロトコルを使用してもよい。例えば,β-hCG値を1日目,7日目に測定し,値が25%減少しない場合に2回目のメトトレキサートを投与できる。メトトレキサートを投与した女性の約15~20%において,最終的に2回目の投与が必要となる。

β-hCG値は検出されなくなるまで毎週測定する。メトトレキサートの成功率は約87%である;7%の女性に重篤な合併症が起こる(例,破裂)。メトトレキサートが無効な場合は手術適応となる。

要点

  • 異所性妊娠の発生部位は最も頻度が高いのは卵管である。

  • 症状としては,骨盤痛,性器出血,無月経などがあるが,破裂が起こるまで症状がないこともあり,その場合は,ときに極めて深刻な結果を伴う。

  • 病歴および診察所見にかかわらず,妊娠可能年齢の全ての女性に骨盤痛,性器出血または原因不明の失神や出血性ショックがあれば,異所性妊娠を疑う。

  • 尿妊娠検査が陽性である,または臨床所見が異所性妊娠を示唆する場合は,血清β-hCGの定量および骨盤内超音波検査を行う。

  • 治療には通常,外科的切除を含む。

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