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ネコひっかき病

(Cat-Scratch Fever)

執筆者:

Larry M. Bush

, MD, FACP, Charles E. Schmidt College of Medicine, Florida Atlantic University;


Maria T. Perez

, MD, Wellington Regional Medical Center, West Palm Beach

最終査読/改訂年月 2016年 5月

ネコひっかき病はBartonella henselaeを原因菌とする感染症である。症状は局所の丘疹と所属リンパ節炎である。診断は臨床的に行い,生検または血清学的検査により確定する。治療は局所の温湿布および鎮痛薬と,ときに抗菌薬による。

バルトネラ感染症の概要も参照のこと。)

ペットのネコ(特に子猫)がB. henselaeの主な病原体保有生物である。米国のネコにおけるB. henselae抗体の保有率は14~50%である。約99%の患者がネコ(その大半が健康)との接触歴を報告する。ネコの体内で菌が生息する具体的な部位は不明であるが,無症状の菌血症を来す期間が周期的に繰り返し現れる。ヒトへの感染は咬傷または掻傷によって起こる。ネコ間での感染はネコノミが媒介し,ネコとの接触していないヒトが感染した場合もノミが媒介となっている可能性がある(証明されてはいない)。小児での発生が最も多い。

症状と徴候

ほとんどの患者では,咬傷または掻傷から3~10日以内に,受傷部位に痂皮を伴う紅色丘疹(まれに膿疱)が出現する。さらに,2週間以内に所属リンパ節腫脹が出現する。リンパ節は初期には硬く圧痛を伴い,その後は内部が液状となり,瘻孔を形成して排膿がみられることもある。リンパ節腫脹に伴って,発熱,倦怠感,頭痛,および食欲不振が生じることがある。

5~14%の患者では,以下のまれな臨床像がみられる:

  • 6%でみられるParinaud眼腺症候群(結膜炎と触知可能な耳前リンパ節腫脹)

  • 2%でみられる神経症候(脳症,痙攣発作,視神経網膜炎,脊髄炎,対麻痺,脳動脈炎)

  • 1%未満でみられる肝脾肉芽腫

患者は不明熱で受診する場合もある。B. henselaeは,培養陰性心内膜炎で最も頻度の高い起因菌の1つであり,通常は心臓弁膜症の既往がある患者にみられる。AIDS患者では重度の播種性疾患を起こすことがある。

リンパ節腫脹は2~5カ月以内に自然に消退する。通常は完全に回復するが,重度の神経疾患または肝脾疾患を起こした場合は例外で,死に至ることや後遺症を残すことがある。

診断

  • 急性期および回復期血清での血清学的検査またはPCR検査

  • ときにリンパ節生検

ネコひっかき病の診断は,典型的には血清抗体価(6週間の間隔を空けて採取した急性期および回復期血清で検査することが推奨される)またはリンパ節穿刺検体のPCR検査で陽性となることをもって確定とする。

類似したリンパ節腫脹が他の感染症(例,野兎病,抗酸菌感染症,ブルセラ症,真菌感染症,鼠径リンパ肉芽腫)でも起こりうるため,明確にネコひっかき病と診断できない場合は,これらの微生物の検査を行ってもよい。

悪性腫瘍が疑われる場合またはネコひっかき病の診断を確定する必要がある場合には,リンパ節生検を行ってもよい。特徴的な病理組織学的所見(例,化膿性肉芽腫)を認めるか,蛍光抗体法により菌を検出できれば,本疾患が示唆される。

易感染性患者と全身症状のある患者では,血液培養も行うべきである。リンパ節穿刺検体が培養陽性となることはまれである。一方,リンパ節生検検体の培養ではBartonella属細菌を分離できることがある。

治療

  • 局所の温湿布および鎮痛薬

  • ときに易感染性患者に対して抗菌薬

免疫能が正常な患者では,典型的には自然治癒に至ることから,ネコひっかき病の治療は局所への温湿布と鎮痛薬の投与となる。リンパ節の内部が液状化している場合には,穿刺吸引により通常,疼痛が軽減する。

免疫能が正常な患者では,抗菌薬治療の有益性は明確ではないため,一般に限局性感染には使用すべきではない。ただし,アジスロマイシン,エリスロマイシン,またはドキシサイクリンがリンパ節腫脹を軽減させるためにしばしば投与されており,おそらくは全身性播種のリスクを低減すると考えられる。AIDS患者における菌血症には,フルオロキノロン系薬剤,リファンピシン,ゲンタマイシン,またはドキシサイクリンを使用してもよい。菌血症を消失させるには通常,長期の治療(例,数週間から数カ月)が必要である。in vitroでの抗菌薬の感受性は,臨床での結果と相関しないことが多い。

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