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帯状疱疹

(Shingles:急性後根神経節炎)

執筆者:

Kenneth M. Kaye

, MD, Brigham and Women’s Hospital, Harvard Medical School

最終査読/改訂年月 2016年 2月
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帯状疱疹は,水痘帯状疱疹ウイルスが後根神経節で潜伏状態から再活性化される際に生じる感染症である。症状は通常,侵された皮膚分節に沿った疼痛から始まり,その後小水疱が2~3日以内に生じ,通常はこれが診断の決め手となる。治療は,皮膚病変発現後72時間以内に抗ウイルス薬を投与することによる。

水痘および帯状疱疹は,水痘帯状疱疹ウイルス(ヒトヘルペスウイルス3型)により引き起こされる;水痘はこのウイルスによる感染症の急性侵襲期であり,帯状疱疹は潜伏期からの再活性化を意味する。

帯状疱疹では,感覚神経節,関連する皮膚分節の皮膚,ときに灰白質の前角・後角,髄膜,および前根・後根に炎症が生じる。帯状疱疹は高齢者およびHIV感染患者で高頻度に発生し,易感染性患者ではより重症化するが,このような患者では細胞性免疫が低下しているためである。明確な誘因はない。

症状と徴候

刺すような疼痛,知覚異常を伴う疼痛,またはその他の疼痛が病変部で発生し,その後2~3日以内に発疹が現れるが,通常は紅斑上に小水疱の集簇がみられる。病変部は通常,胸部または腰部の1つまたは複数の隣接する皮膚分節であるが,少数の衛星病変がみられることもある。病変部は典型的には片側性である。病変部位は通常,知覚過敏を伴い,疼痛は重度となることがある。病変の形成は通常3~5日間ほど続く。

帯状疱疹は別の部位の皮膚や内臓に播種することがあり,特に易感染性患者で多くみられる。

膝神経節帯状疱疹(ラムゼイ-ハント症候群,耳帯状疱疹)は,膝神経節(顔面神経膝状部)が侵されることに起因する。耳痛と顔面神経麻痺のほか,ときに回転性めまいが生じる。小水疱性の発疹が外耳道に生じ,舌の前側3分の2で味覚が失われることがある。

眼部帯状疱疹は三叉神経節(ガッセル神経節)が侵されて起こり,第5脳神経の眼分枝の分布領域である眼の周囲および額に疼痛および小水疱を伴う。眼病変は重症化する可能性がある。鼻の先端の小水疱(Hutchinson徴候)は鼻毛様体神経分枝への病変波及を示し,重度の眼疾患を来すリスクがより高いことを示唆する。しかしながら,鼻の先端に病変がなくても眼が侵される可能性がある。

口腔内帯状疱疹(intraoral zoster)はまれであるが,その病変は片側性で境界明瞭な分布を示すことがある。口腔内前駆症状は生じない。

帯状疱疹後神経痛

再発を経験するのは帯状疱疹患者の4%未満である。しかしながら,多くの患者,特に高齢者では病変部位に持続性または再発性の疼痛(帯状疱疹後神経痛)が残り,数カ月から数年または永久に続く場合がある。三叉神経への感染は,特に重度で持続性の疼痛を引き起こす可能性が高い。

帯状疱疹後神経痛の疼痛は鋭く,間欠性のこともあれば持続性のこともあり,また消耗性となることがある。

診断

  • 臨床的評価

特徴的な発疹を有する患者,およびときに皮膚分節の分布に沿った典型的な疼痛を有する患者では,帯状疱疹が疑われる。診断は通常,事実上この疾患特有の発疹に基づいて行う。

診断が紛らわしければ,ツァンク試験によって多核巨細胞を検出することでヘルペスウイルスによる感染を確認できるが,ツァンク試験は帯状疱疹でも単純ヘルペスでも陽性になる。単純ヘルペスウイルス(HSV)もほぼ同様の病変を引き起こすが,帯状疱疹とは異なり,HSVは再発しやすく,皮膚分節に沿った分布をしない。ウイルスは培養またはPCRにより鑑別できる。生検検体からの抗原検出は有用となることがある。

治療

  • 対症療法

  • 特に易感染性患者に対して,抗ウイルス薬(アシクロビル,ファムシクロビル,バラシクロビル)

湿布は疼痛を和らげるが,しばしば鎮痛薬の全身投与が必要となる。

眼部帯状疱疹の治療については,眼科医へのコンサルテーションを行うべきである。耳帯状疱疹の治療については,耳鼻咽喉科医へのコンサルテーションを行うべきである。

抗ウイルス療法

経口抗ウイルス薬による治療は,急性発疹の重症度および持続期間,ならびに易感染性患者における重篤な合併症の割合を減少させる;帯状疱疹後神経痛の発生率を低下させる可能性もある。

治療はできる限り速やかに,理想的には前駆期中に開始すべきであり,皮膚病変出現後72時間以上経過してから行っても効果はない可能性が高い。ファムシクロビル500mg,経口,1日3回,7日間およびバラシクロビル1g,経口,1日3回,7日間の投与は,経口投与での生物学的利用能がアシクロビルより優れているため,一般に帯状疱疹には経口アシクロビル800mg,1日5回,7~10日間よりも望ましい。コルチコステロイドを投与しても,帯状疱疹後神経痛の発生率は低下しない。

より軽度の易感染性患者には,経口ファムシクロビル,バラシクロビル,またはアシクロビル(上記参照のこと)が合理的な選択肢である;ファムシクロビルおよびバラシクロビルがより望ましい。重度の易感染性患者に対するアシクロビルの推奨用量は,成人の場合,10mg/kg,静注,8時間毎,7~14日間であり,12歳未満の小児では20mg/kg,静注,8時間毎,7日間である。

アシクロビルおよびバラシクロビルの妊娠中の安全性に関するデータは良好であるが,妊娠中の抗ウイルス療法の安全性は確固として証明されているわけではない。先天性の水痘は母体の水痘に由来することがあるが,母親の帯状疱疹から生じることはまれであるため,妊娠中の患者を治療するのであれば,治療による潜在的なベネフィットが胎児に起こりうるリスクを上回る場合に限るべきである。重度の発疹,重度の急性の疼痛,または眼部帯状疱疹を呈する妊娠中の患者は,特に妊娠後期において,バラシクロビルまたはアシクロビルによって治療することがある。

帯状疱疹後神経痛の管理

帯状疱疹後神経痛の管理は特に困難となることがある。治療法としては,ガバペンチン,三環系抗うつ薬,外用カプサイシンまたはリドカインなどがある。オピオイド鎮痛薬を要することがある。メチルプレドニゾロンの髄腔内投与が有益となりうる。

最近の研究では,A型ボツリヌス毒素を患部全体に注射(40箇所に市松模様で)することで,疼痛が軽減する可能性が示唆されている。

予防

60歳以上の成人は,帯状疱疹の既往の有無にかかわらず,帯状疱疹ワクチン(水痘ワクチンのより強力な製剤)の単回投与を受けるべきである。このワクチンは,帯状疱疹の発生率を低下させることが証明されている。

要点

  • 帯状疱疹は,潜伏感染中の水痘帯状疱疹ウイルス(水痘の原因)が再活性化することによって引き起こされる。

  • 有痛性の発疹(通常は紅斑上に集簇する小水疱)が単一または複数の隣接する皮膚分節に発生する。

  • 帯状疱疹が再発する患者は4%未満であるが,多くの患者,特に高齢者においては,持続性または再発性の疼痛が数カ月から数年間にわたってみられる(帯状疱疹後神経痛)。

  • 抗ウイルス薬(アシクロビル,ファムシクロビル,バラシクロビル)は有益である(特に易感染性患者)。

  • 鎮痛薬がしばしば必要となる。

  • 60歳以上の成人には,帯状疱疹の既往の有無にかかわらず,帯状疱疹ワクチンを単回投与する。

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