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コンタクトレンズ

執筆者:

Deepinder K. Dhaliwal

, MD, L.Ac, University of Pittsburgh School of Medicine

レビュー/改訂 2020年 5月
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コンタクトレンズは,眼鏡に比べて良好な周辺視力が得られ,以下の場合の矯正に処方できる:

ソフトまたはハードいずれかのレンズが近視および遠視の矯正に使用される。トーリックソフトコンタクトレンズ(レンズの前面に様々な曲率を入れたもの)またはハードコンタクトレンズは著しい乱視の矯正に使用される;多くの場合,装着効果は満足のいくものであるが,専門家によるフィッティングを必要とする。

コンタクトレンズは老視の矯正にも使用される。1つのアプローチはモノビジョン(単眼視)と呼ばれ,非優位眼を近見視力用(読書)に,優位眼を遠見視力用に矯正することである。2焦点および多焦点のハードおよびソフトコンタクトレンズでもうまくいくことがあるが,正確なアライメントが必須であるためフィッティングに時間を要する。

ハードまたはソフトコンタクトレンズのいずれも,眼鏡とは異なり,鈍傷または鋭傷から眼を保護することはない。

コンタクトレンズのケアおよび合併症

レンズの衛生管理および取り扱いに対する指示は厳格に守らなければならない。コンタクトレンズの衛生状態が不良であると,角膜の感染または持続的な炎症が生じることがある。コンタクトレンズはときに無痛性の角膜表面の変化をもたらす。以下のような場合にコンタクトレンズにより痛みが生じることがある:

過度装用症候群は,レンズを装用しなければ1日程度で自然治癒しうる。中には,積極的治療が必要な症例もある(例,抗菌薬の点眼または軟膏)。散瞳薬による瞳孔拡大により,羞明を緩和できる。散瞳薬で虹彩および毛様体の筋を一時的に麻痺させることにより鎮痛が得られる(炎症を起こした筋肉の動きにより疼痛が生じる)。過度装用症候群またはその他の病態において,レンズを取り外しても速やかに痛みがなくならない場合には,患者はレンズを再度装用する前に眼科医に相談すべきである。

コンタクトレンズ関連角膜感染症(角膜炎)の危険因子としては以下のものがある:

  • レンズの衛生状態不良

  • 一晩中または長時間の装用

  • レンズの洗浄レジメンとして水道水を使用

  • 眼表面に障害がある(例,乾燥,角膜知覚低下)

感染症には眼科医による迅速な治療が必要である。

角膜潰瘍

角膜潰瘍 角膜潰瘍 角膜潰瘍は,炎症を基礎にもつ角膜上皮欠損であり,炎症は通常,細菌,真菌,ウイルス,またはアカントアメーバ(Acanthamoeba)の侵入によるものである。機械的外傷または栄養欠乏により起こることもあり,炎症が制御されないと角膜壊死に至ることがある。症状は進行性の結膜充血,異物感,疼痛,羞明,および流涙である。診断は細隙灯顕微鏡検査,フルオレセイン染色,および微生物学的検査による。治療は抗菌薬の局所投与,およびしばしば散瞳... さらに読む 角膜潰瘍 は,視力を脅かす可能性のある角膜感染症であり,コンタクトレンズ装用者に強度の眼痛(異物感および痛みの両方),視力低下,充血,羞明,と流涙が認められたときに疑われる。コンタクトレンズの使用は角膜潰瘍のリスクを増大させる。コンタクトレンズを一晩中装用すると,リスクは約15倍に高まる。角膜潰瘍は,細菌,ウイルス,真菌,またはアメーバによって引き起こされうる。

診断は 細隙灯顕微鏡検査 細隙灯顕微鏡検査 眼は,標準的な検眼鏡を含む基本的な機器を用いて診察することができるが,精密な診察では特別な機器および眼科医による評価が必要となる。 病歴には,現在の症状の部位,発症の速さ,および持続時間に加え,以前の眼症状の既往;疼痛,眼脂,または充血の有無および性状;ならびに視力の変化を含める。視力障害と眼痛以外に懸念すべき症状としては,光視症,おびただしい飛蚊症(ともに 網膜剥離の症状である可能性がある),複視,周辺視野欠損などがある。... さらに読む およびフルオレセイン染色による。角膜上皮欠損(フルオレセインで染色される)および角膜浸潤(角膜実質に白血球が集簇する)がみられる。ときに,手持ちの拡大鏡または裸眼でも見えるほど大きく濃い角膜欠損が角膜上の白点として観察される。角膜浸潤物の培養および塗抹標本,コンタクトレンズ,ならびにコンタクトレンズケースの微生物学的分析が適応となる。

コンタクトレンズの使用を中止する。細菌感染症の可能性に対し点眼抗菌薬を経験的に投与する。初期治療は広域抗菌薬であり,最初の24~72時間はフルオロキノロン系抗菌薬を15~60分毎に日夜を問わず点眼し,その後徐々に点眼の間隔を延ばしていく。潰瘍が大きい,深い,または視軸に近接している場合は,セファゾリン,バンコマイシン,または濃縮トブラマイシンなどの抗菌薬点眼薬を追加する。その後,培養結果に基づいて抗菌薬を変更または中止する。放置した症例では治療に対する反応が不良になるか,または全く反応しなくなり,重度の視力障害に至る可能性がある。

ハードコンタクトレンズ

ハードコンタクトレンズでは,角膜本来の形状をソフトレンズよりも屈折が良好な新たな表面に修正可能であるため,乱視または角膜表面が不整な患者でより確実に屈折矯正できる傾向にある。旧型のポリメチルメタクリレート製ハードコンタクトレンズに代わり,フッ化炭化水素およびポリメチルメタクリレートの混合物から作られたガス透過性コンタクトレンズ(GPCL)が使用されている。GPCLは直径が6.5~10mmで角膜の一部を覆い,角膜上にある涙液層に浮いている。

ハードコンタクトレンズは,近視,遠視,乱視の人の視力を改善できる。ハードコンタクトレンズは, 円錐角膜 円錐角膜 円錐角膜は角膜の隆起性変形で,視力障害を引き起こす。 円錐角膜は緩徐進行性に角膜が薄くなり隆起するもので,通常は両側性で10~25歳の間に発症する。原因は不明である。 危険因子としては以下のものがある: 円錐角膜の家族歴 アトピー性疾患 さらに読む などの角膜の凹凸も矯正できる。多くの場合,円錐角膜の患者はハードコンタクトレンズによって眼鏡より良好な視力が得られる。

GPCLは,眼に正確にフィットするよう設計できる。ハードコンタクトレンズを快適に装用できるようになるまでに,典型的には約4~7日間の順応期間を必要とする。この期間中,装用者はレンズ装用時間を毎日徐々に延長する。重要なことは,いかなるときでも痛みが生じてはならないということである。痛みは,コンタクトレンズのフィッティング不良または角膜刺激の徴候である。装用者は通常,ハードコンタクトレンズを外して眼鏡を装用したときに一時的な(2時間未満)霧視(スペクタクルブラー)を自覚する。

親水性ソフトコンタクトレンズ

ソフトコンタクトレンズはポリ-2-ヒドロキシエチルメタクリレートおよび,その他の軟質プラスチック(シリコンハイドロゲルなど)で作られ,30~79%は水分である。直径は13~15mmで,角膜全体を覆う。ソフトコンタクトレンズは,しばしば毎日(1回使い捨てタイプ),2週間毎,または1月毎に交換される。

ソフトコンタクトレンズは近視および遠視の人の視力を改善できる。ソフトコンタクトレンズは現状の角膜の曲率に合わせて変形するため,レンズ前面が様々な曲率に加工された特別なトーリックレンズを使用しない限り,わずかな乱視しか矯正できない。トーリックレンズの下方が重くなっていることにより,レンズの回転が防止され,正しい向きが維持される。

ソフトコンタクトレンズは,角膜上皮剥離,再発性角膜びらん,またはその他の角膜障害の治療にも処方される(保護用または治療用コンタクトレンズと呼ばれる)。抗菌薬(例,フルオロキノロン系薬剤,1日4回)の予防的点眼が保護用レンズと併用して勧められることがある。ソフトコンタクトレンズの連続装用は(特に白内障手術後の無水晶体眼で)実用的であるが,眼科医またはオプトメトリストが定期的に診察を行うべきである。患者はレンズを週1回洗浄する必要がある。

ソフトコンタクトレンズはサイズが大きいので,ハードレンズに比べて自然に外れることが少なく,レンズの下に異物が入る可能性が低い。すぐに快適に装用できるようになり,順応期間は短くてすむ。

ソフトコンタクトレンズはGPCLに比べて角膜感染症の発生率が高く,特に装用したまま就寝した場合にリスクが高まる。ソフトコンタクトレンズは乾燥するともろくなり,容易に破損する。適切な形状と柔軟性を保つために,ソフトコンタクトレンズは涙液層から(レンズの水分含有量に基づいて)ある程度の水分を吸収する。したがって,ドライアイの患者では通常,水分含有量が少ないレンズを装用する方が快適である。

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