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アナフィラキシー

執筆者:

Peter J. Delves

, PhD,

  • University College London, London, UK

最終査読/改訂年月 2016年 6月
本ページのリソース

アナフィラキシーは,急性で生命を脅かす可能性のあるIgE介在性のアレルギー反応で,すでに感作されている人が感作抗原に再曝露された場合に発生する。症状としては,吸気性喘鳴,呼吸困難,呼気性喘鳴,低血圧などがある。診断は臨床的に行う。治療はアドレナリンによる。気管支攣縮および上気道浮腫では,β作動薬の吸入または注射,ときに気管挿管が必要になることがある。低血圧が持続する場合は,輸液およびときに昇圧薬が必要となる。

病因

アナフィラキシーは典型的には以下により誘発される:

  • 薬剤(例,β-ラクタム系抗菌薬,インスリン,ストレプトキナーゼ,アレルゲン抽出物)

  • 食物(例,ナッツ類,卵,海産物)

  • タンパク(例,破傷風抗毒素,輸血製剤)

  • 動物毒

  • ラテックス

ピーナッツおよびラテックスのアレルゲンが空気中に浮遊していることがある。ときに,運動または寒冷曝露(例,クリオグロブリン血症患者における)がアナフィラキシー反応を誘発したり,一因となったりすることがある。

アトピーの病歴によりアナフィラキシーのリスクが高まることはないが,アナフィラキシーが発生した場合の死亡リスクが高まる。

病態生理

好塩基球および肥満細胞上のIgEと抗原が相互作用すると,ヒスタミンおよびロイコトリエンの放出,ならびに広範な平滑筋収縮(例,気管支収縮,嘔吐,または下痢を来す)および血漿漏出を伴う血管拡張(例,蕁麻疹または血管性浮腫を来す)を引き起こすその他のメディエータの放出を誘発する。

アナフィラキシー様反応

これらの反応はアナフィラキシーと臨床的に鑑別不能であるが,IgEが関与しておらず,先行する感作を必要としない。肥満細胞の直接刺激を介して発生したり,補体を活性化する免疫複合体を介して発生したりする。

アナフィラキシー様反応の最も一般的な誘因は以下のものである:

  • ヨード造影剤

  • アスピリンおよびその他のNSAID

  • オピオイド

  • 免疫グロブリン

  • 運動

症状と徴候

アナフィラキシーの症状は典型的には曝露後15分以内に現れ始め,皮膚,上気道,下気道,心血管系,または消化管に及ぶ。1カ所以上の部位に及ぶことがあり,症状は必ずしも軽度(例,蕁麻疹)から重度(例,気道閉塞,難治性ショック)に進行することはないが,個々の患者は典型的にはその後の曝露に対して同じ反応を起こす。

症状は軽度から重度まで様々で,紅潮,そう痒,蕁麻疹,くしゃみ,鼻漏,悪心,腹部痙攣,下痢,窒息感または呼吸困難,動悸,およびめまいなどがある。

アナフィラキシーの徴候には,低血圧,頻脈,蕁麻疹,血管性浮腫,呼気性喘鳴,吸気性喘鳴,チアノーゼ,および失神などがある。数分以内にショックが現れ,痙攣を起こして呼びかけに反応しなくなり,死亡することがある。心血管虚脱は,呼吸器症状または他の症状が認められることなしに発生することがある。

遅発相反応は曝露後4~8時間で発生することもあれば,それより遅れることもある。症状と徴候は通常,最初に現れたときより重度ではなく,蕁麻疹に限られることがある;ただし,より重度または致死的となる場合もある。

診断

  • 臨床的評価

  • ときに,24時間尿中のN-メチルヒスタミンまたは血清トリプターゼの測定

アナフィラキシーの診断は臨床的に行う。以下のいずれかが突然発生し,原因不明の場合は,アナフィラキシーを疑うべきである:

  • ショック

  • 呼吸器症状(例,呼吸困難,吸気性喘鳴,呼気性喘鳴)

  • アナフィラキシーの可能性がある複数の症状(例,血管性浮腫,鼻漏,消化管症状)

ショックに急速に進行するリスクがあり,検査のための時間は残されていないが,軽度で紛らわしい症例では, N メチルヒスタミンの24時間尿中濃度またはトリプターゼの血清中濃度を測定することによって確認できる。

原因は通常,病歴から容易に判断できる。医療従事者に原因不明のアナフィラキシー症状が認められた場合は,ラテックスアレルギーを考慮すべきである。

パール&ピットフォール

  • 医療従事者に原因不明のアナフィラキシー症状が認められた場合はラテックスアレルギーを考慮する。

治療

  • 直ちにアドレナリンを投与する

  • ときに挿管

  • 低血圧が持続する場合は輸液およびときに昇圧薬

  • 抗ヒスタミン薬

  • 気管支収縮にはβ作動薬の吸入

アドレナリン

アナフィラキシー治療の要はアドレナリンである;全ての症状と徴候の軽減に有用な可能性があるため,直ちに投与すべきである。

アドレナリンは皮下投与または筋肉内投与が可能である(通常の用量は成人で1:1000[0.1%]溶液0.3~0.5mLまたは小児で0.01mL/kgで,10~30分毎に反復投与)。大腿の側面に筋肉内投与した場合に吸収が最大になる。

心血管虚脱または重度の気道閉塞がみられる患者には,アドレナリンを静脈内単回(1:10,000[0.01%]溶液3~5mLを5分かけて)または持続点滴(1mgを5%糖液250mLで希釈して4μg/mLとした溶液を,1μg/分から開始し4μg/分まで漸増[15~60mL/時])で投与してもよい。また,アドレナリンを舌下注射(1:1000溶液を0.5mL)によって,または気管内チューブを通じて(1:10,000溶液3~5mLを生理食塩水で10mLに希釈)投与してもよい。アドレナリンの2回目の皮下注射が必要なこともある。

アドレナリンの効果を減弱する経口β遮断薬を服用中の患者には,グルカゴン1mg(小児には20~30μg/kg)を静注した後に,1mg/時で点滴静注すべきである。

その他の治療法

アドレナリンに反応しない吸気性喘鳴および呼気性喘鳴の患者には,酸素投与および挿管を行うべきである。アドレナリンに対する反応を待つ間に上気道の浮腫が進行して気管挿管ができなくなり,輪状甲状間膜切開が必要となることがあるため,早期の挿管が推奨される。

低血圧は,アドレナリンを投与した後に消失することが多い。持続性低血圧は通常,1~2L(小児では20~40mL/kg)の等張輸液(例,0.9%生理食塩水)の静注により治療可能である。輸液およびアドレナリンの静脈内投与に抵抗性を示す低血圧では,昇圧薬(例,ドパミン5μg/kg/分)が必要になることがある。

抗ヒスタミン薬―H1受容体拮抗薬(例,ジフェンヒドラミン50~100mg静注)およびH2受容体拮抗薬(例,シメチジン300mg静注)の両方―を症状が消失するまで6時間毎に投与すべきである。

β作動薬の吸入は,アドレナリンによる治療後も持続する気管支収縮の管理に有用である;サルブタモール5~10mgを連続噴霧により投与することがある。

コルチコステロイドの有用性は証明されていないが,遅発相反応の予防に有用な可能性がある;最初はメチルプレドニゾロン125mgの静注で十分である。

予防

主な予防法は,既知の誘因の回避である。脱感作は,確実に回避できるとは言えないアレルゲン誘因(例,虫刺傷)対して使用する。

放射線不透過性造影剤に対する反応が過去に認められた患者に再曝露すべきではない。曝露が不可欠な場合は,処置の18時間前からプレドニゾン50mgを6時間毎に3回経口投与し,ジフェンヒドラミン50mgを処置の1時間前に経口投与する;ただし,このアプローチの効力を支持するエビデンスは限られている。

昆虫刺傷,食物,その他の既知の物質に対してアナフィラキシー反応を起こす患者は,アラートブレスレットを身に着けるとともに,曝露後に迅速な自己治療ができるようにアドレナリン充填済みの自己注射器(成人で0.3mg,小児で0.15mg含有)と経口抗ヒスタミン薬を携行すべきである。

要点

  • アナフィラキシーでよくみられる誘因には,薬物(例,β-ラクタム系抗菌薬,アレルゲン抽出物),食物(例,ナッツ類,海産物),タンパク(例,破傷風抗毒素,輸血製剤),動物毒,およびラテックスなどがある。

  • アナフィラキシー様の症状を呈するIgE非介在性反応(アナフィラキシー様反応)は,ヨウ素造影剤,アスピリン,他のNSAID,オピオイド,輸血製剤,免疫グロブリン,および運動によって引きこされることがある。

  • 患者に原因不明の低血圧,呼吸器症状,または複数のアナフィラキシー症状(例,血管性浮腫,鼻漏,消化管症状)が認められた場合は,アナフィラキシーを考慮する。

  • アナフィラキシー症状は急速に進行して気道閉塞またはショックに至ることがあるため,直ちにアドレナリンを投与する;アドレナリンはあらゆる症状の軽減に有用な可能性がある。

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