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水痘

(水痘)

執筆者:

Kenneth M. Kaye

, MD, Brigham and Women’s Hospital, Harvard Medical School

最終査読/改訂年月 2016年 2月
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水痘は,通常は小児期にみられる急性の全身感染症であり,水痘帯状疱疹ウイルス(ヒトヘルペスウイルス3型)によって引き起こされる。通常は軽度の全身症状から始まり,その後すぐに斑状疹,丘疹,小水疱,および痂皮を特徴とする皮膚病変が群発して現れる。重度の神経系またはその他の全身性合併症(例,肺炎)のリスクのある患者は,成人,新生児,および易感染性患者,または特定の基礎疾患を有する患者などである。診断は臨床的に行う。重症合併症のリスクのある患者は,免疫グロブリンによる曝露後予防を受けるが,疾患が発生すると,抗ウイルス薬(例,バラシクロビル,ファムシクロビル,アシクロビル)で治療される。免疫能が正常な患者では,ワクチン接種により効果的に予防できる。

水痘は水痘帯状疱疹ウイルス(ヒトヘルペスウイルス3型)により引き起こされる;水痘はこのウイルスによる感染症の急性侵襲期であり,帯状疱疹は潜伏期からの再活性化を意味する。

水痘は極めて伝染力が高く,以下の経路で広がる:

  • 感染した飛沫またはエアロゾル粒子を介してウイルスが粘膜(通常は上咽頭粘膜)に接種される

  • ウイルスとの直接接触(例,皮膚病変を介して)

水痘は前駆期および発疹期早期に最も強い感染性を示す。最初の皮膚病変発現の48時間前から最後の病変部位が痂皮化するまで感染性がある。間接的な伝播(免疫のあるキャリアによる)は起こらない。

流行は冬から春前半に3~4年周期で起こる。一部の乳児は,おそらく胎盤を介して獲得した部分的な免疫を生後6カ月まで維持する。

症状と徴候

免疫能が正常な小児では,水痘が重症化することはまれである。成人および易感染状態の小児では,感染症が重篤化する可能性がある。

軽度の頭痛,中等度の発熱,および倦怠感が,曝露の10~21日後に,病変発生の約24~36時間前に現れる場合がある。この前駆症状は10歳以上の小児で起こる可能性が高く,成人では通常,より重度である。

最初の発疹

最初の発疹は斑状で,一過性の紅潮を伴うことがある。数時間以内に病変は丘疹へと進行し,その後はときに本疾患に固有の涙滴状小水疱が,しばしば強いそう痒を伴う発赤部の上に出現する。この病変は膿疱となり,後に痂皮化する。

病変はまず顔面および体幹に発生し,次々に発疹が群発する;前の一群が痂皮化し始める頃に,ちょうど新たな斑状発疹が出現する。発疹は(重症例では)全身に現れることもあればより限局していることもあるが,体幹上部にはほぼ常に現れる。

潰瘍病変が,中咽頭および上気道,眼瞼結膜,ならびに直腸および腟などの粘膜に発生することがある。

口腔内では小水疱はすぐに破れ,ヘルペス性歯肉口内炎の小水疱と区別がつかず,しばしば嚥下時に疼痛を引き起こす。

頭皮病変に伴い,後頭部および後頸部リンパ節に圧痛および腫大が生じることがある。

新たな病変は通常5日目までには現れなくなり,大部分は6日目までに痂皮化する;ほとんどの痂皮は発症後20日未満で消失する。

ブレイクスルー水痘

ときに,予防接種を受けた小児が水痘を発症する(ブレイクスルー水痘と呼ばれる);この場合,発疹は一般的により軽度で,発熱の頻度はより低く,疾病期間はより短い;病変は伝染性である。

合併症

小水疱への細菌の二次感染(典型的にはレンサ球菌またはブドウ球菌)が起こることがあり,蜂窩織炎またはまれに壊死性筋膜炎もしくはレンサ球菌による毒素性ショックを引き起こす。

成人,新生児,および全年齢の易感染性患者において重度の水痘に肺炎が合併しうるが,免疫能が正常な幼児では通常起こらない。

心筋炎,肝炎,および出血性合併症も生じることがある。

感染後の急性小脳性運動失調は,神経系の合併症の中で最もよくみられるものの1つである;小児4000人に1人に起こる。

横断性脊髄炎も生じることがある。

ライ症候群はまれではあるが,重度の小児期合併症であり,発疹出現の3~8日後に始まることがある;アスピリンがそのリスクを高める。

成人では,脳炎は生命を脅かす事態となる可能性があり,水痘の1000例に1~2例の頻度で発生する。

診断

  • 臨床的評価

特徴的な発疹を有する患者では水痘が疑われ,通常これが診断の根拠となる。発疹は他の皮膚ウイルス感染症のものと混同されることがある。

診断に疑問があれば,臨床検査による確定診断が可能であるが,そのためには以下のいずれかが必要である:

  • PCR法によるウイルスDNAの検出

  • 蛍光抗体法による病変部検体からのウイルス抗原の検出,またはウイルス培養

  • 血清学的検査

血清学的検査では,水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)に対するIgM抗体が検出されるか,VZVに対する抗体の陽転が認められれば,急性感染症を意味する。

検体は一般に,擦過により採取され,ウイルス培地に入れて検査室に輸送される。

予後

小児の水痘が重症化するのはまれである。以下の集団では,重症化または死に至る可能性が比較的高い:

  • 成人

  • T細胞免疫が抑制されている患者(例,リンパ網内系の癌)

  • コルチコステロイドの投与または化学療法を受けている患者

治療

  • 対症療法

  • 12歳以上の患者にはバラシクロビルまたはファムシクロビル

  • 易感染性患者および重症化のリスクがある患者にはアシクロビルの静注

小児の軽症例では対症療法のみでよい。そう痒の軽減,および掻破の予防(細菌の二次感染の素因となる)は困難なことがある。湿布,または重度のそう痒には,抗ヒスタミン薬の全身投与およびコロイド状オートミールを使用した入浴が有用なことがある。高用量抗ヒスタミン薬の全身投与と局所投与の併用は,脳症を引き起こすことがあるので避けるべきである。

細菌の二次感染を予防するために,患者は定期的に入浴し,下着および手を清潔に保ち,爪も切っておくべきである。消毒薬は,病変部が感染していない限り使用すべきではない;細菌の重複感染は抗菌薬で治療する。

免疫能が正常な患者に発疹出現から24時間以内に経口抗ウイルス薬を投与すると,症状の持続期間および重症度がやや軽減する。しかしながら,この疾患は一般に小児では良性であるため,抗ウイルス療法をルーチンに行うことは推奨されない。

中等度から重度の疾患を来すリスクがある健常者には経口バラシクロビル,ファムシクロビル,またはアシクロビルを投与すべきであり,具体的な対象者としては,12歳以上の全患者と皮膚疾患(特に湿疹)または慢性肺疾患を有する患者を含めるべきである。用量はファムシクロビル500mg,1日3回,またはバラシクロビル1g,1日3回である。アシクロビルは経口投与による生物学的利用能が低いためあまり望ましくない選択肢であるが,1日の最大用量を3200mgとして20mg/kg,1日4回投与できる。

1歳以上の易感染状態の小児では,アシクロビル500mg/m2を8時間毎に静脈内投与すべきである。易感染状態の成人では,アシクロビル10~12mg/kgを,8時間毎に静脈内投与すべきである。

最後の病変部位が痂皮になるまで,患者は学校や仕事に戻るべきではない。

予防

感染すると終生免疫が得られる。

感受性が高い可能性がある人々は,感染症を伝播する恐れのある人を避けるよう厳重な注意を払うべきである。

ワクチン接種

米国では,水痘に対して3種類の弱毒生ワクチンが使用できる:

全ての健康な小児と免疫のない成人は,弱毒生水痘ワクチンの接種を2回受けるべきである( 0~6歳を対象期間とする推奨予防接種スケジュールおよび 7~18歳を対象期間とする推奨予防接種スケジュール参照)。ワクチン接種が特に重要なのは,妊娠可能年齢の女性および慢性基礎疾患のある成人である。ワクチン接種前に免疫状態を確認するための血清学的検査は,成人では通常は必要ない。ワクチンは,免疫能が正常な患者に水痘を引き起こすことがあるが,通常疾患は軽度で(10個未満の丘疹または小水疱),期間は短く,全身症状はほとんど引き起こさない。

13歳以上の人にはMMRVワクチンを接種すべきではない。

帯状疱疹ワクチンは60歳以上の人に推奨される。50~59歳の成人については,ルーチンには推奨されないが,使用することができる。

水痘に対する免疫があることが証明できない医療従事者には予防接種が推奨される。免疫のない医療従事者が水痘に曝露した場合は,可及的速やかにワクチンの接種を受け,21日間勤務から外れるべきである。

ワクチン接種の禁忌は以下の通りである:

  • 中等度または重度の急性疾患を併発している患者(消失するまで接種を延期する)

  • 易感染性患者

  • 妊婦およびワクチン接種から1カ月以内に妊娠を予定している女性(Advisory Committee on Immunization Practicesの推奨に基づく)または,ワクチン接種から3カ月以内の人(ワクチン表示に基づく)

  • 高用量でコルチコステロイドの全身投与を受けている患者

  • サリチル酸を使用している小児

曝露後予防

水痘に曝露した場合は,水痘帯状疱疹免疫グロブリンを筋肉内投与することで,発症を予防または症候を緩和できる。曝露後予防の対象者は以下の通りである:

  • 白血病,免疫不全,その他の重度の消耗性疾患がある患者

  • 免疫のない妊婦

  • 分娩の5日前から2日後までの間に母親が水痘を発症した新生児

  • たとえ母親に免疫があることが証明されていても,生後28週未満の新生児が母親以外の感染源に曝露した場合(生後28週以上で母親以外の感染源に曝露した新生児については,母親に免疫があることが証明されている場合,免疫グロブリンの投与は不要である)

免疫グロブリンは可及的速やかに(曝露後10日以内)投与すべきであり,これにより水痘を緩和または予防できる可能性がある。

ワクチン接種の適応がある免疫のない健康な患者(例,1歳以上)には,可及的速やかに接種すべきである。曝露から3日以内(おそらくは最長で5日以内)にワクチンを接種すれば,発症の予防または症状の軽減に効果が得られる可能性がある。

院内感染を予防するため,Centers for Disease Control and Prevention(CDC)は,曝露した医療従事者および免疫の存在を示す証拠がない患者に対し,曝露後予防としての(免疫状態に応じた)ワクチンまたは水痘帯状疱疹免疫グロブリンの使用を推奨している。(Immunization of Health-Care Personnelにて参照可能)。

要点

  • 水痘では,皮膚(しばしば頭皮を含む)に痂皮化する膿疱性病変が生じるほか,粘膜に潰瘍性病変が生じることもある。

  • 合併症としては,皮膚病変への細菌の二次感染,肺炎,小脳性運動失調などがある。

  • 12歳以上の患者および皮膚疾患(特に湿疹)のある患者,または慢性肺疾患を有する患者にバラシクロビルもしくはファムシクロビルを経口投与する。

  • 易感染性患者および重症化のリスクがある患者にはアシクロビルを静脈内投与する。

  • 全ての健康な小児および感受性の高い成人にワクチン接種をする。

  • 曝露後予防として,水痘帯状疱疹免疫グロブリンを,易感染性患者,免疫のない妊婦,および分娩5日前または分娩2日後以内に水痘を発症した母親から生まれた新生児に投与する。

  • ワクチン接種の適応がある1歳以上の免疫能正常の患者には,水痘ワクチンによる曝露後予防を行う。

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