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巨赤芽球性貧血

執筆者:

Evan M. Braunstein

, MD, PhD, Johns Hopkins University School of Medicine

最終査読/改訂年月 2018年 7月
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巨赤芽球性貧血は,そのほとんどがビタミンB12および葉酸の欠乏により生じる。無効造血は全ての血球系統に影響を及ぼすが,特に赤血球に強く影響する。診断は通常,血算および末梢血塗抹標本に基づき,通常はこれにより赤血球大小不同および変形赤血球増多を伴う大球性貧血,卵円形の大きな赤血球(大楕円赤血球),過分葉好中球,ならびに網状赤血球減少が明らかになる。治療は基礎疾患に対して行う。

巨赤芽球は,クロマチンが濃縮されていない大型の有核赤血球前駆細胞である。大赤血球は大型化した赤血球(すなわち,平均赤血球容積[MCV]が100fL/細胞を超える)である。大球性赤血球は様々な臨床状況で生じ,その多くは巨赤芽球症とは無関係である。

非巨赤芽球性大赤血球症

大球性(すなわち,MCVが100fL/細胞を超える)貧血のほとんどは巨赤芽球性である。非巨赤芽球性大赤血球症(nonmegaloblastic macrocytosis)は,様々な臨床状態で発生するが,その全てが解明されているわけではない。大赤血球症の患者では貧血がよく生じるが,通常は大赤血球症とは無関係の機序によって発生する。

赤血球膜の過剰に起因する大赤血球症は,慢性肝疾患でコレステロールのエステル化に障害がある患者に生じる。MCVが約100~105fL/細胞の大赤血球症は,葉酸の欠乏がない状況での慢性的な飲酒により発生することがある。再生不良性貧血では,特に回復時に,軽度の大赤血球症がみられることがある。骨髄異形成 骨髄異形成症候群(MDS) 骨髄異形成症候群(MDS)は,末梢の血球減少症,異形成の造血前駆細胞,過形成または低形成の骨髄,および急性骨髄性白血病への移行リスクが高いことを特徴とする疾患群である。症状は最も強く障害された特定の細胞系列に由来するものであり,具体的には易疲労感,筋力低下,蒼白(貧血に起因),感染および発熱の増加(好中球減少症に起因),出血および皮下出血の増加(血小板減少症に起因)などみられる。診断は血算,末梢血塗抹検査,骨髄穿刺および骨髄生検による。... さらに読む でも大赤血球症がしばしばみられる。赤血球は骨髄から放出後に脾臓で膜の変形が起こるため,脾臓摘出後の赤血球はわずかに大球性となることがあるが,これらの変化は貧血と無関係である。網状赤血球増多(例えば溶血性貧血における)も大赤血球症を引き起こすことがある。

非巨赤芽球性大赤血球症は,大球性貧血の患者で,検査によりビタミンB12欠乏症,葉酸欠乏症,および網状赤血球増多が除外された場合に疑われる。古典的な巨赤芽球性貧血に典型的な末梢血塗抹標本上の大楕円赤血球および赤血球分布幅増加は認められないことがある。非巨赤芽球性大赤血球症が臨床的に(例,再生不良性貧血 再生不良性貧血 再生不良性貧血は,血球前駆細胞の減少,骨髄の低形成または無形成,および2系統以上(赤血球,白血球,血小板)の血球減少が生じる造血幹細胞の疾患である。症状は貧血,血小板減少症(点状出血,出血),または白血球減少症(感染症)によって引き起こされる。診断には,末梢血塗抹での汎血球減少と骨髄生検での骨髄低形成の証明が必要である。治療としては通常,ウマ抗胸腺細胞グロブリン【訳注:現在,日本で使用できるのはウサギ抗胸腺細胞グロブリンのみである。】お... さらに読む ,慢性肝疾患,または飲酒の存在により)説明できない場合,または骨髄異形成 骨髄異形成および鉄輸送障害による貧血 骨髄異形成症候群では,貧血が顕著であることが多い。この種の貧血は,通常は正球性または大球性であり,二相性(大型と小型)の循環赤血球がみられる。(赤血球産生低下の概要も参照のこと。) 骨髄検査により,赤血球造血の活動性低下,巨赤芽球様,および異形成性変化に加え,ときに環状鉄芽球数の増加が認められる。 治療は悪性腫瘍を標的として行い,増殖因子製剤を使用することが多い。 鉄輸送障害による貧血(無トランスフェリン血症)は極めてまれである。鉄が貯... さらに読む が疑われる場合は,骨髄検査および細胞遺伝学的検査を行って骨髄異形成を除外する。非巨赤芽球性大赤血球症では,骨髄が巨赤芽球性ではなく,一方,骨髄異形成および進行した肝疾患では,巨赤芽球性貧血に通常みられる微細な小線維性パターンとは異なる高密度の核染色質を伴う巨赤芽球性赤血球前駆細胞がみられる。

病因

巨赤芽球性状態の最も一般的な原因は以下のものである:

巨赤芽球症のその他の原因としては,DNA合成を阻害する薬剤(一般にヒドロキシカルバミドなどの抗腫瘍薬,または免疫抑制薬)や,まれな代謝性疾患(例,遺伝性オロト酸尿症)などがある。

病態生理

巨赤芽球性状態は,DNA合成障害によりもたらされる。RNA合成が継続することにより,核が大きな大型の細胞が生じる。全ての血球系統が成熟障害を起こし,細胞質の成熟が核の成熟を上回る;この成熟障害により骨髄で巨赤芽球が産生され,その後末梢血中に現れる。成熟障害のために骨髄内で細胞死が起こり,それにより無効造血となる。成熟障害は全ての血球系統に影響するため,網状赤血球減少症が生じ,その後の段階で白血球減少症 白血球減少症の概要 白血球減少症は,循環血中の白血球数が4000/μL未満に減少することである。通常は循環血中の好中球数の減少を特徴とするが,リンパ球,単球,好酸球,または好塩基球の数の減少も一因となる場合がある。その結果,一般に免疫機能が低下することがある。 好中球減少症は,血中の好中球数が白人で1500/μL未満,黒人で1200/μL未満に減少することで... さらに読む および血小板減少症 血小板疾患の概要 血小板は,凝固系で機能する細胞片である。トロンボポエチンは,その細胞質から血小板を産生・分離する巨核球を産生するよう骨髄を刺激することによって,循環血小板の数をコントロールすることに役立っている。トロンボポエチンは,肝臓において一定のペースで産生され,その循環血中濃度は,循環血小板が除去される程度のほか,おそらく骨髄の巨核球によって規定さ... さらに読む 血小板疾患の概要 が発生する。卵円形の大きな赤血球(大楕円赤血球)が循環血中へ移行する。好中球の過分葉化が一般的にみられる。

症状と徴候

巨赤芽球性貧血は潜行性に発生し,貧血が重度になるまで症状が出現しないことがある。下痢,舌炎,食欲不振など,消化管症状が一般的である。末梢神経障害や歩行不安定,認知症などの神経症状は,ビタミンB12欠乏症に固有のものであり,長期化すれば永続的なものになることがある。

診断

  • 血算,赤血球指数,網状赤血球数,および末梢血塗抹標本

  • ビタミンB12および葉酸値

巨赤芽球性貧血は,大球性の赤血球指数を示す貧血患者で疑われる。診断は通常,末梢血塗抹検査 血液塗抹検査 貧血では,赤血球の数が減少する(ヘマトクリットまたは赤血球ヘモグロビン量で測定する)。男性では,貧血はヘモグロビン さらに読む 血液塗抹検査 に基づく。貧血が完全に進行した場合は,鉄欠乏症,サラセミア形質,腎疾患がなければ,MCVが100fL/細胞を超える大球性となる。塗抹標本では,大楕円赤血球症,赤血球大小不同および変形赤血球増多がみられる。

赤血球分布幅(RDW)は大きい。ハウエル-ジョリー小体(核の残留断片)が一般的にみられる。網状赤血球減少症が現れる。顆粒球の過分葉化が早期に出現する;その後に好中球減少症が発生する。重症例では血小板減少症が多くみられ,血小板の大きさおよび形状が異常な場合がある。

ビタミンB12および葉酸の血清中濃度を測定すべきである。ビタミンB12 濃度が200pg/mL未満となるか,葉酸濃度が2ng/mL未満となれば,一般に欠乏症と診断できる。ビタミンB12濃度が200~300pg/mLの場合は診断には至らず,メチルマロン酸(MMA)およびホモシステイン(HCY)の測定値を確認すべきである。ビタミンB12欠乏症ではMMAとHCY両方の血清中濃度が上昇するが,葉酸欠乏症ではHCYのみが上昇する。ビタミンB12欠乏症と確認された場合は,内因子に対する自己抗体の存在を調べる検査を行うべきである。

治療

  • 適切なビタミンの補充

適切なビタミンの補充が必要である。葉酸の補充の前には,必ずビタミンB12欠乏症を除外する。そうしないと,合併しているビタミンB12欠乏症がマスクされ,神経学的合併症の進行につながる可能性がある。

葉酸およびビタミンB12欠乏症の治療については,Professional.see page ビタミンB12欠乏症 ビタミンB12欠乏症 食事によるビタミンB12欠乏症は通常,不十分な吸収に起因するが,ビタミンサプリメントを摂らない完全菜食主義者に欠乏症が生じることがある。欠乏症により,巨赤芽球性貧血,脊髄および脳の白質への障害,ならびに末梢神経障害が起こる。診断は通常,血清ビタミンB12値の測定によって行う。シリング試験が病因の特定に役立つ。治療はビタミンB12の経口または静脈内投与による。葉酸塩(葉酸)は,貧血を軽減することがあるが,神経脱落症状を進行させることがある... さらに読む およびProfessional.see page 治療 治療 食事によるビタミンB12欠乏症は通常,不十分な吸収に起因するが,ビタミンサプリメントを摂らない完全菜食主義者に欠乏症が生じることがある。欠乏症により,巨赤芽球性貧血,脊髄および脳の白質への障害,ならびに末梢神経障害が起こる。診断は通常,血清ビタミンB12値の測定によって行う。シリング試験が病因の特定に役立つ。治療はビタミンB12の経口または静脈内投与による。葉酸塩(葉酸)は,貧血を軽減することがあるが,神経脱落症状を進行させることがある... さらに読む を参照のこと。巨赤芽球性状態を引き起こす薬剤は中止するか,減量して投与する必要がある。

ビタミン欠乏症の病因についても調べ,治療すべきである。

要点

  • 巨赤芽球は,クロマチンの濃縮がみられない大型で有核の赤血球前駆細胞である。

  • 巨赤芽球性の大球性貧血の最も一般的な原因は,ビタミンB12または葉酸の欠乏または利用障害である。

  • 血算,赤血球指数,網状赤血球数,および末梢血塗抹検査を行う。

  • ビタミンB12 および葉酸の濃度を測定し,メチルマロン酸およびホモシステインの検査を考慮する。

  • ビタミンB12または葉酸欠乏症の原因を治療する。

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