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選択的IgA欠損症

執筆者:

James Fernandez

, MD, PhD, Cleveland Clinic Lerner College of Medicine at Case Western Reserve University

最終査読/改訂年月 2016年 8月

選択的IgA欠損症では,IgA濃度が7mg/dL未満で,IgGおよびIgMの濃度は正常である。最も頻度が高い原発性免疫不全症である。多くは無症状であるが,一部の患者は反復性感染症および自己免疫疾患を発症する。経過中に分類不能型免疫不全症を発症する患者もおり,その一部は自然に寛解する。診断は血清免疫グロブリンの測定による。治療は,必要に応じて(ときに予防的)抗菌薬投与とし,通常はIgAを含む血液製剤を避ける。

IgA欠損症にはB細胞の異常が関与する。有病率は1/100~1/1000である。

遺伝パターンは不明であるが,選択的IgA欠損症の家系員がいる場合は,罹患リスクが約50倍まで増加する。

一部の患者はTACI(transmembrane activator and calcium-modulator and cyclophilin ligandinteractor)遺伝子に変異を有する。選択的IgA欠損症では,特定のHLAハプロタイプとの関連がみられることもよくある;主要組織適合抗原複合体(MHC)クラスIII領域にまれなアレルまたは遺伝子欠失がよくみられる。

一部の患者では,フェニトイン,サラゾスルファピリジン,金,およびd-ペニシラミンなどの薬剤がIgA欠損症を引き起こすことがある。

症状と徴候

ほとんどの患者は無症状である;そうでない場合は,反復性の副鼻腔肺感染症,下痢,アレルギー(例,喘息,随伴性の鼻茸),または自己免疫疾患(例,セリアック病または炎症性腸疾患,SLE,慢性活動性肝炎)がみられる。

輸血,免疫グロブリン(IVIG),その他の血液製剤中に存在するIgAに曝露した後に,抗IgA抗体が出現することがあり,まれに,それらの製剤に再び曝露した場合にアナフィラキシー反応が起きることもある。

診断

  • 臨床的評価

  • 血清中Ig濃度の測定

  • ワクチン抗原に対する抗体応答の測定

反復性感染症(ジアルジア症を含む)もしくはアナフィラキシー性輸血反応を認める患者,分類不能型免疫不全症(CVID),IgA欠損症,もしくは自己免疫疾患の家族歴がある患者,またはIgA欠損症を招く薬剤を服用している患者で,選択的IgA欠損症の診断が疑われる。

血清中IgA濃度が7mg/dL未満で,IgGおよびIgM濃度が正常かつワクチン抗原に対する応答における抗体価が正常であることにより診断が確定する。

IgAが低値のほとんどの患者は臨床的に意味のある症状を示さないため,家系員の検査は推奨されない。

予後

少数のIgA欠損患者が経過中にCVIDを発症する;自然に改善する患者もいる。自己免疫疾患が出現した場合,予後は不良である。

治療

  • 治療には必要に応じて抗菌薬投与および重度の症例では予防的抗菌薬投与

  • IgAを含有する血液製剤の回避

アレルギー性症状を治療する。耳,副鼻腔,肺,消化管,または泌尿生殖器の細菌感染症に対しては必要に応じて抗菌薬を投与し,重度の症例では予防的抗菌薬投与とする。

たとえ微量であっても抗IgA介在性アナフィラキシー反応を誘発する可能性があるため,IgAを含有する血液製剤を避ける。赤血球輸血が必要であれば,洗浄濃厚赤血球のみは用いてもよい。

免疫グロブリン補充療法に含まれるのはほとんどIgGであるため,IgA欠損症患者にこの治療の効果はない;さらに,抗IgA抗体が出現する可能性があるため,アナフィラキシー反応がリスクである。まれであるが,ワクチンに対する抗体応答がみられない場合,および予防的抗菌薬投与が無効な場合は,IgA含有量を極めて低く抑えるよう特別に調合した免疫グロブリン製剤を試みてもよく,いくらか効果が得られる可能性がある。

アナフィラキシーを引き起こしうる血漿または免疫グロブリンを不注意で投与しないように,識別用ブレスレットを身につけることを患者に勧める。

要点

  • 選択的IgA欠損症は最もよくみられる原発性免疫不全症である。

  • 無症状のこともあるし,反復性感染症または自己免疫疾患に罹患することもある;経過中にCVIDを発症する患者もいるが,選択的IgA欠損症が自然に消失する患者もいる。

  • 輸血に対するアナフィラキシー反応,IgA欠損を引き起こす薬剤の服用,または反復性感染症もしくは示唆的な家族歴があれば,選択的IgA欠損症を疑う。

  • ワクチンを接種した後にIg値および抗体価を測定して診断を確定する;IgA値が7mg/dL未満で,IgGおよびIgMの値ならびに抗体価が正常であれば,診断に有用である。

  • 必要に応じて抗菌薬を投与し,重度の症例では予防的抗菌薬投与とする。

  • IgAを含有する血液製剤の投与を避ける。

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