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遺伝性球状赤血球症および遺伝性楕円赤血球症

執筆者:

Evan M. Braunstein

, MD, PhD, Johns Hopkins School of Medicine

最終査読/改訂年月 2017年 1月
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溶血性貧血の概要も参照のこと。)

遺伝性球状赤血球症および遺伝性楕円赤血球症は,先天的な赤血球膜障害である。症状は,一般に遺伝性楕円赤血球症の方が軽度であるが,様々な程度の貧血,黄疸,および脾腫がみられる。診断には,赤血球の浸透圧脆弱性の亢進および直接抗グロブリン試験陰性を証明する必要がある。まれに,45歳未満で症状がある患者で脾臓摘出を要する。

遺伝性球状赤血球症(慢性家族性黄疸,先天性溶血性黄疸,家族性球状赤血球症,球状赤血球性貧血)は,様々な遺伝子浸透度の常染色体優性遺伝疾患である。球状赤血球の溶血および貧血を特徴とする。

遺伝性楕円赤血球症(卵形赤血球症)は,赤血球が卵円形または楕円形になる,まれな常染色体優性遺伝疾患である。溶血は通常認められないか,わずかに認められる程度で,貧血はほとんどまたは全くみられず,脾腫がみられることが多い。

病態生理

両疾患とも膜タンパクの異常により赤血球異常が引き起こされる。

  • 遺伝性球状赤血球症では,赤血球膜表面積が赤血球内容物に対して不釣合に減少している。赤血球表面積の減少により,赤血球が脾臓の微小循環を通過するのに必要な柔軟性が損なわれ,脾臓内溶血が起こる。

  • 遺伝性楕円赤血球症では,遺伝子変異により赤血球の細胞骨格が弱く,赤血球の変形が生じる。形状が異常な赤血球は,脾臓により捕捉され,破壊される。

症状と徴候

遺伝性球状赤血球症では,症状および徴候は通常軽度である。貧血は十分に代償されるため,パルボウイルス感染症などのウイルス性疾患が併発して一過性に赤血球産生を減少させ,無形成発作を引き起こすまで気づかれないこともある。これらのエピソードは,自然に軽快し感染症の消失とともに寛解することもあるが,緊急の治療が必要な場合もある。重症例では,中等度の黄疸および貧血の症状がみられる。脾腫はほぼ常に認められるが,腹部不快感を引き起こすことはまれである。肝腫大がみられることもある。胆石症(色素結石)はよくみられ,主症状となることもある。先天性骨格異常(例,塔形頭蓋,多指症)がときにみられる。通常は1人以上の家系員に症状が認められているが,遺伝子浸透度の程度が様々であるために,数世代後に現れることがある。

遺伝性楕円赤血球症では,臨床的特徴は遺伝性球状赤血球症と類似しているが,より軽度である傾向がみられる。

診断

  • 末梢血塗抹標本,赤血球の浸透圧脆弱性試験,自己溶血試験,直接抗グロブリン(クームス)試験

遺伝性球状赤血球症または遺伝性楕円赤血球症は,原因不明の溶血(貧血および網状赤血球増多で示唆される)を呈する患者で,特に脾腫,類似する症状の家族歴,または診断を示唆する赤血球指数がある場合に疑われる。

遺伝性球状赤血球症では,赤血球が球状で,MCVは正常であるため,平均赤血球直径は正常値を下回り,赤血球は微小球状赤血球に類似する。MCHCは高値である。15~30%の網状赤血球増多および白血球増多が多くみられる。遺伝性楕円赤血球症では,赤血球は典型的には楕円形または葉巻型であるが,臨床像は様々である。診断は通常,末梢血塗抹標本で60%以上楕円赤血球が認められ,同様の疾患の家族歴があることで下される。

これらの疾患が疑われる場合,以下の検査を行う:

  • 赤血球浸透圧脆弱性試験(赤血球と様々な濃度の食塩水を混合)

  • 赤血球自己溶血試験(48時間の無菌培養後に発生した自然溶血量を測定)

  • 直接抗グロブリン(直接クームス)試験による自己免疫性溶血性貧血による球状赤血球症の除外

浸透圧脆弱性は特徴的に亢進するが,軽症例では,無菌のフィブリン除去血液を最初に37℃で24時間インキュベートしない限り,正常となることがある。赤血球自己溶血は亢進するが,グルコースの添加で是正できる。直接抗グロブリン試験の結果は陰性となる。

治療

  • ときに脾臓摘出

適切なワクチン接種後の脾臓摘出は,遺伝性球状赤血球症または遺伝性楕円赤血球症に対する唯一の特異的治療であるが,必要となることはまれである。症状を伴う溶血のある患者,または胆道仙痛もしくは持続性の無形成発作などの合併症がみられる患者に適応となる。胆嚢に胆石またはその他の胆汁うっ滞の所見があれば,脾臓摘出の際に取り除くべきである。脾臓摘出後も球状赤血球症は持続するが,循環血中での赤血球の寿命は延長する。通常,症状は消失し,貧血および網状赤血球増多は軽減する。ただし,赤血球の脆弱性は依然として高い。

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