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性器ヘルペス

執筆者:

Kenneth M. Kaye

, MD, Brigham and Women’s Hospital, Harvard Medical School

最終査読/改訂年月 2016年 2月
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性器ヘルペスは,ヒトヘルペスウイルス1型または2型によって引き起こされる性感染症である。潰瘍性の性器病変が生じる。診断は臨床的に行い,培養,PCR検査,または血清学的検査により確定する。治療は抗ウイルス薬による。

性器ヘルペスは,先進国において最も頻度の高い潰瘍性の性感染症である。ヒトヘルペスウイルス1型(HSV-1)または2型(HSV-2)によって引き起こされる。

初回感染後,HSVは神経節に潜伏し,そこから周期的に出現する。ウイルスが出現すると,症状(すなわち性器病変)を引き起こすこともあるが,引き起こさないこともある。感染はセックスパートナーの病変との接触を介して起こることもあるが,より多いのは,明らかな病変のないセックスパートナーとの皮膚を介した接触である(無症候性ウイルス排泄と呼ばれる)。

妊婦に性器ヘルペスがいると,胎児または新生児がHSV(通常はHSV-2)に感染することがある。典型的には,分娩時にHSVを含む腟分泌物に接触することでHSVが伝播される。まれに胎盤を介してウイルスが伝播することもある。HSV感染症を発症した新生児の母親は,性器感染症に感染して間もない可能性が高いが,その多くは分娩時点で無症状である。新生児HSV感染症は,死に至る可能性もある重篤な感染症である。

症状と徴候

初感染の性器ヘルペスは,ほとんどの場合,顕著な症状を引き起こさないため,HSV-2に感染している人の多くは性器ヘルペスがあることに気づいていない。

初感染時の性器病変は接触から4~7日後に発生する。小水疱は通常,びらんとなって潰瘍を形成し,それらが融合することもある。病変は以下の部位にみられることがある:

  • 男性では包皮,陰茎亀頭,および陰茎幹

  • 女性では陰唇,陰核,会陰,腟,および子宮頸部

  • 肛門性交の受け側の男性または女性では肛門周囲および直腸内

排尿遅延,排尿困難,尿閉,便秘,または重度の仙骨神経痛が生じることがある。

治癒した後に瘢痕が残ることがある。HSV-2感染患者の80%,HSV-1感染患者の50%で病変が再発する。

初回発生時の性器病変は,再発時の性器病変と比べて,疼痛の程度が強く,持続期間が長く,範囲が広いのが通常であり,また両側性で所属リンパ節腫脹と全身症状を伴う可能性が高い。病変の再発時は重度の前駆症状を伴うことがあり,殿部,鼠径部,または大腿が侵されうる。

診断

  • 臨床的評価

  • 培養およびPCR

  • 血清学的検査

性器ヘルペスの診断は,特徴的な病変に基づいて臨床的に行われる場合が多く,紅斑上に集簇する小水疱または潰瘍はHSV以外に起因する陰部潰瘍ではまれである。しかしながら,このような病変を欠く患者も多い。

診断が明らかでなければ,確定診断のためにHSVの検査を行うべきである。

検査は通常,小水疱の底部または潰瘍化して間もない病変があればその底部から採取した液体を用いて行われる。ウイルス排泄は間欠的であるため,培養でHSVを認めないとしても,HSVの感染を除外することはできない(特に活動性病変がない場合)。また,培養の感度は限られているため,より感度の高いPCRが使用される機会が増えている。

蛍光標識モノクローナル抗体を用いた直接蛍光抗体法がときに利用できるが,この検査は特異度は高いが,感度は高くない。

血清学的検査では,感染後最初の数週間で産生され,それから長く持続する抗HSV-1および抗HSV-2抗体を正確に同定することができる。したがって,性器ヘルペスの感染が最近と考えられる場合には,検査を繰り返すことがある。

HSVの血清学的検査は以下の用途で検討すべきである:

  • 疑わしい性器病変はないものの,評価が必要であるか評価を求めている患者(例,過去に性器病変があった,高リスク行動がある)を評価する

  • 再発リスクの判定の参考にする

  • 性器病変はないものの,分娩時に新生児のヘルペス感染が起きるリスクがある妊婦を同定する

  • 性器ヘルペスのあるセックスパートナーから感染する可能性があるかどうかを判定する

治療

  • アシクロビル,バラシクロビル,またはファムシクロビル

性器ヘルペスは抗ウイルス薬で治療する。

初感染時の発疹は,以下のいずれかで治療できる:

  • アシクロビル400mg,経口,1日3回,7~10日間

  • バラシクロビル1g,経口,12時間毎,7~10日間

  • ファムシクロビル250mg,経口,1日3回,7~10日間

これらの薬剤は,ウイルスの排出と初感染時の重度の症状を軽減する。しかしながら,たとえ初感染を早期に治療しても,再発を予防することはできない。

再発時の発疹は,抗ウイルス療法により症状の持続期間と重症度をわずかに抑えることができ,前駆期に行えば特に効果的である。再発時の発疹は以下のいずれかで治療できる。

  • アシクロビル400mg,経口,1日3回,5日間

  • バラシクロビル500mg,経口,12時間毎,3日間

  • ファムシクロビル1000mg,経口,12時間毎,1日間

頻繁に再発する発疹(例,年7回以上)には,以下のいずれかの抗ウイルス薬によるウイルス抑制療法を用いてもよい:

  • アシクロビル400mg,経口,12時間毎

  • バラシクロビル500~1000mg,経口,1日1回

  • ファムシクロビル250mg,経口,12時間毎

腎機能不全がある場合は,用量を調節すべきである。有害作用は経口投与ではまれであるが,悪心,嘔吐,下痢,頭痛,発疹などが起こりうる。

抗ウイルス薬の外用薬はわずかな効果しかないため,使用は勧められない。

性器ヘルペス患者のセックスパートナーの評価が重要である。

予防

性器ヘルペスを予防する手段として最も望ましいのは以下の通りである:

  • 性的接触を控える(腟性交,肛門性交,およびオーラルセックス)

  • 検査を受け,感染していない1人のパートナーのみと性的関係をもつ状態を長期間維持する

性器ヘルペスのリスクは以下の対策によって低減できる:

  • ラテックス製のコンドームを一貫して正しく使用する

ただし,コンドームでは病変が生じる可能性がある範囲を全て覆えないため,性器ヘルペスを完全に予防することはできない。

性器ヘルペスの患者は,病変またはその他の症状がある場合,性行為を控えるべきである。患者には,たとえ無症状でも相手を感染させる可能性があることを忠告すべきである。

新生児HSV感染症の予防

新生児の感染を予防する試みは,あまり大きな成果を上げていない。全例スクリーニングは推奨されておらず,有効性も示されていない。

医師は全ての妊婦に対し,性器ヘルペスがないかを尋ねるべきであり,妊娠中にヘルペスの感染を避けることの重要性を強調すべきである。

分娩開始時に母親にヘルペスの症状(例,性器病変)がみられる場合は,新生児の感染を予防するために帝王切開が推奨される。性器ヘルペスのある妊婦には,妊娠36週からアシクロビルを開始することで,再発リスク,ひいては帝王切開の必要性を低下させることができる。

また,活動性の性器ヘルペスが疑われる妊婦の分娩時には,胎児頭皮用電極を使用してはならない。

要点

  • 初回感染後,HSVは神経節に潜伏し,そこから周期的に出現する。

  • 伝播は病変を介して起こる場合もあるが,病変が明らかでない状態でもウイルスの排泄および伝播が起こりうる(無症候性ウイルス排泄)。

  • 初感染では大半が無症状に経過するが,初感染時に性器病変が生じると,再発時の病変と比べて痛みが強く,持続期間が長く,範囲が広いのが通常である。

  • 病変がある患者では特徴的な性器病変に基づいて診断し,HSVの培養,PCR,および/または血清学的検査によって確定する。

  • 初感染および再発時の発疹は,アシクロビル,バラシクロビル,またはファムシクロビルにより治療する。

  • 妊婦に性器ヘルペスがみられる場合は,再発リスクと分娩時の新生児感染のリスクを低減するために,妊娠36週からのアシクロビルの開始を考慮する。

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