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水疱性類天疱瘡

執筆者:

Daniel M. Peraza

, MD, Geisel School of Medicine at Dartmouth University

最終査読/改訂年月 2016年 8月
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水疱性類天疱瘡は,高齢患者においてそう痒を伴う水疱性病変が全身性に形成される慢性自己免疫性皮膚疾患である。粘膜が侵されることはまれである。診断は皮膚生検と皮膚および血清での蛍光抗体法による。治療では,まずコルチコステロイドを外用および全身投与で使用する。ほとんどの患者に長期の維持療法が必要であり,そこでは様々な免疫抑制薬が使用される可能性がある。

水疱性類天疱瘡は60歳以上の患者で多くみられるが,小児でも生じうる。IgG自己抗体が特定のヘミデスモソーム抗原(BPAg1,BPAg2)に結合することにより,補体が活性化され,表皮下水疱が形成される。

病因

原因として証明されたものはないが,誘因として以下が示唆されている:

  • 薬物(フロセミド,スピロノラクトン,サラゾスルファピリジン,ペニシリン,ペニシラミン,エタネルセプト,抗精神病薬など)

  • 物理的誘因(外傷,乳癌に対する放射線療法,紫外線照射,アンスラリンなど)

  • 皮膚疾患(乾癬,扁平苔癬,一部の感染症)

  • 疾患(糖尿病,関節リウマチ,潰瘍性大腸炎,および多発性硬化症)

遺伝因子と環境因子も関与している可能性がある。

誘因が自己免疫反応を誘導するプロセスとしては,表皮基底膜内における分子配列の模倣(分子擬態[molecular mimicry];薬物や一部の感染症の場合)や,正常では免疫寛容の対象になる宿主抗原の曝露または変化(物理的誘因や特定の疾患の場合と同様)などの機序が考えられる。正常では免疫寛容の対象になる宿主抗原に対する自己反応性リンパ球が動員される現象をエピトープ拡大(epitope spreading)と呼び,この現象は疾患の慢性経過に関与する。

症状と徴候

そう痒が最初の症状である。皮膚病変は数年にわたり現れない場合もあるが,体幹ならびに屈曲および間擦部位の正常に見える皮膚や紅斑だけがみられる皮膚に特徴的な緊満性水疱が生じる場合が多い。外傷部位,ストーマ部位,肛門性器部,および下腿に限局して病変が発生する場合もある。水疱は通常は破れないが,破れたとしても多くが迅速に治癒する。

くすんだ赤色の多形性かつ環状の浮腫性病変が生じることがあり,また周囲に小水疱がみられることもある。まれに,粘膜に小さな水疱が生じることがある。白血球増多と好酸球増多がよくみられるが,発熱はまれである。ニコルスキー現象(水疱周辺の皮膚を軽く圧迫または擦過すると,表皮上層が側方に移動する)は陰性である。

診断

  • 皮膚生検およびIgG抗体価

水疱性類天疱瘡で水疱が生じた場合は,より予後不良の水疱性疾患である尋常性天疱瘡との鑑別が必要になるが,この鑑別は通常,臨床基準( 類天疱瘡と尋常性天疱瘡の鑑別)を用いることで可能である。

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類天疱瘡と尋常性天疱瘡の鑑別

疾患

病変の外観

口腔病変

そう痒

ニコルスキー現象

予後

類天疱瘡

一見正常な皮膚または紅斑のある皮膚に形成された緊満性水疱

まれ,小さな水疱

よくみられる

一般に陰性

通常は良好;高齢者ではときに致死的

尋常性天疱瘡

様々な大きさの弛緩性水疱

しばしば皮膚または粘膜が剥離して,疼痛を伴うびらんを残す

典型例では口腔から始まる

なし

陽性

治療を行えば死亡率は10%以下;無治療ではより高い

水疱性類天疱瘡と尋常性天疱瘡線状IgA水疱性皮膚症多形紅斑薬疹粘膜類天疱瘡,腫瘍随伴性天疱瘡,疱疹状皮膚炎,および後天性表皮水疱症との鑑別には,種々の検査結果が役立つ。

水疱性類天疱瘡が疑われる場合は,組織診および直接蛍光抗体法を行うために皮膚生検を施行する。組織診には病変自体の内部および周辺から採取した検体を用いることが多いが,直接蛍光抗体法には病変部以外の皮膚(しばしば病変の辺縁から約3mm離れた部分)の検体を使用する。水疱性類天疱瘡の水疱は表皮下に形成され,しばしば好中球および好酸球が多く含まれている。

酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)を用いて血清検体を検査し,BPAg1およびBPAg2に対するIgG抗体について検討する。約4分の3の患者では末梢血中にIgG自己抗体が検出される。

予後

無治療の場合,水疱性類天疱瘡は通常3~6年後に寛解するが,衰弱した高齢患者では約3分の1の頻度で致死的となりうる。全身投与による大量ステロイド療法はリスクを高めるようである。

治療

  • コルチコステロイド,外用または内服

限局例には高力価の外用コルチコステロイド(例,クロベタゾール0.05%クリーム)を使用すべきであり,それにより全身投与する薬剤の必要量を減らせる可能性がある。全身性の患者には,しばしばプレドニゾン60~80mg,経口,1日1回の投与が必要になるが,数週間すれば10~20mg/日以下の維持量まで徐々に減量できる。大半の患者は2~10カ月後に寛解する。長期の治療が必要になった場合,新生水疱の数が数週間で1つであれば,プレドニゾンの増量は必要ない。

水疱性類天疱瘡は,ときにテトラサイクリンまたはミノサイクリンとニコチン酸アミドの併用療法に反応する。その他の治療選択肢としては,ジアフェニルスルホン,スルファピリジン,またはエリスロマイシンの単剤療法などがある。ときに静注用免疫グロブリン製剤が使用されている。全身性および難治性となった患者の治療として,また,ときに慢性化した患者でコルチコステロイドを減量する目的で,メトトレキサート,アザチオプリン,シクロホスファミド,ミコフェノール酸モフェチル,リツキシマブ,シクロスポリンなどの免疫抑制薬を使用してもよい。

要点

  • 水疱性類天疱瘡は,通常は60歳以上の患者に発生し,自己免疫性および特発性である。

  • 発疹の数年前からそう痒が先行することがあり,粘膜病変はまれである。

  • 組織診および直接蛍光抗体法のための皮膚生検を施行するとともに,末梢血中の自己抗体を測定する。

  • コルチコステロイドの全身投与を回避または最小限とするため,可能であれば高力価の外用コルチコステロイドで治療する。

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