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住血線虫症

執筆者:

Richard D. Pearson

, MD, University of Virginia School of Medicine

最終査読/改訂年月 2017年 2月
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住血線虫症は,住血線虫(Angiostrongylus属)の幼虫による感染症であり,感染種に応じて腸管症状または好酸球性髄膜炎を来す。

寄生虫感染症へのアプローチも参照のこと。)

住血線虫(Angiostrongylus)はラットの寄生虫(rat lung worm)である。排出された幼虫は,中間宿主(カタツムリおよびナメクジ)と待機または運搬宿主(寄生虫の発育には不要であるが,ヒトに感染を伝播できる宿主)に摂取される。ヒトは生または加熱調理不十分なカタツムリもしくはナメクジまたは運搬宿主(特定のカニおよび淡水エビ)の経口摂取により感染する;幼虫の野菜汚染(例,食物の表面を這うカタツムリまたはナメクジの粘液)が感染の原因となるかどうかは不明である。

広東住血線虫(A. cantonensis)感染症は,主に東南アジアおよび太平洋沿岸地域で発生するが,カリブ海,ハワイ,ルイジアナ州などの他地域でも感染が報告されている。幼虫は消化管から髄膜に移行し,好酸球性髄膜炎を引き起こし,発熱,頭痛および髄膜症が生じる。ときに,眼に侵入する。

コスタリカ住血線虫(A. costaricensis)感染症は,アメリカ大陸,主にラテンアメリカおよびカリブ海で発生している。成虫は回盲部の細動脈に生息し,虫卵が腸管組織に放出されて腹痛,嘔吐,および発熱を伴う局所的な炎症を来すことがある;この感染症は虫垂炎に似ることがある。また,腹部の住血線虫症には好酸球増多が伴うことが多く,右下腹部に有痛性の腫瘤を生じることがある。

診断

  • 髄膜炎の徴候があれば,髄液検査(広東住血線虫(A. cantonensis)に対して)

  • ときに,腹部手術中の虫卵および幼虫の同定(コスタリカ住血線虫(A. costaricensis)に対して)

住血線虫症は,汚染された可能性のある食品の摂取歴に基づいて疑う。

髄膜所見がみられる患者には腰椎穿刺が必要である;髄液検査では好酸球増多がみられるが,広東住血線虫(A. cantonensis)の虫体はまれにしか観察されない。

幼虫および虫卵が便中にみられないため,コスタリカ住血線虫(A. costaricensis)による消化管感染症の診断は困難であるが,手術が行われると(例,虫垂炎疑いのため),術中に切除された組織中に虫卵および幼虫が見つかることがある。

免疫測定法は広く利用できるわけではない。

治療

  • 髄膜炎に対して,鎮痛薬,コルチコステロイド,および髄液除去

広東住血線虫(A. cantonensis)による髄膜炎は,鎮痛薬,コルチコステロイド,および中枢神経系の減圧を目的とする頻回の髄液除去により治療する。駆虫薬による治療を行うと,寄生虫抗原が放出されるため,炎症反応が増強する可能性がある。ほとんどの患者は自然に軽快し,完全に回復する。

コスタリカ住血線虫(A. costaricensis)感染症に対する特異的な治療法はなく,大半の感染は自然に消失する。駆虫薬は効果的ではないと考えられ,寄生虫のさらなる移行および症状悪化につながる可能性がある。

予防

広東住血線虫(A. cantonensis)のいる地域に居住しているまたは旅行する人は,生または加熱調理不十分なカタツムリ,ナメクジ,淡水エビ,オカガニ,カエル,およびトカゲのほか,汚染されている可能性がある野菜および野菜ジュースの摂取を避けるべきである。

コスタリカ住血線虫(A. costaricensis)のいる地域に居住しているまたは旅行する人は,生または加熱調理不十分なナメクジや,汚染されている可能性がある野菜および野菜ジュースの摂取を避けるべきである。

要点

  • ヒトは,生または加熱調理不十分なカタツムリもしくはナメクジ,または運搬宿主(オカガニや淡水エビ)を摂取することで住血線虫(Angiostrongylus)に感染する。

  • 広東住血線虫(A. cantonensis)の幼虫は消化管から髄膜に移行し,好酸球性髄膜炎を引き起こす;コスタリカ住血線虫(A. costaricensis)地域の虫卵は腸管組織に放出され,腹痛,嘔吐,および発熱を引き起こす。

  • 広東住血線虫(A. cantonensis)による髄膜炎は,鎮痛薬,コルチコステロイドのほか,頭蓋内圧亢進があれば頻繁な髄液除去により治療する。

  • コスタリカ住血線虫(A. costaricensis)感染症を駆虫薬で治療することは効果的ではないと考えられ,寄生虫のさらなる移行および症状悪化につながる可能性がある;これらの感染症の多くは自然に治癒する。

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